90話.決闘②
クロムが放った無数の氷の杭が奏でる着弾音が静寂を迎える頃、この場は氷の杭による冷気ではなく、何やら得体のしれない異様な気配に支配されていた。
そしてあれだけの数の氷の杭を浴びたはずのダインの声は一切聞こえず、その代わりにダインが居たはずの場所から身を切り裂くような殺気と金色の光が放たれているのだった。
「まさかこの鎧を突き抜けるような魔術があるとはな……」
金色の光の正体は、ダインが身に纏っている闘気の鎧が放つ光であった。
ダインは金色の闘気の鎧を身に纏って、あの氷の杭の嵐を棒立ちの状態でしのぎ切ったのだ。
「あの数の氷の杭を受けて、頭から軽く血を流す程度とか軽く凹むんだけどな……」
「この闘気の鎧をアレス様より賜ってから傷という傷を負ったことがないワシがこれだけの出血をしておるんじゃ、むしろワシが驚愕しておるわい」
まさかこの程度の傷のみだとはと思うクロムと、まさか傷を負うことになるとはと思うダイン。
両名ともに方向性こそ違うもののどちらも今の状態に軽い困惑を受けているのだった。
「その強度の鎧ってことは…… アレスの加護による<技能>の一種と考えるべきだろうな。
参ったな、予想よりかなり強いみたいだ……」
「まったく本気を出しておらぬくせに、よく言うわい。
タケルに手の内を晒したくない…… というところかの……
舐められたものじゃ!!」
すると、ふっとダインの姿がクロムの視界より消えた。
そして、クロムがそう感じた頃には後方に吹き飛ばされており、この決闘場の四方にある柱のうちの1本に背中を痛打させるのであった。
「ケホケホッ……」
クロムは呼吸がままならない。
「ぅぅう……
なんだよ今のは……」
「獣王を舐めておるようじゃからな、本気を見せてやったまでじゃ。
……むしろクロムこそどういう身体してるんじゃ、殴った感触が人のそれじゃなかったぞ」
「そりゃ悪かったな。
では…… お詫びがてら手抜きなしでいかせてもらうが……
死んでもしらないからな?」
話をしているうちに呼吸を整えたクロムは、そう告げると共にダインの頭上より巨大な雷を落下させるのだった。
爆音を響かせながら光の速度で落下する雷。
一瞬の出来事であり、ダインにできたことは表情を驚きの表情に変化させることぐらいであった。
「ぐぅぅ……」
クロムの放った落雷はダインを丸々飲み込むほどの大きさのものであったが、ダインが受けたダメージは全身に軽度の火傷を負った程度であった。
しかし闘気の鎧は全壊しており、先ほどまでの金色の光は消え失せていた。
「ここからが本番だからな!!!!」
落雷一発ではほとんどダメージを与えられないことを予測していたクロムは、雷を落下させるのと同時に両手に膨大な魔力を集めていたのである。
そして、クロムがその魔力を放つと雷の塊のようなものがダインの周囲をぐるりと囲むのだった。
やがて、雷の塊の周囲の景色が少し歪んだ頃に、全ての雷の塊から一斉に圧縮された雷撃がダインに向けて発射されたのだ。
ダインは再び闘気の鎧で身を覆ったが、圧縮された雷撃は闘気の鎧ごとダインの身体を突き抜けた。
次々と自分の身体を貫く雷撃に耐え続けるダイン。
雷撃は圧縮しているため貫通力はかなり高いのだが、その反面口径がかなり小さくなっており、雷撃1本1本は野球のボールサイズ程度なのだった。
「ぐははは、全てをしのぎ切ったぞ!!
反撃をさせて……」
全ての雷撃をしのぎ切り、反撃に打って出ようと不敵な笑みを浮かべていたダインであったが、次の瞬間には驚愕と戦慄によって身を震わせることになったのであった。
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