第4章 新たな門出
松田紗月が刑務所を釈放されて更心寮の寮生になってから1週間ほども過ぎた頃のこと。
ここで暮らすようになってからの1週間、彼女は決まった時刻に起床すると洗顔などを済ませた後朝食をとり、そのまま自室に上がり、そして、昼間は運動不足の解消もかねて寮の外を散歩して近くの小さな商店街で弁当等を買って帰り、夜は消灯時間よりも早く寝る生活を送っていた。
「暇ってのもいいもんだ、なんて怒られるね」
彼女は、今、寮の自室で買ってきた弁当を食べてお茶を飲んで寛いでいた。
紗月は28歳の年の6月に事件を起こすまで医師として働いていた。加えて同じ頃に医学部大学院の学生にもなって勉学に励んでいた。だから、その毎日は正に殺人的な忙しさだった。それに比べると刑務所での日々が特別に多忙だったとは思わない。むしろ土日や祝日が刑務内作業が確実に免除になるだけ暇だったかもしれないとさえ思う。
しかし、紗月にとって、刑務所での毎日は辛く、そして、二度とゴメンだと心に誓っていた。
寮では新しい寮生の自己紹介などということも特にない。だから、紗月からすると名前も分からないままの寮生が殆どだった。尤も女性を受け入れる更生保護施設は限られているから寮生の中には紗月と同じ武州刑務所に収容されていた者も多く、中には顔見知りの者もいた。
女の噂好きは刑務所の中でも変わらない。だから、紗月の起こした事件の噂は驚くほどの早さで受刑者たちの間に知れ渡った。中には彼女の実家の場所や隣近所の様子まで知っている女もいた。彼女は紗月よりも少し後に逮捕起訴されて下獄したが、テレビのワイドショーで紗月の事件が放映された映像を見たのだそうだ。
紗月は下獄以前、医師として働いる間、同僚や患者たちの中に色々な人間を見たつもりでいた。だが、刑務所で同じ受刑者となった女たちは、それまで紗月が接したことのある人々とは異なっていた。だから、彼女は他の受刑者たちを警戒して、その内心が態度に表れた。それは紗月からすると人見知りだったのだが、周囲の女たちは
「いい気になっている」
「私たちを見下している」
と受け取った。
なにせ下獄した女たちは恵まれない環境の中で育ってきた者が多い。その彼女たちからすると家族の関心と愛情を一身にあつめ大事に育てられた上に、自身の努力もあって大学医学部を卒業して医師になるなどということは別世界の出来事だった。その紗月が自分たちと同じような受刑者になったのに余所余所しい物腰でいることは、それが短い期間ではあっても神経を逆なでしても不思議はなかった。
だから、6年間の在監中、彼女は常に周囲の女たちの輪の外にいた。
寮生になってからの紗月は寮では笑顔を絶やさぬように、そして、挨拶は自分からするように心がけていた。その毎日もまた、彼女を疲れさせた。
彼女が自室で寛いでいる頃、暖房の効いた職員室では職員たちがそれぞれに仕事をしていた。
期限付きで指導員をしている吉田しのぶが目の前のパソコンを指さしながら
「ああ、出てる」
と言った。・
「どうした吉田、お化けでも出たか?」
吉田しのぶの声に驚いて顔を上げた五平指導総務課長が笑顔で声を掛けた。
「見て下さいよ、課長、これ」
しのぶのパソコンには検索結果が表示されていた。
「なんて入れたんだ?」
「「松田紗月」、「殺人未遂」です。」
しのぶの後ろに立った五平課長と六谷指導員は画面を見つめ、それぞれの席に戻るとしのぶと同じ検索ワードをポータルサイトに打ち込んだ。
皆の画面に同じ検索結果が表示された。
それらは新聞社などの報道機関がインターネット上で公開している記事が殆どだった。
「やっぱりか」
五平がため息と共にはき出した言葉に他の二人は同意して頷いた。
