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あやしい影に転生しました ~自己主張できない周囲に流され系だった不遇モブが、異世界デビューで思いつくまま気の向くままに投げっぱなしジャーマンする話~  作者: yatacrow
第一章 あやしい影に転生しました

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第17話 あやしい思い


 シータウンに向かう途中、小さな村に立ち寄った。


 行商人や冒険者たちが軽く体を休めるようにと村の入口に宿がある村らしい。


 民家が多く、畑から取れる作物で生活しているようだった。


 うーん、のどかな田舎の村だろう。


 気に入ったので丸ごと収納した。


 村人たちは、俺の魔素の影響でゾンビ化したり、魔人化したり。


 生きた人間をシャドスペにお迎えしたことは無かったけど、抵抗力の強い人間だったらそのまま生きることも出来そうだな――今度、誰かで試してみよう。


 あ、宿は残してるよ、みんなが使う物だろうし。


 ギリアムは疲れが取れなかったのかね?


 宿から出てきた途端に、目を見開いてその場にぶっ倒れてしまった。


 仕方ないので影傀儡を使って馬車まで歩かせることにした。


 いっちに、いっちに、ほら、さっさと御者しなさいよ。


 まあ、ゾンビホースは御者なしでも進めるんだけど、冒険者やら商人とすれ違うときに御者が乗ってないとびっくりするからな。


 ちなみに、ソニアはこちらから声をかければ受け答えをするが、まだ機嫌が直らないらしい。


 お説教が効いたのか、ずっと考え込んでる感じ。


 こっちも気分は最悪だ――怒った方も辛いんだぞ。


 ちなみに、ギリアムは殺さない。


 これからどんなルートを選んでいくのか見たいから。


 さーてさて、さっき収納した畑には何が育つかな? おお! 魔素万能説だ。


――なんと、うねうねと勝手に動く植物が育っている。


 たまにゾンビが捕食されている、こらっ! そんなの食べちゃダメでしょ。


 ペってしなさい、ペって!


 デビルプラント 【巻きつき】【魔素吸収】【群生化】


 その辺の地面に種を撒いてみると、地上に漂う魔素を吸収してすぐに芽が出た。


 くねくね、うねうね――


 芽の動きが愛らしい。


 種はまだある、成長早そうだしシータウンまで種まきしながら行こう。


 みんなの自然を守ろう、的な。


 名もなき宿からシータウンまで続くデビルプラントの道。


 またここを俺が通るかどうかはわからんけど。


「――マスター」


 珍しい、ソニアから話しかけてきた。


『なんだ?』


 ソニアは少しだけうつむきながら、そしてどこか怯えながらゆっくりと口を開いた。


「……私は、まだ八才で難しいことはわかりません。だけどギリアムさんが言ってる事はきっと正しいって思うんです」


 見た目はその道のプロ、頭脳は子ども?


 いや、お前の頭脳は極める者補正で、すでに賢者レベルだろ。


『おう、そうだな』


 一理あるんじゃないかな。


「でも、マスターが全ては運命で決まるって思ってしまうのも仕方のない事だと思います。だってマスターはずっと……、生まれてから――っ!」


 おっと、魔素が抑えきれない。


 誰も信じられず一人で生きてきて寂しい奴なのよ、可哀想なマスターってか?


 そういうのはね、女に言われるとダメかも……。


 ギリアムが踏んでも大丈夫だった俺の地雷(トラウマ)


 ソニアが知ってる俺の()()()


『――ソニア、やめとけ。それ以上、口を開くならお前が不死だろうと……殺すかもよ?』


 すでに記憶の蓋が開いてる。


 ソニアの純粋な憐れみが、俺の心を抉りだす。


 はあ、面倒だなぁ――


――私だけが宏の事を理解しているのよ。


『やめろ! 黙れ!』


 ほら、溢れてこぼれる記憶ども。


――うふふ、ゲームをしましょ。


『嫌だ! そんなことやりたくない!』


――けっ、クソガキが……まだ死なねぇの? おい、お前のガキの躾はどうなってんだよ!!


『うるさいっ! お前が死ねっ!』


――ねえ、あんたがいると私が幸せになれないのよ。


『――あんただろぉ、俺を作ったのは……』 


 うがあああああああああ!! 落ち着け、落ち着くんだ俺ぇ!!


 もう、ソニアのせいで面倒なことに――


「なっ!? おい、なんだこの魔力はっ!? 何が起きているっ!」


 ギリアムが馬車から飛び出した! いや、ややこしいから今は寝てろ。【睡眠】【夢操作】――


 「うっ……、えっ? 待って確かに私は独身だがまだお互い……」


 寝言を寝て言ってるギリアムは放置。


 ダメ、思考を脱線させてもアンガーマネジメント出来ないぞ!


