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ひだまり#5  作者: 月夜
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真実と友達を信じて

こんにちは。ラインです。今回の物語は、うぅ〜。後、もう少しでマノンに言えたのに・・・。まぁ、今回の説明をしますね。今回は、ベール様が真実を話したのと、マノンの・・・マノンの昔の友達が出てくるんですけど、またベール様が仕掛けてんですよ。あいかわらずハラハラです。是非読んでくださいね!

ひんやりとした風。ジャリジャリとした感覚・・・。(あれ?私、あの後どうしたのかしら?)私は、先ほどまでの事を思い出す。(えっと・・・。私、あの鏡を割って・・・。そうよ!私、鏡の国の過去の鏡を割っていたのよ!じゃあ、今、私はどこにいるの?)私は、そう思って、重たいまぶたを頑張って開ける。すると、「マノちゃん。」と、声がした。「誰?あなたは?」私は、見えないその子に問いかけた。

こんにちは。私はマノン。前までは、ごぉ〜く普通の小学五年生だったのだけれど、ある子が引っ越して来てから、私は普通ではなくなって、前までの私とはまた違う自分になった気がする。

でも、今、その私を変えた子が見当たらないの。「分からないんだね。もう、僕達の関係は、変わってしまったんだ。」「誰だかわからないのに、何でそんな事言うの?」「ほーら。すぐにそんな風に言う。」「ただ、聞いてるだけじゃない。」「はぁ。本当に分かっていないな。マノちゃんは。」そう、その声は言った。すると、どんどん視界が黒く閉ざされていく。(何?これ。一体何が起こってるの?)私は、どんよりとして来た視界の先を見つめる・・・。「もう、この空気に身を任せて、眠ってしまったらいいんじゃない?」「え?」その声は、暗いベールのような、ふわふわしてるけど、視界の先のように、どんよりとした空気をまとっていた、「さぁ。眠りなさい。美しい月の世界で。」私は、その言葉を聞いて、はっとした。(月の世界。眠ってはいけない。この声は、きっとベール様の声だ。)私は、手を差し伸べるように伸びて来たどんよりとした空気を心の中で、キッと睨んだ。「眠るわけ無いじゃない。ベール様。」私がそう言うと、「うふふ。なかなかですわね。」と声が響いた。すると、どんどん視界が晴れて行き、ぼんやりと向こうの景色が見えるようになって来た。「うう〜ん。」私はは頑張って、完全に目を開いて、ゆっくりと体を起こすと、まわりを見渡した。すぐ左横には、ひだまりがスヤスヤと眠っている。実は、このひだまりが、私の雰囲気を変えた張本人で、魔法界から来たという転校生なの。そして、右横でスヤスヤと眠っているのが、ラインとグゥールで、ラインはグゥールの弟分で、兄貴分のグゥールとは大違いで、冷静で女子から密かに人気があるの。

