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セシャトのWeb小説文庫-Act Vorlesen-  作者: 古書店ふしぎのくに
第十三章 『タソガレモモカ 著・桃原カナイ』
112/126

Web小説特有の視覚効果について

「ただいま! なのですよ!」


 マフデトとセシャトが少し遠出の買い物から戻ってきた時、クローズしている筈の店内が開きっぱなし、誰かいるのかと思ったがそれもいない。泥棒かと忍足で母屋を見るもやはり誰もいない。

 そのかわりカウンターに置かれたワインのボトル。

 

 結論。


「母様が不法侵入してやがったのですよ……ぬらりひょんもびっくりの妖怪か! なのです!」


 プンプンと怒るマフデトに対して、セシャトはカウンターにあるiPhoneが表示しているWeb小説に興味を示した。

 

「あら、ダンタリアンさん『タソガレモモカ 著・桃原カナイ』を読まれていたようですね」

「セシャト姉様、知ってるのです?」

「ふふふのふ! ではお菓子でも食べながら母屋でお話ししましょうか?」

 

 物語はまひるに語りかける何かから、それはどうやら遊びたいらしい。マフデトはたっぷりの生クリームがのったプリンを一口食べて……

 

「こういう怪異ってのは慣れねーもんなんですかね?」

「慣れですか? マフデト兄様」

「毎回毎回、バカの一つ覚えみたいに『遊ぼう』と自分の都合を押し付けてくるわけなのですよ。まひるもまた言ってやがるのですとか思わねーのですかね?」

 

 ひょっとするとこれが半年、一年と経つとそう思うようになるかも知れないが、まひるにとってこの謎の現象は形を持った畏怖なわけで、ただただ恐怖の対象だ。

 

「ふふふのふ! マフデト兄様、怪異の正体はえもしれぬ不安と恐怖です。怖いと思えば思うだけ、それはより強い怪異と言えますね。逆にマフデト兄様のような反応を示すと、怪異はより弱く、下手すれば消えてしまうかもしれませんね。噂話に尾鰭がつくように怪異は増え、流行が終わった時に怪異は去ます。そして本作では、同じ不思議な者が見える方の救いという形で怪異の歯止めというところでしょうか?」

 

 霊的な者が同じく見える莉奈は、まひるに何かを教えてくれようとしているが、実のところ何にも分からない。〜だろう。〜だと思う。もちろん、お守りという心強いアイテムをくれるのだが、実際には莉奈という存在が一番の救いだろう。研究結果も出ているが日本人はとにかく自分一人だけの際に不安因子が暴走する。この不安因子を日本人がなぜか多く持つ事が他所の国に比べて異様に噂話や都市伝説、妖怪の類が多い理由である。

 

「この物語、異様に読み易いのですよ。でも話あたりの平均文字数二千文字前後に仕掛けてあるのが少しクセがあるのですよ」

「といいますと?」

「正直読まなくても話が理解できるので飛ばしてもいい話がいくつかあるのです。本来このベースの作品は一本の中編前後だったんじゃねーかと思うのですよ。恐らく、なんらかの理由があってこういう形状になったのと、おそらく百日参りにちなんで100話前後で終わらせる計画だったのかも知れねーです」

「成程、Web小説所以の完成形ですね」

 

 失礼のないように説明したいが、おそらく本作は一気読みさせて読者を満足させる作品構成力があると思われる。7、8万文字前後で纏まっている作品に対してWeb小説特有の付加価値を合わせてある。例えばマフデトが言うように、百日参り、百話とか、書籍で行うと途方もない暴挙であるが、Web小説のこの特殊な文学性がその完成形を視覚的に感じさせるわけだ。

 各キャラクターを掘り起こしている時点で読まなくていいわけではないが、読まなくとも作品の根幹に対して困らない話はいくつか見られる。

 

「ふふふのふ、ですが私は全編通して本作の完成形と思いますよ。ある種の人間ドラマを本作に私は感じています。素直な三兄弟、そしてセピア色の思い出を感じる世界観、ねずみ取りを見にいこう! だなんてお子さんはダメ! と言っても行ってしまうんですよね? お子さんの見ている世界は異世界ですから」


 そう言うセシャトは今年、4歳になり、またマフデトも4歳になる。そんなマフデトは死んだような目でこう言った。

 

「人の家のねずみ取り機ひたすら発動させて、めちゃくちゃ迷惑なガキ共なのですよ! こういうあるあるネタは確かに読んでて飽きねーのですよ。リアルだと、この家主ブチキレで親が一緒に謝りにいくパターンなのです。そしてどうやら石碑とやらは中々血生臭い物のようなのですね」

 

 元ネタがあればおそらく有名な部落地域の某石碑かもしれないが、そもそも直訴は大体命を奪われるので、日本全国わりかしこう言う話はあったのかもしれない。しかし、朝陽くんは虫博士並に都市伝説を仕入れてくる事に魅力を感じざる負えない。彼の造形は大人が無くしてしまった何か遠い日を彼を通して感じれるようで、非常に良いキャラクターだと思う。

 

「赤いひまわりとはまた、面白い話なのですよ! こう言う時、師匠ちゃんやレシェフだと赤い品種について語り出すのでしょうけど、きっとこいつは朝陽の言うように、実しやかに語られるひまわりであって欲しいのですよ!」

 

