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 人が騒いだ後の空虚さを、ソレは嫌っていた。

 時間の経過は、夕暮れを運んでくる。

 ソレは暗闇を待っていた。

 他人から借りた、黒い獣の姿で。

 にやにや、にたにたと、笑いながら。



 体育祭は紅組、白組、青組、黄色組の四色対抗で行われた。結果は、椿達のいる紅組でも、隣のクラスの青組でもなく、白組が優勝した。大村と中村は最後までどちらが勝ちかこだわっていたが、さすがにあきれた椿達の担任の立花が、決着は今後の定期試験でつけるよう提案した。勉強への熱意の乏しい二人にやる気を出させたという点においては、立花の独り勝ちだったとも言える。

 レティシアは、祭りの後始末を終えた教室で、椿達を待っていた。体育祭は父兄が応援に来るイベントなので、椿の親も直哉の親も来ていたようだが、いずれも帰っていた。イリヤも来ていたようだが、父兄たちの帰宅で騒がしくなる前に先に帰ったようだった。急に物寂しくなった校庭を、教室の窓に寄りかかって、レティシアはぼんやりと眺めていた。

 先に用を終えた直哉が教室に戻ってきて、レティシアにならって校庭を眺めた。レティシアはそれを一瞥したが、何も言わずにまたぼんやりと校庭を眺め続けた。疲れているようにも、何かを考え込んでいるようにも見えるその様子に、直哉は思わず、椿が心配していたよ、と、声をかけた。

「心配?」

「うん。レティ、最近はずっとぼんやりしてるし、体育祭の準備でもないのに居残りして、おれ達と帰りたがるから。今日も、手加減忘れて、うっかり徒競走で一番とってたよね」

「ああ……そう言えば直哉も、足、速かったな」

「そうでもないよ。人狼の件で、ちょっと速くなったみたいだ。すぐに戻る気はしてる」

「……あれから、魔法使いには会えたか?」

「ううん。前に会ったところとか、探してるんだけど」

 直哉は夏休みが明け、兄が高校の寮に戻ってからは、自宅で過ごす様になっていた。それでも、イリヤとレティシアがいるあの空間に安心するらしく、頻繁に洋館には出入りしていた。レティシア達にも言わずに一人で探し回っているようなその口ぶりに、眉間に皺を寄せて、次は自分も連れて行くようにレティシアは直哉に忠告した。

 そして、レティシアは視線を校庭に戻すと、考え事をこぼすように、言った。

「私も少し調べてるんだが、心当たりの他の魔法使いに「寝た仔を起こすなんて正気の沙汰じゃない」と言われてな。……そうだよなぁ、と思ったんだ。わざわざお前を起こそうとした理由に見当がつかない。……魔法使いはお前に何か言っていたか?」

 そう訊かれて、直哉も考え込んだ。魔法使いの特徴については、夏休みにレティシア達には全部話したつもりだったが、改めて、魔法使いとのことを、初めから思い出す。

 あれは中学進学直前の春、兄が帰ってきたために家に帰りたくなかった直哉が、街をさまよっていた時のことだった。夜もとっぷりと更けていたため、彼に会った時は、不審者かと直哉は思った。そして、人狼の話を聞いたのだった。その時、彼は。

「そう言えば、同じだからって言ってたかな」

「同じ?」

 その言葉に、怪訝そうにレティシアは直哉を見た。

「お前と、魔法使いがか?」

「たぶん、そういうことだと思うけど。そんなに変なこと?」

「変と言うか……人狼と魔法使いは全然違うぞ?」

「そう言われてみれば、そうか。何が同じだったんだろう……あれ?」

 直哉は空を見上げた。つられてレティシアも見上げると、そこにはついさっきまでは無かった重苦しい雲が、もくもくと湧いて出ていた。

「なんか、急に、空が暗くなってきたね」

 そう、直哉が言っているうちにもどんどんと増殖していく雲に、二人は違和感を覚えた。そこに、音をたてて教室の扉を開いて、椿がやってきた。

「二人とも、お待たせ! 遅くなってごめんね、帰ろ!」

 そう言った椿の後ろから、にゃあ、という鳴き声がした。

「あれ? 猫ちゃん、こんなところで何してるの?」

 それは、洋館で出会った黒猫に似ていた。毛並みのいい黒猫は、もう一度愛想よく鳴きながら、教室に音もなく入ってきた。暗くなってきた校舎の影とも混ざり、一回り大きく見える。そして、その猫の、作り物のような金と赤の瞳を見た瞬間、レティシアに悪寒が走り抜けた。

「迷い込んじゃったのかな? あれ、でもなんか、目の色が」

「椿、それに触れるな!」

 違うような、と呟いた椿の声は、くぐもっていた。猫の顎に触れていた椿の右手が拘束されていた。それはみるみるうちに男の姿となり、左手で椿をおさえ、椿をレティシア達から見て自身の盾にするように抱え込んだ。

