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九悔目「樹木」

「新戸先輩、こんにちは」


「こんにちは」


「……何だか機嫌がいいみたいですね」


「そうですか?」


「だって、部活に来てるじゃないですか」


「テストが終わって暇なのです」


「もしかして、学年一位だったりとかします?」


「それは……、」


「に・い・ど! どうだったっ? テスト粉砕したろっ?」


「いつになくテンション高いですね、木村副部長」


「まあな! 吹奏楽部ではその噂で持ち切りだからな」


「噂? 誰のですか?」


「なんでも、あるクラスで一人の女をカケて二人の男が勝負したらしいっ!」


「なかなかロマンチックですね」


「それはロマンチックなのでしょうか……」


「なあ、新戸?」


「えっ? 新戸先輩なのですか?」


「…………」


「どうだったのカナ? アタシの情報によると、君が負けて告白をしたらしいが」


「ふつう勝った方がするのでは?」


「……わかりました。お二方だけ話します」


「わ、私もいいかな……?」


「! わか!」


「礼先輩」


「若海部長……いつから盗み聞きしてたのですか……?」


「ずっと。ひなちゃんの後ろに」


「当の私も少し怖いです」


「……絶対に秘密にしてくださいよ……!」






 白い中に所々に灰色が配置されている。何かの衝撃ですぐに雨が降り出しそうだ。そしてこの蒸し暑さ。肌にぬめりを感じる。一言で言えば高音多湿の状態だ。

 今日は15日。この月曜日からテストが始まる。そのために僕は早めに学校に来ていた。いつもなら8時20分くらいだが、今日は8時に来た。それでも教室には何人もいた。テストは9時からだ。


「ふうっ」


 まだ冷房は点いていない。こんな日にやるなんてツイてない。じっとりとした汗を拭う。


「新戸」


「馬場君……早いですね」


 馬場君が寄ってくる。


「今回はやべえからな。勉強しても仕方ねえ」


 タオルで額を拭く。


「では、何のためですか?」


「外は蒸し暑いから、クーラーに当たろうと思ったんだ。そしたら点いてなかった……」


 それは納得だ。


「余裕ありますね」


「余裕というか諦めたというか……、イマイチやる気が出ね……」


「……それは夏バテではないでしょうか? 普段冷房は使っていますか?」


「バリバリ。二十度くらい」


「二十度……」


 涼しいとかの問題ではない。体調を崩してしまう。


「新戸は?」


「僕は使ってません」


「なにっ! 使ってないのっ? 干からびる!」


「慣れっこですから」


 というより、使うのが面倒だからといった方がいいかもしれない。

 他の生徒が続々と入ってくる。その中に陸奥実君と前橋君がいた。陸奥実君はそんなに汗をかいていなかった。前橋君は……いや、あれは前橋君なのか……? 馬場君もそれに気付いた。

 二人も僕らに気付く。


「お前……大丈夫かよ……」


「ひゃ……ひゃいあ?」


「何言っているのかわかりません」


 正真正銘干からびていた。皮膚が萎れていて骨が浮き出ている。

 僕らの後ろに東條さんがいた。


「とおさん……昨日、減量のために走り込んだら、ああなったらしいですよ……」


「現役のボクサーでもここまでなんねえよ……。しかも勉強しろよ。ただでさえ勉強してなかったらしいし」


「昨日は熱帯夜でしたから、減量にはうってつけかもしれません……」


 そして前橋君は留年決定かもしれない。

 時間になったのか、担任の岡本先生が来た。皆は自分の席につく。その時に冷房がつけられた。


「いいか! カンニングするんなら赤点取れ! そっちなら手の施しようがあるから! カンニングなんてしたら謹慎くらうぞ!」


 恒例、テストの諸注意を受ける。これだけやっても違反をする人がいるからだろう。

 それを軽く聞き流しながらテスト勉強に励む。


「よし、終わり! 一番右前の席から名前の順につけよ!」


 先生は出ていった。

 まだ時間はある。20分くらいだ。


「瑠璃人、いいか……?」


「……はい?」


 妙な面持ちで廊下に出た。まだ部屋が冷え切ってなかったので、暑さに対応できた。しかし、さすがに汗が出る……。


「どうしました?」


 勉強はやるだけやったから、心配ないが……。陸奥実君にしては落ち着きがない。


「実は、……手紙を貰った……」


「え……」


 僕の中で大きく波打つ。誰からの……?


