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不安に揺れて

 嵐は既に丸一日以上続いている。

 外は暗く、今が昼なのか夜なのかよくわからない。

 少なくとも夜ということはないはずだが、昼間だと確信できない程度には暗い。

 時計というものがない以上は感覚で判断するしかないが。


「……」

 アスカたちが来ないのは、嵐だからだろうか。

 そうではない。

 いくら嵐が酷かろうと、離れ離れになったままで平気なはずがない。

 平気なはずが。

(……平気なのかも)

 そうかもしれない。

 発端はヤマトの失敗だし、捨て台詞と残して飛び出してきてしまったのもヤマトの身勝手な行動だ。

 無条件に、向こうも心配しているに違いないと思っていたが、そうではない可能性もある。


『クウ』

 不安にかられたヤマトに気付いたのか、グレイが喉を鳴らして顔を擦り付けてきた

 動物というのは親しいものの感情の機微に敏感だという。

 それは感情によってフェロモンなどの物質が分泌されるからだとかいう話もあるが、そうでもないと思う。

 家族に対する優しさなのではないかと。

「ああ、大丈夫」


 屋外からは吹き付ける風と雨の音ばかりが聞こえる。

 他には、何も。

「…………」

 自分の指先をじっと見つめ、意識を研ぎ澄ませる。

 エネルギーを、電気っぽい感じのエネルギーを、指先に集中。

 小さな火花から、それを大きく強く。

 そういうイメージで力を籠める。


「…………」

 数分間。

 目が痛くなってきた。

 瞬きすら極力我慢して見つめる指先には、何も変化がない。

 力を籠めすぎてプルプルと震えている程度で、静電気すら帯びていないのではないかという静かな様子。


 ――ゴ、ゴオオオオォォォォ!


 地鳴りのような振動が建物を揺らした。

「!」

 もしかしたら自分の魔術の成果か、と思って窓の外を見て、落胆する。

 落雷。

 ただの自然現象だ。

 今の雷をヤマトの不思議パワーが招来したなどと言うつもりはない。


 再度、自分の指先を見つめてみて、その手を下ろした。

(才能ないのかな)

 全くやり方の理屈がわからないので、この努力は何か間違っているような気がした。

 フィフジャも才能がないということだったし、それでも代償術は使えている。

 竜人はこの手の魔術を使える人が普人族より少ないらしい。だが肉体は強靭だとか。


(身体強化の魔術っていうのは認知されていないみたいだ)

