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蠱毒の鬼 -シンギュラリティオブオーガ-  作者: 高美濃四間
第七章 教団決戦
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人類最強の戦士

「うおぉぉぉ!」


 郷田が背を屈め豪速で清悟へ突進する。清悟は大剣を大きく横へ薙いだ。郷田は跳び上がり回避。上空から清悟へ襲い掛かろうとする。それは清悟も読んでいた。大剣の鍔を左へ噴射し、郷田の真下へ移動したタイミングで右へも噴射。そのまま刀身の向きを水平から垂直に変え噴射の反動で斬り上げる。


「ちぃ!」


 郷田は空中で身を反らし、間一髪で下からの斬撃を避け横から刀身を蹴って距離をとる。清悟はすかさず腰バーニアを噴射して追撃した。


「はっ!」


 郷田は横へ跳び回避。振り下ろされた大剣が地面を粉砕し砂埃を巻き上げる。

 視界の悪くなったタイミングで郷田が飛び掛かった。清悟は刀身を盾のように構え、掌打を受け止める。


「ぐぅ」


 鬼人の一撃は強烈だった。しかし後方へ瞬発噴射し郷田を押し飛ばす。彼は空中で回転し難なく着地する。


「やるな。さすがは人類最強と言ったところか」


 郷田が冗談半分と言ったように薄ら笑いを浮かべた。彼は短い時間で縦横無尽に地を駆け、宙を舞ったというのに息一つ乱していない。年寄りな見た目にはあまりにも反している。


「そんなものになった覚えはないぞ」


 清悟は肩で息をしながら大剣を中段に構える。生身の人間が扱う武装にしては負担が大きい。加えて相手も悪すぎる。清悟としては早急に決着をつけたいところだった。

 郷田が地を蹴る。蹴られた地面は小さなクレーターになっていた。


「くっ!」


 あまりのスピードに姿を捉えきれなかった清悟は、断続的に前方へ瞬発噴射し後退する。そのとき、背後の柱に思い切りぶつかった。焦りのあまり周囲への注意が足りていなかった。それでも動きを止めず真横へ噴射し、体勢を崩しながらも郷田の一撃を回避する。郷田の蹴りは柱を軽々粉砕した。

 清悟は立ち上がり息を整えた。郷田はすぐに動き出す。


「休憩の隙は与えん」


「くっ!」


 清悟は顔を歪めながらも、大剣を水平に保ち噴射で薙ぐ。郷田はバックステップで避け、再度踏み込むが、大剣の反対側の鍔から噴射。


「ちっ!」


 逆方向から迫った大剣を避けるべく郷田は高く跳び上がり、清悟の後ろへと着地する。清悟は遠心力に身を任せ体を一回転。さらにブーツの瞬発噴射で郷田に急接近しながら切り払った。


 ――ザシュッ!


 郷田は回避しきれず左手を切断される。郷田は慌てることなく、二撃目を喰らう前に大きく跳び退いた。


「やるな」


 郷田は顔から余裕の表情を消す。しかし腕一本失くなったところで、鬼人の優位は揺らがない。清悟にはそれが良く分かっていた。


「聞きたいことがある」


「なんだ時間稼ぎか」


 郷田は相好を崩すことなく真剣な表情で応える。


「他の『鬼人』はどこにいる?」


「はぁ? そんなことを知ってどうするのやら……まあいい。この日本に鬼人はあと一人。東京にいる」


「一人? それだけなのか?」


「ああ、東京にいるその者が他の鬼人を殺してしまうのでな。増えんのだよ」


 清悟が目を見開く。


(鬼人が鬼人を殺すだと? まさか……)


「あまりにもおっかないのでな、私は極力彼に近づかないようにしているのだ。さて、これで心残りはないかな?」


「十分だ」


 清悟は口の端を緩め活気に満ちた勇ましい笑みを浮かべる。しかし郷田は忌々しげに顔をしかめ呟いた。


「――傭兵が全滅したか」


 インカムを壊されていた清悟は戦況を把握していなかったが、もし郷田の言う通りであれば、傭兵を倒した悠哉たちは真っ先にここへ来る。そうなれば形勢は逆転だ。清悟は大剣を両手で強く握る。


「これで形成は逆転。そう思っているのなら残念だったな」


「なに?」


 郷田の言っている意味が分からず清悟が顔をしかめると、その左奥で突然教会の扉が開かれた。「バタン!」と乱暴に。

 清悟が郷田の動きを警戒しつつ扉へ目を向けると、入口に立っていたのは教徒たちだった。ただ、様子がおかしい。顔を下へ向けながらゆらゆらと歩き、息遣いは荒く、肥大化した肉体が猛々しく脈動している。

 郷田が狂ったように顔を歪め呟いた。


「――もう、『夕方』だ」

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