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あやしい影に転生しました ~自己主張できない周囲に流され系だった不遇モブが、異世界デビューで思いつくまま気の向くままに投げっぱなしジャーマンする話~  作者: yatacrow
第一章 あやしい影に転生しました

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第21話 あやしい魔王降臨 前編


「はーん? なんで何も見つからないんだぁ!! さっさと探せぇ!」


 そりゃ、何もないだろうね。


 ソニアはこの部屋に何も置かないし、寝るときは俺と一緒だし、おっぱい柔らかいし。


 ちなみに、部屋の中で宝石類を捜索しているのは、三階で見かけたエキゾチックレディの皆さん、勝手な想像だけど、ウザインの昼夜問わずのお世話係と思われる。


 名付けて――“ウザイン様に愛されるよりも愛し隊マジデ”。


 やはり、眺めるなら女がいい。


 男にずかずかと部屋を荒らされるのは嫌だとソニアに言わせたのは正解だった。


 ウザインとしては、自分とハサン、支配人が部屋に立ち会えるのであれば異論はないとのことで条件を飲んでくれた。

 

 ちなみに、俺は扉の影に入っている。


 この角度が色々とちょうどいいのだよ。


 宗教上の理由とかで、黒いヴェールをかぶって目元だけを出してる人たちかと思ってた――他人に肌を見せない的なやつ。


 だけど、そこは異世界ファンタジー。


 皆さん、ベリーダンサーの衣装でご登場だった。


 開放的で扇情的な格好、お胸の谷間を強調し、お腹回りは完全オープン、そのまま寝たらお腹冷えちゃうよ?


 いいなぁ、ウザインがハーレム持ってたよ。


 みんな、服の色や着けてる装飾品が少しずつ違うんだよなぁ。


 衣装だけでも後で貰ってソニアに着せよう――絶対に。


『マスター、もうよろしいですか? だいぶ遅い時間ですし』


 こいつらが粘りすぎて結構な夜中になっちゃった、でも――


『もう少しでそこの女の子のおっぱいの先っちょ見えそうじゃない?』


『そういうのを私に聞かれても困ります。それとマスターのいる辺りが気になるのか、ちらちら見ている女性もいます。あまりじろじろ見ないほうがよろしいのでは?』


 勘が鋭いというか、胸元への視線に女性は敏感って言うけど本当だったんだな。


 ……、あっ! 何かを察して乱れた服を整えやがった!


 あっちの女性は胸元を押さえながら、屈んでベッドの下を覗いてるな。


 だが、落胆はしないぞ。


 隠して見せないような仕草もありだ。


 一応、【透過】――、ダメか見えない。


 透視スキルを持ってる魔物を探そう。


 それにしても、マジデの皆スタイルいいよなぁ。


 このままウザインと一緒にアイリスってとこまで行っちゃおうかなぁ。


『マスター、本当にもういいですか? この人たち、さっきから別の人が探したところをまた探してます』


 ああ、会社の全体清掃とかで、時間はまだ残ってるけど掃除する場所がなくなってきて、自分だけ終わったからと席に座るわけにもいかず、ぐるぐると他の人が掃除したところをまた掃除するふりをするという無駄な時間あるよね!


 この人たちは終了時間もなさそうだし助けてやるか。


『……仕方ない、そろそろお帰り願おうか』


『ありがとうございます』


 ソニアも休みたいのかね、俺がオッケーしたらすぐに支配人に話しかけたな。


「……あの、まだ探されますか?」


「ええっと、そのう……」


 支配人がどうしたものかとウザインを見ている。


 ウザインはいらいらしすぎて貧乏揺すりが止まらない。


 うはは、バカめ! ソニアは盗っていないんだよ!


『そうですね、犯人はマス――』


 ソニア、ビィークワイエットプリーズ?


「はーん? おかしいなぁ。ハサン、どうなってるぅ?」


 ウザインのキラーパス、お疲れのハサンはどうする?


「どうにも違和感がございます。貴女は冒険者なんですよね?」


「そうですね、なりたてですが……」


 なぜ、今それを聞くのか?


