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あやしい影に転生しました ~自己主張できない周囲に流され系だった不遇モブが、異世界デビューで思いつくまま気の向くままに投げっぱなしジャーマンする話~  作者: yatacrow
最終章 あやしい影に転生してました

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第55話 あやしい大ピンチ


 くそ、まさか扉ごと雷祭りとは思わなかった……。


 よし、仕切り直そう。【現影・アレックス王】――


「貴方が魔王ね? まさかさっきの攻撃でダメージが与えられていないとはね……。驚いたわ」


 あまり驚いた感じはないけど、王座には「ヨきにはからエ」でお馴染みのアレックス王を座らせてお迎えしてみた。


 ちなみに現影はエキストラスキルのわりには、ルークを作り出して巷の女魔人たちにセクハラをして反応を楽しむとか、ジャミラを作り出して巨乳をじっくり眺めたり、「あふーん」とか「いやーん」とえっちぃ声を出してギリアムをもんもんさせたりと大した使い道がない残念スキルだったりする。


「よく来た、ハレルヤよ。わしが王の中の王カタストロフだ」


 声も再現できるのでこういう時は便利!


「わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを……」


 ざしゅっ! うぉい、王様の額にナイフが生えた!?


 ……まだ俺が話してるのにナイフとか投げないでほしい。


 普通に実体化して話してたら死んでる位置だ。


 見た目がホラーだけど血が出てるわけでもないしそのまま続けよう。


「……もし、わしの味方になれば世界の半分をハレルヤにやろう。どうじゃ? わしの――」


「うちのハー君がそんな条件を飲むわけないでしょうがぁ!!」


 ざんっ! 一瞬で王座に詰めよってからの見事なけさ斬り。


 王様の右肩から腰までばっさり……。


 うん、いいんだ。


 このやり取りがしたかっただけで本当に味方になってほしいわけでもないし。


「うちのハー君はぁ! 世界の半分じゃなくて全部を支配するのぉ! ついでにあんたも倒して真の勇者なのおおぉお!! 細切れにしてやるわ! 【魔神切り】――」


 ……は? この女なんつった!? 【現影・アレックス王】――


「ま、待て、世界の半分じゃなくて何て?」


「だからぁ! うちのハー君が世界の王で真の勇者になるのよぉ! HP一桁にしたらハー君が王様から借りてきた“魔王殺しの剣”で止めさすんだからさっさと瀕死なさいよぉ!!」


 壮大な野望っ!


 そして絶対に返す気のない借り方!


 でも、魔王殺しの剣は本能がびくついてるところを見ると性能は本物らしい。


 ハー君、切り札の剣を背負ってるけどちゃんと使える? 持てるの?


 色々と敵ながら不安にさせるむっつりボーイだけど、ママンの愛の力でなんとかする気なのだろうか。


 って思考の世界に飛んでたらママンの剣から聖気がほとばしるっ!


 あぁ、無情にも王様の残滓に振り下ろされる――


 そんなの喰らったら瀕死どころかオーバーキルだと思うんだけど。


 当たる瞬間に現影解除っと。


 王座を粉々にされた……。


「ちぃ! 手応えないわね! ――そこっ!」


 ママンが返す刀で俺の影に狙いを定めて剣を振りかぶってきた。


 くそっ、場所がなぜわかる!?


 聖気が影に触れるとぴりぴりするから嫌なんだよ。


 ……これならどうだ!? 【現影・ハレルヤ】――


「ママン、やめてよ! 痛いよ」


「っ! ハー君!? なんでっ! 痛っ!」


 見た目をハレルヤ君に変えたおかげで、ママンの剣がぎりぎりでストップ。


 無理やり剣を止めたせいでママンの腕からぶしゅって血が飛んだ。


 この人、壁ごと切る気だったのか!?


 ママンが腕を痛めて動かないうちにハレルヤ君の影に……入れない? くそっ、それじゃ隣に幻ハー君を出してシャッフルタイムだ!


 がしっと肩を掴んでぐーるぐる。


「え? ええ? えええ? 僕……だよね? ってぐるぐる止めてよぉ!」


 おお! ハレルヤ君がしゃべった!


「そうだよ、ボクだよ。ママンのおっぱい大好き」


「まー! ハー君ったらこんなところで! もう……後でね」


 後ならいいの?


 頬染めて子持ちのアラフォーとは思えない可愛さ、このまま息子さんとして愛されたい……。


「ちがっ! ママ! 今のは僕じゃないよ!? ……それに僕はおっぱいなんて」


 引っ込み思案な感じなのは他人に対してで身内にはもう少しオープンなのか。


「ふふふ、ボクはむっつりじゃなくてがっつりだよ。ママン、大好き!」


「ひ、卑怯よ魔王っ!! ハー君から離れてよ! ……でも、がっつりのハー君もいいかも」


 二人の息子を目の前にしてこの対応、ヤンデール……。


「ママン、ボクは世界なんて要らないよ? ママンが居てくれればそれでいいんだ! もうやめよう?」


「何言ってるのハー君!? せっかく魔王をここまで追い詰めたのよ? 側近も空を飛んでる雑魚二匹だし、魔王殺しの剣もある。真の勇者になれるのよ!?」


「ぼ、僕は世界なんて要らない……。ま、魔王は倒したいけど僕にはその実力がない。今だって……怖いし」


 まさかの本物ハー君からの援護射撃きた!


「大丈夫よ、ハー君はママンが守るし、魔王も瀕死まではママンがやる。ハー君はママンの言うことを聞いていればいいのよ」


 私の言うことは絶対ってか!?


