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あやしい影に転生しました ~自己主張できない周囲に流され系だった不遇モブが、異世界デビューで思いつくまま気の向くままに投げっぱなしジャーマンする話~  作者: yatacrow
第二章 あやしい知り合いが増えました

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第48話 あやしい王様


 おバカと煙は高いところが好きっ!


 というわけではないが、核と魔素集めがてら皆で登山なう。


 龍族を時々見かけるが本拠地はラスト大陸から北に進んだ先にあるスー大陸の山脈地帯のどこかにあるらしく、龍奏祭の時でもなければそんなに山頂にいるわけではないらしい。


 そんな登山の道中で俺たちの栄養になっていた魔物たちがこちら。


 ワイバーン 【鉤爪】【ブレス】【飛翔】【高速飛行】


 毒のブレスを吐く厄介な奴、といってもハルピが死にかけただけだが。


 大きな翼を持つ翼竜、“竜”であって“龍”ではない。


 どう違うのか――


「知能の有無です! マスター、次の矢を!」


 はいはいっ、【影分身】【変形・影矢】――


――ぱしゅっ!


 ギャオオオオオっと英語で叫んでいそうなワイバーンの翼に、俺の影矢が突き刺さる!


 はい、いただきます!【魔素吸収】――


『ふう、ご馳走様っと。やっぱり空の魔物には弓だよなぁ』


 甘辛の手羽先風味、冷やして食べる手羽先の方ね。


 何匹かワイバーンが編隊組んで襲ってきたのが落ち着くと、お相撲さんレベルの大きさの鷲――ガルーダ――と四足歩行、固そうな鎧に覆われた顔だけ竜のサイ――レッサードラゴン――が現れた。


 大鷲とサイ、語彙力? 前世での学のなさがバレる瞬間。


『ガルーダ、何か持ってないか?』


 くえぇぇぇ! っと岩を落としてきた。


「マスター! あの岩は――」


『ラァブ、打ち返せっ!』


 一番、ファースト、ラァブ――


 触手を捻り込んでバットにして構えるラァブ。


「シェイドちゃん、お任せぇ!」


「ボムロックと言って衝撃を加えると――」


――ちゅどおおぉぉぉん!!


 ンヂィィイ……、ヂイィィ……、イィィ……


「クァー! ラァブ様が爆発したっすー!!」


「爆発しますので落ちる場所には近づかない方が……」


『ソニア、それはもっと早口で!?』


「あぁん、酷い目あったわぁん」


 超回復したはずなのに――


『なんでアフロヘア?』


「お、や、く、そ、くぅ!」


 ドリフのコントかよ!


「もう少し早くお伝えしたかったのですが、弓だとレッサードラゴンが止まらなくて……。ラァブさん、すみません」


 レッサードラゴンの顔に矢を当てて、簡単に近づけないように頑張ってたらしい。


『おい、またガルーダの爆撃来るぞ! くそ! 【影収納】――』


「ノンっ? ちょ? シェイドちゃ『からの【影吹き】――逝ってこいラァブ!』ああぁぁぁん!!」


――かっ!


 ガルーダとラァブが空中でぶつかり、周囲にまばゆい光が――


――どおおおぉぉぉん!!


『ラァブ、君の犠牲を忘れないフォーエバー!』


「カァー! ラァブ様ぁ!!」


「…………」


 ソニアよ、ハルピぐらいのリアクション取りなさいよ?


「ひっどおおぉいっ!!」


 まあ、ぴんぴんしてるの知ってるからノーリアクションなんだろうけど……。


――ぐおおぉああぉあ!!


 どすん、どすんってレッサードラゴンが突っ込んできたけど、おつかれ! 【影収納・影糸】――


 チャーシュー風に影糸を巻きつけて、はい、輪切り!


 ばらばらの恐竜肉と核ゲット!


