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異世界でサバイバル高校生活  作者: 神楽 暁
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怪しい高校

○異世界

 中学三年生の俺は今、高校受験を目前に勉強に励んでいる。

 もうすぐ受験だというのに特に行きたい高校など無い為、高校選びに苦戦していた。

 俺の名前は 神楽(かぐら) (あかつき) 中学では勉強も運動も授業では真面目に取り組んでこなかった為、特に成績が良いわけでも無いが、運動は好きで得意である。

 進路に悩んでたある日の二者懇談で先生から


「お前に小田切(おだぎり)高校から推薦が来てるぞ」


と言われた。

 小田切高校 そこは、推薦以外では受験することが出来無いという噂は聞いたことがあるが、詳しくは知らなかった。

 先生の説明によると、その高校は全寮制で学費、食費、その他諸経費を全額負担してくれるらしい。

 何せ入学の一ヶ月前が完成予定で、学校についての情報がほとんど明かされておらず謎が多かった。

 推薦される条件は分からないが、行きたい高校が決まっていなかった俺は小田切高校を受験することに決めた。

 その高校の試験内容は分からなかった為、他に受験したたがる人がいるのか怪しかったが、俺には多少興味があったのだ。

 そして、小田切高校とは別の試験会場で受けた試験の筆記テストと面接の結果、無事に合格。

 合格発表と同時に入学への説明資料と小田切高校の制服をもらう。


      小田切高等学校入学説明


神楽 暁様 小田切高等学校の入学試験合格おめでとうございます。

本校は創立元年にして多数の生徒を迎え入れることが出来て喜ばしい限りです。

早速ですが、本校の入学式は四月八日午前九時より行います。八時三十分までには学校に到着して下さい。

本校は全寮制で学費、食費、その他諸経費を本校が全額負担する制度となっております。

入学式の保護者同伴は禁止させて頂きます。新入生のみでお越し下さい。

また、入学式以降から卒業までの三年間、本校の方針で外部との連絡や接触の一切を禁止とさせて頂きます。

その他詳細は入学時に生徒に説明させて頂きますのでご理解下さい。

入学時の持ち物

・無し

入学時の服装

・配布した本校の制服


 やはり学校の内情はほとんどが謎のままで、明かされることが無かった。

 なんだかんだで春休みも終わり、入学式の日を迎える。


「いよいよだな」


 新しい環境に期待しながら高校の前に来ると、辺りには同じ新入生であろう学生たちが続々と校門へと向かっていた。

 校門には張り紙での説明があった。

 

      ようこそ小田切高等学校へ

 新入生の全員は入学の手続きを済ませ、地下一階にある教室に集合しなさい。


 高校は高い壁で囲まれており、空でも飛ばない限り外から見ることは出来無かった。

 校門の前で入学の手続きを済ませる。

 校門の先で校舎の全貌が見えたが、校舎は手入れがされておらずとても人が使えるとは思えないほど汚れていた。あと普通の学校よりも小さい。


「本当に俺たちが最初の学年なのか?」


 そんなことを呟きつつ指示通りに地下一階の教室へ向かう。教室に到着するとすでに大勢の生徒が集まっていた。

 周りが騒いでいる中、一人で静かに入学式が始まるのを待っていると、突然教室前のスクリーンに強面の男が映し出される。

 強面男の登場に騒がしかった場は静まり返り、男が喋り始めた。


「私は校長の如月(きさらぎ) 隆司(たかし)だ。諸君、小田切高校入学おめでとう。本校は創立元年にして男子四百名、女子四百名の計八百名を迎え入れることができて光栄だ」


 一学年八百人という超マンモス校だった。

 だが、とても生徒全員が入れるような校舎には見えなかったが一体どこに?


