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女生徒たちにさわりまくられて

タイトルから想像されるような危ない展開はありません。

 俺は変な仮面を被せられて、上半身は裸にされ、肌の上に怪しげな古代文字を落書きされている。

 ナディアや他の四人の侍女たちはクスクス笑いながら落書きを続けて行く。おまけにパンツ一丁になりながら太ももや足にも文字を書かれて、くすぐったいのをじっと我慢しているのだ。

「今の季節まだ肌寒いからブレステンさんをやる人いないので、人気があると思うよ」

「ブレステン? なんだ、それは?」

「厄払いをしてくれる人のことだよ。この格好で王立学校の前を通れば、みんなで体を触ってくれるよ。もちろん、握手を求めればちゃんと握ってくれるし。その後、滝に打たれる代わりに水を全身にかけてみんなから貰った厄を水に流すの。それを私たちでやってあげても良いよ」

「いや、それは俺が自分で水魔法で流すから良い。でも、そんなのを勝手にやって良いのですか?」

「良いの。もともとは自分自身の厄落としの為に始めるものなんだけれど、それならついでに自分のもって感じでみんなが便乗してくる。特に女の子はこんな真似できないから、ブレステンさんに厄を持って行って貰うために沢山来ると思うよ。

 本当にそれで簡単な呪いも取れたって話もあるから、たとえ授業中だろうと、ブレステンさんが来ればみんな学校から出て来ると思うよ」

「こんなのはよくある話なのか?」

「とんでもない。暑い夏の時はやる人もたまにいるけど、こんな肌寒い時にやる人はいないから、貴重だよ」


 そして俺は裸体をマントで包み三人の侍女と一緒に王立学校の前の道路まで来た。ナディアとマルマは学校で授業を受けている時間だ。一応授業が終わりそうな時間帯で、俺はマントを外して、侍女たちがラッパのようなものをプカプカと吹き鳴らし始めた。するとナディアとマルマが真っ先に走って来て、その後ろから沢山の女生徒たちが走って来た。男生徒も出て来たが、女生徒たちの手前遠慮がちに後ろの方で様子を見ている。男でも自分でやる者は最近いなくなったそうだから、他力本願で厄払いしたいのだろう。だが女性たちが当然優先なので、隅っこでじっと待っている状態だ。

 俺は一言も喋ってはいけないそうだ。ただ俺の頭の中は高速思考でパニック寸前になっている。全部鑑定でスキル確認をする余裕がない。手を出せば握手してくれるが、そんなのは数が限られていて、後ろに回って背中をペタペタとなするつけるように触って行くのだ。厄がしっかりこっちに移るようにベタァァッと一秒以上接触して行く。中には『バッシーン』と叩きつけてからグイッと擦り付ける子もいる。そんなのはもちろん鑑定できない。中にはしゃがんで他の女生徒たちの体の間から手を伸ばして足を触って来る者もいる。もちろん裸足だから足を触られてもいいのだが、何故か膝小僧よりも上、太ももの内側に触られると相手が女の子だけにゾクゾクッとする。やめてほしい。肉体に変化があったら隠せないんだから。彼女たちは俺に対して無駄な言葉は一切言わないが、貴族の令嬢が多いのにも拘らず、『早くどきなさいよ』とか『いつまで触ってんの』とか『通してよっ、痛いっ、誰、押したのは?』とかお互いの牽制の応酬がすごい。

 俺は脳内放送のボリュームをオフにしてバイブ仕様にしたが、頭の中はずっとバイブ振動が続いている。どんなスキルが入っているかは俺にも分からない。ただ、ちらっと見た鑑定で『空間魔法』とか『創造魔法』とか『魔力無限発生』など驚くようなスキルがあった。

 よく観察すると女生徒たちに交じって女性の教員や職員と思われる人たちまで触って来ている。

 そして触って来た女生徒の中には王族の子もいたし魔法も上級のものが珍しくなかった。一応カオス状態に見えても、身分の高い子は正面から従者たちに守られて触りに来るし、それ以外の子は背後から来るみたいだ。いちおう特殊なインクで書いた文字だったが、みんなが触って行くうちに少しずつ剥げて行くらしく、触った人たちの掌もインクで汚れていた。

 女性軍が終わると待っていた男子たちもやって来てごしごし触って来る。これはきつい。その後に男性教員や職員らしき人たちも来て触って行った。厄払いって教養のある人たちも信じているんだなと思った。