 フィフジャの説明を聞いていたヤマトにとってはそれも魔術なのだが、少なくともロファメトの人たちは身体強化を魔術として認識していない。

 学問として研究する人がいないというので、こうしたものの分類が認識されていないのか。


「理屈がわからないんだよね」

 師がいない。

 フィフジャもこの魔術についてはあまり期待できないだろう。

 仮に教えてもらっても、最初から才能がなければ無駄になってしまう。


「そういえば……」

 ふと、ヤマトの脳裏をかすめる。

 自分は魔術を使えないんじゃないかと思ったのだが、先日それらしいものを使ったではないかと。

 いや、使ったというと言いすぎだが。


「あの、声のやつ」

 牙城で、ヤマトは建物が発していた振動をより明確にしようとイメージした。

 それはうまく噛み合って、室内に牙の声という不思議な声を響かせたのだが。

「まあそれも、朱紋の声とか聞いたのを思い出しながらだったけど」

 皮穿血であったり、風船であったり、母の子守歌の微かな記憶であったり。

 そういったことをイメージと重ねてみたら、思わぬ結果になっただけだ。


「…………」

 普段、自分はどのように声を出しているのだろうか。

 喉に手を当ててみる。

「あー、あ゛あ゛あ゛-」

 喉が震える。

 声を出すと、喉が震える。当たり前のことのようだが、確認したのは初めてだ。


 ――グロッゴオォッォオッォ


 再び雷鳴。

 部屋の壁を響かせ、ロファメト邸の窓を振動させる。

 それは、ヤマトの耳の奥も振動させていた。


「……振動」

 朱紋も、周囲の物を響かせて自分の声を遠くに届けていた。

 だからあまり大声でなくてもよく聞こえたのだ。低音が遠くに響くということとは別に、他の物体を振動させてスピーカーのようにしていたのだ。

「んっ、ンォォ」

 出来るだけ低い声を出してみる。

 低い音の方が響かせやすいかと思って。


「…………」

 集中する。

 先ほど指先に集中したのとは違い、今度は窓に向かって発声と共に集中する。

 技術的に製造が難しいのか、小さなガラスがはめ込まれた木製の窓に。

「ォォオ、オォォ」


 ――オォォ


 響いた、ような気がする。

 気のせいかもしれないし、雨や雷の音なのかもしれないが。

『ウゥ?』

 グレイの耳がぴんと立って、窓の方を向いていた。

「聞こえた?」

『ワン』

 肯定する。たぶん肯定の返事だ。


 ヤマトの気のせいではなく、グレイの耳で捉えられている。だとすればうまくいっているのではないか。

「ロォォ、ボオォ」


 ――ォォ、ボオォ


 重なるように、少しだけズレた風に立体的に聞こえる気がした。

 グレイはヤマトと窓とを見比べて、不思議そうにしていた。

 ヤマトの声なのに、ヤマトと違う方から聞こえると。

「できた、かな」

 これも魔術なのだろうか。分類はわからないが、魔術の応用なのではないだろうか。


 アスカに先んじられ、ヒュテに見せつけられたものとはどちらとも違うけれど。

 何も出来ないわけではない。かもしれない。

 朱紋のような妖魔が使っていた技術を、ヤマトも模倣できた。

(……でも)

 ふと思う。

 喜びかけた心の火をかき消すように。吹き消すように。


「これ、何かの役に立つかな?」

 やはりこの世界の魔術は、何でも無条件に役立つようなものではないのかもしれなかった。


  ※   ※   ※ 


「な、何やってるの?」

 よくないと思うのだ。

 年頃の娘が、同年代の男の子の部屋にノックもせずに入ってくるのは。

 どんな事態になってしまうのかわかっていない。意図せず気まずい雰囲気になる可能性もある。

 居候しておいて家主の娘に入ってくるなと言える立場ではないのだが。


「あ゛-、ラッザァ……ラッサ」

「何か気持ちの悪い声が外まで響いていたわよ」

 努力の成果だ。

 役に立つのかわからない特訓の。

「ものすっごいいびきなのかと思ったけど、何やってたの?」

「ええと……魔術の特訓?」

「なんで疑問形なのよ」

 理解してもらえるか自信がなかったので。


「ブーアの鳴き声みたいな声出して、他の人が聞いたら頭がおかしくなったのかと思うでしょうね」

「そんな声出してた?」

「屠殺寸前みたいな」

「…………」

 それはひどい。


 んっん、と咳払いして喉の調子を戻す。

 低い声を出し続けて変な具合になっていた。

「そんなに響いてた?」

「そこまでじゃないけど、ドアの前に立ったらわかるくらいには」

「ま、そんなもんか」

「魔術は出来たの?」


 ラッサにとってはヤマトが変な声を出していたことしか確認できないので、それが魔術の成果だとは思ってもいない様子。

 少しだけ顔を傾けて訊ねる。

 夏の室内着だからだろうが、薄手の服だ。白く薄い布地の向こうにラッサの素肌が透けてしまいそうで、ヤマトの心を動揺させる。

「出来ていたらあんな声出してないわね」

 少年の心の葛藤をよそに、ラッサはそう結論付けた。


「うーん、うーん」

 何と説明したらいいのかわからず、その理解で別にいいかと判断する。

 声が周囲に響く魔術とか言って、何の役に立つのかわからないのだし。

 そういえば父も、ウシシカ……こちらで言うババリシーの角で股間部を覆うケースを作っていて、母や祖母に何の役に立つのかと冷たい目で見られていた。

 祖父やヤマトには結構面白がられていたのだが。あれは遊び心だ。

 そういえばあの牙城の形はそれに似ている。まさかあれがモチーフというわけではないだろうが。


「それはともかく、ラッサ。どうしたの?」

 そんな薄着で部屋を訪ねて来るなんて、とまでは聞かないが。

 でもちょっとは期待してしまう部分があるのは仕方がない。

(アスカたちと連絡取れないってのに、僕って駄目だな)

 自己嫌悪もある。

 こんなことを期待している場合ではないのだった。嵐さえなければ探しに出たいところだが、逆にアスカたちも嵐を避けて屋内に避難しているか。


 探しに出ても見つかる可能性が低い。

 下手をすれば今度はこのロファメト邸がどこにあるのかわからなくなりそうだ。

 二次遭難……というのは探しに来た人が遭難するわけなので、迷子がさらに迷子になるのは何と言うのだろう。

「別に用事があったわけじゃないけど、話をしたいかなって」

「あ、うん」

(可愛い)

 困ったことにラッサは可愛かった。普段の強気な感じと、この乙女っぽい部分とがうまく噛み合っている。アスカに足りない部分だと思う。


 どうせ嵐で何かできるわけでもないのだ。話くらいいいだろう。

「ヤマトは怖がりだから、雷が怖いかもって」

「べ、別に平気だよ。雷なんて」

 お化けではない。自然現象なのだから。

「じゃあ、入るね」

 なぜ確認するのだろうか。

 確認されたら、ちょっと意識が高くなってしまう。ピンク色な方向に。


(ああ、アスカたちが心配なのに)

