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「「ただいま」」


やっと雪と一緒に家に辿り着いた、帰宅の途中も雪は何時も以上に元気に振る舞っていたが、家に帰って来た事にほっとしたのだろう、笑顔のまま涙を流し始めた。


俺は玄関に鍵をかけてから、雪をリビングのソファに座らせた。


「兄ちゃん、なんでこんな事になったのかな」


「さあな」


そんな事は分からない、何処かにいるクソッタレな神って奴の仕業何だろう。

俺も雪の隣に腰を落ち着けて休む、返り血を浴びているが少し休んでから着替えよう。


雪が泣き止むのを待ってから自室に戻り服を用意。

先に雪が体を拭く為に風呂場に向かったので、体を拭き終わったら声をかけて貰うことになっている。

水道は使えないが、残り湯で身体を拭く位しないと危ないかもしれない、動物やゾンビの血が危険な可能性が考えられるのだから。


「兄ちゃん風呂空いたよー」


「おー」


着替えを持って風呂場に向かう、血だらけの服を脱ぎ、残り湯で身体を拭く。


「つめたっ」


思わず口から出た言葉に少し安心を感じた、ああまだ俺は人間何だろうな……と。


今日だけで何人のゾンビを殺したことか、今日だけで何匹の動物を殺したことか、今日だけで何回自分の心を殺したことか。

涙が零れる、雪にはこんな顔は見せれない、風呂から上がったら何時もの俺に戻る………俺は大丈夫だ。









風呂から上がったら次は夕飯の準備、といってもガスは使えないし、冷蔵庫も冷えてない、使える食材は限られてくる。


「雪ー飯だぞ」


「……兄ちゃん」


「仕方ないだろ火が使えないんだから」


本日のメニューはツナカンと麦茶(ぬるい)にサラダ(ぬるい)ドレッシング(ぬるい)には青じそである。

因みに雪は外見通りというか、料理が出来ない。


「「頂きます」」


食事中に喋る雰囲気ではない……当然か今日だけで色々な事があった、それでも食事が出来ているのは人間の適応力が高いからか。

手早く食事を終えて雪に話しかける。


「雪、今日は同じ部屋で寝るぞ」


「なんで?」


「何か有った時に二人の方が安全だろ」


「OK〜」


俺は雪が食べ終わる前にリビングから出て、残り湯をバケツに汲みトイレのタンクに水を追加して置く、これで雪は気にせずトイレが使える筈だ。


リビングに戻り雪に声を掛ける。


「雪どっちの部屋で寝る?」


「私の部屋で寝る」


「分かった」


俺は自分の部屋から布団を雪の部屋に持って行く、


「待って兄ちゃん!」


「おう?」


「部屋片付けるからちょっと待って!」


ガチャンと音をたててドアを閉める、まあ雪も女の子なので兄に見せたくない物が有るんだろう。

俺は見せれない物は部屋には無いがな、関係無いけどスマホって便利だよね、今は使えないけど。


「いいよっ兄ちゃん」


「はいよ」


雪の部屋に入る、いつぶりだろうか?小学生の頃はよく来てた気がする、中学の頃にはもう入らなくなったな、雪は構わずに俺の部屋に遊びに来ていたが。


「よっこいしょ」


布団をベッドの横に敷き、一度部屋を出て自室から木刀を持ってくる。


「雪もその模造刀をベッドの上に置いとけよ」


「了解!」


ちゃんと血等は拭き取ってある、まあ当然か。


「雪、早いけどそろそろ寝ますか」


「うん……兄ちゃん今日は疲れたね」


「ああそうだな……本当に疲れた」


こうして俺達の1日目は終わった。







夢、夢だと思う、明晰夢……夢だと自覚出来る夢……暗闇の中に俺は独りで漂っている。

光?意志?神?輝きが俺を照らす、ソレの存在が確かに感じられる。


喋っている訳ではない、それは思考や意志を直接伝えてくる……世界の変革から丁度7日後、選抜の時…大きな魂の持ち主を天界へ、天界にてもっとも強き者の願いを一つ叶える。


