近未来百年史(9) 拾遺集
今後百年間の日本の変化について、私の考察は以上になります。
その中で取り上げ切れなかった社会の様子について、百年後の一般常識を伺う事の出来るエピソードを本編 https://ncode.syosetu.com/n5309ev/ から抜粋しました。
東京オリンピックの前より、児童ポルノ禁止の世界的な流れが起きていた。その中で非実在青少年の扱いについて問題提起され、日本の様々な団体が規制反対の運動を大々的に繰り広げた。日本の為政者は面倒になって放り投げ、規制対象外とする判断を出した。後にそれが国連で問題になって日本に圧力が掛かる。これに対し日本からとんでもない反発が発生。余りの熱意に国連はドン引きし、有耶無耶になって現在に至る。
心理学的にはロリコンは矯正不可能とされていて、禁止されたら我慢するしかない。その為この関連の犯罪が後を絶たず、暴力組織と結び付いて世界的な問題となっている。しかし日本だけは違う。萌えとの関連で児童ポルノすれすれの表現が溢れていて、それにも拘わらず児童ポルノ犯罪の被害者が存在しないという不可思議な状況である。
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高校を卒業したら、成人として2体のロボットを所有できる。外見も性別も自由に選べるが、男性型と女性型を1体ずつにしておくのが普通だ。そうすれば何かと融通が利いて便利なのである。
但し、好きな男子がいる女子の場合、女性型で揃える事がある。自分には男っ気が無くて寂しいので構って欲しいというアピールとされている。が、そういうメッセージはハイティーン向け雑誌が煽っているだけで、チョコかクッキーかマシュマロかというバレンタインデーのプレゼントと同じだ。気にしない人も多い。
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今の日本の木材は海外で人気だ。林業ロボットが普及した事で手入れが行き届き、品質が良い。日本では物価が安いので、日本人の感覚ではかなりの高値であっても、海外で飛ぶように売れる。
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不動産紹介業は国営だ。
そもそもデータの蓄積と検索だけであれば、巨大なデータベース1つを皆で共有すれば事は足りる。情報収集力が収益源だったのは、今は昔の物語だ。
検索の為のユーザーインターフェースも様々に工夫されたが、最終的に1つに落ち着いた。業務の独占と言えば聞こえは良いが、それが逆に仇となった。原価の比較対象が無い為に、猛烈なデフレ時代に強烈な値下げ圧力に晒されて、廃業せざるを得なくなった。国民にとっても必要な仕事であった事から、業務を国が買い上げて今に至る。
顧客の要望を引き出して検索条件に落とし込む、即ちコンサルティングについても、人間ではなくてAIの仕事になった。その結果、そこに接客ロボットが介在する余地すら無くなった。秘書ロボットで十分なのだ。
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完璧な家事ロボットが一般に普及した結果、大抵の家では食事も家事ロボットが賄う事が多い。人間の手作りの料理は少数派だ。
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魚介類は、昔は自然に殖えた物を漁で採っていたが、今は全て養殖になった。養殖技術が発達して品種改良も進み、天然物よりも美味い養殖物が生産されている。
夏の風物詩として蛍も見られる。昔は農薬の影響でほとんど居なくなってしまったが、農業ロボットが導入されて農薬が激減してから復活した。夏の夜には田圃に沢山の蛍が舞って、蛍狩りを楽しめる。
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秘書ロボットが普及した結果、十代の若者でも学術論文並の文章を気軽にブログで発表できるようになった。興味の赴くままに切り口を考えて、資料の収集と分析は秘書ロボットに頼む。結果を貰って文章を書き、論理については秘書ロボットに監修してもらう。その結果、十代の若者の片手間とは思えない質の記事を量産できる。
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物を作る場合、仕様を決めて概要設計を詰めた後は、秘書ロボットに一任すれば計画はほとんど一瞬で完成する。
まずは概要設計から正確な設計図を描く。
設計図を基にして、原材料を書き出す。
工程を洗い出し、細分化する。
必要な道具や作業に当たるロボットについても洗い出す。
そしてインターネット上に公開されている事例や知識ベースを調査・分析し、分量・工数と金額を見積もる。
工数見積からカレンダーの休日等を考慮して線表を引く。
出来上がった計画表を人間が確認し、承認すれば計画完成である。
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武術は受難の時代と言える。平和で娯楽の多い時代に本腰を入れて武術を学ぼうとする方が珍しいのだ。政府が推奨しているとは言え、古武術はやはりマイナーで知名度も低い。優秀な人材に興味を持って集まってもらわないと流派の存続に関わる。こればかりはロボットに代わってもらう訳にはいかない。




