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ゴミの分別が苦手な上司

作者: セツナ

僕の上司は、ゴミの分別が恐ろしく下手だ。


分別がどうこうという問題ではなく、多分、彼女には"ゴミ"という概念がないように思う。

会社のゴミは分別できないし、机の周りは書類の山が出来ている。


仕事はバリバリにできる人なんだけど、僕からしたらそんなに汚いデスクで何故そんなに仕事ができるのか不思議なくらいだ。

普段はぼーっとどこか抜けていて、髪の毛も本当に社会人か。というくらいぼさぼさで、就業時間外では天然炸裂の到底『いい上司』像からはかけ離れているような人なのに。いざ仕事が始まり全員の前に立つとピシッと決まったカッコいい女上司なんだよなぁ。……時々直し忘れたあほ毛が出てるけど。


おっと、上司の分別のできなさから少し外れてしまったけれど、僕にはどうしても譲れない、上司の嫌なところがあるのだ。それは……『ゴミを拾ってくる事』。

分別が出来ないだけならまぁいい。デスクが散らかってるのも許そう。そういうのは僕が分別して捨てたり、掃除をすれば済む事だ。だが、上司はしょっちゅう道端のゴミを拾ってくる。


骨の折れたビニール傘に(「雨が降っても大丈夫!」)、割と綺麗なペットボトル(「ペン立てを作ろうかと思って」)、電池の入ってないラジオ(「ほら、音楽って必要じゃない」)、何より僕が困っているのは、捨てられている野良猫を拾ってくることだ。


「かわいそうでしょ」


そう言って、猫を拾ってくる上司は、とてもしまりのない顔をして僕に野良猫を見してきて、そのあと少しさびしそうな顔をする。


「この子たちに寂しい思いはさせたくないから」


なんて。こういう時だけ、そういう姿を見せるのはずるいよな。

結局、上司の家はペット禁止のマンションだから、その猫達は僕の家に来る事になるんだけどさ。

上司のそういうだらしがない所が嫌いなくせに、僕はどうしてもそんな上司を受け入れたくなるんだ。

矛盾してるって自分でもわかってるんだけど。


分別がある僕は、その理由とかも分かってて、受け入れているつもりなんだけど、ごみを拾ってくる困った年上の女上司に対するこの想いだけはどうしても、どうすればいいのかまだ分別出来ないでいるんだ。


いっそ、溜まってきたいらないごみと一緒に、不燃ごみの日に捨てられたらいいのだけれど。


-END-

こういう上司と部下が好きで、

というか、上司に片思いする男部下が好きで、

書きました。

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