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あやしい影に転生しました ~自己主張できない周囲に流され系だった不遇モブが、異世界デビューで思いつくまま気の向くままに投げっぱなしジャーマンする話~  作者: yatacrow
第二章 あやしい知り合いが増えました

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第31話 あやしいトンネル 後編


「がはっ!」


 さあ、フラグの回収だっと思ったら、“ハードパンチャーズ”唯一の生き残りでリーダーをしているボウズが吐血した――ドジっ子属性でシーサーペントに噛まれちゃった。


「おい、ルーク!! 解毒薬を早くっ! もう依頼は達成してるんだ。これ以上、死人を出す必要はない」


「は、はいっ! すぐに行きます!! っ! ゼニスさんたち、どうしたんですか? こ、怖い顔をして」


 ボウズの元に駆け寄るルークをゼニスと荷物持ちAが通せんぼ――おっとぉ、ここは通せねぇぜぇ?


『汚物は消毒だぁ!』


『ああ、やっと自覚されたのですね』


 ほわっと! どうゆぅみぃいん!?


「ゼニス! お前たちがルークの事をよく思っていないのは分かるが、ルークは俺の仲間なんだ、それに早くボウズに解毒薬を飲ませないと手遅れになる。そこをどいてくれ!」


「はっ、仲間? こいつが、か? このクソガキがかよっ、おらっ!!」


 ゼニスキックがルークの腹にめり込んでいく。


「ぐうっ、ごほっ! ぜ、ゼニスさん、どうして……」


「どうして? ベイスだってどうしてだと思ってるさ、その薬は俺がボウズさんに飲ませる。さっさとそれを寄越せ! ゼニスさん、続きを頼むよ」


「おい!? なにやってんだよ、お前ら!! 俺の仲間にいい加減にしろよっ!? ルークがお前らに何をしたっていうんだ!」


――どさっ ころころ……。


 激おこゼニスは無言のまま、ベルトンの足元にベイスのお手々と毒矢を転がした。


「……これは、なんだ?」


 仲間の手首を持ち歩く謎の宗教にはベルトンもドン引き、俺もドン引き。


「……ベルトンの旦那、あんたが飼ってる遊び人のクソガキが俺らの仲間に毒を盛った。見ろ、ベイスの手のひらの傷痕を。見ろ、その矢尻を!! こいつ、シーサーペントの毒を治したあとに毒を盛りやがったんだよっ! このっ!」


 ゼニスに蹴られながら、自分が疑われていることに気づいて反論し始めた。


「そ、そんな! 嘘だ! 理由がないよ、僕がベイスさんに毒を盛るなんて……」


「はっ! あるだろうがっ! お前は俺たちサポーターから遊び人だとバカにされてただろ? ベイスは特にお前の事が羨ましかったのか、当たりがきつかった。お前に恨まれていてもおかしくない。……まさか殺すほど恨んでいるとは思わなかったがな!」


 荷物持ちAがボウズに解毒薬を飲ませながら、ルークをにらみつける。


 そういえば、道中でコイツらからルークはずっとバカにされてたな。


「そ、そんな理由で、僕は人を恨まない。ぐっ! がはっ」


「ふざけんなよ、このクソガキがっ! ベルトンの旦那が持ってる毒矢をよく見てみろっ! 俺たちは七階の部屋で、お前が毒矢を捨てるところを見てんだよ!!」


 ベルトンの持つ毒矢を見て、ルークがはっとする。


「それはっ!」


『まじか? ルークがやったのかよ!? うん、確かに動機は十分にあるけどいつの間に……』


『いえ、やったのはマスターです。数時間前にやったことを綺麗に忘れてるんですね……』


 どうでもいいことは記憶に残らないからね。


「違うっ! 確かに僕はその矢を拾った、なんでこんなところに? って不思議だったから……、ただそれだぐぇっ!」


 まじか? 俺が適当に捨てたはずの矢をルークが拾った? しかも、その瞬間まで目撃されてるわけ?


『これは、ルークの運が悪いな』


『……運命ですか?』


『さあ?』


 これからの展開次第じゃない?


「おい、ベルトンの旦那、こいつ自白したぜ。殺していいか? それとも旦那が落とし前つけてくれるのか? あ?」


「待てっ! ゼニス、わかった。そこまで証拠があるなら言い逃れはできない……」


「そんなぁ! ベルトンさん、僕は無実ですよ!! つあっ!」


「うるせえ、やった奴は皆そう言うんだよ! このっ! 遊び人がっ!! 死ねっ! 死ねっ!」


 ルークがぼこぼこだ! ヤバいぞ、死んじゃうぞ!