 六秒数える暇もない!


 くっ! 俺の中で暴れる魔素を抑えきれないっ! なんつて。


 心が叫びたがってるんだぁー!! 俺、大丈夫?


 いかん、どんどん思考を異世界方向に誘導しないと、ソニアを殺してしまいそう。


 殺しちゃダメだ、まだ成人誌展開になってない!


『ソニア……、俺のために黙っとけ? もうね――』


――面倒くさいから。


――羨ましいから。


――奪いたいから。


――ムカつくかろ。


――ヤりたいから。


――喰いたくなるから。


 じゃないと死んじゃうよ、せっかくの極める者(チート)がなくなるよ?


――持ってる奴が羨ましい、許せない、俺だって普通(チート)が欲しい!


――だから騙す、奪う、殺してでも。


 そういう運命だったんだ、この世界でもそうやって生きるよ、面倒だけど。


『――ソニアあぁ!』


 膨れ上がる凶悪な魔素、感覚でわかる。


 この魔素はソニアを殺せる――が、ソニアは俺の圧に耐えながら口を開いた。


 さすがチートちゃん、状態異常無効持ちっ! よっ! それくれよっ!


 はあ、もう面倒だなぁ! それ、ラストにしてね!


「……だから、わた、し……、だけで、も……スターの、そば、に、いま――」


 ……気を失ったか、すごいな、俺を恨んでるだろうに、魔素万能説でここまで忠実になるもんかね? 純粋すぎて刺さるわー。


 やっぱり八才の子どもなのかね、俺はソニアが思ってるほど綺麗じゃないよ。


 俺に希望を探したってあるわけないんだから。


 生意気なガキがっ! ってもう殺しちゃうとこだったけど、ぎりぎり冷静を保ててる。


 今回はセーフ、生存ルートだ。


 だけど、お前の選んだルートが正解だといいな――


 ひっひっふー、ひっひっふー、ふう、なんで面倒な事を俺がやってるんだよ。


 落ち着け俺、ほら、ソニアちゃんのおっぱいが馬車の振動でぷるぷる揺れてるよー。


 …………っ!


 …………。


 …………!!


 ……、……。


 …………!


 …………? 


 ……はあ、やっと静まった、面倒だからもうやらないでね? ソニア――




◇◇◇




 なんてねー、もー、そんなん言うてますけども。


 年甲斐もなくキレちゃった、八才の女の子に――


 影生的には一才ぐらいだから、俺の方が年下……とか屁理屈こねても付いた称号は消せないらしい。


 もう、ソニアちゃんのせいでエキストラは生えるし、称号がまた増えちゃったよ。


 確認するのも面倒なくらい称号増えすぎ。



 種 :【カオスシェイド】

職 能:【ソウルコピー】

  △

上位職:【ナイトメア】

  ▽ 【マリオネット】

    【レトント】

     ――エキストラ【転移】……記憶に残る場所に転移することができる

    【ファントム】

    【ディーヴァント】

     ――エキストラ【退化】……対象を退化させることができる

    【テラーシャウト】

称 号:【成功者への嫉妬】

    【持たざる者の強欲】

    【不遇からの傲慢】

    【死にたがりの生還者】

    【子どもに全力】



 転移は俺だけなのか? 対象の指定がないのは経験上、自由度高いんだよなぁ――後でやってみよう。


 退化はソニアに使うとゾンビに戻せるから、さっきの殺意が解放の条件だったのかも。


――もう消えたと思ってたのに、消えてほしい記憶ほど取れない汚れのようにこびりついてたんだな。


 称号、子どもに全力とか……、情けない、否定出来ないわ、はあ。


 面倒くさくて紹介してなかったけど、ダンジョン喰らいの後に付いた称号、【飢餓からの暴食】――


 付けられたときは、何これ? 俺ってそんなに食いしん坊!? ってなったわけだけど、嫉妬だの強欲だのここまで称号が揃ってくるとラノベ好きなら誰でもわかる。


 大罪系のヤツや! 四つも付いてるよっ!! 当事者になると不本意だけど。


 うーん、でもちょっと格好いいかも。


 あと三つか、えーと、怠惰、色欲、憤怒だっけ?


『朕の名は大罪の魔神皇シェイド、今からそちのおっぱいを揉ませてもらおう。魔神皇の言うことは絶対だぞ』


 うん、いいな、魔神皇を名乗るかは置いておいてコンプできたら面白そう。


 色欲はあれかな? やっぱり、実体化して【百発百中】にお世話になるしか?


