ハマーン地球侵略
とある日の朝方、当たれば人類が滅亡したに違いないくらいの大きさの隕石が地球をかすめ過ぎた。ハマーンという、地球外生命体をそこに残して。......
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日本に降り立ったハマーンは、しばらく、見慣れない人間やら建物やら自然やらに目をやったりなどして過ごしていた。
つとに彼の目を奪ったのは人間の女であった。胸の豊かな女、足の華奢な女、暖かな丸みを帯びた尻の女。唇のばかに分厚い女。細身で不健康そうな女。歯並びの悪い臭そうな 女。そのどれもをハマーンは物珍しそうなブサイクな顔をして眺めた。
そうしてそんな女たちを見て、頭の中でそれらを犯す妄想にチンポをフルボッキさせては、パンツをグショグ ショにしたりなどしていた。
そうして三日くらいが過ぎ、日課のオナニーを終えて賢者タイムに入ったその刹那、ハマーンはふとその目的のことを 思い出して、茫然としたのだった。
『あかん、そうや。どうして今まで忘れていたんや。俺は人 間の女どもにうつつを抜かしにきたのでなく、ハマーン増殖 計画を遂行させるためにここにきたのだった。俺の精子を全 世界の女に等しく分け与えて、俺の子を生ませ、俺のこの見るに耐えないブサイクな顔を平均にまで持ち上げようという 崇高な計画。......いかん、今日からでも早速取りかからなければ!』
ハマーンは目の色をより臭そうなそれに変えた。ベットり精子のついた手も洗わずに、家から外に出た。
出るとき、あまりにデカすぎる頭がドアに引っ掛かった。ハマーンはまた、犬のションベンを飲んだ方が幾分かマシだと思われるほどの汚い涙で頬を濡らした。
ハマーンはおもむろに黄ばんだスマホを取り出すと、Siri を起動させ、こう問いかけはじめた。
『ヘイSiri! 俺が最初に孕ませるべき女の名前を教えて』
すると、Siriはちょっとの間悩んだように沈黙をした後、 こう言った。 『三島ほのか、神戸三宮在住、神戸学院大学薬学部在学中、今 現在はバーでバイトをしている最中です』
「サンキュー!」
ハマーンはそうSiriに礼をすると、おもむろにパンツを脱いで、チンポをグイと手で引き伸ばしはじめた。
そうしてその1メートルくらいに伸びたチンポを認めて後、腰を回して それをぶんぶんと高速回転させ、空を飛びはじめた。ハマーンはそれで、三ノ宮へ向かうつもりらしい。
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ほどなく三ノ宮についた。ハマーンは伸びきったチンポをしまうと、往来を見渡した。往来は、美味そうな匂いを漂わせている若い女たちで溢れかえっていた。思わず襲いかかりかけた。が、ひとまずはSiriの勧めていた野田わこという女に会うことにしてやめにした。
そのバーについた。窓越しに店の中の様子を伺うと、カウンターで客人と話している若い長髪の女がいた。ハマーンは それを見て、もう一度Siriを起動させた。
『ヘイSiri! あの目の前の女が野田わこか?』
Siriは相変わらずの冷淡な調子で、
『はい。あれが貴方が最初に孕ませるべき女、野田わこで す』
「サンキュー!」
そう言ってハマーンは携帯をしまった。そうしてハマーン は、生まれ星のユーヤ星に代々伝わる、門外不出の奥義̶タイムストップ̶の構えをおもむろに取り始めた。
その奥義とはこうである。チンポの皮を少しだけカッターで切る。そうして、そのチンポの皮を時間停止させたい意中の相手に食わせる。すると、その相手は、ハマーンが「タイ ムストップ!」というたびに一切動かなくなる。無論、止まっている時の記憶もない。......