五平が見る限り、それらの記事の内容はどれも似たり寄ったりだったから通信社からの配信記事を転載したか警察の発表をそのまま載せたのだろう。
紗月の事件当時の年齢、職業、住所、勤務先、被害者名、被害者の傷の程度など事件の要点が簡潔明瞭に載せられていた。
「これ、彼女は知っているのかな」
「寮ではパソコンや携帯は禁止だから、多分知らないとは思いますけど」
五平の問いにしのぶが答えた。
約6年前に仙台で発生した殺人未遂事件など一般人は忘れているに決まっている。だが、調べようと思うと極めて容易に調べられてしまう現実が今、五平たち、そして何よりも紗月に突きつけられた。
「松田紗月の再就職だが、彼女の前歴を知って雇ってくれる会 社があるかどうかだね」
紗月がとんなに優秀で温厚な人物だとしても、世間からすると 他人を殺しかけて刑務所に入った元医者でしかない、世間一般がその事実に向ける冷たい視線は五平たちも知っていた。
「彼女、事務系希望だったっけ?」
「ええ、アルバイトでもいいから、とにかく、事務仕事が良いって」
「しかしな、こうやっとネットで簡単に彼女の前歴がばれるとなるとな」
「やっぱり、難しいですか?」
「履歴書に河北大学医学部卒業と書いたんじゃ何で医者やらないんだって話になるだろう、そうかと いって、最終学歴を高卒にすると、な。何せ四年制大学を出てどこかの会社に就職してリストラに 遭って辞めた事務系のベテランが余っている世の中だからね」
五平の話にしのぶは何度も頷いた。
「医師になることを強く薦めるって言うのは?」
二人のやりとりを横で聞きながらてエプロン姿に赤いジャージ穿いた幼稚園の先生のような格好をし た六谷貴代指導員が口を挟んだ。
「僕も考えたよ、ネットで確認したけど彼女の医師免許は効力 停止期間が明けているから、医師と して働くことは問題ないね。ただね、国立や公立の病院では受け容れるかどうかだね、現に今、我々 がやったようにネットで彼女の名前を検索しただけで簡単に彼女の事件が出てくるくらいだからね。 後は、私立の病院と言うことになるが、それも難しいんじゃないかな、なにせ、私立は客商売だから ね、自分の所の評判を気にすることは目に見えているし、彼女の経歴は決して褒められたものじゃな いからね。まあ、可能性としては、山間僻地の小さな町の診療所といったところに雇ってもらうか、 例えば夜勤専門の医師として病院を渡り歩いて食いつなぐくらいかな」
「病院を渡り歩く、ですか」
「東京でも夜は無医村と言われるくらい夜勤は敬遠されるからね、彼女が医師として働くとしたら、誰 も引き受けたがらない夜勤専門の医師になることぐらいかな。ネットで調べるとアルバイトで一晩当 直すると5万円前後は出るようだね。例えば東京の何処かに住んで関東近辺の病院をアルバイトで渡 り歩くと言うことも理屈の上では可能だね。」
しのぶは五平の話を聞いて何だか憂鬱になった。
つまりは、五平は紗月の経済を問題にしているに過ぎない、紗月のつらさはどうでも良いのだろうか。
「でも、彼女、医者になるつもりは無いんでしょう?」
六谷は湯飲みに口を付けながら聞いた。
「ええ、この前の面談の時にはっきりと医者は嫌だ、と言っていました」
「なんでそんなに嫌なんだ?」
五平が不思議がってそうに言った。
「辛い思い出しかないって、仕事だから諦めて働いていたけど、もう嫌だと。それに、今でも時々、担 当して亡くなった患者 さんが夢に出てくるそうなんです。あの人、刑務所で二度、懲罰に行って るんですけど、一度は怖い夢を見ていてうなされて、それで同じ雑居房で寝ていた人から文句を言わ れて取っ組み合いに発展したって」
「そんなこと言ってもなぁ、彼女だって大人なんだし金が無ければ生きていけないことぐらい分かるだ ろうに、正直、今のままではウチを出たら路頭に迷うよ」