 そして、にやり、と、不気味な笑顔を浮かべ、わざと見せつけるように、椿もろとも、それは陰に溶け込んでいった。

 雷が、けたたましく鳴り響いた。



「遅かった……!」

 雷鳴と共に現れたのは、月夜の奥方だった。以前レティシアと会った時よりも更に着物を着崩し、髪も乱れていた。怒り心頭と言った様子のその顔は、今は般若のようだった。その頭からは、こちらも怒り狂ったような、鈴の音がけたたましく鳴っている。

「あやつ、よりにもよってこの私の姿を真似るなぞ、調子に乗りおって! 八つ裂きにしてくれる!」

「マダム……! 今のは」

 レティシアの存在と、素を出していたことに気付いたのか、マダムは一つ咳払いをして、失礼、と言った。

「あなたの言っていた魔法使いを探していた時、私の仔から、私のそれによく似た猫が現れたと聞いて、追ってきました。雲を借り、雷となって……急いだのですけれど」

 ぎりぎりと悔しそうなマダムは、直哉を見た。

「あなたが、狼の仔ですか。あなたを起こそうとしたのは、今の不届きもので間違いありませんね?」

「……はい」

「なんてこと。有り余る前科に加えて、このようなことをするなんて」

「……おれのせい……?」

 そう言う直哉は、顔面蒼白だった。

「椿を攫うとき、魔法使いは……彼は、おれのことを見てた。見て、笑ってた」

「だからって、なんで椿を」

「レティも知ってるだろう? 最近、椿とおれが付き合ってるんじゃないかって、噂になってた。椿を攫ったのが、おれへの当てつけだったとしたら」

「その噂は知ってる。けど、それなら攫うのは私でもいいはずだ。私も噂になっていたし、ずっとここに一人でいたんだから」

「幼い仔達。そのくらいにしましょう。彼女を助けるのが先です」

 乱れた髪を手櫛で雑に整えながら、マダムは焦った様子で言った。

「彼は陰に隠れましたね。ならば地下か、地上の室内か……。猫達にも探させましょう。人をひとり連れているのです、そこまで遠くとは思えません」

「私も行きます。目が合えば、催眠で動きを止められるかもしれません」

「……わかりました。助かります」

 マダムは、改めて直哉に向き直り、言った。

「あなたは、残ってください」

「そんな」

「彼女が攫われた原因は私にもあります。あなたはもう人狼としての力はほとんど残っていないのでしょう? それに、大人は子供を守るものです」

「嫌です。連れて行ってください。あのヒトと最初に関わったのは、おれです」

「……ならば、安全な場所を用意しますから、その中で命題を探してください」

「命題?」

「魔法使いが使うのは、秘さねばならぬ法。もしも彼が、自身の命に関わる法を使っているとしたら、それを暴くことが彼を倒す一番の近道です。……もちろんそれは、あるとは限りません。なければ私が彼を仕留めます」

「殺すのですか」

「私の友人の法を、彼は奪っていました」

 それまでは二人の気持ちも推し量っていたマダムが、これだけは異論を認めないというように、ぴしゃりと言った。

「魔法使いの我らとしては、彼を許容できないところまで来ているのです。世界は、あなた方よりよほど冷酷です。それに、倒さなければこちらがやられます。あの不届きものを、一刻も早く、奈落の底へ叩き落してさしあげましょう」

 再び、マダムは、ぎりぎりと歯を食いしばった。



「こういうのを昨今では、姫ポジション、というらしいですねぇ?」

「……姫?」

「自分ではなぁんにもできないくせに、厄介ごとに度々巻き込まれて、より力の強いものの助けを待つしかない、哀れな小物のことですよぉ」

 椿には、そこがどこなのかわからなかった。目を覚ますと薄暗い部屋にいたのだ。身体は古いロープで、椅子に縛られていた。男はにやにやと笑っており、その特徴から、直哉が言っていた魔法使いだと察した。あの猫は何だったのかと椿は考えて、レティシアが後ろで触るなと言っていたことを思い出し、自分がまんまと嵌められたことに気が付いた。

「ボクはキミが嫌いだ。……いまどき、幸運にも吸血鬼の贄に選ばれただけじゃ飽き足らず、ボクがせっかく起こしてあげたワンちゃんを眠らせ、挙句に小物のくせに彼に気に入られるなんて、少しはしゃぎすぎなんじゃありませんかぁ?」

