中世ヨーロッパの風呂事情(雑な内容)
書いた本人の偏見まみれ。
中世ヨーロッパのお風呂事情を基にして、味のある作品を書く叩き台にしてみませんか?
日本人が大好きと言われる、お風呂。
ではファンタジーの世界でモチーフにされる中世ヨーロッパでは、そのお風呂はどうだったのか?
ざっと見る限り、大半で扱いが悪いみたいですね。
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なぜ扱いが悪いのか。
それは、お風呂や銭湯なんかが定期的に出てくると書けば分かりますよね?
そう。 お風呂でも銭湯でも、出てしばらくしたら潰れたらしいんです。
理由は様々。
でも多くが衛生面。 なんだか感染症なんかの温床として、危ないからとお風呂禁止令が出されたそうで。
…………現代なら、はぁ? と変な声が出そうな理由ですね。
ただまあ、納得できる理由がありまして。
当時の街中では、通りのあちこちにゴミだけじゃなくて人や馬の汚物なんかも普通に落ちていたそうです。
それだけでなく、自分が見た絵では貴族なんかのVIPが使う銭湯って、複数人が入れる大きなドラム缶風呂みたいな湯船なんですよ。 湯船が木製か石製かは知りませんが。
火は焚かず、お湯を注ぐだけの。
でその湯船で何をするかですが、近くに食べ物やお酒を置いて、綺麗な女性と一緒に入る。
はい。 本生の提供サービス付きなお風呂屋です。 ねーちゃん、とりあえず生頂戴(謎)
一応当時の宗教は禁欲的な教えが多く、性関連も口酸っぱく宗教側から禁止とか制限とか言われていたかも知れない時代ですかね。
それで、言い訳として「お風呂へ入りに行っただけ」となりまして。
ただ当時ですからねぇ。 衛生観念が貧弱だった訳ですから、そうしたらビョーキはあげ放題もらい放題。
ええ。 病気の感染源で禁止令もやむ無し。
まあ生傷が絶えない人達が繰り返し入って、その傷口から血や膿をはじめとしたのが浮かんだり溶け込んで。
他の入浴客の垢と一緒に落ちた菌がお風呂の熱で完全に死ぬ前に、わんさと傷口とかから体内へ入って……なんて感じで発症する場合も有るかもですが。
しかも現代みたくお湯の浄化・濾過装置もないわけで、源泉かけ流しじゃなければ汚いお湯のままみんな入れ替わり立ち替わり……。
しかも沢山の人が入れば、お湯の温度は下がっていって殺菌効果どころか、逆に菌が活動・繁殖しやすい温度に。
ファンタジー世界なら魔法で定期的にパパッとお湯を張り直せたりしますが、リアル中世では…………。
その他で目立つ理由が、現代からしたらしょーもないのをひとつ。
国家転覆を狙う反乱分子のたまり場だから。
この場合のお風呂は、多分サウナ風呂かな?
みんなハダカで、危険な物を持ち込めないから命の心配をせず安心して話せる。
サウナの場合1度に入れるのは少人数だから、知らないのが入ってきてもすぐ分かる。
温度以外は理想的な密会場所なのかもですね。
とまあ、何かと理由を付けて潰れるので定着しなかったご様子。
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上記を見れば、分かりますね。
お風呂には、湯船にお湯を張るお風呂と、サウナ風呂の2種類があります。
それでどっちがお風呂の主役になるかは、地域の事情が影響されるようで。
もしお風呂が存在しているタイミングの世界を設定したり、異世界転生でお風呂を作りたいとなれば、どちらを出すのか考えても面白いでしょう。
と言うかぶっちゃけ水が沢山あって、木(薪)や石炭や木炭なんかの燃料も沢山用意出来る地域は湯船のお風呂。
片方が少ない地域はサウナ風呂。
どっちも少ない地域は概念が無いか、王族とかの最上級階級の贅沢か。
そんな感じでしょうか。
両方が豊富に、平民が気軽に使える地域なら、湯船でのお風呂に使おうって思い立てる環境が揃ってます。
近隣で湯船のじゃなくてサウナの方の風呂を使ってるよと聞けば、自分達も~ってサウナを作って使っているかもしれませんが。
片方だけ沢山あるなら、焚き火に水がかかって熱い蒸気がー! ってトラブルを見て思い立つでしょう。
こうすれば少ない資源で全身温まれるな、と。
焚き火だと消えちゃうし、焼き石を焚き火でカンカンに熱くして、水をかければ同じになるんじゃね? とかも。
その簡易版として沸かしたお湯で体を拭く、異世界転生や転移モノで序盤お約束の、アレとか。
両方が貴重な地域だと、思い立っても勿体無くて出来やしない。
あ、例外として温泉が湧き出る地域は、温泉を使うでしょうね。
どれだけ使っても温かい水が湧き出てくるなら、寒い時にそれを使わない手はないですし。
温泉と同時に蒸気も沢山噴き出している場所なら、蒸気口の近くに共同の炊事場があって、そこで蒸気の熱を利用して調理する光景が名物になっている……なんて設定が有ったら、人が活き活きと生活している雰囲気が出て面白いかもですね。
ただ、温泉が出る地域なんて、大体が火山の周囲。
いつ噴火するかわからん危険地帯として認定されるでしょうし、何世代か噴火してない記録でも無ければ、住むのも来るのも少ないかもしれません。
例外その2。 極めて寒い地域では水や木が沢山あっても、より高い温度になるサウナの方が好まれるかもしれません。
そうそう、日本での温泉の定義をご紹介。
意外かもしれませんが、温かくない温泉も存在します。
調べれば分かるでしょうが、定義は2種類あって、そのどちらかを満たしていれば温泉です。
一定以上の水温の水が湧き出てきている。
又は湧き出てきた水に、複数ある内のどれかの成分が規定量以上溶け込んでいる場合。
はい。 お湯が湧き出ているのばかりが、温泉じゃないんです。
ただまあ、そんなの中世位の科学技術力じゃあ分かりませんし、温かい水が出て来たら温泉……になるんでしょうね。
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調べたモノの中に、面白いサウナ風呂がありました。
田舎の合理主義なのかな?
