139話.なんでもアリな異世界は、とっても楽しいです!
「ふぅ……」
クロムは深く息を吐いて一息ついたのち、周りを見回した。
「ここは……
ミレストンの街外れにある海沿いの崖付近か」
見慣れた自分の街を遠目に見渡せるこの場所がクロムは好きであった。
そして、この光景を目の当たりにすることができたことにクロムは少しの安堵感を感じつつも、似ているだけの異なる世界であることも否定しきれずに不安にもなっていた。
「大丈夫な…… はずだ。
そもそも空間神となった俺が、空間転移で失敗するはずがないさ」
クロムは自分にそう言い聞かせつつ、街へと急いだ。
近づくにつれて聞こえてくる街の喧騒、そして徐々に鮮明に映りだすミレストンの街並み。
その街並みの中に飛び込んだクロムの前には、ずっと切望していた人の姿があった。
「アキナ!!!!」
クロムは愛しいその人の名前を叫び、その人に飛びつく。
完全に虚を突かれた形になったその人は、驚きのあまり声にならない声を発した。
そして、少し落ち着きを取り戻したアキナはクロムを自宅へと連れ帰るのだった。
「とりあえず……
おかえり、クロム」
「うん、ただいま。
いっぱい待たせちゃってごめん」
「ホントだよ……、すっごく心配したんだからね……
……でも、帰ってきてくれてありがと」
アキナはクロムの胸に飛び込んだ。
クロムには、アキナが今までずっと無理をして我慢してきたことが手に取るように伝わってきていた。
クロムがアキナを強く抱きしめると、アキナは安心しきった表情になり、そして堰を切ったように泣き始めた。
クロムはそんなアキナのことをさらに抱きしめつつ、優しく頭を撫でた。
「やっと帰ってこれた……
色々と話さないといけないことがいっぱいだけど、もう少しだけこのままでいさせてくれないかな」
「うん……」
深く愛し合い、互いに必要としあっている二人は、その後言葉を交わすこともなくただ抱き合うのみで、ゆっくりとした時間を過ごすのであった。
そして、小一時間ほどしたころに、アキナがゆっくりとしゃべり始めた。
「ねぇクロム、もう全部のことが解決したのよね?
もう何処にも行かないよね?
私を置いていかないよね……?」
「あぁ、細かい話はみんなに話をするときにするけど、当面の問題は解決したよ。
あと約束する……
もう二度とアキナを置いて何処かに行ったりはしない。
愛しているよ、アキナ」
「クロム……
私も愛してる」
至近距離で見つめあう二人。
その距離はさらに近くなり、そのまま優しい口づけを交わす。
そして、そのまま抱きしめあいながら互いの存在を強く感じあうのであった。
「はぁ……、本当はずっとこのままで居たいけど……
さすがにみんなに説明しないわけにはいかないよな」
「あははは……、みんなも心配してたからね」
その後、幹部クラスの配下を自室に集めたクロム。
皆の注目を浴びる中、クロムは創造神メテオライトとの間に起こった騒動のすべてをゆっくりと話し始めた。
メテオライトとの戦闘は最初からずっと一進一退の攻防を繰り広げていたこと。
そして追い込まれたメテオライトは、この世界を消滅させることで勝利を得ようとしたこと。
最終的には、この世界を消滅させたいメテオライトとそれを防ぎたいクロムの戦いとなり、勝負としてはクロムが勝利を収めたということ。
しかし、創造神を消滅させるとこの世界が滅んでしまう可能性があることを否定できないこと。
そして、苦肉の策としてあらゆる次元より隔離した<ルーム>内に封印するという形で当面の危機を排除したことを。
「なんか話の内容が凄すぎて私にはよくわからないけど……
封印だけで大丈夫なの?」
「それに関してはひとまずは大丈夫だよ。
今のあいつにあの空間を破ることはできない。
ただ数百年とかという単位で考えたら、安心とは言い切れないから……
それまでの間に創造神の座を奪う方法を見つける必要はあるかな」
「兄貴が神に……
創造神になるってことなのか?」
「今の俺は空間神だからすでに神ではあるけど、創造神には……
創造神の座を奪う方法を見つけるまでにはどうするか決めるつもりだよ」
「じゃあ、クロムはこれからどうするの??」
「俺は俺だもん、今までと何も変わらないよ。
今まで通りこの国をより住みやすい国にしていきたい。
そして、アキナやみんな、国民のみんなと一緒に笑いあいながら幸せに楽しく毎日を過ごしてゆく……
俺の希望も願いもそれだけだよ」
「我ら配下や国民としては、早くお世継ぎを見たいものですがね」
ビネガのこの言葉でこの場にいるものすべてがどっと笑った。
それがここに居る者の願いであることを肯定するように。
そして、神になっても今までと何も変わらないことを宣言してくれたクロムへの安堵。
そういうものが入り混じった笑顔であった。
そんなみんなの笑顔を見てクロムは、この世界にこれたことを深く感謝し、これからもめいっぱい楽しんでゆくことを誓うのであった。
「なんでもアリなこの世界に来ることができて本当によかったよ。
俺は毎日がとっても楽しいです!!」
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