「諸君にはこれから三年間、卒業へ向けて様々なことをこなしてもらう。以上だ」


 そう言い、校長がスクリーンから消える。あまりにも短く、適当な挨拶で、何の説明も無く校長の挨拶が終わった為、不審に思った生徒たちが騒ぎ始める。

 その後数分間何かが起こるわけでもなく待たされていると、突然部屋全体に機械の作動音のような音が響き渡り、間も無く照明が落ちた。

 今いる場所が地下であることもあり、差し込む光も無く、暗闇に女子は悲鳴を上げる。

 俺は冷静に場の状況を理解しようと思ったが、段々周りの声が聞こえなくなり意識が遠くなっていく感覚に襲われた。


「...気分が...悪い」


 どうやら意識を失ったようだ。


 それからどれだけ時間が過ぎたのか分からないが、周りの砂の感覚、強烈な熱気、降り注ぐ日差しに飛び上がるように目を覚ます。


「あっつ...どこだここは?砂漠か?」


 意識がまだ朦朧としながらも辺りを見渡すと、砂漠のように砂が一面に広がっていた。

 全く状況が把握できていない俺は、ただ立ち尽くすことしか出来なかった。

 そしてすぐに察する。なるほどな、あの学校のボロさと小ささ、そして集合場所が地下室、それにあの直前の機械音。

 俺たちはなんらかの方法でどこか別の世界に転移されたのだと。


「面倒なことになったな」


 新たな状況に憂鬱だった俺は、これから起こる高校生同士の超過酷で熾烈なサバイバル高校生活のことなど知る(よし)もなかった。



○出会い

 まず俺は身の回りを確認したが、服装は何一つ変わっていない。

 しかし、ズボンのポケットに身に覚えのスマートフォンが入っおり、電源を入れると校長が映し出され、話始める。


         異世界の説明

我が異世界にようこそ諸君。

先ほど諸君をとある方法でこの異世界に召喚させてもらった。

これから諸君にはこの世界で私の用意したゲームに挑戦してもらう。

君たち一人一人がプレイヤーである。

それではこの世界のシステムの一部を紹介する。


・文系選択者、理系選択者にはそれぞれ別の世界に召喚した。召喚場所は全員ランダムだ。


・この世界に用意されたクエストにクリアする事で、クリアした教科の単元の知識を手に入れることができる。


・クエストはこの世界に散りばめられている(ほこら)で受けることができるため見つけ出す必要がある。


・教科の単元のクエストは私が定めた順番でしか受けることができない。


・用意されたクエストを卒業時までに全てクリアすることができたら卒業とする。


・この世界での取引はコイン硬貨で行うことができる。


・手に入れた単元の知識はコイン硬貨に換金することが出来る。


・一度クリアした単元のクエストであっても繰り返し挑戦することが出来るが、2回目以降のクリア達成報酬コイン硬貨の量は初回の10%となる(単位は毎回獲得可能)


・祠のクエストは、クリアタイムが一番早い人(パーティーでクリアした場合はそのパーティー)に月の初め、コイン硬貨を支給する。(ポイント配布前にチームを解散した場合、報酬は次に早かったチームに配布される)


・この世界にはパーティー制度があり、他の生徒とパーティーを組むことでパーティーメンバーと共にクエストを攻略することが出来る。パーティーメンバーは最大10人。


・自分のパーティーメンバーに直接的な攻撃でダメージを負わせることは出来ない。


・パーティー作成方法は専用のアプリを使用すること。


・この世界の中心である中央都市内ではパーティーメンバーに関係なく他の学生にダメージを負わせることはできない。例外を除く。


・この世界で死ぬと失格と為り、退場とする。原則復活は無い。


上記はシステムのほんの一部に過ぎない。必要があれば随時追加で報告する。ゲームクリアに向けて頑張りたまえ。

                 以上


 この文章を基に整理すると、このゲームの攻略を安全かつ効率的に進めるためには多くのハイスペックな生徒とパーティーを組むことだろう。

 今後仲間が増えていくであろうこの世界で、自分の能力が高いことを知られて頼りにされることを避けるため、俺はパーティーを組む際に自分の能力を必要時以外隠して立ち回ることに決めた。

 進路方向が分からない俺は、とにかくこの暑さを凌ぐためどこかに移動しようとする。するとどこからか人の声が聞こえてきた。


○出会い

「うわっ、あっついな何だここは...は?何じゃこりゃ」


 今目覚めたのだろうか一人の少年が立ち上がる。後ろの岩に隠れていて気付かなかった。

 声をかけるか。


「おい、大丈夫か?」


「ん?おお君、ここはどこだい?一体何が起こっているのかい?」


「落ち着けよ、騒いでもどうにもならないぞ」


 その少年の見た目は、高校生離れした恵まれた体格だった。


「どうやら俺たちはあの校長によってあの地下室で眠らされ、この異世界に転移させられたらしい。方法はわからないが...ポケットにスマホが入っているだろ?そこに書いてある」


 少年はスマホを取り出し、文章を読み始めた。程なくして理解したのかスマホから目を離す。


「なるほど、大体は理解したよ。つまり僕たちはこれから三年間、卒業するために校長先生が用意したクエストをこなさなければならないんだね」


「そうだ」


「そして用意された全てのクエストをこなすことが出来たら望む進学、就職が叶うということだね」


「そうだ」


 ようやく落ち着きを取り戻し、冷静に分析を始める。


「だったらせっかく君と出会えたのだからパーティーというものを組まないかい?色々と便利そうだしね」


「俺もそう思っていたところだ。頼むよ」


 そういうことで俺たち二人はパーティーを組んだ。

 

「試しに殴ってくれないか?パーティーメンバー同士では直接的にダメージを負わせ合うことができないらしいが本当かどうか確かめたいしな」


「え...でも直接的にはダメージを負わせられないってことは、他の方法ではパーティーメンバーにダメージを負わせることが出来るのかな?」


 問題はそこだ。

 直接的でなければ、例えば間接的であればパーティーメンバーにダメージを負わせられる可能性があるということ。


「今は分からない。ただ、殴りは直接的だから説明が正しければ死ぬことは無いだろう。本気で頼む」


「本気はマズいんじゃないかな?もし何かあったら無事じゃ済まないだろうし」


「構わない。もし何かあっても責めはしない」


「じゃあそれなら」


 そう言って殴られるのを待った。

 本気を出してくるか分からないが、これでこの小年の大体の実力を知る為だ。


「グホッ.....!」


 容赦のない少年のパンチは見事顔面に命中し、防御を取らなかった俺は後ろに飛ばされて倒れた。


「うわっ...いってぇ」


「ごめん、そこまで本気で殴るつもりはなかったんだけど。痛かったろ?」


 無茶苦茶痛かったと答えようとしたが


「...痛みが消えた...完全に」


「消えた?」


「ああ、ダメージを与えれても負わせることは本当に出来ないようだな」


 だがあのパンチはかなり強かった。


「何かスポーツでもやっていたのか?」


「ああ、小学校の時から野球を習っていたんだ。だから筋力には自信があるんだ」


 通りで強いわけだ。この少年なら少しは頼りになるかもな。


「神楽 暁だ。これからパーティーメンバーとして宜しく頼む」


「ああ、自己紹介がまだだったね。僕は氷室(ひむろ) (あつし)だ。こちらこそ宜しく」


 こうして俺たちはパーティーメンバーとして旅を共にすることを決めた。


 これは高校生たちが、生き残りをかけたサバイバル高校生活の物語である。


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