「お金ってそんなに重要ですか、どんなに辛くても、お金のために働くしかないんですか」
しのぶが目の前の自分の机に視線を向けながらいった。
五平は、しのぶの言葉を受けて一瞬、顔色を変えたが、直ぐに何時もの優しい笑顔に戻った。
「僕だって、彼女の辛さは分かってあげたいよ、ただね、彼女の辛さや苦しさなんて社会からするとど うでも良いことなんだ、それが現実なんだよ。正直言って、社会は冷たいよ、それに金が生きていけ ない、吉田にしたって飲まず食わずというわけにはいかんだろう」
五平の言葉に吉田しのぶは言い過ぎたと思ったかしてちょこんと頭を下げた。
「しのぶちゃん、協力企業はどうなんだ?」
法務省は釈放された元受刑者達の社会復帰促進策の一環として、企業等にその人たちを雇用するように促していて、実際に雇用した企業については法務省の所管する公共事業の発注で優遇したり助成金を交付するといった内容の「協力雇用主」という制度を設けていた。
「ええ、それもやっているんです、ただ、どこも満員というか、仮釈放の人たちの受けいれで手一杯 で、満期の皆さんとなると難しいみたいで。」
「たしかにねぇ、協力企業の皆さんは本当によく協力してくれてるけど、求人の半分以上が建設土木だ からねぇ、彼女のように事務系のしかも女子となると極端に少ないだろうねぇ」
五平はそう言いながら、マグカップに入れた冷め切ったコーヒーを口に含んだ。
「協力企業の皆さんは中小零細企業が殆だものね、建設会社でもこれ以上、事務員を雇う余裕なんてな いところが殆どよね」
六谷が手に持ったボールペンを持っては落とすという動作を繰り返しながらそう言った。
「国から助成金とかは無いんですか?」
「あることはあるけど十分とは、ね。更生保護は主として法務省援護局の担当で、中小企業の振興策は 主として経済産業省の担当、本来はもっと連携しなければ実のある更生保護行政は実現できないが、 何せ政府も人手不足で難しい、とかなんとか、法務省の偉い人が研修会の時に言ってたよ」
五平の皮肉に満ちた口調にしのぶは思わず微笑んだ。
「それに今の社会の雰囲気もあるわね」
「社会の雰囲気ですか?」
「今、みんな疲れているのよ、だから、刑務所帰りの人たちに優しくする余裕が国にあるなら、自分 たちにも優しくして欲しいって言う人が多いのよ。いわば声なき声ね。私たちは喧嘩するわけに は いかないから、ひたすら社会に理解を求めるしか無いわね」
手に湯飲みを持ちながら話す六谷の言葉にしのぶは無言で頷いた。
「正直言って、今の松田紗月の場合、医学部卒業という肩書きを履歴書に書かないとすると、地方の 高校を卒業した30代半ばのこれといった特技も資格もない女性が仕事を求めてます、でしか無い
からね。協力雇用主以外では厳しいよ」
しのぶは、五平の方を見て大きく頷いた。
「彼女の気持ちも分からないではないけど、やっぱり事務系はいったん諦めて、コンビニ勤めあたりを勧めるしかないな」
「彼女、まだ釈放されたばかりだし、もう少しゆっくりさせてあげる訳には行かないんですか?」
「いや、むしろ働き始めるのはできるだけ早いほうが良いよ。ここで世間で働くまで間があきすぎると後々やっかいなことになりかねない」
「彼女にネットに事件のことが出ていることについて教ないんですか」
しのぶは五平の方を見ながら言った。
「教える必要があるかな」
「彼女にとっては重要なことですし教えておくべきかと」
「このことを知って彼女は喜ぶかな」
「それは、なんとも」
「僕らの仕事は寮生の更生を手助けすることなんだ。そのためには彼女たちの気持ちが落ち着くように することが大切だと思う。今、松田紗月にネットに事件のことが出てると知らせることは簡単だけ ど、それで彼女が更生に向けて頑張ろうという気持ちになるとは思えないんだよ」
