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ゾーン

「「ただいま」」


家に帰って一息つく、外は戦いの連続でかなり緊張していたからか、肉体的には調子がいいのだが、精神的にはかなり疲れているようだ。

まずは服を着替えてからリビングのテーブルで寛ぎつつ、今後の事を雪と話し合おう。


「まずは現状確認かな」


「うん!」


「動物が凶暴化している。


同じ種類の動物では争いは無さそう。


白い炎を回収せずに死体を放置するとゾンビ化する?


ゾンビ化した動物は同じ種類のゾンビ化してない動物とも争う。


電気系統が使えない?


異変がどこまで広がってるか分からない。


虫は凶暴化して無さそう。


小学校回りは比較的安全を確保できた。


白い炎に触れると強くなる。

魔法的な物が使える用になる?……こんな所か」


「うんうん」


「次は今後どうするかだな」


「うんうん」


さっきからうんしか言って無いが、本当に大丈夫か?


「1・小学校を拠点化する。


2・小学校以外を拠点化する。


3・取りあえず色々な所を見て回る


4・家に籠もって両親を待つ……こんな所か」


「うんうん」


言ってなんだが、両親は恐らく無理だろう。


両親が勤める会社は都心部にある為、田舎な此処ら辺りと違い事故が多発しているだろう。

異変の後人格が多少狂化されるが……果たしてゾンビとはいえ人型を殺せる人間が何人いるかな。


「雪はどうしたい?」


「うーん……兄ちゃんに付いていく!」


……そう言うと思ったよ。


「学校の方が安全だぞー」


「兄ちゃんに付いてく!」


「いやしかしだな」


「兄ちゃんに付いてくの!!」


「分かったよ、じゃあ3の色々な所を見て回るだな」


今は2時か、色々やったり確認したりしていたが、2時間程しか経って無いのか。


「まずは動物園を目指すか」


「何で?」


「普通なら徒歩2時間と遠く、怪物を倒しながらだと時間がかかる上に、ライフラインとは直接関係は無いだろう。

しかし動物園の動物は最初から人より強く、なるべく早く倒さないとどんどん強くなる可能性が高い」


「強くなる前に倒して長期的な安全を確保するんだね!」



再度装備を確認してから俺達は家を出た。




大通りに出る、あちこちで車が事故り煙を上げているが、救急車やパトカーは一台も確認する事は出来ない。


やはり車は動かないようだな。


「雪、ゾンビを狩りながら白い炎を回収しつつ進むぞ」


「了解!」


「後あの技は危ない時以外は使うなよ」


「何で?」


「誰かに見られたら騒ぎになるだろ」


雪と共に動物園に向かう、カラスや鳩も倒しつつゾンビも狩っていく。

しかし子供のゾンビはキツいな、気が滅入る。


生き残った人間も探してはいるが……まあ既にゾンビ化しているか避難しているかのどちらかだろう。

そう都合よく助かる事など無いのだ。


途中スーパーや警察署も遠目に見たが、かなりのパニックになっていた。


「あれでは落ち着くまでかなり時間がかかるだろうな」


「兄ちゃんは慌てないの?」


「慌てたろ、最初の犬を倒した時」


「そうかな?」


雪はムムムと考える顔をしている、実際あの時雪を守らなきゃという思いでかなり慌てていた、犬が倒せたのは運が良かったのだ。


動物園に着いた、かつては東洋一と呼ばれた動物園である。


「雪、此処から先はかなりキツいぞ」


「大丈夫、大丈夫」


まあその内わかるだろう。


園内に正門から入る、当然夏休みなんだから家族や子供達だけのグループが至る所で見受けられる……ゾンビの姿でだ。


偶に白い炎だけ残っているのは、死体を持ち去った動物が居るはずだ。


「雪、辛いなら休憩所で休んでろ」


「ごめん兄ちゃん」


道中も意図的に子供のゾンビは俺が倒していたが、園内ではそれも無理がある。


家族や子供のグループ、生前は幸せだっただろうゾンビを倒すのは……やはり雪は耐えられ無さそうだ。


「少しそこで休んでいろ、気は抜くなよ」


「……うん」


室内休憩所のゾンビの死体をあらかた外に出してから戸締まりをして、雪を比較的綺麗な所で休ませてやる。


「兄ちゃんは何でそんな平気そうなの」


「さあな」


平気な訳がない、誰かがやらなければいけないだけだ。

その誰かが偶々俺だった……それだけだ。


俺は雪を休憩所に残して、遊園地ゾーンから動物園ゾーンに移動した。



此処からが本番である、ゾンビと違ってかなり組織だった攻撃を仕掛けてくる……猿だ。


「オラァ!」


気合いと共に木刀を下から上に振り抜く!

