休日、ふたりきり
「明日、ひさびさに休み被ったな」
夕飯後、ソファで寄り添いながらテレビを眺めていた悠が、ふとつぶやく。
凪は顔をパッと輝かせた。
「えっほんとに!?ずっと言ってたじゃん、一緒に休みとろうって!」
「ま、たまにはちゃんと凪のスケジュールに合わせましたってことで」
「かっこつけて言ってるけど、ただの偶然じゃん」
「うるさい、偶然でも奇跡だわ」
笑い合うふたりの声が、部屋いっぱいに広がる。
次の日。
朝から天気は快晴。凪はお気に入りのスカートに身を包み、悠は珍しくちゃんとしたシャツを着て、手をつないで駅まで歩く。
カフェでモーニングを食べて、水族館でイルカショーを見て、夕方には商店街でじゃがバターを半分こする。
凪がふいに悠の手を強く握る。
「ねえ、今日みたいな日、ずっと続けばいいのにね」
「続くさ。ていうか、続かせようぜ」
「ふふ。頼りないけど、信用してあげる」
「おい、それちゃんと褒めてんのか?」
じゃれ合うように笑いながら、帰り道。
日が沈み、ふたりの影が路地に長く伸びていた。
その夜——
ベッドに入る直前、凪がぽつりとつぶやく。
「悠は、もし私が死んだらどうする?」
「は?」
「いや、ほら、たとえばの話」
「……くだらない。寝ろ」
そう言って頭をなでる悠の手は、少しだけ震えていた。
でも凪は気づかないふりをして、目を閉じた。
そして、翌日——
ふたりの「当たり前」は、音を立てて崩れていく。
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◆ 一ノ瀬 凪
29歳・女
悠の恋人。元陸上部で今も体力自慢。
IT系企業勤務(悠とは別会社)。
明るく芯が強い、でも時々甘えんぼう。
◆ 黒川 悠
29歳・男
凪の恋人。
IT企業勤務。
真面目で不器用、でも芯が熱いタイプ。
◆ 早瀬 紗良
29歳・女
凪の親友。
凪と同じ会社でIT系企業勤務
ちょっとサバサバ系の姉御肌。でも実は友達思い。
◆ 東雲 颯太
36歳・男
悠の直属の上司兼先輩。
悠をかなり可愛がってる。
仕事はできるけど、プライベートはちょっと抜けてるとこもある。
なんだかんだで優しい兄貴ポジション。