「何をびっくりしてるんだ?」


 というより、うろたえている。


「誰からのですか?」


「……名無しだ」


 僕にそれを差し出してくれた。


「どれどれ……………………、………………何と言うか、単刀直入ですね」


「嫌がらせにしか思えないよ」


「……」


 それは大きい字で一言だった。


「“……さんが好きなんだろう”……ですか。全くその通りですね」


「その口を縫ってしまいたい」


「裁縫なんてできないでしょう? ……ただあの噂を確認したいだけだと思いますよ」


 たぶん彼女だろう。そういえば、あの勝負のことを陸奥実君に話したのだろうか。この様子だとまだみたいだが……。きっと冗談だったのだろう。


「それより、テスト勉強は大丈夫ですか?」


「……やってない」


「………………?」


 …………。


「すみません。自分の耳を疑いました……」


「いや、耳は大丈夫みたいだぞ。……頭はダメだけど」


「どうしてです? 陸奥実君にしては珍しいです」


「正確には“できなかった”だな」


 何か理由がありそうだ。


「徹夜であいつに勉強を教えてたんだよ……。頭いいくせにな」


「陸奥実君よりですか?」


「一般教養に関してはずっと上だと思ってるよ」


「はぁ……」


 僕からすれば天上人の話だ。


「まぁ、ほどほどに頑張るよ」


 僕らは教室に戻った。彼は手を振って別れを告げた。僕も戻ろう。ちなみに僕のテストの時の席は廊下側から三列目の一番後ろだ。

 もはや全員、戦闘準備に入っていた。教科書やノートを見る人、友達同士で問題を出し合う人たち、…………寝てる人。


「奈多弓さん、大丈夫ですか?」


「……ぅ……、大事……」


 珍しく元気がない。体調が悪いのだろうか。


「風邪ですか?」


「……うん……」


 いつもの関西弁もハリがない。


「あの……先生に話した方が、」


 先生を呼ぼうと、


「! それはだめ……」


 したが、腕を掴まれた。


「……理由はどうあれ、正直に話した方がいいですよ。下手に無理をすれば後が苦しくなります。まだ初日ですから……」


「…………」


 ぱっと解放した。


「今はほっといて……」


 そこまでなら無理強いはしたくない。


「わかりました。でも、さらに悪くなったら伝えてくださいよ」


 細やかに頷いた。

 僕は自分の席に戻った。ノートを軽く見通す。……そして、来た。


「うぃーっす。テストやっから色々しまえよ」


 体育の先生の……、


「国語だぞ! 脳みそ切り替えろよ」


「先生、カンペ置いちゃダメっすかっ?」


「カンペって……そういうのは言うもんじゃないだろ……」


 誰だっけ。


「後ろに回すから勝手に見んなよ」


 とりあえず、体育会系っぽい。






「なに一旦区切ってんだよ! まだ序盤すら入ってねえじゃん!」


「くぅちゃん、落ち着こうよ。これからだよ」


「……けっこう重要なところを話したつもりですけど」


「もしかして、体調が悪い娘がキーワードですか?」


「そういうわけではないです」


「ふん! どうせそれは演技だっだんだろ」


「……! …………………………」


「あれ? 当たっちゃった?」


「…………」


「くう先輩、新戸先輩が拗ねてます。テンション下がってます」