「待てと言っている!! ここはまだダンジョンなんだぞ! 地上に出るまでルークの件は保留にしてくれ! これ以上、仲間の死を俺に見せないでくれ……頼む」


 ベルトンがゼニスとルークの間に割って入ってきた――仲間想いだな。


 ビスチェやリックは静観しているけど、ルークの事を元々良く思ってない節があったからか。


「ちっ! そこをどいてくれ!」


 ベルトンはどかない、むしろ頭を下げて――


「ゼニス、頼む!」


「……う、ベルトンさんに頭を……」


――僕なんかのために、僕じゃない、僕はやってない!


 生憎、ルークの心の叫びは俺にしか届かない。


 すげぇ沈黙、緊張感がヤバい! ノーマルスキル【エア・ブレイク】――


――ぽた、ぽたっ じゅっしゅう……。


「え……? 何これぇ、やだぁ!」


 ぬふふ、油断しおってからに。


 服だけトケール液をビスチェのスカートにかけてみた!


 むちむちの太ももからきゅっとしまった足首、ハイヒールまで綺麗に解放してやったぜ。


 パンティを隠そうと、しゃがみこむ姿がたまらん!


『マスター、この行動の説明をお願いします』


『すまん、重たい空気(シリアス)に耐えられなかった、後悔はしていない。以上だ』


 シリアスに対抗するには、ラッキースケベしかなかったんだぁ!


 おおう、ソニアの視線が痛い!


 おい、そこの白濁ブツ! 触手スカートをずるずると動かすな! 何をする気だよ!?


『んもぅ、シェイドちゃんがそんなに見たいなら触手スカートの中をンヂイイイイイィィィィィ』


『黙れ白濁ブツ! もうシャドスペから出ていけ! 【影吹き】――』


――ンヂイイイイイィィィィィ!!


 クラーケンスタイルなラァブが叫びながら宙を舞い、ベルトンたちに向かって――


「ゼニス逃げろっ!」


「は? ひぎゃ――」


――ぶちゅり、うわ、ラァブの巨体がゼニスを一瞬で押し潰した……グロい。


 そのままラァブが転がり、ベルトンの右足が下敷きに――


「あがあぁぁ!! 足が……くそ、まだ、倒せて、なかった、のか!? ぐうぅ……」


「ひぃっ! ゼニスさん! ベルトンさん!! うわっ! うわあああぁ!!」


 ベルトンは剣を杖がわりに何とか立ち上がり、チビりルークと一緒に少しずつ後退していく。


 リック、ビスチェ、ボウズ、荷物持ちAはそれぞれラァブから距離を取ろうと少ない陸地の端に逃げる。


『もうやだぁ! 急にシェイドちゃんが出しちゃうから、ベルトンちゃんたちを踏んじゃったわぁん』


『ラァブが気持ち悪いのが悪いんだよ! ほら、ベルトンの技が来るぞ、しっかり受け止めて切られてくれぇ』


「う、おおおお! こ、の化け物が! もう一度喰らえ!!」


――ファイナルサンダーカッティングー!!


 ベルトンの魔剣を両手で持って切りかかってきた! 


 やれー! そこだぁ!! ベルトンがんばれー!!


『ああん! ベルトンちゃん、照れなくていいのよぉ【圧縮(愛の抱擁)】――』


――みち、みちっ!


 触手でベルトンを受け入れ、そのまま熱い抱擁を一方的に交わすラァブ。


「ぐぁっ! は、なせ! 化け――かはっ!」


 みちみちの音が、ごぎりごぎりの音に変わって、ぐぎんっ! 魔剣とベルトンが折れる音に……、ラァブこわっ!


『ノンっ! まだまだ愛し……。 え? うそ、ラァブ……ベルトンちゃんを―― いやああああああぁぁぁぁ!! 【(ラァブ)(ブライダル)(ウェーブ)】――』


 ラァブのパニック大津波が、ビスチェたちに襲いかかる。


『愛が強すぎるがゆえに、愛する男と結ばれない哀れな白濁ブツよ。お前もついでに流されないかな?』


『シェイドちゃんが渋いセリフ言おうとして諦めたわぁ! そしてずっとひどいわ! ひどさが止まらないわぁ!!』


『あの……、お二人のせいで、ラァブさんの後ろにいた私とルークさん以外は流されてしまいましたけど……』


『あらぁ? ラァブ、また何かやっちゃいンヂイイイイイィィィィィ!!』


『きょとん? は俺のだぁ!』


「うひゃああぁぁ……」


――どさり、ルークが気絶してしまった。


『そうだよな、そこの白濁ブツ直視しても無事なのって状態異常耐性ないと無理だよな』


『知らず知らずに魅了してしまうラァブは罪な乙女……、やめて! シェイドちゃん、影を外してぇ!!』


 本当に嫌なんだろうな、魔素吸われるの――俺も嫌だけど、ラァブの魔素のおかげかまた本体が大きく広がってる気がする。


 本気で伸ばせばラスト大陸、飲めるかも?