 いや、ダメだ――子どもは無計画に産んではいけない、俺が殺されちゃう。


 ここは別のスキル。


――そうだ、オークを狩ろう。


『ソニア、この辺でオークが生息する場所はないか?』


「へあっ!? 相変わらずいきなりですね、オークは王都から南の森にいるはずです」


 俺に話しかけられると思っていなかったのか、ソニアは少し驚いた風だったがすぐに通常運転に戻したようだ。


『そうか、じゃあまだまだ先だな』


 なんとなくの予感で、オークは【絶倫】とか持ってそうだな。


 ま、そのスキルを保有しても称号が付くかどうかはわからんがね。


「……マスター、先ほどは、その――」


『ん? ああ、もう何も考えてないから大丈夫だぞ。お前も好きなように生きていいんだからな』


 まあ、俺が飽きるまでは一緒にいてもらうけど。


「はい、そうします。マスターの邪魔にならないように好きに生きます」


 邪魔になっても構わないよ、その時は消すだけだし。


『オッケー! とりあえずシータウンで水着美女を探すぞ!』


「ふん、シータウンの海岸は“海のダンジョン”のせいで魔物だらけ。海水浴なんてやってないぞ」


 御者席からギリアムが会話に入ってきた――寂しかったのか?


『ずいぶんデカい態度だな、いい夢見れたか?』


「っ! さっきの夢、やっぱりあんたが何かしたのか!」


『おう! いい夢だったろ?』


 エロいお姉さんたちが迫ってきて、あと少しってところでお姉さんたちがどろどろに溶けて骨だけになってしまうが、紆余曲折を経て骨姉さんたち全員とチョメっちゃう夢。エログロホラーにハーレム要素を足してみた。


「もう二度と見せないでほしい。お願いだから……」


 巨乳美女もつるぺた美少女も、骨格はほぼ変わらないことがわかったそうだ――ギリアムの記憶より。


『なあ、ケモ耳はどうなったの?』


「……、尾骨がかなり長かった。いや、聞かないでくれ!」


「男の人ってみんなこうなんですね」


 おい、ギリアム呆れられたぞ! お前最低だな。


『「俺は(私は)違うぞ!(違いますよ!)」』


 うわ、ハモったキモ。


「……まもなくシータウンに着く。あんたには思うところはあるが、所詮は人と魔物、お互い理解が出来るわけがないのだ。ただ、命を救ってもらい、ここまで連れてきてくれたことは素直に感謝する。ありがとう」


 そうだな、俺も単純な魔物よりも、自己都合で愛憎が簡単にひっくり返る人間の方が理解出来ない――あと、やっぱり話長い三行じゃなくて十五文字以内って言えば良かった。


「ギリアムさんは、このあと王都へ向かわれるんですか?」


「ええ、そうしたいところなんですが、まずは死んでしまった部下や護衛の冒険者たちの家族に報告しなければなりません。アーミーアントに襲われて、私と荷物だけ無事だったなんて誰が信じてくれるかわかりませんがね」


 しばらくはシータウンに滞在して、お店と連絡を取り合うらしい。


 ラック商会にはとりあえず手紙で詳細を報告するんだと。


 ギリアムの部下も護衛の冒険者たちも、ゾンビとして生きてるんだから賠償しなくて良さそうだけどな。


 ムーンの町に帰そうか? って聞いたら、本当にやめてくださいって土下座された。


――遠慮しなくていいのに。


 転移の制限が知りたかった俺は、ムーンの町に飛んでみた。


――あれ? ここは? と、気がついたらムーンの町に着いていた。


 ばひゅーん、ばひゅーんって空を飛ぶとか異空間ゲートが開くでもなく、まばたき一回の間に着いていた。


 ちょっと慣れない感覚。


 ちなみに、外にいたソニアも指定できた。


 せっかく戻って来たんだからと、ギリアムの部下と護衛のゾンビーズを何匹か町に解放してあげた。


 この前、ギリアムがお願いしてた事をやるのは癪だけど、今回だけのサプライズだな。


 転移先【ギリアムの馬車】を指定すると、馬車の中に飛べたから結構便利。


 ソニアがふらふらどっかに行くもんだから、忘れてしまって一往復多く飛んだのは内緒の話。


 ちなみに、ギリアムは俺たちがいなくなった事にも気づかず、何かまだ話していた。


『マスターが話の途中で転移するからですよ』


 だって、ギリアムの話が長いから仕方ないんだ。


 そうだ! 対象だけを転送出来るようになればゾンビ派遣業とか始められるな。


 ブレッシェル村を対象に、ゾンビーズを一匹ずつ送る練習でもしようかな。


 お、そろそろシータウンかな。


 水着美女が俺を待ってるぜ!!


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