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なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!  作者: 日向ぼっこ
6章.ダイン獣王国編

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79話.宣言の真意


クロムの突然の宣言で歓喜に揺れる仲間たちの中、一人だけ怪訝な(けげんな)顔をするものがいた。

それは普段から隣で彼を支え続けているアキナである。


「クロム……、少しいいかな?」


「ん? アキナか、どうした?」


アキナには今回のクロムの宣言の真意が理解できなかったのだ。

普段からクロムの言動を隣で見て、苦悩する姿も見続けてきたアキナにとってクロムの今回の宣言はあまりにも唐突すぎるのである。


自分たちの慢心からくる判断ミスによって仲間を死なせてしまった。

今後同じことがおこらないように気を引き締める。

ここまでの内容であればアキナにも理解できるのだが、それがダイン獣王国を乗っ取るともとれる内容の宣言に繋がるのは飛躍(ひやく)しすぎではないかと感じていたのであった。

アキナが自分が感じた疑問をクロムにぶつけると、クロムはやや顔色を暗くしながら、ゆっくりと話し始めた。


「あの二人の遺体を見つけたあとにさ、俺がミツルを閉じ込めた空間に行ったのを覚えてる?」


「うん」


「俺はあそこでミツルにあらゆる拷問を掛けて搾り取れるであろう限界までの情報を引き出したんだ。

 そして……

 俺はいくつかの事実を知ることとなった……」


「何を…… 聞いたの?」


「まずはあいつが転生者であることの確認、これはほぼ確定していることだったけどね。

 そして、転生させた神の名前と貰った<技能>についての情報…… ここまでは始めから聞き出すつもりであいつに拷問をかけ始めたんだ」


「う、うん……」


「その途中、あいつの口からある言葉がこぼれた……」


――俺の行動はダイン獣王国公認だ、獣王ダインが俺の行動を承認している。

――お前の行動はダイン獣王への敵対行動となるぞ。


クロムはその言葉を聞いた瞬間からミツルへの拷問の凄惨さ(せいさんさ)が数段階も上がったことを記憶している。


「え……、まさか……」


「さすがに俺もミツルの言葉をそのまま()に受けたわけじゃないさ。

 ただ、可能性を否定できないからご本人に確認しにいこうというわけだよ」


「じゃ、じゃあさ、いきなりダイン獣王国にケンカを売るわけじゃ……ないよね?」


クロムはその問いに対して明確に返事をすることもなく、ただ笑顔で無言のままアキナを抱きしめるのであった。

アキナはそんなクロムの行動に若干の不安を抱きつつもクロムの次の言葉を抱きしめられながら待つのであった。


「大丈夫だよ、いきなりケンカを売ったりはしないよ。

 俺としてもまずは真実を知りたいんだ」


「よかった……」


「でも……

 ミツルの言葉が真実であった場合、俺は獣王ダインを倒さなくてはいけなくなる。

 ダインの生死も手段も問わずにね……」


思い詰めるように俯き(うつむき)ながら暗い表情となるクロムを今度はアキナが抱きしめた。

そしてクロムに優しく語り掛けるのであった。


私はいつでも何があってもクロムの味方だよ と。


何度も言われている言葉ではあるがクロムの心に染みわたるその言葉は、クロムの心を癒してゆく。

そしてクロムの両目から大粒の涙がこぼれ落ちた頃、アキナは言葉を続けるのであった。

クロムが望まぬ形で手を汚す時があるなら私も一緒に汚す。

クロムが望まぬ犠牲で心を病むときは、私も一緒に背負う。

――なにがあっても一緒にいるよ と。


アキナの優しい愛情のこもった言葉とアキナのぬくもりによってクロムは、泣き崩れるしかなかった。

仲間たちの前ではリーダーとしてここまでの醜態(しゅうたい)をさらすこともできずに我慢して無理してきていたものが一気に溢れ出た(あふれでた)のであった。


アキナはそんなクロムが泣きつかれて眠りにつくまでの間、ずっとただ抱きしめ、頭を撫でる(なでる)のみであった。

子供のように泣きじゃくり眠りに落ちるクロムをアキナは聖母のような微笑みで眺め、眠りについたクロムに優しくキスをして囁く(ささやく)のであった。


――愛しているよ と。


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