第6話 あやしい進化とダンジョンアタック
種 :【カオスシード】
職 能:【ソウルコピー】
▽ 【スライムシャドウ】
【ゴブリンシャドウ】
【オーガシャドウ】
スキル:【魔素吸収・プロ】
【魔素感知・プロ】
【影宿り・プロ】
【影移動】
【影収納・改】
【影吹き・プロ】
【影伸縮・プロ】
【魔素回復・プロ】
称 号:【理性ある狂気】
【同族喰らい】
【イレギュラー】
【エロ妄想くそ野郎】
【一人遊び上手】
【恩知らず・プロ】
【狂ったモブ】
【理不尽なリベンジャー】
【スキルアレンジャー】
【自家発電】
【獅子身中の蟲】
……どうしよ、進化しちゃった。
おそらくセルフ魔素吸収のせいだ。
称号に不本意なものが増えている。
獅子身中の蟲って! 誰だ! 人に寄生虫っぽい称号を付けた奴は!!
職能のソウルコピーっていうのは単に最適化しただけか。
スライムシャドウ以外はセットすることないし、今のところ最適化の恩恵はなし。
で、カオスシードって魔影の上位種?
いや、確か魔影の王体以上は成長しないって本能が言ってたし、これは変異種……らしい。
直訳すると、混沌の種。
どうもトラブルメーカーですってやかましい!!
「ぐっ! やめろ、俺の中の混沌を抑えきれないっ。俺ごと殺せっ!! 俺がっ! 俺でなくなる前に……頼む」
みたいな。
なんだか中二病くさくて恥ずかしい。
むっ? 本能が俺の魔素を引っ張っている? 恥ずかしいなら返せ?
答えはノーだ!!
魔素を返すと魔影に戻りそうだしイヤだ。
圧倒的にカオスシードの方が将来性を感じるし、なにより恥ずかしいけど、中二病は嫌いではないっ!!
というか、どうして俺は本能と魔素の取り合いをせんとならんのだ。
不思議現象、ここに極まれり。
◇◇◇
さて、あれから自宅に引きこもり、スキル大特訓の辛い日々を送っていた。
スライムさんが近づけばじゅるじゅる、後輩君が生まれたら吸う合間にスキルの練習。
本当に辛かった――暇すぎて。
ごほん! そのおかげか、影の使い方がかなりわかってきた。
自信もついたところで、そろそろダンジョン地下二階に行ってみようと思う。
――さあ、やってきました、ゴブリン部屋っ!
さすがの百発百中スキルだね、しばらく来ないうちにゴブリンコミュニティが出来上がってるよ――臭いよ!!
残念ながら、味覚と嗅覚のオンオフは出来ていない。
ゴブリン相手に特訓するのが嫌すぎてやる気出なかったんだ!
だから、臭いアンパサンド不味いはそのままだ。
ハロー、エブリワーン。
『『『『『ぎぎゃっ!?』』』』』
影収納を地面全体に展開、ずぶずぶと沈み出すゴブリン達。
足元に広がる影に怯えろ、必殺【影喰い】――
『ごっ!』
『ぎっ!』
『ぐっ!』
『ぐるっ!』
『ぐれ!』
『『ごよっ!!』』
はーい、見事なゴブリン風『カ行変格活用』でした。
収納スペースに意識をやると、下半分がぼとぼと落ちてて、ぴくぴくしてる部位が気持ち悪い。
すぐにペッと吐き出す。
部屋中にばらまかれた部位と虫の息の上半身ゴブリンズ。
くっ、誰がこんな酷いことをっ!!
さっさと魔素吸収。
おぇおぇお。
あー、不味い! もう一杯っ! とはならない。
そうだ、本能が魔素を欲しがっていたな――え? 要らないの?
俺の本能も嗜好は一緒か――
しばらくするダンジョンが、飛び散ったゴブ液もバラバラ死体も吸収してくれた。
完全犯罪をするならダンジョンに行こう!
てなわけで、次の行動にうつる。
影伸縮で細くした伸ばした影糸を階段の下へとゆっくり伸ばす、地下二階も明かりは壁石頼みで薄暗い。
ひんやりした空気で、お化けが出そう。【魔素感知】――
うおっ! うじゃうじゃと丸い玉がひしめき合ってる!!
げっ、こっちに転がってくるんですけど! って、なんだよ、お仲間じゃないか。やっほー。
そうそう、そうやって影を伸ばしてね、俺の影にピトってひっつけてね、魔素を引っ張っるように……吸うっ!!
いやーん、吸われちゃうーって、吸うなぁっ!!
おい、俺たちは仲間だろ? ……うわっ、収納スペースに入ってきた!!
ちょっ! て、撤退! 撤退だぁーっ!!