「わ、悪かったよ……。偶然にも当てちゃって……」


「でも、拗ねてる瑠璃ちゃんもなかなかかわいい……。レアな一面だよね」


「わか、手に持ってるギターの弦はなんだよ。張り替えるのか?」


「察するに、新戸先輩を拘束するためのものだと思います」


「雛君、だんだんわかを理解してきたな、じゃなくて! 早く続きを話せよ新戸! いつまでも拗ねるなよ」


「…………わかりました」


「ツンツンしててかわいい」


「誰でもいいからツッコミ役をやってくれ」






 今思えば、家に帰ればほとんど勉強に費やしていた。あの勝負の件のこともあるが、何よりも彼に勝ちたい方が強かったようだ。

 次の日、その次の日とテストは消化していった。しかし、奈多弓さんは全ての日に出席していた。身体は絶不調を極めているはず。そのことは僕だけに留まらず、クラス中で、そして先生にも知れ渡った。しかも先生は再試験の際にも本試験と同様の評価をつける、と最大の譲歩をしてあげた。ところが彼女はことごとく拒んだのだった。なぜ? 僕には理解できなかった。

 そして18日の木曜日、つまり今日になった。この日は……。


「さぁ、ついに来たぜぃ……」


「そうですね」


「やっと解放されたな。にぃちゃんにマジ感謝」


「いえ、たいしたことはしてませんから」


「それでも、藤野の赤点が楽しみだぜ」


「はぁ? 今回はねえよ」


「心からあってほしいと願ってっから」


「…………楽しみですね、前橋君」


「そうだぜぃ……。首を長くして待ってたカイがあったってもんだ……!」


 前橋君は右肩をゆっくり回した。骨っぽい音がいくつかした。


「“FF”」


「……?」


「お前、そっちかよ!」


 どうやらゲームみたいだ。


「バカヤローっ! オレがいつから待ったと思うっ? 1年前からだぜぃ!」


「知るかアホ! でもリアルな時間だな!」


「まえばっし……絶対にヤバイことになってるよ、テスト……」


「ん? 大丈夫だぜぃ。隣の人の見てやったし」


「ヤバイの領域を踏み外していますね」


 もはや救いようがないほどだった。

 その後しばらくして、岡本先生がやってきた。全員席に着いた。


「よぉーし。今日はテスト返し。明日は大掃除やって、来週の月曜と火曜は球技大会だからな。24日水曜日は終業式だ。遅刻すんなよ! 特に皆勤してる者と……藤野」


「俺っすか!」


「お前は歴代とタイになりかけてるからな」


 クラスは彼を中心に笑いに包まれた。


「連絡は終わり。テストは俺が持ってる。今から解説付きの解答と答案を返すから、名前呼ばれたら来るように」


 そう言って廊下に出ていった。直後、クラスでざわつきが始まった。

 あと数十分後に結果がわかる。僕ら学生にしてみれば息が詰まる思いだ。ある意味、節目だと思う。しかし……。


「……」


「どうしたの、新戸君?」


 思わず身体が硬直した。


「……そういう時田さんもどうかしたのですか?」


「いや、頬杖ついてつまらなそうだなあって……」


「?」


 そういえば無意識にしていたようだ。


「緊張しているのですよ。陸奥実君に勝ちたいですし」


「……あぁ、あれね。頑張って勝ってね」


 彼女は不調の奈多弓さんのもとへ向かった。やはり今も引きずっているようだ。

 それにしても……、


「1番、朝山!」


 ……“あれ”?


