金属
ファンタジー作品で良く見られる金属を、ちょこっと紹介。
銅、青銅、鉄、鋼、銀、水銀、軟銀、金……。
世の中には様々な金属が存在していますが、ファンタジー世界にはファンタジー世界特有の金属が存在していますね。
古典ファンタジー世界では、魔法を使うために呼びかける精霊や妖精が金属を嫌う設定や、魔法に対しての絶縁効果を金属が持っている設定などがあり、それの例外になる特別な金属……なんてのもなかなかにロマンがある設定でして。
まあとにかく、ファンタジー世界でも登場する主な種類で、小説にリアルでの大雑把な金属の特性をご紹介。
なおその記憶もちょっと怪しいですので、実際に作品へ登場させる際には調べ直す事をお勧めします。
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銅
たくさん採れて、とても扱いやすい金属……と言われてます。
鉄より低い温度で融けて、鉄ほど硬くないので削ったりして加工するのも楽。
つまり柔らかい金属。
なので、国民的RPGで銅を使った剣が出てきますが、金属なのに弱いのはそういう事です。
しかし日常生活で使う分には十分な固さはありますので、料理道具としては十分に使えます。
しかも熱伝導率、熱が金属に伝わる効率が鉄より良いので、より調理道具に向いています。
しかし柔らかいと言う事は、衝撃を上手く受け流せる(粘りが強い金属)と言う事。
なので、その粘りの強さを利用して、大砲の金属として使っていた時代が近代まで続いていたそうです。
それは砲金と呼ばれていて、銅を主原料として人工的に他の金属と混ぜた合金だそうで。
今はもっと相応しい合金が開発されたとかで使われなくなったそうですが、大砲の概念が無い異世界へ転生や転移したら、この金属を開発して俺SUGEEE!するのも良いかもしれません。
青銅
銅と錫の合金です。
銅を使った金属であるのに、鉄にすこし劣る程度まで硬くなり、とても強い金属になったそうです。
鉄よりも劣化速度が遅く、長持ちする特長があるとか。
しかし陶器みたいに、強度の代わりに割れやすいって話も有ります。
が、剣等の武器なんて使えばすぐ壊れる消耗品。 手入れは雑でも、使う時まで長く保管できるなら武器の素材として選択肢に入るでしょう。
なのでモノの管理技術が劣っていた古代では、鉄より青銅の方が重宝されていた事でしょう。
なおどこで見た話か忘れたので真実性の保証をしませんが、こんな話があります。
青銅器時代とまで言われた青銅が廃れた理由は、当時の採掘技術で採れる錫をほぼ採り尽くしたので、青銅が作れなくなって終焉した。
これが事実なら、悲しいですね。
まあ現代でもその劣化速度の遅さを利用して、青銅像などを造ったりする以外にも、案外広く使われていたりするので復権した……と言えるかも。
あと、銅の項目で紹介した砲金は、銅9割錫1割の合金だそうで。
衝撃に強く割れにくい金属。 金づちで叩く鍛造をせず、鋳掛けて作る手法の鋳造で生産できるので、量産性抜群。
大きな弾を沢山の火薬で撃ち出す大砲なら、その火薬の爆発に耐えられる金属として最適。 だから(大)砲(に最適な)金(属)として砲金なのでしょう。
鉄
今も使われ続けている金属の代表。
金属を使うとなったら、まずコレと思い付くほどの知名度を持つ金属。
大抵の金属製品の要求に応えられる汎用性があり、鉄を主原料とした合金も豊富。
まあ絶えず手入れをしたり保護塗料を塗るなどの、何らかの対策をしないと、すぐにサビる欠点はありますが。
古くから人間の文明を支え続けている、万能選手です。
鋼
鉄です。
鉄の原料である鉄鉱石を、より高温で熱して高度に精錬した鉄です。
鉄より硬度が高くなり、より丈夫に、より頑丈になった鉄です。
現代で鉄と言えば、大抵はこの鋼を指します。
この鋼こそ、現代の礎と呼んでも良いかもしれません。
銀
ファンタジー世界でアンデッドに有効とか言う、不思議な金属。
銀は鉄ほど硬くないので、武器として使っても有効とは思えないのですが、世界によっては鉄より強い金属として扱われたりもします。
中世時代では精錬した見た目がキラキラでキレイなので、アクセサリーに使う金属だったりしますが、それよりも重要な性質を持つために貴族階級以上から重宝されていました。
