アンデッド(UNDEAD)類
ファンタジー世界によく存在している、不死者、死を乗り越えたモノ、永遠の眠りを妨げられた悲しきモノ。
死を否定・無かったことにされたモノ。
だが大抵は不完全又は理不尽な状態で死への旅路を止めている、止められているモノなので、知性が無いモノが多い。
ゾンビとかで 肉体が動いていない=死 で、それを動かすから死を否定しているという、ある種無茶な意味づけでアンデッドとして分類されている事もある。
そんな彼ら彼女らを紹介。
なお一部はアンデッド扱いされているが、実はアンデッドではないモノも一緒に紹介します。
ファンタジー世界に置けるお約束な敵。
どんな理由か、生を奪われたモノが立ち上がり、生ある者を同類にせんと徘徊するアレ。
作品世界によって理屈や感染症みたいに感染るとかの設定が違いますし、そもそも死者が起き上がるのではなく最初からそう言った見た目ってだけの、不思議な魔物だったりしますが。
そうだ。 UNDEADですので、アンデッドです。 アンデットではありません。
時々この誤表記を見かけるのですが、見るたびに悶えてしまいます。
まあ作品別アンデッドの設定辺りには突っ込まず、代表的なのを列挙します。
ゾンビ
言わずとしれた、現代パニックホラー映画の王。
生命活動をしなくなった有機体ですので、防腐処理を施さねばどんどん腐っていきます。
大体の作品では人間は脳に安全装置があって、命が無くなったらそれが働かないので生前より力が強くなっている。
なんて書かれますが、実際のところは疑問。
なにせ動かそうにも、動く命令を伝える神経の保全が出来ていないし、実際に動かす筋肉も腐ってきてる。
なのにどうすれば全力で体を動かせるのかと。
そもそもとして生命活動をしていないのですから、体のメンテナンスもされていません。
細胞が常に働き、肉も骨も作り直し続けているから体を動かせるのです。
なのにそれをゾンビはしていません。
ナニカを食べても、消化できるのか? 消化できないのなら、体を動かしたりメンテナンスする為の栄養すら完全に足りないので、なぜ動き続けられるのかの疑問が余計に深くなる。
つまり人間でも24時間立ちっぱなしなんて苦痛に感じているのに、体をメンテナンスしていないゾンビが立ちっぱなしで居続けて、肉や骨が保つのか。
成人体重の負荷を足にかけ続けて、疲労骨折せずにいられるのか。
など、疑問は尽きません。
ゾンビで一番の脅威は、顔見知り以上の相手のゾンビと相対した時。
仲良くしていた相手を、自分の手で……なんて。 相手がゾンビになっていたとしても、どれだけ無惨な見た目になっていても、危害を加えたくなくなるのが人の心。
むしろその無惨な姿と以前の姿を比較してしまって、そのショックで動けなくなっている内に襲われることもあるでしょう。
そんな油断をしたら組み付かれて群がられて、食べられると分かっていても。
心理的なダメージは計り知れません。
なお、史実にあったゾンビは、ズンビー。
ちょっとアレな宗教で有名なブードゥー教が発祥。
元々は刑罰で、ズンビー薬によって意識を薄めて、誰かの言うことだけ聞く肉体労働者にする刑罰だったそうです。
その薬の形状は知らん。 水薬なのか錠剤なのか粉薬なのか、蒸気やスプレー状にして吸うのか、その辺は各自でお調べください。
なのでぶっちゃけ、本来のゾンビは遺体ではありません。
刑期が明けるものか、薬の効能が切れたら元に戻るのか。 その辺は興味がございましたら、皆様でお調べください。
そう言えばですが、リアルの現代にもゾンビウィルスの話ありますね。
昆虫に寄生して脳を侵食、神経系を乗っ取って……ってやるヤベーのが。
代表としては冬虫夏草ですかね。
それ以外にも、狂犬病なんてまさにゾンビウィルス。 おかしくなって、辺り構わず噛みつこう(攻撃しよう)とする病気。
人間としてはこの狂犬病ウィルスが1番警戒するものでしょうか。
今はまだ大丈夫ですが、変異して人間同士で感染するようになったら、ゾンビウィルスと呼ばれるようになるかも知れません。
キョンシー
こいつは広い目で見ると、ゾンビの一種。
ご遺体に、その体を制御する特殊な御札を額又はかぶらせた帽子の前面に貼り、操ったモノ。
挙動がとにかく怪しく、両腕を体から直角になるよう持ち上げ、手首より先はピンと突っ張らせて限界まで垂らす。
そして移動法は両足揃えてジャンプ。
力は異常に強く、アクション映画ばりにパンチ一発で敵を吹き飛ばし、壁にめり込ませる位の膂力である。
まあそれの元ネタは道教とか言うのからか、とても古い、日本のお隣産のアクション映画からなのだが……。
それをわざわざ紹介したのは、なんか年齢制限系のオリジナル同人誌で、不思議な盛り上がりを少し見せたジャンルだから。
キョンシー○って言って、結局のところ屍○なんてニッチなジャンルの亜種。 普通ならドン引くジャンルですが、なぜなのか( ・ั﹏・ั)
…………もしやモンスター娘のジャンルとして受け入れられたか?