 ボムロックって魔物の核は取れなかった。


 レッサードラゴン 【噛みつき】【踏みつぶし】【炎の息吹】【硬化】


『みんなお疲れ!』


「んもう! シェイドちゃんが影収納使ってくれたらラァブの服が破れなくてすんだのにぃ!」


『それ、服に見えるけどクラゲの集まりだよな? 俺から取り上げた装備どうした?』


 あまり聞きたくないし、装備したところも見たくないが……。


「ノン、あれはシェイドちゃん専用よぉ」


 ばちーんっとウインクの風圧を避けつつ、それならソニアかハルピに着てもらいたいと心底思った。


「マスター、ガルーダの核をどうぞ」


 ガルーダ 【嘴】【フェザースラッシュ】【飛翔】【高速飛行】【夜目】


『サンキュ! 保有スキルと被ってるのが増えてきたな』


「そうですね、そろそろこの大陸で取れる核は龍族ぐらいでしょうか」


 あー、あの空を飛び回ってる龍ね……。


 もう少し近寄って来ないと影矢でも届かないな。


『それにしてもアイツらって何を探してんだろうな』


「……湖底の祠でマスターが拾ったと言い張っている龍の卵だと思います」


『え? 湖底の祠に捨ててあった卵? あー、あれかぁ』


 結界が何重にも張り巡らされた祠の中に、卵が四つ転がっていた。


 美味しかった。


――濃厚な玉子、吸うだけで簡単レベルアップした感じだった。


 龍族の魔素を取り入れたおかげ?


 ナイトメアのエキストラスキルが解放されてた。


 種 :【カオスシェイド】

職 能:【ソウルコピー】

  △

上位職:【ナイトメア】

  ▽  ――エキストラ【正夢】……夢を実現化することができる

  ▽ 【マリオネット】

    【レトント】

    【ファントム】

    【ディーヴァント】

    【テラーシャウト】

    【シーハインド】


 俺、寝ないんだけど……。


「くぁ! シェイド様、ズルいっす! 四つとも食べたんすか!?」


『一つだけ残してるがやらんぞ。【影収納】――、ほれソニア受け取れ。ハルピに渡すなよ!』


「深い青色の縞模様が綺麗ですね、海の匂いがします」


「んねぇ? 輪卵管(シークレットベース)に入れてもいいかしらぁ?」


『いいわけねぇだろ! なんでぬるぬるにしたがるんだよ!』


「っ! マスター、来ますっ!」


――卵を返せえええぇぇ!!


 お空から空飛ぶ龍があらわれた! どうする?


 もちろん、いただきます! 【影伸縮】からの【魔素吸収】――


「ぐおおおお!」


 すっぱ! 濃い魔素にお腹がちりちりする……聖気感?


 なんで両方持ってるんだ? 【影傀儡】で大人しくさせて、【影読み】――


 天龍王の加護? 親玉の力で配下も聖気を持ってるとか?


「バハ……様ぁ」


 ちーん、ごちそう様でした。


 天龍 【空中遊泳】【龍の息吹】【龍人化】【天雷】【言語理解】


「天龍をあっさりと……」


「シェイドちゃんは規格外ねぇ……」


「くぁ? ごああって来て、ばーっと黒くなって、溶けたっす?」


 ハルピの語彙力は俺より酷かった。




◇◇◇




「王様、王都の空気が淀んでおります。体調を崩すお年寄りや子どもが増加しております」


 そうかね? 俺的には過ごしやすい環境になってきたんだけど。


「ヨきにはからエ……」


「王様、シータウンの港にセイレーン族が現れたそうです」


 セイレーン族ってまだいたんだ。


 賠償がどうのって言ってて、地味な町長と冒険者たちが対応しているらしい。


「ヨきにはからエ……」


「王様、ついにラック商会の不正の一端を掴みました! 詳細は……」


 おお、ズラックの奴、あんなに偉そうにしてたのに不正してたのか!