私が、歩こうとすると、思わずこけそうになった。なんと、地面は、宇宙の月の地面か!とつっこみたくなるくらい大小の違いが分からない、成分を今すぐ調べたくなるゴロッゴロの石や、過去の鏡を割る際に使った未来の石が、無残にも飛び散って、小さなガラスの破片のようになっていた。(こんなだったら、絶対こけそうになるに決まってるわよね。)私は、そう心の中でつぶやくと、ふと空を見上げた。なんと、向こうの方に惑星が輝いて見える。だけど、何故か月だけが無い。(ここまで来たら本当に、ここ、月じゃない!)私が周りの景色にあっけを取られていると、「んーーっ。」と後ろから声がした。私は、その声に反応して、後ろに振り向いた。その声は、どうやらラインの声だったらしく、頑張って目を開けるラインの姿があった。「ライン!」「あっマノンか?マノン、ここ、どこだか知ってるか?」ラインは、目をこすりながら、体を起こして立ち上がった。「私にも分からないの。なんだか月みたいに地面にゴロゴロ石がいっぱいあるし、それに、空に月だけが無いし・・・。」「だったらここ、月なんじゃ無いか?」「それは思ったけど、だったらなんで息が出来るのよ。重力の変化の事も。」私は、今、気になる点をラインに全部ぶつけてみた。「・・・確かにな。そこら辺が不思議だな。」さすがに、予想がよく当たるラインでも分からないようで、ラインは首をかしげた。「まぁ、これはまた魔法に関係するんだろうし、後でひだまりに尋ねましょう。」「あぁ、そうだな。ひだまりと兄貴が起きるまで、時間潰しでもしてようか。」ラインは、ニッコリと笑った。「えぇ。そうね。」私は、同意すると、一番見通しが良い崖のような所にラインと一緒に歩いて行った。「景色がいいわね〜。」「うん。そうだね。・・・あのさ、マノン。」ラインは、言いにくそうにそう声を発した。「んっ?どうしたの?そんな緊張したみたいにつっ張っちゃって。」私は、不思議に思って首を傾げた。「あのさ、僕、マノンに初めて会った時、すごく気があうんじゃ無いかなと思ったんだ。そうしたら、同じクラスですごく嬉しかった。それで仲良くなれて、一緒に図書館に行けて、楽しかったんだ。」急にラインが私との思い出を語り出したから、ベール様が何かして、今にも目の前に現れるのではと思って思わず身構えてしまった。「そう思ってくれてたのは嬉しいけど、突然どうしたの?」「僕、今まで一緒にいて、分かったんだ。僕はマノンの事を・・・」ラインがそこまで言いかけた時、「んーーっ。」「う〜ん。」と後ろから眠そうな声がした。「ひだまり!グゥール!」私は、ラインの横を通って走ってひだまり達に駆け寄る。「大丈夫?ひだまり。」「うん。大丈夫。・・・っていうか、ココどこ?」ひだまりは、眠そうに目をこするとフ〜ラフ〜ラした状態で立ち上がる。「それがね・・・」私は、ラインに言った事をそのまま二人に話した。「あぁ。その事だけど、あってるよ。ココは、月だよ。きっと、ベール姫が、あたし達をこの[月の国]に連れて来たんだよ。」「えっ?じゃあ、魔法界の月の国って、宇宙にあるって事!?えっ!じゃあ、ベール姫って宇宙人!」私は、宇宙人の姿を思い出して、うな垂れた。(はぁ。あの声だから、おとぎの物語に出て来る可愛い美少女お姫様かなぁって思ったのに・・・。)「はぁ。」私が勝手にそう思っていると、「へっ?ちょちょっと!マノン!何でウチュウジンとかいう単語が出て来るの!」「えっ?」私達の間に、一時沈黙が続いた。(んっ?どういう事?あっ!もしかして、宇宙人の事、知らないとか!えっ?魔法界って宇宙人伝説って無いの?いやいや元々ベール姫、宇宙人だから無いか。)私は、とりあえず、宇宙人の説明をしてみる事にした。「宇宙人は、宇宙に住む住民の事だよ。まぁ、私は本とかでしか見た事無いけど・・・。」「んっ?宇宙?違うよ。月の国は、マノンが思ってる宇宙には存在しないよ。月の国は、違う次元の宇宙に存在して、太陽の国も、その違う次元の宇宙に存在するの。でっ、他の国は、[空星]という、星に大陸として存在するの。空星から見ると、月の国と太陽の国は、月と太陽に見え、光り輝いてみえるの。この次元の月の国と太陽の国と空星は、それぞれ息が出来て、人間界のように歩けるの。」ひだまりの解説から言うと、月の国と太陽の国と空星は、人間界のいう宇宙に存在するわけでは無く、違う次元に存在するらしい。その次元では、名前の通り、月の国が月で、太陽の国が太陽で、それぞれ重力の変化は無く、息も出来るらしい。それで、空星という星でも息ができ、重力の変化も無く、たくさんの国が、大陸で分かれて存在しているらしい。人間界でいう地球のようなもので、海もあり、空もあり、あまり変わりないが、空の国という空を扱う国は、空に浮かんでいるらしい。(理論上通らないと思うんだけど・・・。理解不可能だわ。)私は、こめかみを押さえながら、ひだまりから受け取った情報を頭の中で整理した。「な、なるほどね・・・。理解は出来ないけど、分かったわ。」「うん!良かった!あっ!そういえば、あたし達を連れて来た張本人かもしれないベール姫はドコだろ?」ひだまりは、そう言いながら首を傾げた。「あぁベール姫ねぇ・・・。」私はそこまで言いかけて、ハッとした。一番最初、私が目覚める前に頭の中で聞こえた、ベール様とは別に誰か分からないけど、何故か聞き覚えがある人の声がしたような・・・。