五平が言い終わって他の2人を見ると彼女たちも同時に頷いた。
こうして紗月の起こした事件がインターネットで誰でも閲覧 出来るようになっていることは当の本人には伏せられることになった。
そして、その翌日のこと。
「ところで、松田紗月は何やってるのかな、暇だったら面談しようと思うんだけど」
五平が言うのを聞いた吉田しのぶは紗月を呼びに行った。
「松田さん、いますか」
机に向かってぼんやりしているとドアの外で呼ぶ声がして、紗月があけるとそこには吉田しのぶがいた。
「こんにちは」
「こんにちは」
昼間だとというのに寝間着にしているスエット姿でいることに少しばかり羞恥した紗月は頬を染めながらドア越しに吉田しのぶに微笑んだ。
「何かしていました?」
「何か、と言われると特別何かということはありませんが」
しのぶは部屋をのぞき込みながら言い、紗月は笑顔で答えた。
たしかに机に向かって外で買ってきた弁当を食べて以降は何もしていない、そして、実のところ彼女はこれから昼寝でもしようかと思っていたのだ。
「うちの五平課長が紗月さんとお話ししたいって」
「あの、私、なにか叱られるようなことでも」
更心寮の寮生になってから1週間が過ぎたが、紗月は寮の規則などはきちんと守っているつもりだったから、五平課長から呼び出されたことは意外だった。
「いえ、そういうことではなくて、松田さんの就職について話し ておきたいことがあるって。」
しのぶに言われて紗月も納得して、だから、彼女を部屋の外で待たせると急いで普段着に着替えて彼女に従った。
しのぶは紗月を第一小会議室に入れてから、ここにいてください、と言って何処かに行き、間もなく五平課長とともに戻ってきた。
「元気だったかい、松田さん」
「はい、おかげさまで」
日本中の中年男性の代表のような平凡な容姿の五平は目を細めて紗月を見ながら言い、紗月も笑顔を返した。
「寮にも慣れたかな?」
「はい、皆さんに良くしてもらっいます」
「それは良かった、困ったことがあったら何時でも言ってね、そのための僕らだからね」
言われた紗月は笑顔で頷いた。
「ところでさ、松田さんの就職のことなんだけど。医師になるつもりはないんだってね」
「申し訳ありませんけど。それだけは」
「いや、僕らはいいんだよ、いやがる人に無理矢理押しつけるような真似はしたくないし。医師は厳し い仕事だろうからね」
紗月は大きく頷いた。
「ただ、他の仕事となると何があるのかなと思ってね。希望する職種はあるのですか?」
「できれば事務系で探したいと」
「事務系ですか。接客業はだめなの?、たとえば居酒屋チェーンのホールスタッフとかコンビニの店員とか」
それまで真っ直ぐに紗月は五平を見つめていたが、急に俯いてしまい、それを見た五平は幾分、戸惑った。
「私、人に接する仕事には向いていないと思うんです。刑務所の中でも色々とあって。だから、なるべ くなら、人と関わる機会の少ない仕事につきたいと思って」
今度は五平が沈黙する番だった。
「松田さん、人が苦手と言っても事務系の仕事だって、結局は人間と関わることになるでしょう。だっ たら苦手意識を克服するように努力するべきだと思うけどね」
紗月も五平がいうことが全面的に正論だと思う。人が苦手、などという理屈を並べ立てて就職先を選べるほどに恵まれた立場にいないことも自覚していた。しかし、それでも彼女は、少しの間で良いから赤の他人と接することの少ない日々の中に自分をおきたかった。
「ウチもハローワークと付き合いがあるから知っているんだけど事務系志望者は今、本当に職探しに 苦労していますよ。東証一部上場の会社で長い間、経理畑にいた人でも再就職で事務系を希望する と就職先が決まりづらいんだって」