 そう思いつつ、あの妹とフィフジャならそう滅多な危機などないだろうとも思う。

 だとすれば、町の有力者の娘であるラッサとの交流を大切にしてもいいのではないか。

(……いや、ダメダメ。そういうの良くない)

 希望的というより願望的な考えで、よこしまな気持ちを優先させてはいけない。


 アスカは自分の妹で、親はもういないのだ。あれが危険な目に遭ったり、他人を危険な目に遭わせたりしたら、その責任は保護者であるヤマトにある。

 まずはアスカを確保してから、それからラッサと向き合う。それが正しい。

「昨日の話だけど……」

 ラッサは室内に入ると、ベッドに腰かけた。

 一応、机と椅子も備えられている部屋だったが、ベッドに腰かけた。


「戦争……抗争っていうのかな。僕にはよくわからないけど」

「私だって、こんなの初めてだもの」

 わからないわ、と唇を尖らせて言うラッサだが、少し元気がない。

 不安なのだろう。

 いくら戦う力があっても、数日後にこの町で戦いが起きると聞いて平静でいられるはずはない。

 ラッサにとっては生まれ育った町で、多少の事件はあったにしても、生まれてから今までこの町で戦乱などなかったのだから。


 日常が変わってしまう。

 不安に思わない方がおかしい。

「その話じゃないの」

「え?」

「そっちの話じゃなくて……じゃないこともないけど」

 歯切れが悪い。

 昨日の話というと、この後の争乱の話でなければ、黒鬼虎の毛皮を買いたいとか。あとは魔術の話。


「……ヤマトは、戦うの怖くない?」

「怖いよ」

 何を言い出すのだろうか。

 この家の人たちは、ヤマトのことを戦いが大好きな戦闘狂とでも思っているのかもしれない。ギハァトの最強の人と戦いたいかとも聞かれたし。

 そんなに血に飢えた顔をしているのだろうか。

 グレイの顔を見てみるが、お互いにそれほど獰猛な表情をしているつもりはない。


「死ぬかもしれないし、失敗するかもしれない。痛いのもいやだから」

 怖くて当たり前だと思うのだが。

「そ、そうよね。私ったら」

「でも、必要なら戦うよ」

 ヤマトがそう言うと、ラッサはその目を見つめて時間が停止したように固まった。

 ぼおっと。

 ヤマトの瞳の中に、何か違うものを見るかのように。


「そうやって生きてきたからね」

 生きるか死ぬかの戦いなら、今まで何度でもやってきた。

 相手が人間ではなかったが、それだけに容赦も慈悲もない環境で。

 ヤマトの方が人間を相手に躊躇しないかと言われたら、それはわからないけれど。

「怖いけど、戦わなきゃいけないなら戦う。自分と大切なものを守る為だったら、他の誰かを傷つけても仕方ない」

「そうね」

 ラッサが顔を伏せた。


 短い言葉は、素っ気ないようでどこか少し重い。

 薄い布地に隠れたラッサの肩が震える。

「……うん、わかった」

「話って?」

 何を話したかったのだろうか。

「大したことじゃないの。お願いっていうか、なんていうか」

 ラッサが立ち上がる。


 ラッサの身長はヤマトより少し低い。ほぼ真っ直ぐに、ラッサの目線がヤマトのそれと繋がる。

 その顔は不安に揺れている。

 どこか憂いを残したまま。


「私をあげるから、ロファメトの一員として戦ってほしいの」

「……あ、れ?」

 その話は、鉄拳制裁の対象ではなかったのだろうか。


「べ、別にヤマトのことを好きじゃないとかそういうんじゃないけど、でも仕方ないじゃない」

(なぜツンデレ的なんだ)

