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第十三話 ティナ先生の『初めての魔法』。

やっと復帰です。

これからは2000~4000文字の間の更新になります。

 俺とティナはホテルに戻った。

 今日は色々なことを教えられて、俺は正直頭がパニックになっていたんだ。

 父さんが正義を行ったために殺された。

 母さんも巻き添えになった。

 志狼さんの父さんも。

 頭がぐちゃっとしてきた。

 いくら二十年以上前の話だからって。

 そう簡単に消化できる話じゃなかった。

 かといって、俺が何かできたわけじゃない。

「武士」

「うん」

「ほらこっちおいで。あたいの膝で泣けばいいよ」

「ごめんな……」

 俺はティナの優しさに甘えた。

 ティナの太ももに顔を埋めて、大声で泣いた。


 泣きつかれて眠っちゃったんだな。

 俺の顔は相変わらずティナの引き締まった太腿に埋まってた。

 後頭部は何やら柔らかいものに包まれてるし。

「武士。起きた? もう大丈夫?」

「あぁ、すっげー気持ちいいわ。このすべすべと頭のふにっとした感触もな」

「えっち……」

 無理やり横を向いたらティナが今何をしてるかわかっちまった。

 暇だったんだろうな。

 俺の髪を撫でながら、スーツケースに入ってたノート使って『魔法少女ラジカルくれは』見てたんだな。

 俺のノートにはBlu-rayROMがついてる。

 再生できたんだっけな。

 そこにはヒロインの高森くれはが魔法を使うシーンが映ってた。

「なぁティナ」

「んー?」

「俺に『王家の力』をくれたって言ったよな?」

「うん」

「ってことは、俺も魔法使えるのか?」

「どうかな? 多分使えるかもしれないけど」

「それってさどうやって使うんだ? 呪文とかあるのか?」

 ティナは俺をおっぱいの重圧から解放してくれた。

 ちょっと後頭部に喪失感を覚えてしまった。


 ティナと向き合って魔法を教えてもらうことになった。

「あのね、んっと。起きて欲しい現象を思い浮かべるんだよ」

 駄目だこいつ。

 天才肌の教え下手だわ……。

 ところで何でライジングハートさんを持ってるんだ?

「えっとね、こんな感じ?」

 ピンク色の魔方陣のようなものが中空に描かれていく。

 魔方陣の構築が終わると、同じ色の光がライジングハートさんに収束していく。

 それはまるで、アニメの映像そっくりの魔法の再現だった。

「『これがあたいの全力全開っ! メテオ、ブレイカーっ!』」

 『魔法少女ラジカルくれは』のワンシーン。

 ティナの『メテオ、ブレイカーっ!』の声と同時に俺に向かって。

「ちょっ。おまっ」

 どわぁあああああっ!

 ピンク色の光が襲ってくる。

 俺は手を交差させて顔を覆ってしまった。

 ……あれ?

 何も起きてない。

「どう? かっこいいでしょ?」

「あ? どういうこっちゃ?」

「途中まで再現してみたんだ」

「ビビっただろうがっ!」

 俺はティナの頭をごつっと叩いてしまった。

「ひどいよ、武士……」

「そうならそうと言ってくれないと、俺の寿命が縮むじゃないか」

「だって……。やって見せた方がわかりやすいかなーって」

 てへっとライジングハートさんを胸に抱いて舌を出して笑いやがった。

 可愛いからって……、許すと思うなよ?

 許すけどさ。


 なるほどな。

 イメージ力で具現化させるのか。

 そういうのなら、俺も得意だ。

 なにせ、長年読んだ漫画とラノベの知識がある。

 マスクドライダー一号の本郷毅は改造人間になったけど。

 俺はドワーフになったんだ。

 同じ意味で人間じゃない。

 だから人間じゃできなかったことだってできるはずなんだ。

 そういう意味では父さんの成せなかった正義だって……。

 いや、無理なことは考えないようにしよう。

 立花さんにだって、魔法を極力使わせないようにって言われたんだっけ。

 俺はテーブルにあったグラスに水を注いだ。

 そのグラスの中にある水を睨む。

 こうぐにゅっと持ち上げるように……。

 お?

「おぉ!」

「凄い凄い、武士。あたい、そういうのできないんだ。凄いよ」

「うん。できた。やったよティナ。……あ」

 グラスの中の水が空中にふよふよと浮いている。

 と思ったら集中が途切れてグラスに落ちてしまった。

 急に魔力を使ったからだろうか。

 瞼が重くなってきた。

「やべ。眠くなってきた……」

「あたいも初めて使ったときはそうだったよ。寝たらいいよ」

「うん、おやすみ」

「おやすみ、武士」


 ▼


「うわっ。すっご……」

「……ん?」

 何やら下半身がこそばゆい。

「あ、武士。おはよ」

「お、おう……。あのさ、ティナさん」

「ん?」

「何やってんの?」

「おっきくなってて辛そうだなーって」

 ティナはにまーっと笑いながら、俺のを手で擦っていた。

 もちろんパンツの上からだよっ!

「あのなぁ……。ちょっとトイレ」

 俺は便座に座って用を足そうとするんだが、跳ね返るように邪魔をしてうまくできやしない。

 ……ふぅ。

 しかしこの朝立ち、半端ねぇな。

 この下半身からどばーってオーラが出たりしたら笑えるだけどな。

 ……って出るなよっ!

 俺の息子が有名な漫画の『スーパーベジタ人』みたいな金色のオーラをまとって青筋立てた状態になってるし。

 俺はつい、そんなイメージを頭に思い描いてしまったようだ。

 イメージの具現化っておっかねぇ……。


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