なんだか言うだけでも辛くなる。会いたくなる。悲しくなる。誰だったんだろう。誰だったん・・・だろう。「マノン?どうしたの?何か知ってるの?」「ううん。何でもない。」私は、心配してくれているひだまりを見ながら、首を横に振った。「あっ!そういえば、ラインの話の途中だった!」私は、ラインと話していた崖の方に振り向いて、背を向けているラインの元に歩いて行った。「ライン。話の続き、聞くよ。」「いや。また今度にするよ。」ラインは、優しく笑った。だけど、何かいつもとは違うように感じた。

その時、「ウフフフフフフ。」と声がした。「何!?」私は、崖の上でしっかりと身構えた。すると、ひだまりとグゥールの前に、やりのような屋根が突き出して来た。そして、一瞬ピカッと紫色に光り輝くと、屋根の上に月の飾りが現れ、光り輝き、下の建物が見えて来て、そこから黒いベールが現れ、城のような建物にかぶさりフワフワと回り始めた。「何?これ?」私は、頭の上にはてなマークを浮かべた。「これは、月の城で、屋根の上にある月の飾りが、空星から見える月で、不思議な魔法陣が刺繍で刺されたベールが、このフワフワ回ってるこのベールで、魔法陣を発動させると、この城は、月の城の王族か、月の国の上級魔女見習いか、上級騎士見習いとか、後、成人した上級魔女とかだけが認識できるような特殊な城に早変わりするの。」ひだまりが早く、詳しくそう説明すると、「ウフフ。素晴らしいですわ。ひだまり姫。我が国の上級魔女見習いや騎士見習いもまだ学んでいないことを知っているなんて。」そう声がした時、月の城のベールから、月のオブジェのようなものが飛んで来た。よぉ〜く見るとその上には、人が乗っている。その人は、長いウェーブのかかったフワフワツヤツヤの薄い紫色の髪に、月と流れ星のヘアピンが付いていて、ワンピースを着ており、そのワンピースは、袖がふくらんだ半袖、首元には月のアクセサリーが輝き、胸元には紫色に星のスパンコールが散りばめられたレースがひらひらと風になびいている。スカートは、ふんわりと膨らみ、裾には薄い紫色のフリルが付いている。全体的に、紫色で統一された服だ。

「ベール姫だよ。マノン。これからが勝負だよ。絶対勝たなくちゃ、出れないよ。」ひだまりがそう私に言う。(んっ?待って!ベール姫!?っていうか、勝負?出れない?どう言う事!ひだまり!それに、ベール様に攻撃しすぎると余計に大変になるって!)私が心の中で先を見通して冷や汗をかいていると、

「フフフ。皆さんどうも。改めてご挨拶いたしますわ。月の国の姫のベールと申します。以後お見知り置きを。」月のオブジェの上で、ベール姫が頭を下げる。私達もその後に同じように頭を下げる。

(さすがに常識にはそわないとだから・・・。)私は、心の中でそう呟く。

「ベール姫。全て話して。なぜ、あたしだけじゃなくて、マノン達を巻き込んで、連れ回したりしたの?」「へっ?」

ひだまりの言葉に反応したのは、ベール様ではなく、私だった。「ひだまり。それって、ベール様が私達を氷の国と鏡の国に連れ回したって事?」私は、頭の中で状況を整理しながらひだまりに問いかける。「うん。そうだよ。月の国は、氷の国と、[お互い頼みごとは必ず聞き入れ、他国とは条約をかわさず、どうしても必要な場合は、相手国に相談する事。商売に関しても、相手国と関係があるものに限り、手紙を送り知らせ、共に考える]っていう条約を交わしていて、これは、月の国の姫が政治を行った際にベール姫が下した条約で、月の国の女王が大変困った事柄で、一ヶ月後に女王によって解約される条約なの。だから、まだ有効なの。」ひだまりは、月の国の詳しい事情を教えてくれた。その場に月の国の姫がいるのに。変な気分だ。(っていうか、よくよく考えてみたら、ベール様、はじめの政治を行って、どんな条約交わして来るのよ!)私が心の中でそう思っていると、