わからん。
グール
見かける作品やゲームでは、ゾンビの強化又は進化種として扱われるコレ。
ゾンビより身体能力が高く背も高く知性を持ち、積極的に肉を貪り回る危険なアンデッド。
男性型がグール。 女性型がグーラと呼ばれるとかなんとか。
と、そう扱われていたりしますね。
でもですね?
でもなんですよ。
原種を調べてみると、屍食鬼なんですよ。
もうちょっと言うと、アンデッドじゃない。
ただの遺骸を食べて回る怪物なんです。
時には子供なんかを夜に連れ去って、食べてしまうとか言う怪物。
ええ。 命ある怪物です。
それがどうしてゾンビと同類に扱われるようになったのか……。
あ、このグールの元も、リアルで存在する様です。 現代でも。
その元ネタはと言うと、ズバリ墓荒らし。
それと戦争で戦死して放置されている兵士なんかから遺品を漁る、死体漁り。
子供を食べるってのは、まあそのまんま。 人を攫って他人へ売りつける人身売買や、営利目的の拉致誘拐の類。
これらが集まった結果できた怪物だと想定されています
墓荒らしは、ご遺体と一緒に埋葬された金目の物を探し、場合によってはご遺体に身に着けさせて埋めたりするので、そこまで調べている様子が遺体を食べているように見えたのでしょう。
あ。
海外の映画で見たことがありますでしょ? ご遺体を焼かずに埋葬する土まんじゅう。
日本でも時代劇なんかで見かけますが、大きな桶にご遺体を入れて、焼かずに埋める場所もあったとか。
戦場でのご遺体漁りなんて言うまでも有りませんよね。
鉄がいっぱい有ります。 それにちょっと手を入れれば完品に戻せる、良いものがあるかも知れません。
戦地へ赴く兵士のお守りにって、高価な飾りを持たせてくれる家があるかも知れませんので、それを見つければ大儲け。
はい。 戦場跡地はグールが沢山湧いた事でしょう。
スケルトン
動く骨。
ヒト型ならそのまま。
それと身につけた武器防具や攻撃方法によって呼び名に追加がありますね。
スケルトンソルジャー、ナイト、マジシャン、アーチャー、ヒーラー(クレリック)、キング等など。
スケルトンには他にも種類が有って、ヒト型以外の骨のスケルトンでも追加の名称が付きますね。
犬の骨ならスケルトンドッグ、鳥ならスケルトンバード、ドラゴンならスケルトンドラゴン等など。
かなり種類が多いですが、コレはどうなんだろ?
ってのもいたりします。
アイアンスケルトン。
ほら。
他にも金属を素材にしたスケルトンがいたりしますが、これらです。
コイツラってスケルトンの姿を模したゴーレムなんじゃ?
そう思ってやまない連中ですね。
他にも完全なアンデッドではないスケルトンっぽいのもいますが、それは別項で。
で、金属スケルトンは恐らくゴーレムとか魔法の道具とか、そんな種類です。
例外があるなら、全身の骨が特殊な金属になっているようなのがスケルトン化した時位。
自分が知っている骨が特殊金属なのって言うと、アメコミの全身タイツ爪オジサン。
実はあの爪って伸ばした骨なんです。 とんでもねー生き物だわ、あの謎男。
…………おっと、話を戻します。
と言っても、残りは余談ですが。
作品によっては面白いスケルトンの作り方がありました。
ダンジョン経営モノだったかな?
それで最初は侵入者のゾンビとグール。 しかも前述した元々の設定通りにアンデッド扱いにされていないグール。
それを組み合わせて、グールを隊長にしてゾンビを指揮させる部隊構成で、ゾンビの体が駄目になってきたら指揮官のグールのエサにする流れ。
で、ゾンビが食われたら骨が残りますよね?
その骨を使ってスケルトン化。
なんともエコで完璧な有効活用法……!!
