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魂の声

光に包まれて、再びの転移。

前回、犯人当てゲームでは執事しか倒さなかったのだが、転移した直後にちゃんと魂が増えるのを感じ取ったので、あの五人の魂は恐らく回収出来ている。

そして転移してきた先なのだが……よく分からない、一面が果てしなく白い空間で、地面はない、空もない、対戦相手も見当たらない、のないない尽くしであった。


これは何だ?

何と闘えばいいんだろうか?

異変が起きてから今まで、俺は沢山戦ってきた、雪を守る為、天界では自分の願いの為にだ、俺はこの空間でどうすればいいのか。

神側の不手際なのか?

間違えて転移させたのか?

だが今まで神を名乗る存在は意外と律儀だった、仮に間違えて転移させたとしても、すぐ連絡なり、転移なりさせてくるだろう。

俺はそう考えて、暫くこのだだっ広く白い空間で待つ事にした。













ここに転移してからどれ位経っただろうか、まだ五分程のようにも感じるし、既に一時間と言われても納得できる。

一度ホッパーを呼び出そうとしたが無理だった、ホッパーがいれば大分心に余裕が出来たのに。













まだなのか?

頭の冷静な部分では、今回の戦いは姿こそ見えはしないが、対戦相手との我慢比べだと予測は出来る………何を我慢するのかも見当は付く、要するに自分の命だ、天界では死んだら魂の量が半分になり下界に送られるだけだ。

厳密には死んだりはしない、だがこの空間にどれ位留まれるかと言われると………。










色々思考を巡らせる、だがそれもこの何処までも白い世界では辛く苦しい、また神の説明が無いのも心を不安にされる要因だ。

今まで神は天界では説明をしたり、ヒントを出したりと意外に親切だった、だが今回はその説明が一切無い、精神力……文字にすれば、たった三文字だが……それが試されているのだろう。












本当にコレは試練なのか?どんどん不安になってくる、だけども我慢するしか無いのだ、試練でも、事故でも、現状は耐えるしか無い。















何時まで我慢すればいい!

ふと模造刀が目に入る、此処で死ねば直ぐ楽に成れる筈だ、下界には雪もホッパーも居る、自分の願い何て叶わなくてもいいんじゃ無いか?


















約束は守らないといけない、正しい行いをするんだ、雪程真っ直ぐは生きていない、それでも雪との約束は破る訳にはいかない。















対戦相手が居るのならそいつとの我慢比べの筈なんだ!


…………全て憶測だ。


今までの傾向からコレも対戦の一種の筈なんだ!


ただの予測だろ?合ってるとは限らない。


何かヒントは無いのか………


そもそも世の中そんなに甘く無い、ヒント何てそんなもの、おちてないのが普通なんだよ……俺の短い人生でもそうだっただろう?















もう昔の記憶を思い出す位しか、暇つぶしできる事が無いな。

幾ら飲まず食わずでも体は大丈夫だって言っても心はどんどん不安に蝕まれていく。






















人間、楽しかった事や嬉しかった事の方が直ぐ思い出せるんだな。

辛かったこと、苦しかったことは、その時の感情までは思い出せない。

俺の頭は都合良く出来てるんだな。

















そういえば父さんと母さんはどうしてるのかな……俺も雪も強く成ったし、地元に戻るのも悪く無いな。















どれ位時間が経ったのかな…………何か涙が止まらない、雪に会いたい、父さんに会いたい、母さんに会いたい。



















寂しい、冷たい、苦しい、でも諦めきれない、誰かに倒されるのは我慢出来る、相手の方が強かった只それだけだから。

でも自分の心に負けるのは……我慢出来ない。















俺は今まで適当に生きてきた、でも異変が起きてからは沢山の魂を奪って……必死に生き延びてきたんだ。

だから自分から死ぬ事は絶対に出来ない。

そうだ!

気合いを入れろ!

まだまだ俺は元気だ!
















転移の光が体を包む、やっと脱出できるのか?

まあ何処でも此処よりはましだろう。







転移で連れてこられたのは、蒼穹と大草原と離れた場所に神秘的な、恐らくは神殿だろう建物がある場所であった。


あれは白い大理石であろうか?草原の中、一面に敷き詰められた白い床、壁や屋根等は一切無く、白亜の柱が建てられているだけ、だが凄まじい威厳を持ち、近寄るのさえ躊躇してしまいそうになる。


十分程歩いて神殿に到着した、神殿の中心には光が鎮座してこちらが神殿の中に入るのを待っているようだ。


―――――――――――よくぞ試練を乗り越えて此処まで辿り着いた、人間よ。

―――――――――――


「えっと、神様でいいんでしょうか?」


―――――――――――然り、此処は我の住む神殿の内の一つである。

―――――――――――


遂に全ての試練を乗り越えたのだろうか?


―――――――――――後一つ、まだ最後の試練が残っておる、此処はその準備の為の空間である。

―――――――――――


後一つか、最後はどんな試練なのだろうか?

神様に確認をした方がいいだろう。


「神様、最後の試練とはどのような物でしょうか?」


―――――――――――お主と同じように戦い、生き残り、考え、耐え抜いた人間である、その者と戦い勝利する事だ。

―――――――――――


最後の戦闘、相手は俺と同じように戦い抜いた人間か……


―――――――――――準備が出来たら申すがよい、最後の戦いの場にお主を導こう。

―――――――――――


準備か……少し休もうかな、あの空間が苦し過ぎて、此処が天国に感じられる。

それに神様との会話が妙に嬉しい、簡単な会話だけでも心は癒えるようだ。


木刀、模造刀、服装のチェックに体も動かす、しっかりと地面がある、そんな普通の事に感動を覚えつつ、スキルのチェックも行っていく。

鷹の目

加速

ホッパーの召喚に運転


休憩して全力を出せるように体調を整える、ホッパーとの会話を少し楽しんでから……さあ出発だ!


「神様、それではお願いします」


―――――――――――うむ、では行くがよい

―――――――――――


転移の光が体を包み、決戦の地へ。

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