「では、やはりおかしいですね。今少し待って貰えますか、もうすぐ使いの者が……ああ、来たか。……これだ。――うむ、ご苦労」


 使いの者とやらが、ハサンに何かメモを渡したな。


 メモを確認しながら、ふむふむとか、あの村の!? とか謎のリアクションとってる。


 おーい、ハサン、急にどうしたー?


「はーん? まだかぁ、ハサン?」


「お待たせしました。貴女は荷物を持ってませんよね、どうしてですか?」


「…………」


 どうしてと言われても、シャドスペがあるからだ。


 そして、さすがにそれを言えないので、ソニアは沈黙してしまう。


『ヤバいぞ、ソニア。雲行きが怪しい、仕方ないここはプランBに変更だ』


『それは何も考えてないという意味ではありませんでしたか?』


 ソニアは黙ってて!


「はーん? おいぃ、ハサン、何を聞いてるんだぁ。何か知ってるなら、さっさと宝石を出させろぉ!!」


 ハサンがウザインから肩を()すられてぐらついている。


 よし、今のうちに【影伸縮】【影支配】――


「ちょっと! ウザイン、様、()すら、ないで。言います! 言いますからっ」


「はーん? 早く言えぇ」


 ()らされてぼさぼさになった髪を整えながら、ハサンはメモをウザインに見せながら説明を始めた――悪い予感しかしないぞ。


「先ほど、冒険者ギルドに調査に行かせた者からの報告があり、この女はマジックバッグを使っていたとございます。宿に泊まる者、ましてや冒険者が手ぶらでうろうろとしているのは不自然すぎますよ」


 ぐぬぬ! 抜かったわ!


 ハサンが予想以上に優秀すぎでドン引きだよ。


「はーん? それじゃ、マジックバッグに全部隠してるわけだなぁ?」


「…………」


『マスター、どうします?』

 

『準備オッケー、ソニアは俺の指示で動け。なるべく嘘はつかせない』


「はーん? 女、なぜ黙ってるぅ? はーん? はーん?」


 ええい! それ以上、ソニアに近づくんじゃない!! 【睡眠】からの【夢操作】――


「うっ! あひ、んん、あひん、あひーんっ!」


 俺が支配したのは“ジャミラ”というマジデの女だ。


 やや年上感があるが、熟れた体つきはソニアも勝てない魅力がある――巨乳だし。


 とりあえず、“ある演出”のために眠ってもらった。


 お詫びの印として【夢操作】で良い夢を見せたら、体をのけ反らせて、舌を出しながらびくんびくんと悦んでくれたので本当に良かった。


「はーん? ジャミラ、どうしたぁ?」


 ウザインがジャミラに声をかけるがぴくぴくとしか返事をしないジャミラ、ハサンやマジデの皆もおろおろと慌てている――仲間意識が高い。


 大丈夫、そんなに心配しなさんな。


 腰から崩れ落ちて、人に見せられない顔を晒しているジャミラの影を壁いっぱいに広げていく――やってて良かった影絵スキル!


 ノーマルスキル【影絵・ランプの魔人】――


 そして、壁一面の影をゆっくりと人の形へと変えていく。


 イメージは、魔法のランプから飛び出た精霊だ。


 ジャミラが大きかったので、すごい巨乳のシルエットにしてみた! あの噂をアレンジしてやるぜ。


「なっ! ウザイン様、お下がりください。お前たちっ!」


「「「「「はっ!」」」」」


 ハサンがウザインをかばいながら後ろに下がる、と同時にマジデの女たちが胸元からナイフを取り出して前に飛び出す――ウザイン守り隊の完成だ。


『ソニアも支配人と一緒に後ろに下がれ。あと、大鎌を出すから受け取れ』


「あの、こちらへどうぞ」


「ひっ! あ、ありがとうございます」


 人見知りなのか、支配人におずおずと話しかけて後ろに案内するとこが可愛い。


 持ってる大鎌が禍々しいけどね。


 大鎌持ちの若い女の子と会話できた支配人には後でサービス料をもらうとしよう。


 さてやるか――


『ぱいん、ぱいんっ、我は、そなたらの頭に直接語りかけておるぞ。ぱいんっ、ぱいん』


 ……突然のプランBすぎて、名前とキャラ設定決めてなかった!!


