38話.竜人の試練①
視界が回復したクロムたちの前には、小規模な農村が広がっていた。
「ここが竜人族の隠れ里になります。
族長の家までご案内致します」
族長の家に案内されたクロムたちは、族長に勧められるままに族長たちの前の席に座ることとなった。
「伝わる限りにおいて初の里への訪問者殿を歓迎させて頂きます。
つきましては御用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
クロムは素直に目的を伝えることにした、強い仲間が必要になりさがしていることを。
そんな時にまるで呪いかのような掟に縛られている強き種族がいることを知ったために会いに来たということを。
「呪い…… ですか」
「掟の内容を聞いたときそう思ったよ、そしてそんな種族を呪いから解放したくなった。
それに竜人族という強き種族を仲間にすることで俺の目的も達成できるしね」
族長は静かにうなずくと、<竜人の試練>の準備を始めるのでしばらく待ってほしいと告げて席をたった。
そして、3人の竜人族とともに族長が戻ってくるのだった。
「お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
我ら4人と決闘をして頂くことが古に定められた竜人の試練となります。
舞台の準備が完了しましたので、外の武舞台までご案内致します」
強者にも関わらず礼節を重んじる対応にクロムは好感を覚えた。
竜人族を仲間にしたいという想いをより強くしながら、武舞台に向かうのであった。
そして、武舞台にてクロムとアキナは竜人族と対峙することになった。
「申し訳ございませんが、竜人の試練は1:1の決闘を4戦勝ち抜くこととなっております。
どちらのお方が挑まれますでしょうか?」
クロムがアキナに目配せするとアキナは苦笑いを浮かべた。
クロムに無理はしないようにと声をかけたのち、武舞台をおりて観戦することになった。
そして、その光景を見届けた竜人族たちも1人を残して武舞台を降りた。
「大盾師の二つ名を頂いております、ソルトと申します。
試練の一戦目のお相手をさせて頂きます」
二人が対峙したことを確認した族長が試練の開始を宣言する。
しかし二人とも基本戦術が待ちであるため、二人ともに構えたまま動かない。
ただ、緊張感あふれる空気が流れるのみであった。
「ファランクスというだけあって、受けてからのカウンターが主なのか。
焦れるまで待ってもいいけど、せっかくだから俺の攻撃を凌ぎきれるのかを試させてもらうよ」
冷気の魔力の靄がクロムの身体を包み込む。
靄の大きさは徐々に大きくなりクロムの身体の体積の2~3倍ほどになったときに靄の一部の形状を変化させ始める。
そしてクロムは一気に30本のアイスランスを同時に正面より発射した。
ソルトは自身に迫ってくるアイスランスに対して大盾を前方に構え迎え撃つ。
次々に着弾するアイスランスを防ぐ大盾には、一切の傷はついていないものの少しづつ後方に押され始めていた。
自身の腕力のみで抑え込むのが厳しいと判断したソルトは、大盾に魔力を流し込み始めた。
すると、盾の下部より光輝く金属が飛び出し地面に突き刺さった。
「自分の魔力に反応して地面にスパイクを打ち出せる…… ってところか」
「その通りです。
絶対の硬度を誇るオリハルコン製の大盾を破壊することも、スパイクで固定された大盾を吹き飛ばすことも……
どちらも不可能なことですよ!!」
想定以上の鉄壁さを誇るソルトに驚きつつも、クロムはソルトの欠点を見つけていた。
クロムは先ほどの数倍以上のサイズの靄を自身に纏わせた。
そして、それを使ってソルトの周囲を囲むように高さ2メートルほどの氷の塔を5本生成した。
「今度のも凌ぎきれるかな?」
ソルトの周囲にそびえ立つ5本の氷塔は、クロムから新たな魔力が注ぎ込まれると同時にソルトに対して大小様々な無数のアイスランスを放ち始めた。
ソルトの全方位から一斉に集中砲火されるアイスランス。
正面から放たれたアイスランスは難なく大盾に防がれることになったが、それ以外の方向からのアイスランスがソルトを襲うことになる。
ソルトは素早く大盾を振り回して防ごうとするが、先ほど地面に打ち込んだスパイクとオリハルコンの超重量が邪魔をして振り回すより早く氷杭がソルトの全身に襲い掛かることになった。
「ぐは……」
ソルトは大した抵抗もできぬまま、全身を血潮に染めてその場に倒れ込むこととなった。
「そこまで!
勝者、クロム殿!」
族長からの勝ち名乗りを受けたクロムは、ソルトに回復魔術を施した。
クロムに礼を述べた族長は次の試練の相手を武舞台に招くのだった。
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