 言い訳のように捲し立てるラッサに少し気圧されながら思う。

 彼女の表情は真剣だ。真剣というか、差し迫った危機感がある。

 状況から考えれば仕方がないとも思うのだが。


「一人でも戦える人手がほしいの」

「う、うん、それはわかる」

「兄さんたちもいないし、お母様も……私だって戦えるけど、でも本当の殺し合いなんてしたことがない」

「そうだよね」

 既にいくつもの修羅場をくぐってきたと言われたらそっちの方が驚きだ。

「覚悟はする。本当に戦わなきゃいけないなら、覚悟を決める」

「そう、だね」


「だけど、怖いの」

 本心。

 ヤマトと同じ程度の少女が、殺し合いを怖いと言う。

 当たり前だ。怖くないって言ったらただの意地っ張りか、そうでなければ心のネジが外れてる人だ。

 先ほどヤマトに怖くないのかと聞いた。

 ヤマトは怖いと言った。それは別に恥ずかしいことだと思わないから。

 それでも必要なら戦う。ただそれだけのこと。


「私は、本当の意味で戦ったことがないから。試合みたいなのはあっても」

「うん」

「ヤマトが一緒なら、ちゃんと出来る。たぶんだけど、怖いのを怖いって受け入れて、戦える」

 そう言われても、ヤマトにはよくわからない。

 同年代の親しい人が同じ境遇にいれば心が安定するというラッサの主張なのだが、ヤマトにはそれがわからない。

 ヤマトにとっては生きる為に戦うのは日常だったので、その相手が人間に変わるという点が大きな違いになるにしても、最終的にやるべきことは変わらない。

 怖くても、冷静に敵の様子を観察して対処すればいい。そう思っているだけなのだ。


「あなたはとても落ち着いているわ」

 ラッサの手が、ヤマトの頬に触れる。

「一緒にいると、落ち着くの」

 精神安定剤だろうか。言われて嬉しくないわけではないが。

 けれど、少し違う気がする。


「その……あのさ、ラッサ」

 頬を触れる手を取る。

 何と言ったらいいのだろうか。


 ――ちょっと、不愉快だ。


 でも傷つけたくない。

「僕は、そんな理由で戦わない」

「っ……」

「女の子の体を理由にされて、それで戦うなんておかしいよ。それは違うんだ」

 餌を用意したから戦いを手伝って、だなんて。

 それは、ヤマトという人間をどう思っての発言なのか。

 もちろん悪意があってのことではないと思うし、不安で追い詰められての発言なのだろうけれど。


「見損なわないでほしい」

「ご……ごめんなさい」

 俯いて、手を引いて逃げようとするラッサ。

 それをヤマトは許さなかった。


「僕はバカで世間知らずだけど」

 その手は離さない。

「恩知らずや恥知らずになるつもりはないんだよ」


 本当なら抱きしめてもいいシーンなのかもしれないけれど、そういう度胸がない。

 覚悟がない。

 父は、最後まで母と家族の為に戦って生きていた。

 ちょっと抜けたところもあったけれど、その背中は最高に恰好が良かったと思う。

 このままラッサの言葉を受け入れてしまえば、それはそれで幸せなのかもしれないけれど、今はそうすべきではないと感じた。

 最後まで彼女と添い遂げるという意思は、少なくとも今のところ固まっていないのだから。


 それでも、報いたいと思う気持ちはある。

 出来ることなら、助けになりたいと思っている。

「僕は、ラッサの大事なもののために戦うのに引き換えなんていらない。ラッサが喜ぶならそれでいいから」

 顔が近い。不安そうな彼女の顔も、それはそれで庇護欲というか守ってあげたいという気持ちにはさせてくれる。

 いい香りがする。凶悪な誘惑がヤマトの心をくすぐるが、それには従わない。


「やま、と……」

「もっと自分を大事にしてほしいんだよ。ラッサは、可愛いんだから」

 面と向かっては言えないから、俯いて、照れくささを誤魔化しながら。

「君は堂々と手伝ってほしいって言えばいいんだ。それだけでいいから」

「……ヤマト」

 ラッサの涙声。


 泣かせたいわけではない。励ましたいのに。

「最初に会った時にも言ったと思うけど、笑っている方が可愛いよ。笑って、堂々としていてほしい」

「……うん……そうね。ごめんね、ヤマト」

 頷いて、そっと離れるラッサの手を解放する。

 柔らかな温もりが逃げて行って、少し心残りなのだけれど。

 でも、こんな形で戦う代わりになんて話で得たいわけではないのだ。


(心から惚れられてっていうのが恰好いいんだから)

 ヤマトなりの矜持である。

 ヤマトから数歩離れたラッサは、目元をぬぐって居住まいを正し、再度ヤマトと向き合った。

 その顔は、少し涙目にはなっているものの、先ほどより自信が溢れている。

 魅力的な瞳だと思う。

「戦いになったら、一緒に戦って。私を助けてほしいの」

「うん、わかった」


 そう言えば妹と話し合いが出来ていない状態でこんなことを約束していいのかわからない。。

 けれど、見つけ出してきちんと話そう。

 勝手なことばかりを言うと怒られるかもしれないが、わかってくれるのではないか。

(……たぶん)

 少し自信はないが。

 フィフジャは、どうだろうか。


『ウォン!』

 グレイが鳴く。

 自分が()()()()()と主張するかのように。

 そういえばそうだった。つい二人の世界を作ってしまっていたかもしれない。

 ラッサと顔を合わせて、お互いに照れた笑顔を浮かべた。


『ウォンッ! オンッ!』

 グレイが鳴く。

 ここにいる――と言うように……?


 ――ギヒュウウウ!


 強風と雨粒が吹き込んできた。

 それと共に、真紅の――

「この町の悪はスカーレ……」

 怪盗が。

 颯爽と、というには無理がある。ずぶ濡れのまま。


「って、その女なによ!」


 本当に、心の底から思ったのだ。

 欲望に身を任せていなくて良かった、と。


  ※   ※   ※ 

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