パン屋の、パンを焼く窯の熱を使ったサウナ風呂。
パンが焼ける香りを嗅ぎながら入るサウナ。
腹が減りそうで困りますね。
そう言った設備のあるパン屋では、窯に火を入れる時に「パンを焼くぞー!」みたいに屋外で叫ぶそうです。
するとサウナの時間だと理解した利用者がやって来て、サウナで存分に汗を流して、パンを買って帰るとか。
いやー、そんな上手い手があるんですねぇ。
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実はサウナ風呂に自分は、あまり良い印象を持っていなかったりします。
理由は最近知られるようになった、ヒートショックと呼ばれる現象です。
気温等の変化で、体温の乱高下がおきると身体……主に心臓や血管へ負担がかかって、心筋梗塞や脳卒中で倒れてしまうのです。
銭湯で100℃近いサウナへ入って、出て来たらすぐ水風呂へドボン。
そして再びサウナへ。
こんな事をしてたら体温が乱高下して、間違いなく身体へ負担をかけています。
なのに“ととのう”とか言って、健康法とかされてたりするんです。
死ぬよ?
ただでさえ家庭用のお風呂でも、室温→寒い脱衣場→お風呂で気温水温差30℃~50℃位の変化で起きる現象なのに、それより大きい温度変化がおきるサウナですよ?
熱気のある浴場→サウナ→20℃行かない水風呂 これだけで40℃~80℃位の……もっとかな? の温度の急変化が起きるサウナですよ?
ヒートショック現象がいつ起きても不思議じゃない。
なので、自分はサウナが苦手ですね。
で、そんな現象がおきると中世ヨーロッパ位の科学知識しかない人達に、想像できるか?
無理じゃね?
となればそんな人々の目には、奇病に映るでしょうね。
寒い日にサウナ銭湯へ→うーー寒い寒い→サウナあったけー!→出たら寒い!もう一回温まる!→ギャー!さみー!!サウナー!
そうしている内に、今ほど栄養学も進んでないので食生活は偏りまくってて、身体が万全じゃないヒトへさらに体温乱高下の負担。
死ぬんじゃね? これ。
はい。
ヒートショックはマジで恐いです。
それを防ぐにはお風呂へいきなり飛び込むのではなく、足先からお湯をかけていって、ゆっくり高温に体を慣れさせてからお風呂へゆっくり入る。
それが良いそうです。
これを作品に入れてみれば、リアリティーが増すかもですね。
冬場のお風呂で入湯者が時々死ぬ怪事件。
身元に明確な共通点が無くて、なんで死んでしまうのかも分からない。
このままではお風呂禁止令を出さねばならない。
そんな時に転生者がひょっこりお風呂へ入りにやって来て、指摘。 ヒートショック防止策を講じたら、死者激減!
死因を見付けられた、俺SUGEEE!!(ワッショイワッショイ)
現地主人公でも、お風呂禁止令はイヤだ! 絶対に原因を特定してやる!
似た原因に、王家や貴族の城や館で働く者にも! 暖炉で暖かい部屋と寒い廊下の行ったり来たりで、倒れる事例を偶然発見!
寒暖の温度差かも知れない!
なんてね?
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湯船のお風呂の場合、排水設備の問題も地味にあったり。
排水設備がしっかりしてるなら、お湯の張り替えは簡単です。
でも排水が難しくて張ったお湯が1日ずっと同じだったら?
夜に風呂へ入る頃には、それより前の利用者達が流した体の垢が大量にぷかぷか。
追い焚きされて温かいお湯だったとしても、入る気になるかな?
その辺はまあ時間を見て、店のヒトが取り除いているかもですが。
いや、1日どころか水や薪代をケチって、数日に1回しか張り替えてなかったら?
もっとリスクがあるし、お風呂位の温度と湿度って一般的な菌が繁殖しやすいんですよね。
20~50℃(60℃と言う所もあり)が生存温度で、30~37℃が菌の最適温度で、低すぎるか高すぎる湿度は菌が好み、人の垢とかの餌も揃ってる。
これで、浴場がどれだけ菌の住み処になりますかね?
と、お風呂の種類やお風呂でのルール、客層や利用者数。
色んなのでお風呂に個性を出せます。
その地の文化や風習がうかがえます。
街の描写で一味足りない、生活する生々しさが足りない。
そんな欲望を持ちましたら、お風呂はいかがでしょうか?
必然的に生活に密着してしまうお風呂。
それを作品表現の候補に、なんて。
あ、あくまでも自分はサウナに良い思いが無いだけで、批判したりNOを叩きつけている訳ではございません。
あくまでも「いいえ、私は遠慮しておきます」の意味で言っているだけで、悪気はありません。
サウナにも健康に繋がる良い効能があるんでしょうし、お好きな方はどうぞお好きなだけご利用なさって下さいませ。
お風呂そのものが悪いものではないのですから。