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第1話(仮)

初投稿です!

拙い文ですが気軽にどうぞ。自分で書いておいてなんですが、凄く面白く書けました!(笑)



「どうしたの?」


僕が"ある人"について覚えている唯一の

記憶。

確かに大切な人のはずなのにその人のことについては何も思い出せない。


「&^@&☆$&$^@.?&-!&;-*_$」


その人の言葉はノイズが入っていて何を言っているのかわからない。

でも、その後で僕が言ったことは覚えている。


「そう?それなら僕の笑顔をあげる。

だから、笑ってよ。」


他の人が見たら(もや)が動いた様に見えるかもしれない。だけど、僕にはそれが笑顔に見えた。

嬉しかった。僕の言葉で、顔で、人を笑顔にできたことが。


「遊ぼう。」


僕が手を差し出すと、その人は僕の手をとってくれた。





いつも通り目を覚ます。


「また、あの夢か」


子供の頃の記憶。確かに残っていて、残っていない曖昧な記憶。

目を開けたまま夢の余韻に浸っていると、


「起床時間だよ。アキト。」


白髪紅眼の少女。ユナが僕を起こそうと目の前で手を降ってくれる。

寝ぼけ眼でユナをとらえ、返答することにする。


「わかった、起きるよ。ありがとう、ユナ。」


そう答えた僕に対してユナは笑顔で答えてくれる。


「お安い御用だよ。二度寝しちゃダメだからね。」


その言葉に頷きを返し、起き上がる。

なんだかいつもより体が重い気がした。

それもそうだ、昨日あんなことがあったのだから。





















1



「下校」というものは普通、心躍るイベントだろう。恋人がいるならデート。友達がいるなら買い食いや寄り道。どちらでもないとしても帰宅して自分の時間を謳歌する。

この様に「下校」と聞いて嫌がる生徒はいない。でも僕はこの時間が嫌いだ。何故なら僕には家がない。

3年前、コンピュータウイルスが物理的な介入を始めた。

そのコンピュータウイルスは物理的な権限をハッキングし、奪うことができる。

このコンピュータウイルスを運用する個人、組織は「ハッカー」と呼ばれた。

まずハッカーが奪いはじめたのは金だった。ハッカーが金を奪いはじめてから

警察や自衛隊でさえも敵わないと知ると、政治家は生活水準を落とすことを恐れ、日本円を大量に印刷し、自らの懐に入れた。

そのせいで日本円は信用を失い、一時期1ドル0.1円まで価値が落ち込んだ。

しかし、ハッカーの暴挙はそれに留まらなかった。

金を手にしたハッカーは次に人権を奪い始めた。人権を奪われた人達は法律的救済を全く得られず、ハッカーの言うことには逆らえない、奴隷と化した。

その中で僕は、コンピュータウイルスに全てを奪われた。家も、家族も。人権さえも。

しかし、生体演算機構搭載型スーパーコンピュータ「anjelus」が完成し、事態は激変した。

anjelusはすぐさま物理コンピュータウイルス用の武装型ハッキングソフトを構築。それを人に装備させることにより、コンピュータウイルスを駆逐することに成功。

その後、anjelusに日本国民を管理させることにより、ハッカーによるコンピュータウイルス運用の抑止力とすることで物理ハッキングは犯罪程度の発生に留まった。

ぼくも国からコンピュータウイルスによる被害者と断定され、特別支援学校へ通う権利と人権は保障されている。

人権の定義も昔みたいに「最低限の生活の保障」なんかではなく、「人間であること」を認められる程度だ。

だからぼくは「下校」が好きじゃない。


「ミツケタゾ」


気付いた時には遅かった。


「がっ!」


腹の鈍い痛みと共に僕の身体は吹き飛び塀に叩きつけられた。


「ダメジャナイカ、ボクノドレイガボクカラニゲチャ」


この合成音には聞き覚えがあった。


「ムショヲデテカラサガスノニクロウシタンダヨ。イモウトチャンハスグニコワレチャウシ。デモコンドハキミノジョソウガキニナッテネ。フヒッ」


僕の家族を殺したハッカーだ。

でも仇を前に心臓はあり得ない速度で鼓動を刻み、僕の頭の中では警笛が鳴り響き、その姿も目に入れず一目散に走り出していた。

家族の仇を前にして、僕がとった行動は「逃走」だった。

でも、そんなことを許してくれるほど世界は甘くはなかった。


「ダカラニゲチャダメダッテバ!」


圧倒的「力」の前では僕は逃げることも出来ない。

馬のひづめのようなものが僕の腹を押さえつけ、僕は確信した。「死」を。

そして、耐えきれなくなった僕の意識は暗転した。





静かに目を覚ました。そこにあったのは辺り一面に広がる花だった。


「これは、夢か」



「そうとは言い切れないかな。」