「フフフ。聞きづてならないわねぇ。」とベール様の声が聞こえてくる。その声は、先程までの余裕たっぷりのいかにも王族らしい声に聞こえるけれど、怒りでプルプルと震えているような気がする。

でも、そりゃあそうだ。自分がいる場で、自分の悪口を言われているのだ。嫌な気分になるのは当たり前だ。それでもひだまりは話を続ける。「それで、鏡の国とベール姫の関係は親族で、マリーズ様とも繋がっているの。だから、月の国は、他国と比べて魔法界全体に関わる国事を担当する事が多いの。だけど、一応言っておくと、太陽の国もマリーズ様、つまり、虹の国と親族なんだよ。」(んっ?虹の国って何?)「ひだまり。虹の国って何?」「あぁ。虹の国は、魔法界統一国家の国の名前だよ。魔法界統一国家は、一年に一度、国が変わるの。でも、その一年で過ごした中で不満が無かったら、国変わりせずに、そのままその国が治める場合があるの。それで、マリーズ様が中心地にしていた場所が、虹の国で、今現在まで魔法界統一国家は虹の国なの。魔女魔法使いの下級魔女・魔法使いは、ぜんぶ引っくるめて魔法界統一国家というけど、中級魔女・魔法使いからは、虹の国とか詳しくいうようになるの。それぞれの国の色にも関わるからね。あたしが最初、魔法界統一国家って言ったのは、マノン達には、そっちの方が理解出来るからなの。」ひだまりは、そこまで話すとベール様をみた。(なるほど。)それにしても、ベール様がなぜ魔法界統一国家王、つまり虹の国の王、であるマリーズ様に上から目線なのか不思議だったけど、ようやく理解できた・・・たぶん。(それにしても、ひだまりもベール様も虹の国と親族だったんだ。)「ベール姫。そのようなお言葉をいただきに来たのではありません。あたし、せっかくはじめての遠足に行ける所だったのにーーーっ!」ひだまりは、足をバタバタとさせる。間違ってはいないが、もうそれどころではないと思う。(遠足の次の日も学校だったのにーーーっ!授業に遅れるよーーーっ!)私が、「ハァッ」と深いため息をついていると、「はぁ。そうですわ。わたくしがひだまり姫と他のお三人方を氷の国と鏡の国に連れて行ったのです。次元の竜巻は、政治業務の際に月型の水晶に魔力をためる上級魔女がおり、その者の魔力を使って発動させました。そして、なぜ術を発動させたのかに移りますわね。」ベール様はそこで一度、言葉を区切る。そして、そっと息を吐くとまた口を開いた。「術を発動させた理由は、ひだまり姫・・・いいえ。太陽の国が恨めしいからですわ。」その時、ベール様の声のトーンが一段と低くなった。声だけで、ベール様の恨みがどれほどかよく分かる。「太陽の国は、わたくし達月の国とは親族ですけれど、同時に虹の国の親族ですわ。ですけれど、わたくし達月の国の方が、虹の国の魔力を多く含んでいるわ。」ひだまりの話によると、魔力を扱う魔女や魔法使いは、その相手国の魔力をどのくらい持っているかでどれほど親族として近い関係なのかを示すらしい。「月の国の方が虹の国と近い魔力を持っているというのに、なぜそれほど近くない魔力を持っている太陽の国に国事が割り振られるのですか?普通は、月の国だけに任されるべきでは?それに、太陽と月の日照時間もですわ。日照時間のせいで、関われる国事の量も変わってしまい、お母様が悩まれておられたの。わたくしとってお母様は大事なお方なの。ですから、太陽の国の姫だったら接触しやすく、わたくしのように、大切な方も巻き込もうと思ったのです。」ベール様は、軽く息をはいた。(そういう事だったんだ。・・・)その後、私達の間に長い長い沈黙が続いた。

「そうだったのですね。ベール姫。」

ひだまりは、そっと息をはくようにして、声を発した。

「いいですね。あたしは、ママサマが大事で大好きだけど、そのように身近な存在ではありませんもの。そのように、人を大事と思えて、その人のために何かをしたいと思えるという事は、大事な事です。でも、あたしには、ベール姫が月の国の女王を大事に思っているように、あたしはマノン達のことを大事に思ってる。だから、マノン達を傷つけたりするのはやめて。」ひだまりは、ゆっくりとそういった・・・。

「ひだまり姫。わたくしの気持ちを分かってくれたのならば、手を引きなさい。

わが月の国に国事をゆずり渡し、そして日照時間を月の国に渡しなさい。」

(なんだか、ベール様の様子が変だ。)私はなぜかそう思った。なんだかベール様の周りに黒いどんよりとした空気が流れている。そして、最後にベール様はこう言った。「さぁ、眠りなさい。美しい月の世界で。」と。(この声!この空気!私が倒れていた時とおんなじだわ!私がこの声がベール様だって気づいた最初の時!)