それは(極一部の)毒に反応して変色する性質です。
皿などの食器として使うんだとか。
その毒が何なのかは言いませんが、食べようとしたら銀食器が変色し、なんだと調べたら毒だった逸話からですね。
それ以降は極一部でも毒入りだと分かって回避できるならと、銀食器を使うのが基本となったのでしょう。
まあそんな身を守る道具やアクセサリーとして需要が常にあるので価値がそこそこに高く、銀貨としてお金にも使われます。
なおその反応するはずの毒ですが、現代でも同名の物質はありますが、銀食器は反応しないとか。
あと、シルバーアクセサリーを買った経験のある方なら分かるかもですが、銀は曇りやすいです。
かなり短い間隔で磨くなどのお手入れをしないと、ひどく黒ずんでしまうデリケートなモノでもあります。
しばらくお手入れしてないと、その分光を取り戻すのに苦労する金属です。
シルバーアクセサリーが格好いいからと安易に買って、曇り放題曇らせたソレを身に着けて歩いていたら、ズボラな人だと見られてしまうかも。
なので、アクセサリーとして銀を使うなら、お手入れし続ける覚悟でどうぞ。
水銀
毒です。
銀が水みたいになっている様に見えるから、水銀。
大昔に美容品、化粧品として使われていた時代もある、毒です。
現代でも少し前まで体温計に使われていたり、量産できる鏡のガラスと土台の間に挟む反射面として塗られていた時代もありますが、毒です。
体に塗るだけでなく、飲むのももちろん危険です。
中世時代の医学医術なんてテキトーも良い所で、見た目からくる雑な印象で「効きそう」とか決めつけて使っていたとか。
なので、中世風ファンタジー世界へ転生や転移した女性はお気を付けください。
あなたが買ったその美容品。 毒かもしれませんよ?
軟銀
軟銀とはなんぞや?
とお思いでしょうが、要はアルミです。
見た目は銀の光沢だけど、銀より軟かくてグネグネの、何に使っていいのか分からない金属……だったかも知れないモノです。
ですが、現代では大活躍ですね。
家のサッシの枠、1円玉の主原料、食べ物の包装金属、果ては飛行機の素材にも。
…………飛行機にアルミは使われてない?
いえ、アルミ合金の中にはジュラルミンと呼ばれる合金がありまして、それが軽金属飛行機と呼ばれる種類の飛行機に使われています。
警察で強化プラスチックかな? の盾になる前に使われていた金属盾も、ジュラルミン製です。
なお使われなくなったと言っても、その見た目の重厚さから、威圧感が欲しい時にはジュラルミン盾を持ち出す事も有るとか。 本当かは分かりませんが。
アルミ系合金になると、話がガラッと変わってくるんですよね。
アルミ……マジですげぇ。
そしてそれを知っている現代人。
そしてアルミの使い方やジュラルミンの作り方を知っている人物が異世界へ行ったなら、そりゃあもう使いますよね。
金
言わずとしれた、高級金属。
柔らかくも極めて安定した金属で、酸なんかでもほぼ溶けず劣化しにくいのが特長。
あとその劣化しにくい特性によって妙に惹かれる光沢を放ち続ける様子から、金属製の装飾品としての強大な価値も持ちます。
かのミダス王の、酒以外の触れた全てを金に変えてしまう呪いの話みたいに、金に心を狂わされた人は沢山居ることでしょう。
その価値と採掘であまり採れない希少性により、高価な硬貨である金貨として使われたりしますね。
なお工業的にもかなり重要な金属で、電気の伝導率がかなり高いので、高性能な電子機器を作る際には必須とも言える素材です。
金で作った武器防具などは、金自体の柔らかさから、まず武器防具として使えません。
鋼の武器と打ち合いでもしたら、一発でスパッ! か グニャ! ですわ。
混ぜ物をすれば実用品にもなりますが、混ぜ物と言っている以上金としての価値は下がります。
玉鋼
日本人で刀の知識を持つ人なら、大抵が知っているアレですね。
日本の江戸時代辺りまで、日本で作っていた鉄と言えばコレだったとか? 正確には知りませんが。
原料は砂鉄。
それを炉で製鉄して、できた物が玉鋼。
日本刀の素材として有名で、有電のゲームで刀を作る時もそれの為に玉鋼が素材として登場するほど。
