91話.決闘③
「本気を出すと言ったんだぞ?
ここからが本番だよ!!」
クロムがそう告げると、ダインは先ほどと同数の雷撃に再び襲われることになった。
しかもそれが何度も何度も連続で襲い続けるのである。
雷撃の1撃1撃はダインにとっては耐えることができる範囲の攻撃である。
しかしそれが終わることなく続くのだから、いつかは耐え切れなくなるということは目に見えていた。
しかも恐るべきことに2度目以降の雷撃はクロムが新たに放ったものではないのだ。
そしてクロムは、その無限雷撃地獄ともいうべき状況をただ傍観しているのであった。
「止めてください!!!!!!
これ以上は王の命に関わります!!!!!」
思わず止めに入ったタケルの言葉を聞いたクロムは、雷撃を一瞬で霧散させた。
そして、意識を失いぐったりと倒れこんでいるダインの元まで歩み寄ったクロムはダインの首に魔術で作った土剣を当てながら尋ねるのであった。
「俺の勝ちってことでいいよな?」
意識を失っているダインの代わりにタケルがそれを認めた。
そしてタケルはクロムを睨みつけながら話を始めた。
「クロムさん!!!
あなたはダイン王を殺すことが目的ですか!!???」
「いや、ダインの命にはまったく興味がない。
俺はダインがその力で踏みにじってきた数多くの者たちの代わりに、ダインを蹂躙しただけのことだ。」
「……」
「ようするには、ダインの言動を不快に思った俺が八つ当たりがてら蹂躙しただけさ。
そんなことより……
次はタケル、お前とだが……
その前に教えてやるよ」
そういうとクロムは先ほどの攻撃の種明かしを始めた、明かしてしまえば単純な種を。
まず初めにダインの周囲に雷の元となる雷塊を無数に展開したクロムは、さらにそれの外側を覆い囲むように円状の異空間を作ったのだ。
そしてその異空間に吸い込まれたものは対角線上に位置する場所から内側向きに出てくるように設計されていた。
つまりダインを貫いた雷撃はその後円状の異空間に吸い込まれた後、出口から出てくることになる。
そしてその出口は吸い込まれた場所の対角線上、つまりは最初に雷撃が発射された場所の少し後方に出口があることになる。
そして出口から放出された雷撃は再度ダインを襲うこととなる、というわけであり、それが全方位から永遠とも思える期間続くというのが先ほどの攻撃の正体なのであった。
「まぁ雷撃も少しづつ減衰はするから永久機関ではないけど、なかなかのエグイ攻撃にはなるってわけだ。
さてと、ここまで話したらタケルには俺がどんな神の加護を受けているかは……
わかるよな?」
「…… 空間を司る神
でしょうね」
「俺を転生させたのは空間を司る神のカオスだ。
これでお互いに何の加護をもっているかは明かしあったわけだ」
「対等にしておきたかった……
ということですか」
タケルの問いかけにクロムは返事をすることなく、ただ笑顔を浮かべるのみであった。
「さて、じゃあそろそろ決闘を始めるか」
そう言いながら、挨拶がわりの氷の杭を一発タケルに向けて放った。
しかし、なぜか氷の杭はタケルを避けるように弧を描くのであった。
「いきなり攻撃と失礼な人ですね」
「あの程度ただの挨拶だろ、実際奇妙な手法で氷の杭を曲げやがったわけだしな」
「さすがのクロムさんも手法まではわかりませんでしたか」
タケルはそういうと帯剣している剣のうち、もっとも短い短剣をクロムに向けて投擲した。
その短剣に触れることを嫌がったクロムは少し大きめの動きにて短剣を回避した…… はずだったのだが___
グサっ
避けたはずの短剣はクロムの右肩に刺さっていたのだ。
「ク、クロム!!???」
「アキナ! こっちに来るな!!
立会人としてそのまま見ててくれ!!」
その異様な光景に動揺したアキナがクロムの元に駆け寄ろうとしたのをクロムは制止した。
クロムはこの理解を超える状況にアキナを巻き込むことを恐れたのだった。
回避できたと思った攻撃が回避できていなかったという事実は、アキナを守り切れるかどうかの自信が揺らぐほどの衝撃を与えるものであった。
「俺は完全に回避したはず……」
「ちゃんと僕の小細工が通じるようで一安心ですよ」
理解の追い付かない状況に混乱を深めるクロム。
その様子を見て安堵の様子を見せるタケル。
その状況を何か言いたげな表情のまま見つめるアキナ。
三者三葉の中、静かな空気が流れるのであった。
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