そう。この言葉は、月の国にたどり着いて、暗いどんよりとした空気の中でベール様に言われた言葉だった。

「だめ!ひだまり!眠っちゃいけない!」私は思わずひだまりにさけんだ。

私には後ろ姿しか見えないひだまりだが、先程までつぶりかけていた目がパッと開いた気がした。そして、そっと口を開いて、「太陽の光よ、お日様の光よ。月の闇を解き放ち、金色こんじきの光をあらわしたまえ!」とさけんだ。その時、ピカッ!とひだまりを中心にオレンジ色と金色の光が伸びていく。そして、ベール様の周りに広がっていた黒いどんよりとした空気も、スッと消えて行った。「ひだまり!大丈夫?」私は、オレンジ色と金色の光が消えたあとひだまりの所に走って行く。「うん。マノンの声が聞こえて、あたし、ちゃんと魔法をつかえたよ。ありがと!マノン!」ひだまりは、ニンマリと笑った。私も同じようにニンマリと笑った。そして、恨めしそうに私達を見ているベール様の方に視線を移した。「ベール様。ベール様にとって、月の国の女王がどれだけ大切な人か、私にもひだまりにもラインにも、グゥールにもよく分かるわ。でも、大切な人のためにしていいことと悪いことがあるの。だって、大切な人のために行動して、いけない事をしたら、大切な人が自分のせいだって自分を責めるかもしれないでしょ?」私は、ベール様の目を見てそう言う。すると、ベール様がハッとしたように上を向いた。(分かってくれたんだ。)私は、優しく笑ってみせた。すると、ますます驚いたような顔になった。そして、スーッと目が細められ、目を閉じる。(んっ?)私は、頭の上にはてなマークを浮かべる。人間界にこのまま返してくれそうだったのに、何もする気配が無い。

一時すると、また目を開けて、目を閉じる前と同じように、鋭い目つきになる。そして、そっと口を開く。「あなたでもやるのでは?目の前に大切な人が現れたら。」そうベール様が言うと、私の前に小さな星達が集まって来た。「なっ!何!?これ!?」私は、ジリジリと後ろに下がって行く。そして、星が何万個か集まった時、ピカッ!と黄色の光が放たれた。すると、ひだまりが、「黄色だ!マノン、先に言っておくと、黄色は・・・。」私は聞き取ろうとするが、星達がシャラシャラと鳴って、途中から聞こえなかった。そんな事をしていると、星達は消え、目の前には私と同じくらいの背たけの男の子が立っていた。「えっ?だれ?」私は、そーっと男の子の顔を見上げた。「・・・!」声が出なかった。目の前に立っていた男の子、その子は、間違いなく[つばさ]だった。つばさは、私の昔の友達で、ある日を境に消えてしまったの。(どうしてつばさが?どうして?何故?)そんな事ばかりが頭の中を駆け巡る。「久しぶり、マノちゃん。元気だった?」つばさは、小さい頃、まだつばさがいた頃に私に見せた笑顔をまた見せてくれた。その瞬間、私の目から涙が溢れて来た。「つばさ・・・今までどこにいたの・・・?なんであの時、消えちゃったの?今、どうしてるの?」私は、涙をぬぐいながら、そう聞く。「泣かないで、マノちゃん。ねぇ、マノちゃんにお願いがあるんだ。・・・一緒に来てほしいんだ。」「えっ?どういう・・・。」私は、突然一緒に来てほしいと言われて、思わず目を瞬く。「いいから。一緒に来てくれたら、一緒に暮らそう。」「でも、家族は?家族はどうするの?それに、友達も。」私は、つばさの後ろの方で心配そうに見ているひだまり達を見た。「早く行こうよ!マノちゃん!またせないでよ!」つばさは、そう声を荒げると、むんずと私の腕を掴んで歩き始めた。つばさが歩き始めると、向こうの方に黒いトンネルのような物が現れた。(なんだろう。あの中にはいってしまったら、もうみんなとは会えないような気がするわ。そんなのは・・・イヤだ。)私は、目の前に見えるつばさの背中を見つめた。ズンズンと歩いて行き、さっきまでは遠かった黒いトンネルは、今では3メートルもない。私は、ひだまり達がいる後ろの方を見た。「マノン!だめだよ!いっちゃ!」ひだまり達が必死に追いかけて来る。でも、全く追いつかない。(あれ・・・?)その時、私の中に一つの疑問が出てきた。(どういう事だろう?今、つばさは早歩きしているだけなのに、走っているひだまり達が追いついていない。確か、つばさは私よりも足が遅くて、運動会のかけっこの時とか、いつもビリだった。なのに、足がすごい速いひだまりが追いつけないのはおかしい・・・もしかして・・・!)頭の中に考えたくもない予想が浮かんだ私は、思わず止まってしまった。「どうしたの?マノちゃん?」目の前にいるつばさが心配そうに私の顔をのぞいた。頭の中では分かってる。目の前にいるつばさは本物では無いということを。だから、今すぐこの手を振り払ってひだまり達の元に戻らなければならない。でも、頭の中のほんの片隅に本物であってほしいという気持ちもある。そんな事を考えていると、また涙が溢れて来た。「どうしたの?マノちゃん。何故泣くの?」「マノン!大丈夫?」「大丈夫か!?マノン。」「どうしたんだよ?マノン?」