「……ニエ?」

「餌の事だよ、あばずれ」

 彼は、気分の上下が激しいのか、急に語気を荒くして言った。

「生餌として血を差し出すだけのくせに、こんなにも自由にされているときた。どんな手を使ったんだ、え?」

「何か、勘違いしているみたいですけど」

 生まれて初めて、低い声で、静かに、椿は怒っていた。好き勝手なことを言い、大切な友人達を嘲笑う男の一言一言に、椿の心は恐怖よりもむしろ怒りが満ち溢れていた。

「レティは、もう血を飲みません」

「ウソついてんじゃねぇよ!」

 がん、と音をたてて、男は椿を縛っている椅子を蹴り倒した。

「じゃあ、キミは、本当に役立たずなのに、あの本物に、特別に、構ってもらっているっていうのか? ンなわけねぇだろ!」

「ウソじゃない!」

 椅子ごと横倒しにされ、身体を強く打った痛みに耐えながら、椿は叫んだ。

「何も知らないくせに! レティをあなたと一緒にしないで!」

 椿のその言葉に、とうとう沸点を超えたのか、男は力任せに椅子を踏み砕き、仰向けにした椿の首を締めあげた。男の手は、気味が悪いほど冷たかった。

「調子に乗るなよ。ボクはキミが知らないことだって知ってるんだ。何も知らないのは、そっちのほうじゃないか。血の味を知っている、特別の本物が、もう血を飲まないなんてあるわけがない!」

 音が鳴るほど首を絞められて、椿が気を失う直前のことだった。

「その手を放しなさい」

 美しい般若のような女性が、男の肩を、砕けるほどに掴んでいた。

 朦朧とする意識の中で、椿は誰かに抱えられているような気がした。



「はっ……月夜の奥方が直々にいらっしゃるとは、いよいよあの小娘を消してやりたくなりましたよ。しかも、ボクのペットまで。飼い犬に手を嚙まれるとは、このことですかねぇ?」

 男の前には、般若こと、月夜の奥方が、レティシアを従えるように、一方ではかばうように立っていた。

 男は、ふざけた調子を取り戻したかのように、ふんふんと鼻を鳴らした後、にやりと笑った。

「あなたはネコか、ニンゲンか?」

 男が露骨にマダムの命題を探り出したのを感じて、レティシアは虫唾が走った。



「椿……。椿!」

 直哉の腕の中で、椿は目を覚ました。またもや見慣れないその場所は、中央には中途半端に倒れた柱のようなオブジェが不安定に揺れており、天井には線のような穴が開いていた。心持ち、部屋全体がカーブを描いているようにも感じた。

「大丈夫……?」

 その声に、椿は、

「……姫ポジション……?」

 つい先ほど学んだ単語を呟いた。

「なに?」

「……なんでもない……大丈夫。ありがとう」

 その時、天井の穴から、レティシアが飛び込んできた。椿をかばうのとレティシアを受け止めるのをなんとか両立させようとした結果、直哉は無残にレティシアの下敷きになった。レティシアはそれに、すまない、と謝りつつも、混乱したように、言った。