――影糸を索敵用に細くしてて良かったよ。
何匹か入ってきたけど、返り討ちにしてやったぜ。
魔影は濃厚ぷりっぷりのロブスターか、ほんのりと甘く優しい味わいだった。
なんで同族なのに襲われたんだ? 同族喰らいだから? 教えて本能さん。
あ、さいですか、カオスシードはもう魔影じゃないのね。
――となると、魔素大好きっ子の魔影達からしたら、俺って魔素の宝石箱やぁ。
影絵で両手をぱぁっと開いてみる。
冗談はさておき、敵に回すとなると結構面倒かも。
影宿りで気軽に俺の収納スペースに入ってくるし、収納口で切ることもできない。
なにより数の暴力。
俺が本体を広げた時に、スペース内に一気に攻め入られたら俺の核が危ないかも。
毒矢で核を狙う……、影収納で逃げられるか。
本能さん、どうしよう? うわ、返事がない。
漠然とした質問しても回答はないか。
むしろ、魔影と争うのはやめろとかなんなん?。
へいへい、本能ビビってるー。
あ、ごめんなさい。
――でもね、やめろって言われてもね、魔素量を考えると魔影ほど味も経験値も美味いのはおらんだろ。
よし、極細の影糸を長く長ーく伸ばして、何匹かずつ魔素吸収していこう。
派手さ? 要らない。
モブなので地味な作業は大好物。
こつこつ魔素を集めていけば、そのうち王体クラスでもまとめて吸えるようになるはず。
――やるぞぉー!!
◇◇◇
さしみ醤油が欲しい、マヨネーズでも可。
魔影、どんだけ多いのよ。
さすがに飽きてきた。
お口直しにゴブリンを吸ってしまうほど飽きた。
そして、口の中に広がる甘味成分を吹き飛ばしてマイナス気分になる不味さ、ゴブリン恐ろしい。
そろそろ、このフロアに魔影の王体はいなくなったかな。
残りの魔影は、どれだけ来ても楽勝だな。
おや? 魔素感知に新しい反応がある。
いくつかの部屋にあった魔素溜まりとも違う。
通路や部屋をふわふわと行ったり来たりと壁はどうしたんだよ? んー、宙に浮いているような。
影糸を伸ばして視点移動……、見えない。
魔素の塊はあるんだよね、だから何かがいるのは確実。
本能、あれは何? ――ゴースト!
ふわふわと目的もなく漂ってはいるけど、魔素はかなり多いな。
勝負してみるか、【魔素吸収】――ってこっちに気づくのはやっ!
――実体がない奴らは魔素感知スキルか何か持ってんのか?
ん? ゴーストの魔素が一ヶ所に集まっていくぞ。
うわっち!! 火の玉かよっ! 影が明かりで散らされた!!
あれ? 魔素が削られた? もしや、また弱点発見しちゃった?
魔法防御とかないの? っと、どんどん火の玉を撃ち込んでくる。
やば、さっさと対策しないと!
――タイミング見計らって……、魔素吸――あっつ!! ちょっと早かった。
ギョウ、ザー、ダイス……ぐあっ! タイミングが遅かったか!
チャー、ハーン、ダイスキー! 今だっ! 【魔素吸収】――
よし! 成功した。
元が魔素なら吸えるだろって暴論。
タイミング難しいけど、練習相手に不足なし。
チャー、ハン、ダイスキ……っづ! くそ、早かったか。
チャー、ハーン、ダイスキー! 吸う。
よし、これっ! このタイミングだ。
よし、火の玉撃ちすぎてゴーストの魔素が減ってきた、よし、反撃の魔素吸収じゃーい。【魔素吸収】――
うははっ! ありがとう、ゴースト。
君のおかげでまた強くなったよ。
職 能:【ソウルコピー】
▽ 【スライムシャドウ】
【ゴブリンシャドウ】
【オーガシャドウ】
【ゴーストシャドウ】
上位職:未選択
▽ 【マリオネット】
ゴーストでシャドウってどれだけ影が薄いのか。
しかし、さすが同系列、結構、有用なスキルを持ってるじゃないか。
【憑依】……生物に憑依することができる
俺の場合は、影を支配することできる? するとどうなるの? わからん。
【透過】……透明状態になるとどこでも通り抜けることができる
来たっ! これは覗きのライセンスだな! 壁から床からむふふふふ。
っとと、俺の場合は、半透明なのか。
でも、俺の知ってる透過って意味なら試したいことがあるぞ!
【火の玉飛ばし】……魔素を消費して火の玉を飛ばすことができる
火の玉飛ばしって……しょぼっ! ゴーストの火の玉よりも小さいな、使えん。
だけど、透過はかなり使えるとみた。
憑依はやってみないとわからんな。
あれ? 【マリオネット】とは? イメージ的には上位職能?
ほー! ソウルコピーで保有しているスキルによっては上位職が解放されることがあるとな? 早速セット!!
職 能:【ソウルコピー】
△
上位職:【マリオネット】――【影支配】【影読み】
△
【影支配】……生物の影を支配することができる
あ、ソウルコピーの憑依とかぶってるじゃん。
とにかく影を支配できる、はいはい。
【影読み】……支配した生物の思考を読み取ることができる
なんか面白そう。
上位職かぁ、これからは出てくる魔物の核は、なるべく確保しておこうかな。
さて、次は地下三階か、それにしても何階まであるのかねぇ――