つばさ、ひだまり、ライン、グゥールが、それぞれの言葉で私を心配してくれる。だけど、それぞれ言葉は違っても、同じ気持ちがある、[大切]という気持ちだ。でも、その気持ちは私も同じだ。だからこそ、ひだまり達を置いて行きたくも無いし、つばさが本物でなくても、一緒にいたい。「マノン?」ひだまり達が、私の言葉を待っている。私は、ゆっくりと口を開いた。「みんな。私は、選べないよ。私は、つばさが偽物だって知ってるわ。でも・・・でも離れたくない。あの日、いなくなってしまったつばさが全く同じすがたで、あの時から大きくなっていたらきっとこんなふうに成長してるんだろうなとか、考えてしまって・・・。だからといって、図書館によく一緒に行くラインも、その兄貴分で仲間思いのグゥールも失いたくないし、それに、最近引っ越して来て、私をいい方に変えてくれて、一緒にいると楽しいひだまりも失いたくない。だから、私・・・」私はそこまで話すと一度、口を閉ざした。「マノン・・・。」ひだまりは、そう小さく声を発すると、口を閉ざした。私は、一度目を閉じて、息を吐くと、話を続けた。

「でもね、みんな。私、どっちにするか決めたわ。私はやっぱり、偽物のつばさより、ひだまり達を選ぶわ。」私が、優しく笑って言うと、ひだまりが、「それでもいいの?せっかくつばさって子に似てる人が目の前にいるのに。」と驚いたように言った。「そうよ。ひだまり姫と、ずっとあの日まで一緒にいた大切な人、どっちを選ぶかと問われたら、大切な人を選ぶものでしょう?」地上で私達が真剣に話していると、空に浮かぶ月のオブジェからベール様の声が聞こえて来た。「何故、つーくんというお方をお選びにならなかったの?」私は、ベール様をキッと睨みつけた。「私は、ひだまりから、色々な事を学んだわ。私は、今までこんな友達に出会った事は無かった。