狂化猿は怯む事なく爪と牙で襲ってくる。

道中で強化してなければ猿の集団には勝てなかっただろう。


15匹程の猿を倒して白い炎を回収、体の傷も回復する。


様々な檻の付近では動物同士で争っている場所もある。俺は漁夫の利を狙いながら動物園エリアを回って狩りをする。


そして出会った、見るからにヤバい、オスライオンだ。


本来狩りをするのはメスのライオンの筈だが……あのライオンは率先して2頭のメスを従えて園内で狩りをしていた。


正面にオスライオン、両脇にメスライオンが控えてこちらを観察しているようだ。


俺は木刀を正眼に構えて対峙する。


フッと息を吐きながらオスライオンに向かって、一足跳びに間合いを詰める。


木刀を振り下ろす……が、爪で受け止められる。


牙で俺に噛み付こうと口を開けてくるが、俺はライオンの足と地の間に体を滑り込ませて避ける。

更に前脚と後ろ脚の間に体を滑らせてオスライオンの横腹で立ち上がる。横腹に木刀を叩き込もうとするも、脇にいたメスライオンが爪を振るってきたので、宙へ跳び上がりかわす。


落下の速度を利用しながらの木刀の一撃をメスライオンの首筋に打ち込む!

メスライオンは血を噴き出しながら倒れ伏した。


極限の集中力のおかげなのか、ライオンの動きがゆっくりに感じる。

更にライオンの動きが読める、体のどこに力を入れてるのかなどを何となく感じる事が出来るのだ。



メスライオンの死体を間に挟み、オスライオンと対峙する。

もう一頭のメスライオンは、かなり距離を離した位置に移動している。どうやらオスライオンに完全に狩りを任せるつもりらしい。




雄叫びと共に左右の爪と牙で、正面から三方向同時に攻撃を仕掛けてくる。


バックステップで避けて、突きを目に向けて放つ、が顔を捻ってかわされた。


……やはりこのオスライオンは白い炎で強化しているらしい、明らかに動きがメスライオンより速い。


今度は此方から仕掛ける!


「オラァ!」


烈吼の気合いと共に一撃を振り下ろす!

狙いは真っ直ぐに鼻頭だ。


オスライオンは右脚の爪で木刀の攻撃を防御、木刀に体重をかけながら牙と左脚の爪で攻撃を仕掛けてきた。




その瞬間……俺は木刀を手放した。


体を素早くオスライオンの左側に移動させる。

オスライオンは一瞬俺を見失ったのだろう、自分から武器を手放すとは思わなかった筈だ。


ライオンの武器、爪と牙は手放す事は出来ないが……俺の武器は木刀だけじゃ無い!


俺は素早くオスライオンの左目を左手で抉った。


後は一方的になった、木刀を拾い、倒したメスライオンの白い炎を回収。

ひたすら死角から攻撃を仕掛け、五回程仕掛けた辺りでやっとオスライオンを倒した。




オスライオンの白い炎を回収、残りはメスライオン一頭だけとなった。


此方を伺うメスライオンまでの距離、約五十メートルを俺は木刀を構えて飛びかかり一振り、メスライオンは一瞬で絶命した。


「なんだ今の」


自分の動きにびっくりさせられた。

確かに一撃で決めようとしたが……オスライオンの白い炎を取得して、かなり力がアップしたようだ。



メスライオンから白い炎を回収、他の動物も倒しに園内を探索する。


カバ、オオカミ、ゾウ、等を倒して回ったが、オスライオン程の強敵は現れなかった。

また園内の職員や観光客は生き残りを確認出来なかった、まあ生きているならさっさと動物園から脱出するのが当然である。


妹の雪を迎えに行く、休憩所でまだ休んでいるようだ。


「大丈夫か?」


雪は辛そうに顔を俯かせている。


「うん、大丈夫……兄ちゃん、園内に生き残った人はいた?」


「いや、俺が見た限りはいない……まあ生きているならさっさと脱出するだろ」


「そっか、うんそうだよね!」


無理やり元気そうに振る舞っている、まあ空元気も元気の内だろう。


とりあえず俺に出来る事はやれた筈だ、出来うる限りの動物とゾンビを倒して白い炎を回収しながら帰宅した。


後は拠点を作って、安全を確保して、継続的に衣食住を確保出来る用に動く事か、ただそうゆう事は専門家の知識が必要になってくるだろう。



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