表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大人でもなく  作者: 松あゆみ
4/5

見えない前置詞

1996年冬


‘’19歳の誕生日にシルバーリングをプレゼントされた女性は幸せになる‘’


ヨーロッパの風習だろうか、大学生はこう言う類いのネタに見事なまでに振り回される。


19歳の誕生日が後数カ月に迫った頃、私は初めて付き合った彼にあっさり振られた。

「心変わり」と言う、世界で最も分かりやすい理由で別れを切り出された私は、話し合う余地も、引き留める余地もなく、何も言わず、泣きじゃくることもせず「友達に戻る」事に承知した。



(もっと我儘を言えばよかった)

(この気持ちはいつから一方通行だっんだろう)

そんな感情は、18歳のまだ恋に免疫のない心を削り、私に一つの結論を出させた。


【結論】

恋とは期間限定の気持ちで、純愛ドラマはその一頁を切り取ったに過ぎない。

永遠なんて無くて、もしも世界中探してどこかにあったとしても、そんな奇跡を手にする力は私なんかには無くて。最初から永遠を信じなければ傷は浅い。


そう考えることで、気持ちは随分軽くなった。



寂しい気持ちが漏れ出ているからなのか。

“隙のある女”はそれなりにモテる。

いや、その人本来の魅力で人をひきつける人も居るには居るのだろう、ただきっと一握りで。

私のこれは「隙」なんだと俯瞰する自分が、冷めた目で空から見張っている感覚だった。


だって永遠なんて無くて。

彼らが言ってくれる「好きだよ」も、 「今は」と言う見えない前置詞がついてまわるのだから。



「(今は) 好きだよ」

それでも一人よりマシかな

そう思ってつき合った社会人の彼からもらったシルバーリングは、驚くほど無機質で。


「恋愛では自分の気持ちがどれだけ重要か」

そんな当たり前のことを

優しい人達を傷付けながら、私は思い知った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