つばさがいなくなって、私には友達というものが何か分からなくなって、元々大好きだった本をもっと読むようになったわ。そのあと、だんだん友達との交流は少なくなって、一緒に図書館に行くラインだけになってしまった。そこにひだまりが現れて、私の心を癒してくれて、もう一度友達の大切さを教えてくれて、私の友達になってくれた。だから私は、そんな大切な友達を捨てる気は1ミリもないわ。それに、そのつばさは偽物で、本物では無いわ。最初は色々悩んだけれど、ひだまりが教えてくれた事から思ったの。信じて待とうって。信じて待っていたら、きっと来てくれるって思っていたら、きっと願いは叶うって。叶わなかったとしても、つばさの思いを胸に、一緒に生きていこうって。だから私は、ひだまり達、私の大切な大、大、大親友達を選ぶわ。」「えぇ、そうですのね。あなたの友達思いの性格は、ひだまり姫によく似ているわ。では、わたくしからは何故つーくんというお方を持ち出したのか説明いたしましょう。私が大切なお母様の為にやっていいことと悪いことがあると聞き、あなたでしたらどうするのか考えた際に、あるもので見たつーくんというお方と、女の子の過去を持ち出そうと思ったのですわ。」その時、私の中である事が引っかかった。「何故、私とつばさの過去を知っているの?何故その女の子が私だってわかったの?」「一つは言えませんが、もう一つの、あなたがつーくんというお方と共にいた女の子だと分かったのは、私に大切なお母様の為にしていいことと悪い事があるとおっしゃった時の正義感に満ちた瞳と、優しい笑顔ですわ。」正義感に満ちた瞳は覚えていないが、笑顔をみせたのは覚えている。あの日、つばさに見せた笑顔と、今日、ベール様が私が話したことを理解してくれたと勘違いして出した笑顔だ。(今、思うと恥ずかしいわ。)私は、プルプルッと軽く身震いすると、またベール様を睨みつける。「何故、もう一つの私とつばさの過去を知っているのかを話してくれないの?」「まだ、知るべき時では無いわ。時はもうすぐ来るわ。その時になれば、おのずと分かるわ。」ベール様は、フッと笑った。すると、「もうそろそろ時間だわ。皆さん。特にマノンさん。またお会い出来たら嬉しいですわね。」最後、ベール様は、私の事を「あなた」ではなく、「マノン」と呼んでくれた。そして、優しく微笑みながら、手を振ってくれた。すると、地面に複雑な魔法陣が現れ、竜巻が吹き出して来た。(それにしても、私がこの月の国についた時、聞こえた声ってなんだったんだろう?)最後、そんな疑問が出てきた。そして、そのあとは覚えていない。夢だったのか、現実だったのか・・・。ただ、目覚めた時には、そこは、遠足の行き道だった。


☆★次回のひだまりもお楽しみに☆★♪

み〜なさ〜ん!月夜ですぅ!!

今回は、ちょっと短かかったですかね?

では、少し今回の物語の説明をしたいと思います!今回は、いよいよひだまりちゃん達を氷の国と鏡の国に行かせたのが、ベール様だとわかります。そして、なんと!ひだまりちゃんとベール様は親族だったんです!それに、魔法界統一国家の虹の国とも親族!すごいですよねぇー。それに、月の国と太陽の国、宇宙にあったー!(まぁ、人間界がいう宇宙ではなかったのですが・・・)

でも、今回は展開が違いましたよ〜。

今回は、ベール様にひだまりちゃんがお母さんを大切に思える事は大事だという事を教えてあげましたよね?いつもだったらこれで分かってくれるのに、今回は、全然効きませんでした!!それに、いよいよ攻撃もしちゃいましたよ。

次に、マノンちゃんも立ち上がりますが、なんと、なぜかベール様はハッとして、鋭い目つきに!そして、なんと、目の前につばさくん現る!ですが、そのつばさくんは偽物でした。それに気づいたマノンは、ひだまりちゃん達を選びました。マノンちゃんは、そんな事に屈しない女の子ですからね!仲間思いで優しい!みんな、分かっててね!

そして今回は、マノンちゃんがベール様に大切な人を信じるという事を教えてあげて、人間界に戻してくれました。

マノンちゃん、5日間くらいで大幅成長です!

みんなは、大切な人はいる?

私は、前のあとがきに登場した二人のお友達、お母さん、お父さん・・・とか、友達と家族とかですね。

みんなも、大切な人を大切に、そして、信じてあげてくださいね!

後、ひだまりちゃんが後半に言っていた「黄色」の意味を、活動報告に書いておきますね!

あと、活動報告のまえがきに登場してほしい人物はラインくんとグゥールくんのどちらがいい?で、投票してくださった方!ありがとうございます^ - ^。今回は、ラインくんが勝ちました!ひだまり#6では残念ながら勝たなかったグゥールくんをまえがきに登場させようと思います^ - ^

それでは皆さん!次回のひだまりもお楽しみに☆★


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