目覚める、今の夢は何だ、ハッキリと覚えているなんてもんじゃない、魂に刻まれたように感じる、ベッドの方を見ると雪も目を覚ましてこちらを見つめている。


「兄ちゃん変な夢みた」


「そうか、俺も見たが……その夢は7日後に強い魂を天界へ天界で一番強いやつの願いを叶えるみたいな夢じゃなかったか?」


「同じ夢みたんだ」


「ああ……という事はだ、ヤバいぞこれから色んな所で人同士の争いが始まるぞ」


あれが神だとか悪魔だとかの声だとするなら、願いを叶えるなんてのも真実かもしれないが……選抜に必要な魂ってのはあの白い炎の事だろう、大量に集めて天界へ行き願いを叶える……か。


「雪、とりあえず家をでて魂を集めるために俺は外にでるが」


「もちろん兄ちゃんに付いてくよ!」


「雪、もう一度言うぞ、俺は今からゾンビや動物や場合によっては………人を殺して回るぞそれでも付いてくるのか?」


「大丈夫!だって兄ちゃんには僕がいないとダメだからね!」


雪がいないとダメ……か、その通りだろうな、俺は決して強い人間じゃない、雪がいるから……雪を守らなきゃいけないから、兄は妹を守るためにいるから、だから頑張れる。


「まずは、そうだな名駅の方に行くか、ゾンビが大量にいるはずだ」


「うん!」


家を出てゾンビを倒しながらバスレーン沿いに都心部を目指す、俺と同じ考えの人間がいるかなと考えたがまだ出会っていない、という事は夢を見なかったのか、夢を信じなかったのか、あるいは避難所内やマンション内で争いが起こっているか。


雪も模造刀を振り回しながら付いて来る、魂を回収しながら着々と能力が上がるのを感じる、そういえば木刀も模造刀も壊れないな。


カラスとネコが増えてきた、都心部に向かうほど増えるんだが、やはり動物達もあの神か悪魔かの夢を見たんだろうな、ゾンビの多い方に向かっているんだろう。


「酷いもんだな」


思わず呟いてしまう位酷い光景が眼前に広がっている。

今までも酷かったが、大きな交差点に近づくにつれて惨状が顕わになってくる、様々な種類の車があちこちに激突したんであろう。

ゾンビにしても今までのは五体満足なのが多かったのだが、四肢を欠損した状態のゾンビがかなり多かった。


そうだ俺は運が良かったのだ、異変直後に外に居らず、すぐに犬しかも小型犬を相手にして、田舎の方だからモンスターも少なくキチンと自身を強化できたのだ。


そして、俺より遥かに困難で厳しい状態を生き残り戦ったであろうゾンビに出逢った。


「雪!技を使え!」


「OK!」


突如として現れたそのゾンビは両腕に金属バットを持ち、工事用のヘルメットと背中にスコップを背負って現れた、魂を集めたからか、相手の魂の量を感じる事が出来る、俺と雪を合わせた位の量を感じる。


「疾風迅雷・クラァウゥゥドソード!」


風と雷を飛ばしながら遠距離から攻撃を加える雪、俺はタイミングを見ながらまずは指先を叩き潰す、

相手の方が遅い……が力は相手が上だろう、両腕のバットが地面や壁を砕くのを見て思う、おそらくこの身に当たれば一撃で絶命、俺もゾンビの仲間入りになるだろう。


「オラァ!」


気合い一閃ダブルバット野郎の指を砕く、まだダメか三回目の攻撃を当て即攻撃圏内から離脱する。

正に綱渡り、相手の攻撃が当たったら終わり、自分の攻撃は相手の指先に集中させる、感触的に後一回位で相手の手を潰せそうだ。


「オラァ!」


「隆起炎岩・マァグゥマァァブゥレード!」


四回目、やっと相手の片手を潰せたと思ったらもう片方のバットをこちらに投擲して来た、ゴウという風切り音と共に襲来するバットを間一髪で転がるようにして避け距離をとる。



「バットの次はスコップか」


背中のスコップを右手に構えてダブルバットからスコップ野郎に変化したぞ!


「雪!もっと距離をとれ!」


「了解!」


オイオイ、こいつアスファルトをスコップで掘り起こしながらソレを投げつけて来やがる!



避けるのでいっぱいいっぱいだな、ライオンの時の加速を試すかと思案していると、雪がビルの上から次々にスコップ野郎に向かって色々な物を投げつけている。

やるな雪!次々にスコップ野郎に突き刺さるパイプやおそらく手すりを切断した物等、あっというまに針鼠になり動かなくなった。


「雪、良くやった助かったよ」


「兄ちゃんも囮お疲れ!」


魂は雪が回収して、朝食を食べにコンビニに入った。

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