 最後に人がいなくなったところで俺はクリーン魔法で全身を洗濯した。冷たい水をかけられたら風邪を引いてしまうので、俺は温かいお湯でインクがすっかり洗い流されるまで洗った。

 その後乾燥させるとマントを羽織り、その場を立ち去った。

 実は『厄払い』は迷信ではなかった。俺はスキルをカットしたりする余裕はなかったが、呪いを持った子が俺に触った途端それが消えて行くのを何度か見た。

 だから俺は自分の体を洗ってるとき、それが流れて消えて行くのも確認したのだ。もし流れてなかったら、カットして地面にでもペイストして行こうかとおもったがその必要はなかった。

 だが背後から何も書いていないパンツの上からお尻を撫でたり掴んで行った女生徒はいったい何の積りだったんだろう?

 さてスキルコピーについてだけれど、バイブの振動音が時間差で脳内に鳴り続け、暫く止むことはなかった。

 漸く宿に戻って確認すると以下の様になっていた。


氏名:トム(エドワード・ブリードレッド)

年齢:15才

性別:男性

種族:超人族

称号:万能なる者

ギフト:なし

スキル:万能なる武術

    万能なる体術

    万能なる技術

    万能なる魔法



 

 超人族ってなんだ? いちおう人族をベースにしているから人間の範疇なのだろう。

 スキルが減った……と思ったら細かいスキルが全部統合されてすっきりになったのだ。

 万能と言ってもそれは百パーセントではなく、ほぼ完全ということだ。この世界にあるあらゆる武術・体術・技術・魔法を体得したのと同じ状態のようだ 。以前は魔法は中級どまりか不完全な上級魔法だったが、魔力を無限に発生できるスキルを得た為、上級魔法も得ることができたらしい。

 もっともこの世界にあるすべてのスキルを吸収した訳ではないのだろうが、なんとなく大部分を体得すると、まだ得られない分の隙間も自然と埋まってしまうような感覚がするのだ。八割を知って残りの二割も自然と分かってしまうようなそんな現象だ。


 


 その晩俺は熱を出して宿の部屋で寝込んだ。食事も断ってとにかく寝続けた。



 気が付くと俺は立派な部屋のベッドに寝ていた。傍にはナディアやマルマたちがいた。

「宿屋で寝込んでいるって聞いて、ここまで運んで来たのですよ。どこも異常がないと医者が言ってましたが、ただ熱が出ていつまでも寝ているんです。

 一週間寝ていました」

 ナディアの説明に、急激にスキルコピーを大量にしたための反動だったかなと思った。

 


 例の決闘は俺の体調が回復してから日を改めて行った。

 こちらから要望を出して15人の生徒とその従者15人の計30人とこちら側はナディアと俺の2名でやった。

 勝負は1分ほどで終わった。白い霧を出しておいて高速スピードで全員にパンチを与え気絶させた。ナディアには一切手出しさせずに終わってしまい後で文句を言われた。





 それから月日が経って三年後、俺が18才、ナディアが15才の時に伯爵家の要望で二人は正式に結婚した。

 この間の説明をすると俺は冒険者をやりながら急速に大きなクエストをこなし、魔物のスタンピードや邪龍の襲来に立ち向かって英雄と讃えられSSランクの冒険者になったため、国王から爵位まで貰ったのだ。

 そして王女などを押し付けられる前にナディアと結婚することを決心したのだ。

 俺としては自分の実家で跡継ぎをしたのと同じだが、それはずっと秘密にしている。

 父とは依然と疎遠になりがちだが、母には義母とは思えないほどよく尽くしているので、ナディアには感謝されている。

 自分の実母を大事にして嫁から感謝される男は俺くらいのものだろう。

 

 この後魔族との闘いとか勇者召喚とか色々な問題があるが、この辺で俺の話は終わろうと思う。これからのことを語ったところで、俺は強くなり過ぎたので特に面白いこともないと思う。それよりナディアとの間に子供ができたみたいなので、今からそれが楽しみになっている。

 男の子か女の子かはどうでも良い。たくさん産んでもらえばどちらもできるだろう。そしてもしギフトがない子が生まれても俺はがっかりしない。むしろいろんなスキルをペイストして大きく育ててやりたい。


 今から楽しみだ。

 

短い間ですが、ご愛読いただいてありがとうございました。

できれば感想をお寄せ頂いて改善したら良い点などをご提案いただければ

今後の創作の参考にさせていただきます。

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