声がした方に身体を向ける。

紅眼白髪の少女。身に覚えがあるはずもない。

ということは走馬灯ではないらしい。

だけど、少女の声を聴いた途端心臓の鼓動は止み、頭の中の警笛も鳴り止んだ。


「君は?」


僕の問いには答えず、少女は僕の頭に膝を滑り込ませ、僕の髪を撫で、続ける。


「アキトは人間が好き?」


その問いに僕は答える。


「好きだよ」


その答えに少女は疑問をぶつける。


「どうして?貴方の家族を殺したのも、貴方を奪ったのも人間なのに?」


それでも僕は祝福されて生まれてきたことを、笑顔で育ててもらったことを知っている。

記憶には居ないけど僕が確かに好きだった人がいる。

家族を憎めるまで、あの子を嫌いになるまで、僕は……。


「僕を祝福してくれた人達も僕が好きになった人も、人間なんだよ。」


そう発すると、少女は僕に笑顔をくれた。そしてこう告げた。


「それなら、貴方に私をあげる。」


そう言って静かに僕に唇を重ねた。


その時、辺りが光に包まれた。


「ナ、ナンダ⁉」


怯み、後退した馬型のコンピュータウイルスから合成音の狼狽が発せられる。

その後、僕の口が勝手に何かを語り始める。


「anjelusの全権限をシラノヒアキトに譲渡」


その言葉の後、僕の目は紅に、神は純白に染まる。自分の変化が何故だかわかる。


「攻撃プログラム構築。王剣エリュシオン。」


そして、派手な装飾が施された黄金の剣が僕の右手の中にあった。

しかし、僕の驚嘆が発せられることはなく、また僕の身体は意思に関係なく口を開く。


「防御プログラム構築。王鎧サンクチュアリ。」


今度の言葉では純白の鎧と体が隠れようという大きな純白のマントが具現し、僕の身体を

覆った。


「王の名において、“虐殺”を開始する」


姿を変えた僕に怯みもせず、馬型のコンピュータウイルスを操る先程のハッカーがその巨体と共に僕を轢き殺そうと突撃してくる。


「モウガマンデキナイ!サッサトヨコセ!オマエヲ!」


普段の僕なら悲鳴を上げながら逃げている。しかし、今の僕にはそんな考えはないらしい。



それは、一瞬だった。

地を蹴り、体を捻らせ、突進を避けつつ遠心力で刃をより強く通す。


「グアアアアアアアアア!!」


合成音の断末魔が響く。


六本ある馬の足の一つを切り落としたようだ。

その断末魔に構わず、再び僕の身体は剣を振るい、残った前足を切り落とした。


「アシガ!アシガ!クソ!」


そう吐き捨て、残った四本の後ろ足を器用に使い、逃走を図るコンピュータウイルス。

しかし、逃がす気はないらしい。

逃走を図るコンピュータウイルスに左手を重ね、また僕の口が開かれる。


「トロイの木馬プログラムを可視管理下に固定」


その言葉と共にコンピュータウイルスが動きを止める。

その後、口を開く。


「解体率30%。攻撃プログラム更新。白皇剣アルビオン。」


黄金の剣が鎧やマントと同じ純白に染まる。形状も両刃から片刃へと変化した。


「王の名において、“討滅”する。」



「ウゴケ!ウゴケ!クソガ!」


上段に構え、振り降ろし、その後、下段に構えなおし、振り上げ、今度は中段に構えなおし、左から右へ振り抜く。流れるような素晴らしい剣舞だ。自分の身体でやられていても

そう思う。

だが、その剣舞がコンピュータウイルスに浴びせられることはない。

だって敵は空中にいるのだから。

そんなことは些細なことだと言わんばかりに僕の身体は居住まいを正し、剣を振り下ろす、まるで剣にこびりついた血を振るい落とすように。


「解体完了。」


しかし、空を斬った剣舞はコンピュータウイルスを八つ裂きにしていた。

これまでに聞いたことのない、しかし合成音でも分かる、絶叫と共に。

身体から剣と鎧が消滅すると共に僕に体が帰ってきた。

しかし、その体が思い通りに動くことはなかった。

まず感じたのは心臓の痛み。例えるなら持久走を十秒で走り切ったような感覚。

つまり、立っていられず、声も出ない。薄れ行く意識の中、語りかけてくる声。


「いまは慣れていないだけだから。ゆっくり休んでね。」



「君は・・・さっきの。」



「そう。さっきの女の子です。そんなのいいから、ゆっくり、ね。」


心が安らぐその声を最後に僕の意識は再び暗転した。


アキトが発した「王」とは一体何のことなのか?

ユナが何者なのか?

ここら辺が気になっていただけたのなら私の企みは正解です!

まぁ目が肥えた皆様ならなんとなくわかっているかもしれませんが(笑)

俺つえーご都合小説ですが気に入っていただけると嬉しいです。


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