◇◇◇




『マスター、どうしますか?』


『うーん、依頼の報告がソニアだけだと変に疑われても困るし、とりあえずルークも報告者として連れて行こう。それじゃセイレーン狩りして帰ろうか』


 結局、戦闘に参加してないところを見るとラァブが交渉失敗した可能性あるし、シャドスペに一匹ぐらいBGM要員で飼ってもいいかな。


 シャドスペといえば、ピュアスライムさんがデビルプラント以上に増殖しているんだけど、ラァブの魔素がお裾分けされてる感じなんだろうか?


「ノンっ! 待ってシェイドちゃん! この先でセレンちゃんたちがシェイドちゃんたちの歓迎会の準備してるのよぉ。シータウンまでの海底トンネル開通のお礼なのぉ、お願いだから狩らないでぇ!」


 人化したラァブから新情報をもらった――遅いわ!


 ……というか、このトンネルそろそろ崩落してもおかしくないけど大丈夫か?


『は? 歓迎会? ラァブ、何でそれを言わないんだよ? あと、セレンって誰だよ?』


――危うく殺っちゃうとこだったじゃないか。


「ごめぇん、サプライズしてみたかったのぉ。ラァブ、そういうの憧れててぇ。セレンちゃんは岩礁地帯にある“アクアス”村の村長の一人娘なの。ラァブと意気投合して仲良くなったのよぉ」


 ぼっちだから“友達”ってワードに弱そうだもんな。


 まあ、友好的なら良しとするか。


『ラァブ、ちなみに聞くがセイレーンたちの見た目ってどんなだ?』


『マスター、最初に聞くのそこですか?』


 逆に何を聞けと?


「やだぁ! アクアスの皆は素敵なのよ――」


 誰もが聞き惚れる美声、海色のショートカットやショートボブと短めの髪型、揃いも揃って絶世の美少女たち、それがアクアス村のセイレーンたちだそうだ。


 スタイルはもちろん、ボン、キュッ、ボン! 小さな貝殻で作られた際どいビキニこそ若干の時代を感じさせるが百人中百人が涙を流して笑顔になる光景にラァブは目を奪われたらしい。


 ラァブの目玉が恋する白濁ブツになってる! まじか、そりゃ期待大だな。


『ほほう! 下半身は?』


「ぴっちぴちのお魚よぉ!」


 そこは人の足のほうが好きだなぁ――人化スキルとか持ってればいいけど。


 でもなぁ、なんか嫌な予感がする。


 よし、ルークとラァブを使おう。


 ルークは、チェリーだし異性であれば人魚姫とかもイケるかもしれない。


『よし、ちと面倒だけど。【影傀儡】――ルーク。ソニアは念のためシャドスペに入ってもらおう【影収納】――』


 女の新キャラって同性嫌いとかってよくあるからね。


『ルークさんを操ってラァブさんと先に進むんですね』


『おう、ルークに人魚姫のお裾分けをしようと思ってさ。ラァブはルークに従ってる感じでよろしく』


――この白濁ブツを従えるなんて! ルークさん、素敵! それに、海底トンネルを作っていただいてありがとうございます! あの、会ったばかりですけど、私はルーク様のことを……的な、少年と人魚の淡い恋、異種族間交遊の始まりだ!


『チェリー君の初めてが下半身魚ってレベル高いかな?』


『マスター、また脳内で話が進んでます……』


「ルークちゃんって話せるのかしら?」


『影傀儡だと話せないな、目とかは開けられるんだけど。照れて話せない設定でいこう』


「わかったわ! ラァブ、全力でサポートしちゃう! それじゃ、こっちよぉん」


 そんなわけで、俺たちはダンジョンで助けた白濁ブツに誘われ、トンネルを抜けていく。


――トンネルの壁の亀裂が大きくなってる気がするけど、きっと気のせいだろう。

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