「うっす!」


 生徒が廊下に出ていく。どうやらそちらで受け渡しをするようだ。その後、続々とドアの前に並び始めた。

 僕の番を待っていると、後ろから肩を叩かれた。僕はふり、


「…………」


「……」


 ……ぐにぃっ、と頬に食い込んだ。


「そんなに睨むなよ……。ジョークだろう?」


 そのくせに、嬉しそうなのが癪に障る。


「意外ですよ。陸奥実君がそんなことをするなんて……」


「ガチガチに固まってたからな。テストで緊張しすぎだ」


「緊張しますよ。あなたに勝てるかどうかがかかっていますからね」


「なんだそれ?」


「ちょっとした敵対心です」


 まだらしい。今、カ行が終わりそうだ。

 ……聞いてみてもいいか。


「陸奥実君」


「なに?」


「奈多弓さんから何か話を聞きましたか?」


「? 何の話だ?」


「……」


 打ち明けられてないらしい。では、時田さんの“あれ”は何を指すのだろう? 話の流れからして、あの時の話以外に考えられないが……。


「何かのミーティングか? そういえば球技大会の準備もしなきゃいけないし……」


「……」


 僕らはそのまま列に入った。後ろには陸奥実君や馬場君、藤野君がいた。僕もさすがに考えすぎだ。あれは冗談だったのだ。彼女はただ勘違いが抜けていないだけ。

 四人で話は盛り上がる。


「新戸!」


 いつの間にか先頭にいた。


「……行ってきます」


「ハデに散ってこい!」






「……で、こんな結果だったってか」


「はい」


「がんばったね。……うりうり」


「頬を摘まないでください」


「それで、どうなったんですか? 新戸先輩は誰かに告白したんですよね?」


「……それはですね……」


「おおっと、遂に核心に迫るな。正直、テストの結果はどーでもいいんだ。新戸が誰にコクったのかさえ聞ければ……」


「えー? ……くぅちゃん、そこがポイントじゃないかな?」


「わか、こいつの恋バナなんて聞いたことないだろ? 今のうちに聞いとかないと損だぜ」


「そうだけど……」


「私も気になります。新戸先輩の好きな人……」


「勝手に話を飛躍させないでくれませんか? 僕は…………」






 僕は厚みのある答案用紙を机に置いた。中身は見ていない。彼も同様だ。周りの生徒たちは結果に騒いでいた。僕の中で隠密に事を成したい。唯一の願望だった。


「さて」


 そこへ一人の生徒が教壇に上がる。


「ここでメインに行こうやないかっ」


 一発で特定できてしまう。先程までの調子はどこにいった?


「陸奥実 流VS新戸 瑠璃人やあぁぁぁっ!」


「……そうだよ! 天才二人組の名勝負を忘れてた!」


「まるでマンガみたい!」


「前回は陸奥実だったよな?」


「今回は新戸だろ?」


「どうかな? ディフェンディングチャンピオンの誇りを持って防衛したと思うぜ!」



ざわざわざわざわざわ…………



 鶴の一声というか何と言うか。本人にしてみれば迷惑な話だ。

 僕らはスタッフ(?)の指示に従い、教壇に上がった。正面左に陸奥実君、右に僕が立つ。前橋君は僕らの後ろで書記を務めていた。


「では、最初は……、」


「待て!」


 教室に誰か飛び込んできた。


「お前ら、何やってんの?」


「せ、先生……」


「早く席に着きなさい。数学の解説するから」


 当然と言えば当然だ。僕と陸奥実君は素直に席に着いた。しかし、彼女と前橋君は動こうとしない。

 二人は目を合わせた瞬間、


「!」


「ごふっ!」


 同時に腹を殴った。


「……ぅ……」


 あまりにも速く強烈だったのか、先生はあっという間に気を失った。スタッフたちは窓側に運んでいった。……そんなに上手くいくものなのだろうか?