「いでえ」
わこのいるバーの前で、ハマーンはチン皮をめくってその端の方をカッターで切った。緑色の血がほとばしった。しばらく、ハマーンは笑えないくらいブサイクな顔をしながら痛みに悶絶した。
ややあって、ハマーンは落ち着きを取り戻した。すでに悪臭を放ちつつある切り取られたチン皮を右手に隠すようにして、いかにも普通の顔をしながらバーに入った。
「いらっしゃいませえ」
涼しい目許のわこが、優しげな微笑とともにハマーンを出 迎えた。ハマーンはずかっと腰を下ろすと、「一番安くて酔 えるやつちょうだい」と言った。
わこは一緒の空気を吸って いるだけでも不愉快と言わんばかりに、呼吸をしないでその注文を受けた。
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なんやかんやあって、わこの飲んでいたカクテルに自らのチン皮を入れることに成功したハマーンは、彼女がそのカク テルを口に運んで、飲み込んでくれることを待ちわびていた。
そのとき、わこがカクテルのグラスを手にとった。話に夢中でそのチン皮の浮いているカクテルの方を見ていない。
そのまま口を当てた。
チン皮がわこの唇をスルスルと撫で た。そうしてわこは口を開けた。チン皮はするりとその中に 飲み込まれていった。
その刹那! ハマーンは店内に響き渡らせるかのようにい よいよこう叫んだ!!
「タイムストオップ!!」
途端にわこは動かなくなって、瞬きひとつもしなくなった。ハマーンはいよいよハマーン増殖計画を始められることに喜んだ。
「オラオラ、お前ら死にたくなかったら出ていけコラ!」
ハマーンは銃を取り出して、チン皮を食わずになおのこと動いている客たちを追い返すようにした。
「くそださ五頭身が!」
客たちはこう吐き捨てるようにいいながら店を後にした。 ハマーンは涙を流した。その涙でバーの床が溶けた。
ハマーンはわこの前に立つと、パンツを脱ぎ始めた。おび ただしい蒸気がパンツから立ち上った。
その蒸気はやがて雲 になり、店の中にかかわらず雨さえ降り始めた。そうして雨の後には虹が出た。ハマーンはその自らのムレが作った虹に 手を合わせて拝んだ。これも、ユーヤ星に伝わる女を犯す前 の儀式なのである。
儀式を終えて、ハマーンはいよいよわこの服を脱がし始め た。ブラウスが剥ぎ取られ、桃色のブラジャーが露になり、 それも剥ぎ取っていくと、野苺ほどの可愛らしい乳首があらわになった。
ハマーンはそれに噛みちぎるかの勢いで吸い付 いた。
次に、ハマーンはわこのズボンを脱がし始めた。フロントボタンを剥ぐと、小さなリボンのついた純白のパンツが見えてきた。そうして、その純白のパンツは、それが純白であるがゆえに、マンゲの黒をいっそうパンツ越しに際立たせてい た。ハマーンはそこに鼻を押しつけて匂いを嗅ぎ始めた。大地のような朗らかな匂いがハマーンの鼻を打ち、思わずハマーンの手は自らのチンポをしごき始めた。が、射精の寸前 まで行ったところでふと我に帰って、寸止めした。
ハマーンはもう抑えきれんと言わんばかりにわこをカウン ターテーブルに横たわらせると、わこの股を大きく開かせるようにし、いよいよ彼女のマンコに自分のチンポをそわせは じめた。わこのまんこからは滝のように水が溢れ出した。
そうして! いよいよ挿入した!
ハマーンの腰は途端に 制御が効かなくなる。わこの膣の感触があまりに気持ちよすぎるのである。ハマーンは狂ったように自らの腰をわこの股 に打ち付けるようにした。
いよいよ射精感が股間の辺りを騒がせるようになった。ハ マーンは声を漏らす。
「うう、イク! イキュウ!」
......そのとき、何とわこがつとに動き始め、せっかく射精 しかけていたハマーンのチンポを自らの膣から抜いてしまっ た。
「ああ、なんでやあ、なんでやあ」
ハマーンは臭い息をゼエゼエ言わせながらそう言った。わこは蔑むような目つきでこう答えた。
「お前、私が反転術式をかけたの、わからんかったんか・」
「反転術式......?」
「そうや、私のマンコの粘液にはな、相手の術を無効化する 能力があるんや。そうしてその無効化した能力を自分のもの として使えるようにもなるんや」
「そんなばかな!」
「なら、試してみるか? お前のタイムストップ。......」
「いやだ、いやだ! やめてくれえええええええ。あ......」
ハマーンはこうして、わこの反転術式によりタイムストップをかけ返されてしまったのであった。
それから百年が過ぎた。今、三ノ宮のかつて花時計のあったところには、一体の、苔むした石造のようなものが立っている。人々は普段、それにさして注意を払うでもない。が、 その石像を知らないものはいない。例えば、三ノ宮の往来を 歩いている人一人を捕まえてこう聞いてみるがいい。
「あの石造の名前はなんというのですか?」
すると彼はこう答えるであろう。
「え? 知らないのですか? ハマーンですよ」