リアルでは包丁を打つ時にも使われたりしますね。
ダマスカス鋼
リアルでも実在する木目状の模様が特徴の鋼であり、なんか古代インド辺りで開発された、るつぼ鋼やウーツ鋼とも呼ぶそうです。
現実の日本ではダマスカス包丁として最高級の扱いを受けるとか。
それだけ丈夫で切れ味もある、強力な包丁を打てる素材です。
ファンタジー世界ではもっと特殊な素材として登場するみたいですが、実在する金属でもあります。 その認識は持っていて頂きたいです。
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ここからファンタジー世界特有かつ代表的な金属を少し。
オリハルコン
現実の古代ギリシアやローマの文献に残る、アトランティスに有ったとか言う、神の金属とも呼ばれている金属。
現実ではそれらしい物を見つけて解析した結果、銅を主原料とした合金ではないかと言われています。
なのでそれを反映するなら、神銅となるでしょうか。
まあ銅では有り難さとかがあまり感じられないのでしょう。 神鉄でオリハルコンとする作品をよく見かけます。
神の金属とするだけあって、それを使ってできた物は性能が極めて高くなり、聖剣とか伝説の剣とかが出来上がることもよく有りますね。
ミスリル
ファンタジー作品の大家が書いた物が起源とされています。
その作品中で、かなり重要な位置にいる金属。
日本では、某最後の幻想シリーズで知った人が多いのではないでしょうか?
この金属はそのゲームの影響か、鋼より強いけど、もっと強い金属がある。
そんな中途半端な位置にされてたりしますね。
特徴はファンタジー特有の概念、魔力のこもった金属とされて、鋼より軽く、しかし頑丈。
銀みたく曇って黒ずむ事がない、本物の銀とも原作では言われている。
魔力がこめられている下り通り、魔法の道具化するのに向いた素晴らしい金属。
そんな感じで扱われてますね。
ヒヒイロカネ
漢字では緋緋色金、緋々色金、日緋色金と書き表されたりします。
緋は赤系統の色で、文字通り赤い色をした金属だったとあります。
大抵は玉鋼系素材の最上位扱いだったりしますね。
それもそのはず。
資料となるモノによれば、太古日本の金属とされているから。
それによれば既に採り尽くして枯渇した金属と言われているそうで。
モノとしては金より軽く、合金にすれば金剛石より硬く、永久不変の金属だったそうな。
採り尽くされるまでは日常に普及していた金属で、常温のヒヒイロカネは木の葉数枚を薪にするだけで水が湯になって沸騰するほど、驚異的な熱伝導率だったとか。
他の資料では餅鉄をヒヒイロカネと勘違いしたり、オリハルコンと同一視されていたりしますが…………どうなんでしょうね?
魔鉄
鋼より強く、ミスリルよりは弱い武器防具を作る魔力のこもった素材として、時折見かける素材。
文字通り鉄に魔力がこもった物で、扱いは大体は鉄と同じ。
作品によって、鉄に魔力を流し込めば作れる半人工金属であったり、そんな作り方は出来ない完全天然鉱物だったり。
この金属の扱いにコレといったモノがないのが特徴。
共通設定としては、魔力に親和性を持つ鉄。 ってだけでしょうか。
なので作品でどう扱うのかは、作者様方次第です。
以上、ファンタジー作品でよく見かける金属達を紹介しました。
これだけかと訊かれれば、作品ごとに独自の設定を持つ金属が当然出てきます。
特定の種族だけが製法を知っている特殊な金属とか。
魔力の塊が物質化した結果生成された幻想金属とか。
誰も見ていない空中で偶然生成される設定の、本当にファンタジーな金属とか。
ファンタジーと言うかメルヘン方面の、ねこのあしおとみたいなどう採取すれば良いのか分からないモノから、生成したり合金として混ぜ込んだりして作る金属とか。
あなたの書くファンタジー作品を彩るスパイスとなる金属。
こんなのにこだわる作品も、面白いかもしれません。
あとはコボルト(本来はコボルド)が金属を食べて生み出すと言う設定の、コバルトもありますね。
コバルトは実在していますが、そのコバルトがコボルトと言う名前の元ネタとなっているとか。
そういった実在する金属をファンタジー要素に絡めて新しいナニカを創り出すのも面白いかもですね。