 とりあえず影絵のおっぱいを揺らしながら語りかけてみた。


「なっ?」


「ひゃあ!」


「は、はーん?」


「「「「「「…………」」」」」」


 上から順に、ビビったハサン、腰抜かす支配人、混乱中のウザイン、そして俺に凍てつく視線を刺してくるのはソニアを含めた女性陣の皆さん。


 いや、ソニアもかい!?


『ぱいん、ぱいん。驚いておるな? (わらわ)は……、混乱と巨乳を世界にもたらす……その名も、えーと、魔、神、カオス……は俺の種名だから、えっとパイオツカイ――』


「うわあああっ! 混沌の魔王だと……、終わりだ、この宿はもう終わりだあぁ!!」


 俺が途中からぐだぐだになって小声になったせいか、支配人が大声でカットイン!!


『待て待てぇっ!! 慌てるでない、そこの虫けらよ。いいか、聞け、妾が――』


「あの噂は本当だったんだ。やっぱりゴンドール様の墓所には魔王が封印されていたんだぁ」


 いや、それ本物の噂だから!


 俺が魔王を騙ったとかで、あとで魔王に目を付けられたりするとヤバいから!


『はえ? ちょっ! いいか、よく聞け、聞いて欲しい、言うぞ? 妾は混乱と――』


「やはりそうだあ! 究極の災厄! 混沌の魔王カタストロフ! 数千年も遥か昔、かつて世界に暗黒時代が訪れた――」


 いや、なんか語り出したぞ、おい! 聞けや!


『ねー、違うってー、妾は、魔神パイオツカイデーなの。混沌じゃなくて、混乱と巨乳でAV水着がね? ねえ、聞いてる? おい、聞けよぉ!!』


 ダメだ、頭に直接語りかけてるはずなのに、なぜか支配人の話に皆が釘付けだ。


 誰も聞いてくれない!


 いや、ソニアまで!


 お前は俺の話を聞いてもいいんだけど? 聞こえてるソニアさーん?


 ……もういいや。


『ふ、ふははは、よくぞ我が正体を見破ったなぁ。虫けらどもよ、そうだ、我が混沌の魔神……じゃなくて魔王カタストロフだ。忌々しい賢者め、長々と我を封じてきたようだが既に封印は解かれたのだ! 喜べ虫けらどもよ。悪しき心が集う場所、このシータウンにおいて、我は復活を宣言するぅ!!』


 どうして本能がここで抗議してくるんだよ。


 確かに、なんでこのタイミングで正体を明かすのか? とか、シータウン関係なくね? 言いたいことはわかる。


 だけど、成り行きだから仕方ないだろ。


『――やめよ!』


 演出厳しい監督かよ! 会話は止めないっ!


「や、やはり。ウザイン様も滞在中に耳にしたことはございませんか? この魔王カタストロフは復活と同時にブレッシェル村を蹂躙しました! まだまだ幼い子どもたちまで手をかけて……。そして、ムーンの町では死者の大行進を行い、町民大虐殺の果て、財宝を盗み、冒険者ギルドを吹き飛ばしたとか……」


「はーん? おう、聞いたことがあるぜぇ? はーん? もしかして最近、海の魔物が大暴れてるのもこいつのせいかぁ?」


 支配人のジョブ、絶対商う者だろ!! というかギリアムかよ!


 それに、支配人が聞いてきた話の魔王は鬼畜すぎるだろ、俺はそこまでやってないぞ。


 ウザインも勝手にその辺の事情まで押し付けんなっ! 魔王がなんか可哀想だろ。


 ……仕方ない、このまま支配人の言う魔王カタストロフに成りすますか!


『あーあ、面倒くさ! さてさてどうするかなぁ』


 頭フル回転だよ。


『……マスター、魔神パイオツカイデーって結局何なのですか?』


『俺も知らんよ、そんなこと今は聞かないでくれ』


 今、忙しいのっ!


『やっぱり理不尽です……』


――ソニア、世の中は理不尽で溢れているんだよ。


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