「催眠が、効かない」

「え、なんで」

「さあな。目が腐ってるんじゃないのか。それで、マダムにここに放り込まれた。あいつもマダムの命題を探ってる」

 急がないとな、と言うレティシアに、直哉は口を開いた。

「ごめん、本当にごめんね。おれがあいつと関わらなければ、こんなことには」

 切羽詰まって謝罪する直哉を見て、椿はその心中を察した。

「たしかに、直哉は、あのヒトに好かれてたみたいだけど……でもそれ以上に、なんか、私が嫌われてるみたい」

「え、どうして?」

「ニエ? に選ばれてどうとか、本物に構われてどう、とか」

「贄?」

 その単語を聞いて、レティシアの顔色が変わった。

「あいつがそう言ったのか」

「うん。あ、なんか、私がレティの、餌? だと思ってるみたい」

「……本物っていうのは、直哉のことか?」

「ううん、たぶん、レティのことだと思う」

「私が、本物? どういうことだ」

「わかんない。あ、あと、特別だって」

「私が、本物で、特別?」

 訳が分からないというレティシアの横で、直哉は思い出したように言った。

「そう言えば、おれもいつも、ボクの特別って呼ばれてた」

「本当に好かれてたんだね」

「レティのこともそう呼んでたんでしょ?」

「ボクの、とは言ってなかったような……特別の本物とは言ってたけど……ところで、ここはどこ?」

 思い出そうと唸っていた椿が、天井の穴を見上げながら訊ねた。

「月夜のマダム――椿を騙した黒猫のオリジナルの、鈴の中だ」

 天井の穴からは、男とマダムの声が聞こえてきた。



「あらら、もうご退場ですか。もう少し、特別の本物と遊んでみたかったというのに」

「大人が子供を守るのは当然でしょう」

「おや、あの吸血鬼よりも年増なのですか、あなたは」

 年増と言われていよいよ鬼の形相となってきたマダムを、むしろ可笑しそうに、男は笑った。

「ならば、命題はその線から攻めた方がいいんですかねぇ。あなたとはまともに遊べる気がしない」

「こちらに遊ぶ気はありませんよ。さっさとくたばってしまえばよろしいのに」

 言い合いながら二人は容赦なく雷や風の刃やその他に持ちうる魔法を総動員して戦っていた。お互いにお互いを殺す気である。

「それは御免ですね。何のためにあんな小娘を攫ったと思ってるんです」

「さあ、知りません。眠っている狼を起こそうとする狂人のすることなど」

「狂人だなんて酷い。ボクが彼を起こそうとしたのは、ボランティアですよ? 眠っている力を引き出せば、彼は望んだ力を得ることができたんだ。親切でしょう?」

「その結果、彼が人ではいられなくなったとしても?」

「そんなことは知りません。むしろ、そうなると少し面白そうだとは思っていましたが。お友達になれそうじゃないですか」

「下衆」

「なのに、いいところで、あの吸血鬼が邪魔をしたでしょう? それまでのボク達の努力を、どうしてくれるんだっていう話ですよ。で、すこーし調べてみたら、羨ましくなっちゃって」

「羨ましい?」

「あの小娘も気に食わなかったから攫ってみたら、案の定出てきてくれて。羨ましくて羨ましくて、腹が立つ。……だから彼女を出してくれません?」

 男は、わざと、鈴の中まで聞こえるように、声を張った。


「母の血の味は、覚えてるんですか? ニンゲン生まれの吸血鬼さん?」


 男の言葉を、信じられない気持ちで、椿は聞いていた。

「覚えているわけが無いだろう」

 レティシアは冷静だった。

「物心なんて、つく前の話だ」

 そして、レティシアは気がついた。

「ああ、そうか、お前は」

 その言葉を遮るように、激しい音と揺れが三人を襲った。



「くそ! マダム!」

 揺れが収まった部屋の壁を叩きながらレティシアは叫んだが、返事は無かった。先ほどまで頭上にあった穴が真横にきており、部屋である鈴の向きが変わったことがわかった。

「鈴が吹っ飛ばされたみたいだ。二人とも、無事か?」

 レティシアは椿と直哉にそう訊ねたが、激しい揺れからレティシアに抱かれるようにして庇われていた二人は無事だった。口を開いたのは直哉だった。

「大丈夫。マダムは?」

「殺されたわけではないだろう、まだ鈴が無事だから。せっかくわかったと思ったのに」

「何を?」

 問いかける直哉に、レティシアは答えた。

「直哉と私の違いは、まっとうに目覚めたかどうかだ」



「大人げのない人ですね」

 鈴を髪飾りごと吹き飛ばされたマダムは、長い黒髪をなびかせながら言った。

「外野には黙っていていただきたいでしょう?」

「何か話されては困ることがあったのですね」

 マダムも、レティシアと同じ可能性に気が付いていた。直哉もレティシアも、それぞれ人間の両親から、吸血鬼や人狼という人外の才能を持って生まれたという。しかし直哉は、成長してから男が無理に人狼として目覚めさせようとした。対してレティシアは、吸血鬼の協会にも属している以上、幼いころからすでに吸血鬼として覚醒していただろう。力を持ちながら、正しく目覚めなかった者と目覚めた者。そして、直哉とはお友達になれそうだと言った男は、おそらく前者なのだろう。直哉の例からもわかるように、かなり無理はあるが、成長後にその力を目覚めさせることは、不可能ではない。

 しかし、この話は、言ってしまえばそれだけだ。わざわざ男が髪飾りを狙って攻撃をするくらいの重要な事実――おそらくは命題に関するもの――とは言えない。マダムは魔法を駆使しながら、必死に頭を回転させた。

 一方、時間をかければ命題に気付かれると思ったのだろう男は、命題探しを諦め、力業でマダムを仕留めることにした。気付かれてしまえば終わると、男はわかっていた。



「でも、それのどこが命題?」

 鈴の中で、直哉はレティシアに問うた。

「直哉も目覚めかけたからわかるだろう。無理に覚醒することには、リスクがあるはずなんだ。直哉が人間としての意識を失いかけたように。あいつが力と引き換えに何を失ったのかがわかれば」

「そういえば」

 黙っていた椿が、渇いた声で言った。

「あのヒト、冷たかった。ものすごく」



「そういうことなの」

 言いながら、マダムは男の懐に飛び込み、雷の剣を振るった。それは確かに男の腹を裂いたが、宙に浮いた男の上半身のてっぺんで、男はにやりと笑った。男は、マダムの背後をとったと思った。嬉々としてとどめを刺そうとして、マダムのつぶやきを聞いた。

「その身体、もう生きていないのね」

 男は顔に驚愕を浮かべ、その身体はぼろぼろと崩壊を始めた。

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