事務系は厳しいという五平の言葉には説得力があった。
紗月が医師として働き始めた頃、すでに社会のIT化は急速に進展し職場だった河北大病院の事務局では職員たちが割り当てられたパソコンとにらめっこしながら働いていた。その動きに紗月も無縁でいられるわけも無く、彼女が下獄した翌年の春から第1内科に電子カルテが試験導入され、ゆくゆくは1人の患者の情報を病院全体で共有できる様にすると聞かされていて、病院事務局では人員削減の計画があるという噂は何度か耳にした。
「それに、松田さんは事務系の仕事に使えそうな資格は何か?」
言われた紗月は小さく首を横に振るしかなかった。
五平も紗月も向かい合わせのまま沈黙した。
「協力雇用主って聞いたことある?」
「はい。刑務所の釈前教育の時に聞きました」
「三池商会っていう協力雇用主があってね。商事会社なんだけどコンビニも経営しているのだよ、ここ からコンビニ店員の求人が来ているんですよ。どうかな?」
五平は言いながら紗月の顔をのぞき込むように見た。その目には紗月が、うん、ということを期待する色があった。
「よろしくお願いします」
紗月は、この人に何を言っても駄目だ、と思った。それは彼の職責からのものだとは思うのだが、彼女からすると狭量に過ぎた。
「ありがとう。そう言ってくれると僕も肩の荷が下りた気がしますよ。早速、明日、この三池さんに挨 拶に行きましょう」
「はい、よろしくお願いします。」
こうして、紗月は渋々ながらコンビニで働くことになった。
そして、五平が席を立とうとした時、
「あの、課長さん」
と彼の背中に向かって声をかけた。
「なに?」
「私、通信講座を受講しようと思うんですけど」
「通信講座?、何にするの」
「私、今のままでは就職に使えそうな資格は何もないから。だから、その勉強をしようと思って」
「それは良い考えですね。ウチの吉田しのぶ君と相談すると良いですよ。彼女、そういうことにも詳し いから。今、呼んできて あげるよ」
五平は、では、と言って紗月を残して去り、暫くして吉田しのぶがやってきた。
「五平課長から聞きました、実は、紗月さんにお勧めしたいものがあるんですよ」
と言って手元に置いた茶封筒から幾つかの通信講座のパンフレットを取り出した。
紗月が事務系の仕事に就くことを希望していることはしのぶにも既に話した。そこで、しのぶたちは色々と考えて幾つかの資格をとるための勉強を通信講座で受講することを薦めることにした。経費の一部は政府からの補助を受けられるので割安だった。
2人は資料を見ながらあれこれ話をして、結局、二つの通信講座の受講を決めた。自動車の運転免許は刑務所内で再交付されているから心配いらなかった。
ひとしきり話を終えた後、紗月はしのぶに丁寧に礼を述べてから自室に戻った。
「私って、甘ったれなんだね」
部屋着のままベッドの上にごろりと横になると天井を見上げて小声で独り言を言った。
紗月は接客業は苦手だという気持ちは、やはり分かってもらえなかった。
刑務所帰りの女に自由に仕事を選ばせてくれるほど世の中が親切に出来ていないことは刑務所の講話の時間に耳にタコが出来るほど聞かされている。それに五平課長の言うように、事務系の仕事といっても結局は他人と関わらなければならないことは理解しているつもりだ。だから、永遠に人を遠ざけていたいと言うのではない、今は、少しだけ休ませてほしいと言っているだけなのに、周囲のだれも分かってはくれそうにない。
「いい年して、しっかりしろよ松田紗月ってか」
紗月は自嘲の呟きを漏らし、そして、何となく、医師をしていた頃の私も少しずつ追い込まれて、そして、全てが破綻したと思い、背筋が寒くなった。
参考資料 法務省ホームページ