「で、でも僕だってママを守りた――」


「ハー君」


 セリフを被せて言葉を止めて――


「ママが守る、ママはハー君を愛してる。私の理想の息子、世界の支配者にして魔王を倒した英雄ハレルヤ。私はハー君を立派に育てた母になるのよ。だから、ハー君はじっと大人しくママの言うことに従っていればいいの」


 ハレルヤを見ているようで見ていない恍惚とした表情のママンを見て確信した。


――コイツ、子どもをアクセサリーと思ってる親だ。


 もちろん息子を愛してる感じはあるが、お人形を愛でるような愛し方。


 自分の思い通りにならない人形になった瞬間にぶちキレそうな雰囲気だ。


 なるほどハー君が引っ込み思案で自主性がないのは本能的に、母親から捨てられないように防衛してるのかもしれないな。


 ほんとにどこの世界もろくな親がいない。


 愛されすぎても愛されなさすぎても、子どもにとっては不幸な事だ。


 まあ、愛されてるハー君の方が俺よりはましか。


「……とんだクソババァだ」


「ちょっと! ハー君の顔でそんな乱暴な言葉使わないでよ! この!」


「うわ、ママっ!」


「えっ!? ハー君?」


 ノータイムで剣で刺してきたけど残念そいつは本物の方だ。


 あと少しで刺さりそうだったけど……。


「見た目でしか判断出来ないのかよ、ボク悲しいよ」


「ひ、卑怯よ! それに見た目だけじゃないわ! 私とハー君には愛の絆があるの。だから魔王がいくらハー君に化けたって私にはわかるの!」


 さっきから間違えまくってて説得力ないけど、まあ何か精神干渉的な能力があるんだろう……、ん? 鼻をすんすんしてるけど体臭で判断してない?


「おい、体臭で判断――」


「しっ、してないわよ! 何言ってるの? でも、ハー君の匂いは真似出来ないようね」


 一瞬慌てたように見えたけど嗅ぎ分けに成功したのか余裕顔になるママン。


「……で? 俺とハー君の見分けがついたとしても俺は影だから倒せないだろ? 今なら三おっぱいで見逃してやってもいいけど?」


 屈んで服とおっぱいの隙間を覗かせてもらうのと、下から服をたくしあげて見せてもらうのと、手ブラでいいや。


「くっ! 私のおっぱいはハー君だけのものよ!」


「今ならローマン地方をつけてやるぞ? 一おっぱいだ!」


 とんだクソババァでも美人のアラフォーおっぱいを見たい!


 もしかしたらドス黒いぽっちぃズが鎮座しているかもしれない、ハー君に噛み噛みされて悲しいぽっちぃズかもしれない、そのリスクを乗り越えてでもレディの秘密に迫りたい!


「くぁ? なんすかその単位は?」


「しっ! ハルピさん、ダメです。聞いてはいけませんよ」


 おい、そこ! ひそひそ話聞こえてるからな!


 ハー君はそんなやり方が!? みたいな顔で俺を見るな!


「……分かったわ。貴方だけに見せてあげるからこっちに来て。あっ、ハー君の顔はそのままで」


「ママっ!? そ、そんなのダメだよ!」


「黙れむっつり! お前も後でやってもらえばいいだろぉ! よし、屈んでくれ」


 むっつりハー君を黙らせてママンに幻ハー君の前に屈ませて上から――


「マスター! その女から離れてくださいっ! 何か企んでますよ!」


 ソニアのところからだとママンの顔が見えたらしいけど、俺に何か出来るわけでもないし、もしかしてジェラシー?


「……うざ」


 え? ソニア、それはガラスハーツの俺に言っちゃいけない……って屈んだママンは幻ハー君の足元に手を突っ込んでる?


 へー、俺の影って手を突っ込んだり出来るんだぁ……。


「って何やってんのぉ!?」


「うるさいわね! 頭の上で大声出さないでよ! 影だから倒せない? あははっ、バカねぇ! 光と影は表裏一体、勇者の家系を舐めないでほしいわね」


 え? 待って待って?


「知らないの? 影の魔物の倒し方はねぇ、コアを取り出して破壊するのよ。さぁ、光よ、矮小なる影をあまねく照らせ、影に潜みし邪悪の塊をここに引きずり出せ! ライトオブカルセドニー――」


 げ! 動かないっ!


 腹の中を照射されるようなもぞもぞぴりぴりとした感覚がぎぼぢばるぃ……。


「あは! 見ぃつけたぁ!」


 うがうがしてたらガッとアイアンクロー感と引っ張り出される感が込み上げて……。


 シャドスペ内はえげつなく広いし、俺の核はラスト大陸から動かしてないのに……?


 とりよせバッグ的な未来道具なスキルなのかなぁー?


 なんだそのチートはっ!?


「おう、二年ぶりのシャバだぜぇ……。うう、気持ちわりぃ」


 ママンに俺の核をアイアンクローで持ち上げられるし、手のひらの光のせいで床に影を伸ばせない……、これってピンチだ。


「マスター!」


「そこのアンデット、動くなっ! このままあんたのマスターを握り潰してもいいのよ?」


 この光……、思考を鈍らせる。


 というか今のソニアに投げたセリフって勇者の言葉とは思えないんだけど、流石ブラックぽっちクソババ……痛い、痛い、力を抜いてください、ごめんなさい。


 ちょっとどころじゃなくて……油断した。

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