 セクハラで訴えられてるところに、これじゃ泣きっ面にハッチだよな。


「ヨきにはからエ……」


 少し発音がおかしいけど、シンフォニアを建国したパーリーピーポーの子孫で二六代目アレックス王はお疲れのご様子。


 四十代後半、精悍な顔つきに優しい目、ここ何代かの王様の中でもカリスマ性が非常に高く国民にも人気の王様だ。


「王様、龍奏祭の件ですが……」


 龍奏祭っていうのは、龍族に捧げるお祭りで王都では夜通しパーリーでダンスミュージックが流れるとかなんとか。


「ヨきにはからエ……」


「王様、先日捕らえた男娼クラブの主犯が牢の中で魔人化しておりました。やはり最近国内を荒らしている魔人盗賊団との関係があるのではないかと……」


 クライブの奴は、俺の魔素の影響で魔人化してしまったらしい。


 ちなみに、魔人盗賊団との関係はないよ。


「ヨきにはからエ……」


「最近、高齢者が行方不明になる事件が多発しております。ムーンの町やシータウンの町で起きている異変がついに王都でも……」


 これは俺の慈善事業だから……。


 あ、おばあちゃんの知恵袋を持ってる系の心の優しい謙虚な高齢者様方には何もしてないよ、「年寄りは敬え! さっさと席を譲るのじゃ」とか「最近の若い者は……」ってマウント取ってくる高齢者や「まだまだ馬車の御者ぐらい出来るわ!」って言いながら人身事故を起こすジジババを中心に間引いてるだけ。


「ヨきにはからエ……」


「密かに邪教活動をしている教会が……」


 魔王を崇拝して、この世界の“名前を言ってはいけない神様”を信じられなくなった人たちが増えているらしい。


 宗教って怖いよね。


「ヨきにはからエ……」


「王城の湖が黒く濁り、イカの魔物に襲われたという報告が……」


 ……知らない。


 アイツら、自由行動すぎる。


「ヨきにはからエ……」


「最近、龍族が王都の上空から何かを探しているようで……」


 ……し、知らない! 天龍に襲われたけど知らない!


「ヨきにはからエ……」


「ねぇ、貴方、エステルちゃんと侍女長マアヤの様子が……」


 あ、エステルちゃんの事忘れてた!


 本物どこ行ったっけ?


 保護者の女ってクライブにフられたと勘違いして自棄を起こしてたはず。


 途中から影を外してたみたいで、その後本物がどうなったか見てないんだよな。


 えーと、ちょっと確認してみるか。王都中に【影伸縮】――


――どなたか、お花を買ってください……。


――お花は小銀貨五枚です……。


――全部売れないと帰れないんです……。


 裏路地で、姫様に似ている子がお花売って生活してるのが見えた。


 あれ、あの子あんなに痩せてたっけ? 目も濁って生気がないし……。


 ちょっと薬が効き過ぎたかな? 【影読み】――


 あ、最終ラインは超えてなかった、良かった。


 よし、聖母マアヤに丸投げしよう! 姫様を【転移】――


『王様、お宅の姫さんが二人に増えたけどお世話出来る?』


「っ! ……ヨきにはからエ……」


 一瞬、ぴくってした。


 親としての心が残ってた? 今さらだろ。


――ドダドダドダドダっ!


「失礼しますっ!! ただいまアイリス王より我が国からの宣戦布告の件、ずいぶんまどろっこしいやり方で布告するものだと大変お怒りの書簡が届きましたっ!! また、贈り物に関しては取りに行くから、そのまま大事に保管しておけとのことでしたっ!! また、アイリスの同盟国“海洋国家ポルトス”も軍船の準備を始めたそうです!! 一体、何が起きているのでしょうか……!?」


 え、この国って戦争が始まるの?


 魔王が復活したって噂もあるんだから、人同士で争ってる場合じゃないだろうに……。


「ヨきにはからエ……」


 宰相、なんとかしてくれよ!


 王様、同じ事しか言わないよっ!


「オオセのまマニ……」


 あ、宰相も同じ事しか言わない人になってた。


 どうしてこうなったかは、少し話がさかのぼ……らない。


 王様ははじめて挨拶した後から様子がおかしいし、宰相はメイドさんと夜中にきゃっきゃっうふふしてたから、これはけしからん! とちょっとだけ注意(魔素注入)したら壊れてしまった。


 龍族に守られてるって言うわりには耐性もないし、抵抗もなかった。


 そんなわけで、ラスト大陸中は大混乱、シンフォニア王国に未曾有の危機が訪れる事になった。


 幸いなことに、第一王子が優秀なので俺はそっと見守ることにした。


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