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あやしい影に転生しました ~自己主張できない周囲に流され系だった不遇モブが、異世界デビューで思いつくまま気の向くままに投げっぱなしジャーマンする話~  作者: yatacrow
第一章 あやしい影に転生しました

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第14話 あやしい壁破壊


 ムーンの町、滞在二日目!


『ソニア、そろそろ動けるか?』


『はい、おかげさまで……と言いたいのですが、一旦外に出していただいてもよろしいでしょうか?』


『別にいいけど、俺の中だと何か不味いのか?』


『ええと、昨日、マスターがいきなり私に魔素を注入してからずっとおかしくて。私の大事な部分にマスターの魔素が優しく触れるたびに激しく反応して……。マスターが魔素を使用すると私もう――』


 どことは言わない筋肉がぴくぴくするらしい、俺は低周波治療器かよ。


 それと大事な部分って核のことだよね? 誤解を招く言い方はやめなさい。


『ん? それじゃ、昨日のドクロ石で“ミイラの核”を作ってから、ずっとソニアの挙動がおかしかったのはそのせいか……。まったく変な声、出してからに』


 とりあえず、インターバルを置きたいらしい。


 シャドスペからソニアを出す。


 風もないのにふわりと揺らめいている銀色の長い髪が、朝日を浴びてきらきらと輝いている――銀髪とか日本だったら浮きまくりだよな。


 明るいところで大人ソニアを見たのは初めてだったけど、透き通るような白い肌、小さい顔にバランスよく配置された紫色の瞳とお鼻、蠱惑的な唇……、まさに――その道のプロがそこにいた。


「変な声って……、マスターの魔素が濃いのがいけないんですよ!」


 困った顔で口をとがらせながら答える仕草はとてもあざとい。


 少し幼いリアクションなのは元々八才だからかな?


 ソニアは下着姿のままぐっと背伸びをして、それから軽い運動を始めた。


 おいっちに、おいっちに、わんつー、わんつー。


 ぷるん、ぷるん、ぷるん、ぷるん、ふりっ、ふりっ――


『ふん、なめられたものだな。そんなにわざとらしく色気を振りまいたからって、簡単に俺がなびくとでも? そんなあざといお前に言いたいことがある。耳をかっぽじってよぉく聞きやがれ!! ――ありがとうございます! お尻ふりふりのところからもう一度お願いしまぁす!!』


 ノーマルスキル【影絵・土下座】――


 言葉とともに、壁に綺麗な土下座の影を投影してみた。


「何をしてるんですか? あの、マスター。何か上に着るものを出していただけますか?」


 クールに流された。


 うまく遊ばれているような気がしてきた……。


『えーと、冒険者ギルド職員の制服、メイド服、町長の家で貰ったナイトドレスどれがいい? あ、あとはここの家主が着てた高齢者用庶民服――』


「――メイド服でお願いします」


 朝からナイトドレスはおかしいし、ギルド職員の制服もこの町のだと目立つか、メイド服が無難? いや、メイド服も目立つだろ。


 高齢者庶民服のほうが良くない?


「私、可愛い服が着たいです。……着替えますので少し向こうを向いててください」


 意識次第で、全方位見える俺になんとも無茶なことを言う。


 うん、衣擦れの音とか気になりすぎて意識するなとか無理。


 意識を向けてガン見する。


――ありがとう、夢がまた一つ叶った気がする。


 生着替え――メイド服バージョン、銀髪ポニーテールを添えて。


 濃紺のワンピース、フリフリの白いエプロンがタッグを組んだ最強エプロンドレスに、白いフリルのカチューシャか。


 昔、初めてメイド喫茶に行ったときのことを思い出す――


 初対面の女の子に、家でもないのに「お帰りなさい、ご主人様」の挨拶から始まって、高くて不味いコーヒーを安いテーブルで「美味しくなーれ」と呪文をかけられて飲まされた苦い記憶――コーヒーだけに。


 美味しくなーれって、最初から美味しいコーヒー出してくれよ。


 メイド姿の写真をくれるよりも、危ない水着姿の写真くれよ。


 というか、五千円払うからおっぱい触らしてくれ。


『というわけで、ソニア、おっぱい触らしてくれ』


「何がというわけで、なのか分かりませんが私を収納するのはもう少し待ってください」


 そう、今のところ、核そのものにしか触感はないのだ。


 わざわざシャドスペから核を出すのも面倒か。


『早く実体化スキル欲しいなぁ』


「私もお手伝いいたしますので、頑張りましょう」


 頑張るの面倒くさい。


 でも、ソニアがいい笑顔だから頑張るか――あれ?


『……ソニア、俺に魅了スキルとか使ってないよな?』


「はい、そもそもマスターに状態異常系は効かないじゃないですか」


 そうなのか? 実体ありきの状態異常らしい。


 全然知らなかった。


『なぁ、ずっと気になってたんだが、どうしてそんなにソニアは詳しいんだ?』


「――マスターが影読みで集めた知識や記憶が、私の中にも入っているからだと思いますけど……」


 あれ? てことは俺も知ってるってこと?


 あ、確かにそう言われて頭の中を検索すると、じんわりと知識が頭に思い浮んできたな。


 うまく整理しとかないとすぐに忘れそうだ。


 まあ、面倒だから今後もウィキソニアさんに聞くことにしよう。


「マスターが私を誰でも編集できる百科事典扱いしようとしている気がしました」


『えっ!? いやいやそんなわけない! これからも分からないことを教えてほしいなと思っただけだ、うん』


 ウィキソニアがいるから、とりあえず手持ちスキルだけは把握しておこう。


 あれ? 上位職のディーヴァントがあると、ドクロ石なくても魔物化できるの? ちょっと試すか。


 庶民服を【変質】して、魔素を注入しながら【憑依】で?