これに思わず感心しましたわ。
ドラゴントゥース
一言で言うと、赤い骨の問題児。
コイツはとても強いスケルトンと認識されていますが、アンデッドではありません。
出自はギリシャ神話内の、アルゴ探検隊で調べれば出てきます。
このドラゴントゥースはアルゴノーツ一行がドラゴンを倒したあとに、女神アテナがドラゴンの牙から作った完全武装の戦士達です。
和訳だと竜牙兵と訳されます。
こいつらはアンデッドではなく、神によって命を吹き込まれた神の戦士です。
骨をバラバラにされてもくっついて立ち上がり、再び戦う。 恐れを知らない特攻野郎ども。
これをアンデッドと呼ぶのは問題が有ります。 冗談抜きで。
なのにこれをどう思ったのか、ゲームでは敵として扱われ、真っ赤な骨のアンデッドの姿になっていたりします。
ギリシャ神話世界のぶっ飛んだ倫理観の中、比較的善神のアテナが作った戦士を悪側で使う……。 うーん、自分にゃ無理ですわ。
ゴースト
幽霊の事。
なのですが、大体のゴーストは悪霊を指す場合が多い。
…………いや、成仏できないで幽霊にな(って出てく)るやつなんて大抵が悪霊ですので、そんな認識になるのも不思議じゃない。
主な攻撃方法はポルターガイストを始めとした霊障によるモノと、体を乗っ取る憑依と、魔法を良く見受ける。
大体が普通の人の霊なので、それほど強くないのが多い。
だが、例外ももちろんいるので油断は禁物。
ワイト
一部の作品で妙に人気がある(?)人骨系アンデッド。
作品や世界によってはエナジードレインを使い、レベルを吸い取ってくるヤバいのもいるとか。
エナジードレインがなくても、そこそこ強い魔法を使うスケルトンの一種みたいな扱いを受けるが、実は違うとされる。
ワイ(ト)もそう思います。
自分が確認できる最古の出自……の作品名は、大人の事情が有るので伏せるが、他人の遺体に悪霊が取り憑いたのがワイト。 だそうだ。
つまりハッキリとした自我がある。
こう言った情報を集め、今までなんとなく使っていた名称は、本来どんなモノだったかを知るのは面白いのではないだろうか?
スピリット
かなり扱いが難しいモノ。
スピリットは妖精や精霊、キリスト教世界によるヒトの心の良心に宿る聖霊とされている。
ついでにアルコール度数の高いお酒の種類となる、蒸留酒の総称スピリッツでもあります。
が、ファンタジー世界ではそんな生易しいモノではありません。
太古の神の眷属または神の末裔。
又は大昔に信奉者がいなくなり、信仰の力を得られず神格を失った元神。
そこまで行かずとも、貶められて汚された英雄の怨霊とか、恐ろしく強い怨みを抱えた怨霊とか。
ぶっちゃけ大怨霊とか言われる存在もスピリットに分類される場合もある。
そんな本気でヤバい精神体(悪霊)をスピリットと呼びます。
そんな存在ですので、遭遇する場所は決められています。
古代遺跡。 特に寺院や神殿の宗教施設っぽい所か大層な墓場、場合によっては城や王宮等。 それも祭壇や玉座なんかの、いかにもな場所。
どんな存在なのかの説明をした通り、神に近い能力(強さ)を持っています。
まず勝てません。 勝つつもりなら、本気の神と戦える力(勝てる程とは言っていない)が、必要だろう。
もし準備もなしに出会ってしまって衝突する流れになってしまったなら、命を捨てるつもりで逃げろ! 本当に運が良ければ逃げられるかも知れない!!
…………ゲーム的な話をするなら。
こいつらに対抗するには一流以上の冒険者達パーティーが適切な装備をし、スピリットの力を弱めるアイテムも持ち込んでようやく、死闘の果てに倒せるかどうか。
それだけ苦労して倒すなら、それなりの理由が必要だろう。
見果てぬロマンを探すため、莫大な報酬を積まれた、スピリットがいる部屋の奥にある物が必要だから、スピリットが関係する王朝の末裔から全てを終わらせたいと頼まれた。
どんな理由にしろ、スピリットは本当に強い。
もし戦うならば準備は怠らず、万全の態勢で挑むことを強く勧める。
武運長久を祈ります!
決して 〜〜ささやき〜〜えいしょう〜〜いのり〜〜ねんじろ〜〜 のお世話にならずに済むように!
死神
死そのもの。 死を運ぶモノ。 あの世からのお迎え。
大抵はキリスト教にあるペイルライダーやトランペッターみたいな姿で出てくる、骨にボロボロのフード付きローブで収穫用大鎌の存在。
ぶっちゃけます。
コイツはアンデッドではありません。
見た目は完全にアンデッドですが、アンデッドではありません。
そもそも死を扱うモノが死ぬって何?