 時折見せるこのマフデトの子供っぽさにセシャトは微笑ましく思う。まさに液体と本作で表現されている猫のようなマフデト。縦割れたしたパープルアイもまさにそれ、ちなみにセシャトは動物の猫は苦手である。一度、野良猫が古書店『ふしぎのくに』に迷い込んでそれはそれはとんでもないことになった。売れる事もなく鎮座している古書たちのいくつかをダメにして、セシャトにたんこぶを作らせて逃げて行った。それからセシャトは飼い猫でも野良猫でも連中を見ると冷や汗が出る。

 

「猫さんは、時折何もない方向を見つめたりするふしぎな行動を取られますよね? あれはよく幽霊を見ていると言われていますよね?」

「あぁ、それなのですね……私はいつもの二人にその正体を明かされてつまらねー気持ちにさせられたのですよ!」

 

 幽霊の正体見たり、枯れ尾花である。詳しくは調べて貰えばいいが、ある意味猫は幽霊を見ているのだ。その正体が分からない限りはであるが……物語はまだ序盤と言えるのだが、三兄弟の百日詣はもう既に三分の一が終わっている。これも資格効果があり、もうこんなところまで来たかと錯覚に陥る。時系列回転形は時間軸が変わる時の工夫が大変ではあるが、基本これも時代を選ばない小説のタイプと言える。

 補足すると、妖怪物。本作は都市伝説だが、これも流行があってないもので時代を選ばない。

 

「意外とまひるは厨二なのですよ! 自分というキャラクターを演じる。黒歴史になり易いのですよね?」

 

 そう、何度も同じ解説になるが、ちょこちょこあるあるネタを放り込んでくる本作はマフデトは読まなくてもいい話があると言ったが、読んだ方が懐かしみを感じる話というのは多い。当方のミーティング、第三世代さん曰く、ミーツでも作品全体の評価以外に、こういう小ネタ形を強く推す者も何人かいたわけで、朝陽の前では完璧なお姉ちゃんでありながら、一度学校に行けばどこにでもいる女の子。修学旅行前くらいや体育祭辺りでなんのかんのあって周りのお節介で付き合ったりするネタで大人連中が盛り上がり、マフデトさん達、子供連中が盛り下がったりした。

 

「あらあら、好きな人のことが気になってしまうまひるさんは非常に愛らしいですねぇ! マフデト兄様はご学校でそういう方はいないんですか?」

「いねぇですよ! みんなガキなのです! そういうセシャト姉様は秋文の野郎とはどうなのですか?」

「秋文さんですか? ふふふのふ!」

 

 セシャトは学校という組織に属した事はないが、マフデトは現在中学生として秋文や一二三、アリアなどと同じクラスで勉学に励んでいる。故に、まひるの学校の古典の先生に関して……

 

「あー、私の学校にもこういう奴いたのですよ! 突然ブチ切れて誰かが謝りに行くまで帰って来なくなるのです。学校の教員ってのは社会にでた事のないクソ野郎共の集まりって師匠ちゃんが言ってたのです!」

 

 当方の師匠ちゃんは考え方に非常に偏りがありますが、学校の先生は立派な方も多くいると思われるが、クドクド無意味な話をしたり、職員室に籠城したりするのは大人になりきれなかった子供、自己愛性パーソナリティ障害を持っているからあの一般社会で行えば即クビになるようなことを平気でできるのである。

 基本学校の先生は大人だと思って対応すると保護者が異様に疲れるのはそれである。

 あまり本作とは関係ないが、あの学校の先生が突然職員室に籠城する都市伝説の背景は大体こんな感じである。生徒に謝らせるという事で明確に自分がお山の大将、支配者である事を自分に意識付けする頭の報酬系がぶっ壊れてしまっている反応である。

 

「出た出たループ物なのですよ! 昔、死ねばループから抜け出せると思って死ぬけど、微妙に死にきれなくて次の日にまた目覚めるコントみたいな物語があったのですよ。お揃いの壁紙が原因かもというのは中々おもしれーのですよ。スマホという現在の必需品が怪異を引き起こしてるのです」

 

 二人はこの古書店『ふしぎのくに』に元々、ダンタリアンがいて、双葉というお客さんと本作の中に入っている事を知らない。セシャトはマフデト大好きなJKの怪異シーサーがお土産に持ってきてくれた沖縄名物“ジューシー“を作ろうと一旦読み合いを中断する。マフデトはお風呂の準備をして、明日の営業に向けて、店舗の鍵を閉める。マフデトはまだ入っているワインを流しに捨てて、その瓶をまとめて置く。

 

「セシャト姉様! 飯を食いながら『タソガレモモカ 著・桃原カナイ』の続きを読むのですよ!」

「いいですねぇ! マフデト兄様と一緒にこういった読み合いって中々機会がありませんもんね! どちらかが店番の時はどちらかはお休みですし」

「そうなのですよ! たまにはセシャト姉様と一緒に店番してーのです!」

「あらあら、まぁまぁ!」

 

 二人はそんな風に仲良し姉弟か兄妹として並んでそんなお話をする。二人はダンタリアンが開いた作品世界へのゲートを知らず知らずに閉じてしまったとも知らずに……

『タソガレモモカ 著・桃原カナイ』皆さんはもうすえべて読まれましたか?100日後が非常に味のある本作ですが、当方ではあるあるネタの満載である部分も非常に人気がありますよぅ! さぁ! まだまだ今月ははじまったバリです! 是非本作を楽しんでみてくださいね!

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