『…………』


 おお! 庶民服がふわふわと浮いている!


「マスター、会話の途中で魔物を作らないでください。……ちなみに、この子は【リビングクロウズ】、服に憑いた死霊です」


 少しむくれながら説明してくれた。


 注入した魔素量のわりに弱そう――これか噂の小並感ってやつか。


『もしかして昨日のミイラってドクロ石を使ったから強かったりするのか? 町長の館に置いて来ちゃったけど』


「はい、昨日のミイラは、マスターの魔素とドクロ石の力で上位種の“メイドミイラ”に進化しておりました。ちなみに、ブレッシェル村の人たちも上位種とまではいきませんが、森にいたゾンビよりは強いんですよ」


 へー、どうでもよすぎて知らなかった。


 それなら素材さえあれば色んな魔物が作れそうだな。


 既存の核に俺の魔素と変質でも良さそうだし、自由度高いのね。


 あ! そうだ、ソニアって食事必要なのかな? 風呂とか入らないかな。


 入るよな、いや、入りたいはずだ。


 さりげなく聞いてみよう。


『そういえばソニアって飯とか風呂って必要なのか? 特に風呂は重要だよなー』


「あからさまに話を変えましたね。そうですね、ご飯は食べることは出来ますけど、マスターの魔素があれば食べなくても問題ありません。お風呂は体が汚れることがあれば入りたいです」


『一気に服やら体の汚れが消える魔法はないのか……』


「そんな荒唐無稽な魔法はファンタジー世界にしかありませんよ」


『いや、この世界も十分ファンタジーなんだけど!?』


「それで、マスターはこれからどうしますか?」


 あ、今度はソニアが話を変えてきた。


 風呂のところもう少し掘り下げたかったんだけど。


 ま、いいや。


 これからどうするか、ノープランだから考えてない――観光とか?


『そうだなぁ、この町の見所って何かあるか?』


「この町は良くも悪くも普通の町ですよ。満月が綺麗に見えることで有名ですが、満月になるのはあと一週間ほど先になります」


 別に満月見てもね、狼男に変身するわけでもないし、大猿になるわけでもない。


 観光案はボツ!


『近くに町はある?』


「ここから東に進んだところに海の町“シータウン”があります。この大陸は険しい山脈に囲まれてますので、ここから東南の王都に行くにしても、街道沿いのシータウンを経由するのが一般的ですよ」


 海の町か……。海といえば水着美女だな。


『――シータウンに移動しよう。思い出したけど、魔王が復活した暁にはこの町が最初の犠牲になるだろう。きっとムンロス親子が率先して頑張るのだろうけど、そんな物騒な場所にいつまでも居てはいけない。うん、水着美女も待っている。ソニア、先を急ごう!!』


「マスターは急にエンジンかかりますね。でも、私も新しい町に行けるのは嬉しいです」


 そうだろ、そうだろ、善は急げだ。とりあえず東の門へ行ってみよう!!




◇◇◇




『……マスター? 東門へ急ぐはずでしたよね?』


『ん? そうだな、急がないといけないな』


 うん、急がないと!


『……では、なぜ冒険者ギルドに来てるのでしょうか?』


 と呆れ顔のソニア。


 ここに来た理由。


 それは――ミンシアだ。


 記念すべきキープ第一号を置いてシータウンに行けるだろうか? いや、行けない!


 というわけで、冒険者ギルドに迎えに来ているのだが……。


――入れないっ!! なぜだ!? 昨日は入れたのに?


『魔物避けの結界が発動してますね。昨日の私のせいで警戒しているのかもしれません』


 ゾンビ騒ぎか――まあ、今さらソニアを責めても意味はない。


『ソニア、あまり気にしなくていい。それよりさ、この結界って壊せないのか? 軽くむかつくんだけど?』


『――そうですね、【超音波】を【大声】【咆哮】【遠吠え】の重ねがけに乗せて使えば破れると思います』


 また俺の知らないスキルの使い方を!


 なにその重ねがけに乗せるってスキルの向こう側の使い方!


『そんなやり方が? んー、あ、あるな。よし、ソニアは耳をふさいでおけ』


『わかりました』


 状態異常無効持ちだから大丈夫だろうけど――よし、やるぞ。


 えーと、効果時間の長そうな順に、【遠吠え】【咆哮】【大声】からの【超音波】――


 うわっ! 空気が振動している、車椅子の美少女が驚いて立ったかも!? 周囲の建物を巻き込んで冒険者ギルドの建物が軋む。


 放送禁止のピー音が鳴り響く、お! 目の前の見えない壁に亀裂が入りだしたぞ。


 もうすぐだ、行っけぇーっ!!


 ぴきぴきっと細かいヒビ割れ、パーンっと魔素が霧散する感じ、吸っておこう。


『マスター、お見事でした』


 えへへ、ソニアに褒められた。


 よし、中に入るぞ――の前にこのタイミングで?


――ポーン 一定の行動により条件が揃いましたので、新たに上位職が解放されました。


【テラーシャウト】……必要なスキル 【超音波】【咆哮】【大声】【遠吠え】【死霊召喚】

必要な条件……一定数の命を【咆哮】等のスキルで一度に奪う

解放スキル【呼び起こし】……死人を一度に呼び起こすことができる


 んん? 必要なスキル以外に一定の行動で上位職解放パターンは初めてだな。


 えーと、一定数の命を咆哮等のスキルで一度に奪う――


 この条件が発動したってことは、結界の中にいた人たちはもしかして……。


――俺、また何かやっちゃいました? きょとん。


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