 結局、続行されることになった。


「まずは…………英語!」


 プライバシー関係なしに点数を公開されていく。その度に驚いたり罵声がきたりと複雑な気分を味わう。

 そして、最後となった。合計点数は……僕が1点勝っている。


「数学やな。……新戸君は?」


 背後で前橋が身構える。


「僕は98点です」


 そこに大きく98と書かれた。陸奥実君は99点以上取らないと負けてしまう。しかし、数学は部分点でも2点は減点されてしまう。よってノーミスでしか勝利はない。


「じゃあ、むっちゃんは……?」


「…………」


 誰もが彼を注目する。冷房の音が電車なみに五月蝿く聞こえるほど、静けさが充満している。僕の核の叫びもその音に混じっていた。


「……」


「…………」


「………………」


「……」


「…………」


 さすがに間をためる。今すぐに部屋から逃げ出したい。そう誰かが僕に駆り立てる。早く言って……。


「……」


「……」


「………………」


「…………」


「……」


「…………」


 それは突如来た。


「100」






「で、誰に告白する気だよ? ん?」


「言うわけないです」


「それは“わか”なのか〜?」


「! いや、あの……」


「図星か〜? あぃたっ!」


「くぅちゃん、最低……」


「あ……、悪い悪い! 悪ふざけが過ぎたよ……」


「新戸先輩の好きな人にするんですよね? 一体誰なんでしょう?」


「……そういう話は僕がいない時にしてくれませんか……? とりあえず今は部活ですから、練習に励みましょうよ」


「上手いこと言いやがって……。わかったよ。でも、キメる時は教えろよ」


「言いません。水面下でします。僕の自由ですから」


「なんだよ冷めちったな……。んじゃあ行くか。ヒナ、パートの話あるからちっと来て」


「わかりました。では、失礼します」


「二人とも頑張ってね」


「また後ほど」


「はい」


「…………」


「……」


「……今日は練習しないのですか?」


「……え?」


「礼香さんはしない、みたいな感じでしたので」


「テスト疲れかなぁ。明日からがんばろうってね」


「珍しいですね。二年生の頃は勉強しないで部活ばかりしていたのに……」


「…………瑠璃ちゃんは?」


「……そうですね。“語り疲れ”ですかね」


「なんだそれっ」


「大会が近いので顔を見せに来ただけです。今大会では僕は出ないみたいですし」


「へえぇ。じゃあ帰ろうか、補欠君」


「大きなお世話です」


「……」


「……」


「…………ねえ……」


「…………はい」


「……ショックだったでしょ?」


「……別に……」


「拗ねてる。かわいい」


「……」


「……実はね、私が先生に言ったの。瑠璃ちゃんは出さないでって」


「遂に怒りの鉄拳が下りましたか」


「そうだね。……怒ってる」


「…………“嘘”をついたからですか?」


「!」


「…………」


「……」


「……」


「…………っふ」


「……?」


「ふふっ」


「?」


「……」


「何がおかしいのですか?」


「……八割せいかいっ」


「?」


「ん〜、瑠璃ちゃんは女心がわかってきたかな?」


「! 僕を試したということですか?」


「試したわけじゃないよ。嘘嫌いなのは本当だし、瑠璃ちゃんが嘘を言ってなかったのも何となく感じてたし……」


「では、大会に出場させてくれないのはどうしてですか? 明らかに理由としては成り立ちませんよ? しかも礼香さんの個人的な理由ですし」


「……だから残りの二割が重要なんじゃない?」


「二割?」


「そっ」


「…………部活をサボっていたからですか?」


「一割正解」


「…………僕の実力不足」


「正解。さすが瑠璃ちゃん。全部当てちゃったよ」


「……」


「でも、かわいくないなぁ……」


「!」


「えへへっ」


「なぜ粘着テープを持ってるのですか! 何でもありになってきてますよ!」


「どうしてだろうね?」


「ま、待ってください、こんな所で……ん?」


「気を逸らそうったって無駄だよ」


「ここ、どこですか……?」


「見ての通り、“森”」


「今度はワープでも使いましたか?」


「瑠璃ちゃん、話すのに集中してたから、密に誘導してみました」


「…………」


「ここなら誰にも邪魔されない」


「や、怖いですよ……」


「怖くないよー。優しくしてあげるよー」


「うっうわあぁぁぁぁっ!」


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