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spin or not spin?

作者: 已み五月

時間のムダって何だろう?

PM18:10

今日もまた今日が終わる。

気が付いたら陽が昇ってて、気が付いたら断りもなく私の頭上に太陽が居座り、気が付いたら日が暮れかけていた。太陽はいつだって朝昼夕と放物線のような軌道を描いている。描き続けている。描き続ける。毎日毎日、来る日も来る日も、昨日も今日も、明日も明後日だって。ずっと、ずーっと、ずーーっと、きっとこの先も続くであろう気が遠くなるような時間の中で、太陽は「いつも」と同じように放物線を描き続けていくのだろう。


PM18:11

刻一刻と今日が終わろうとしている。

僕のいうところの「今日」という言葉は「概ね人間が活動しているのが相応しいであろう時間」のことだ。そして、毎日を描く太陽こそが「今日」だと……僕は考えている。だからといって別に太陽が見えない「夜」が今日じゃないとは言わない。いや、言えないが正しいか。勘違いしないでくれよ?ライフスタイルなんて人の数だけあるわけだし。正しさも価値観も考え方や思いだって人の数だけあるわけだし。分かります分かります。分かってます分かってます。


閑話休題。


太陽が「今日」だという僕の考えの飛躍にはちゃんとした屁理屈がある。その前に大前提というか、前以って知っておいてもらいたいことがある。それは「太陽が顔を出している間こそが人間の活動時間たるべき時である」という偏見中の偏見持論がベースにある屁理屈だということだ。こればっかりは自称“夜型”の人たちにボロくそ言われてしまう。そういう時は……先述の逃げ道へ。けれども、僕の話を聞いてほしい。聞いて下さいお願いします。「現代の人間は時間に追われる宿命なのだ」と僕はどこかで聞いたことがある。聞いてしまったのである。「なるほどな」とかなり素直にそう思った。朝「起きて」、昼「働いて」夜は「寝る」。これって誰しもが経験してきたのではなかろうか?もしかすると、「何当たり前のことを言ってるんだ、コイツは?」という人だっているかもしれない。いやちょっと、自称“夜型”の人たちはちょっと黙ってて下さ・・・じゃなくて、僕の話を聞いて下さい。まぁ・・・何が言いたいかというと、人間って意外と「時間と行動を結びつけて行動していることが多い」ということです。無論、例外もありますが・・・。屁理屈ですので例外には目を瞑ります。というか端折ります。これが僕の屁理屈です。「目を瞑ったらダメでしょ」ってツッコんだ人は閑話休題からもう一度読み直して下さい。え?何のためにですって?単なる嫌がらせですがなにか?


PM18:14

今日ももう後少しで放物線を描き終える。

偏見も偏見の「陽がある内こそ人間に相応しい活動時間である」という持論と色々なことに目を瞑った「時間と行動が結びついている」という屁理屈が合わさったとき、僕の考えは一気に飛躍します。「活動に相応しい時間は太陽がある朝昼夕の間」で「朝や昼というものは時間帯に置き換えて考えられる」……つまり、「朝や昼は時間であり、人間の行動(活動)はそれと結びついている」ことになる。え?夜だって時間帯じゃないかですって?私の持論おいてに夜という言葉は活動時間内に入りません。というか、夜って時計を見ずに時間帯を予測するの無理じゃないですか。それと違って、陽のある内はいいですよ。陽の傾きである程度は予測ができますからね。時計要らずです。太陽様様です。


PM18:15

斜陽が消え、今日が終わる。

太陽という時計は消え、放物線はまた明日。

時間というものが限りなく薄れる夜がくる。

どうやら今日は新月のようで、夜空に疑似太陽の放物線はない。

まだまだ夜はこれからだが、いつまで夜が続くのか……。

放物線とけいは間もなく頭から消え、完全に時を見失う。

星の瞬きに目を瞬かせると放物線の残像すら消え、ついには目星もつけられない。


PM18:15

日の入りとともに時を失い、日の出とともに時を取り戻す。……違う。

日の入りとともにゆっくりと時は止まり、日の出とともに時は再び動き出すのだ。

陽は落ちた。時間はやがて止まる。

さてと、準備をしよう。出かける準備だ。


PM18:15

止まった時の中をこそが僕の活動の時なのだ。

矛盾しているがそれがいい。端から正論なんて求めてないし、生憎持ち合わせてもない。

さてと、準備が出来た。時が止まった外へと出よう。

何故なら僕は時が止まった中で活動する者。さぁさぁさぁさぁ!いざ、時の止まった世界へ……。



Pirororororo……


PM18:35


「はい、子安です」


「あ!子安君。困るよ~!遅れるなら連絡ぐらいしてくれないとさぁ!」


「……すみません、チーフ。ちょっとアパートの隣の人とトラブってしまって」


「シフト空いてるの君しかいないんだからさぁ!とにかく急いできてちょうだい!」


「分かってますよ。今向かってますから……はい」


通話が切れたようだ。

とりあえず、急いでコンビニへ向かわねばならないな。

寝坊した分は……まぁ頑張って働くとして……、


「ふぁ~あぁ……眠い。やっぱ夜勤やめよっかな」


外は喧噪の世界。少し大通りに出れば、人も車もごった返している筈だ。

何一つ変わらない世界。結局、夜もノンストップでこの街は回る。時間も止まることなく、針は回り続ける。こんな毎日が続き続ける世界。せめて、時間でも止まってくれれ……、


「……やっべ、腕時計こわれてるじゃん」


僕は左手首の止まってしまった時計をポケットにしまい込んだ。


「何だこれ?」と困惑されている読者の皆様がいれば幸いです。

意味なんてないのですから。

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