コイツ等はあの世からやってくる使者で、知性がある……つまり魂があります。
肉体から魂が離れたら死。 そんな定義の世界で肉体から離れた魂を回収するのが仕事ですので、つまり知性=考える力がある=魂がある死神は生きている事になりますね。
他にも寒い所ではち合わせて、死神が白い息を出す演出とか見たことありますし、多分生命活動もしっかりやってるっぽい。
彼ら彼女らは不死者……死の概念が無い存在なのでしょう。
彼らが撃退されたとしても、死んだという印象が有りませんので。
そして実は彼らは神でもなかったり。
だって死神が属しているであろうあの世の、その主こそが神であろうから。
もし本当に神だったとしても、他の神に仕える眷属神なのだろうと、判断できます。
なにせ実際に体を動かして働く実働者が、総責任者であるなんてまず思えませんし。
彼らは恐ろしく強い。 神と呼ばれるくらいには。
でも、仕事で対象になっている魂以外は持っていかないのではないだろうか?
それが仕事なので。
まあ、その仕事を邪魔しようとするものが居れば、排除するかも知れないのは当たり前だろう。
なので、邪魔は極力しないように。
だが、死神は神話を見ると案外騙されやすい。
うまく行けば身近なヒトの死を先延ばしにできるかも。
そんな希望を胸に、命を死神へ捧げるつもりで愛しい誰かの命を守るべく交渉するのも、ひとつの手かも知れない。
リッチ
お金持ちであるとは限らない。
彼ら彼女らは自らの命と引き換えに、さらなる魔法を操る力を得た化け物達。
当然、相応に恐ろしいほど強い。
ちなみに姿は生前のままか、骨になっているかの両極端である場合が多い。
それはその姿でいる理屈に説得力が有れば、自分はどっちでもいいと思っております。
デュラハン
首無しの馬に乗った、首無しの騎士。
首無し騎士は小脇に首を抱えていたり、そもそも首がどこにも無かったり、意識して消したり取り出したり自由だったり。 作品によってまちまち。
デュラハンは死を予告する騎士です。 告げたあとは走り去るなどして消え、予告された日に再び現れたり現れずに命の灯火が消えるナニカが起きたり、直接切りかかってきたり。
デュラハンに告死され、その死を回避すべく動き出す。 それだけでひとつの物語の始まりになれる程に、デュラハンという存在は魅力に溢れていると言えます。
でもまあ、こいつ。
元々は妖精なんです。
でも首無し、死を告げる。 こんな不吉な要素が満載で、アンデッド扱いされやすいのですが。
コイツの出自は妖精です。
ですが、別にそれにこだわる必要はありません。
自分の知識と世界観では妖精ですが、あなたの世界ではアンデッドとして設定されている。
それでも構いません。
一番は、あなたの作品世界を面白く素敵にできれば良いのですから。
バンシー
全身黒尽くめで、ボサボサ白髪のお婆さん。
それ又はそれらが突然誰かの家の前で悲しみ啜り泣き、嗚咽と共にむせび泣く。
あまりにも不吉だが人目が増えてくると突然に姿が掻き消えてしまう。
そんな事があった翌日。 その家の者に“ご不幸”が訪れていた……。
はい。
そんな感じで、バンシー。 別名、泣き女。
彼女らは近々命を落とす……又は落とした者が住む家の前で泣く喪服姿の老婆達の姿で描写される事が多い存在です。
ですが再び言っておきます。
彼女らはデュラハンと同じく、妖精が出自です。
妖精から涙をもって悲しまれる。 しかもわざわざ姿を表して。 そんな人徳を持つ人が、この家に住んでいる(いた)
その意味を理解するだけで、彼女らをアンデッド扱いするのを、自分はですが、やりたくないですね。
ですがその様子から死の呪いを振りまく危険なモノと誤解されやすく、あまり扱いが良くありません。
なので心優しい主人公が、バンシー達への誤解を解きたいと動き、解決したら妖精の国へ案内してくれた。
そんな妖精の国への導入としては、かなり使いやすいです。
いかがでしょうか?
アンデッド種は大抵雑魚と扱われますが、結局は格です。
何をベースとするか、何がアンデッド化したかで、強さは変わります。
だがアンデッドで一番怖いのは、低級アンデッドの意志が無い事による、捨て身同然の大集団バンザイアタック。
疲れは感じません。 痛みも感じません。 体がどうなっても気にしません。 使役された場合は、ただひたすら決めた(決まった)行動を行う。
奴らは進み続ける。 命令通りに。
奴らは攻撃し続ける。 命令通りに。
損害なぞ知らない。 だって意志が無いのだから。 挫けて折れる心が無い。
ただただ進む。 ただただ蹂躙する。
命令通りに。 本能(?)通りに。
…………とは言え、全ては創作の話。
参考にする資料も、どんな設定にするかも、作者次第。
頭を硬くしすぎて身動きも悪くしてしまう事もあり、柔軟な思考で原典と比べて〇〇じゃないからダメ!!
なんて言わず、懐を深くしていきたいものです。