僕はブラコンなのかな?俺はシスコンだろうな。
ぐるりと辺りを確認……敵影無し、フィールド確認……此処は俺が天界に招かれた場所か?
ふむ、鮫の死体も存在する、現世で戦うのだろうか?
少し考えてると、またあの神の複雑な声が聞こえてきた。
―――――――――――これより24時間、下界にて休息せよ。
此処は天界に招いた時より24時間の時が過ぎて居る。―――――――――――
1日後か……正直、殺されるか勝ち残るまで、人間界には帰って来れないと思ってたんだがな。
俺はかなりの喜びを感じながら、雪を探しにアクセルホッパーを駆けさせた。
side九条雪
兄ちゃんが鮫を倒してからすぐ、天界へ行くかどうかを不思議な声の光の塊が聞いてきた、何でも願いを叶えてくれるらしい。
多分兄ちゃんは行くんだろうな〜でも僕はこの男の子を安全な場所に届けないといけない。
「お姉ちゃん、どうするの?」
どうやらこの男の子にも聞こえていたらしい。
「僕はいかないよ、君は行く?」
「僕も行かない、怖いもん」
そりゃそうだ、こんな小さな子が戦いたがる訳ない。
「じゃあ女性グループのアジトにいこっか!」
「うん!」
「ホッパーお願いね!」
チカチカとヘッドライトを光らせて再び動き始める、因みに私は場所を覚えて無いので完全にホッパー任せだ。
「すみませーん!」
「はいはい」
ホッパーは兄ちゃんが居ないので余りスピードを出せないから到着まで時間が少し掛かった。
女性グループのアジトに着いた時、其処に現れたのは軍隊?みたいな服を着たがっしりした体格の女性だった。
「一応男性グループの方から勧められて、こっちに避難しに来ました」
「大丈夫ですよ、家は子供も沢山居ますからね、女性しか分からない事も有りますしね?」
「あっそれと僕は結構戦えますよ〜」
「お姉ちゃんも此処にいてくれる?」
「うん!僕も此処にいるよ!」
女性も柔らかく答えてくれるし、男の子も子供が沢山いるなら友達もできそうだし、兄ちゃんが帰って来るまで頑張って此処の人達を守ろう。
「では中を案内しますね、私の名前は守義通よ」
「僕は九条雪です、よろしくお願いします!」
「僕は只野太です、えっと5歳です!よろしくお願いします!」
「よくできました」
通さんが太君を褒めている、うーん母性がたっぷりだね!
でも女性にしか分からない事か〜実は兄ちゃんはそこら辺かなり詳しかったんだよね。
家は両親が共働きで僕は体の成長が早かったらしくて、初めての生理用品とかはお母さんじゃなくて兄ちゃんが一緒に買いに行ってくれたっけ、真剣に薬局のおばちゃんに相談してた兄ちゃんはかなり頼もしく感じたな〜。
なんて少し昔の思い出を思い出しながら通さんに付いてアジト内を案内して貰った。基本的には病院内を寝床にして暮らしているようだ、通さんの説明だと戦闘組は近くの警察署を拠点にしているらしい、水道やガス、電気等はスキル拠点化を持つ人がいて普通に使えるらしい。
「便利ですね〜」
「ええ、私は会った事無いんだけど、何でも交渉に強い人がいて、ここら辺の大きな各グループに、それぞれ拠点化スキルを持つ人を説得して分けて配置出来るようにしたらしいわ」
「ほーそういうのは僕には絶対無理ですね」
「大丈夫、私も無理だから」
お互いに笑いながら少し話をした、しかし交渉ねぇ、どっかで聞いた気がするんだけど……まあいっか!
「この部屋でお願いね」
「はーい」
通さんが他の看護士っぽい人と話をしている間にホッパーを駐車場に停める、通さんが私の部屋を決めてくれたらしい。
促されるされるまま部屋に着き、部屋をいろいろ確認する。
「じゃあ私は戻るから、お風呂やシャワーは共同の所を自由に入って良いわよ、あっ男性用は駄目よこのグループにも男性が少ないけど居るんだからね」
「分っかりました!」
「今日はゆっくりしててね、戦えるって事だから明日からお願いするかもしれないわ、あと何か質問ある?」
「そういえば、神様の声を聞いて天界に行った人はどの位居るんですか?」
「ええ、さっきの看護士さん分かる?」
「はい」
「あの子の情報だと、結構な人数がその場から光と共に消えたらしいわ」
「じゃあ今大変何じゃ?」
「その後三分程で戻って来たみたいよ、何でもバトルロイヤルで直ぐ負けたらしいのよ、話によると時間の流れ?とかが此方とかなり違うみたいね」
「なるほどーありがとうございます」
「じゃあね」
手を振りながら通さんは警備に戻った、私はベッドに寝転んで睡眠をとる事にした。
やっぱり疲れた、今まで戦いばっかりだったし、安心して眠れるのはありがたい。
はやく兄ちゃん帰って来ないかな……兄ちゃんは何時も僕と一緒に居てくれたし……頼りになるし、何時も僕を守ってくれてたし、友達にはよくブラコンだって言われてたっけ、なんか涙が出てきた……はやく兄ちゃんに会いたいな。
目を覚ます、元々寝起きが悪く、直ぐ頭がハッキリするタイプじゃないんだけど、異変後はスッと起きれるようになった、兄ちゃんが言うには危機感や緊張感が抜けないから、らしい何か神経がなんだかんだと難しい言葉で説明されたけどよく分かんない。
キャャーーーーーー
女性の叫びが聞こえてきた、僕は近くに立てかけてある模造刀を掴み、急いで走りだした。
病院の敷地外、まだまだ距離は離れているが、超がつく位でっかくて白いクジラがゆっくりと空を泳いで此方に向かって来ていた。
「通さん!」
「雪ちゃんか、アレはまずいかもね」
門の所に立っていた通さんに声をかける。
「今戦闘班が向かい撃つ為に忙しいんだけど、雪ちゃんもお願い出来るかい」
「もちろんです!」
「ありがとうね、じゃあ付いて来て」
僕が此処を守る、悲しい事が沢山ある、異変で変わってしまったこの世界、でも僕は自分の心に真っ直ぐに進むんだ!
戦闘が始まる、あの白いクジラは悠々と空を泳いで時折口を開ける、そして根こそぎ食べる、どう動くか予想できない上にモンスターもゾンビも人間も動物も建物も見境なく食べるらしく、かなり被害がでているようだ。
「どうするんですか?」
「ドームの屋根を展開してその上に乗って、みんなで一斉に遠距離攻撃するのよ」
なる程、物量作戦だね!
通さんによる説明を聞いて自分の配置に着く、女性だけじゃなくて色んな人達がいるようだ、みんな普通に屋根に乗ってるけど凄いねこの状況!
今みんなは心を一つにして、人種や宗教や性別を超えて危機に立ち向かっている!
「これなら行ける!」
とても大きな声が辺りに響く、攻撃の合図だ。
「攻撃用意!………撃て!!」
合図と共に僕も魔法剣を繰り出す!
「斬・空・閃・孔!エアァカットォストラァァァァァイク!!」
放たれた様々な攻撃は、四十メートルもある白いクジラを爆煙で包みこんだ。
やった!
誰もがそう思っただろう、少なくとも大ダメージは与えたと、だが煙が晴れた時、其処には無傷で佇む白クジラがいた。
「うそ」
誰かが呟いたそれは、震える声だった。
「まだだ!追撃準備!」
大きな声に促されみんな追撃の構えに入る、僕ももう一度構える。
「攻撃用意!………撃て!!」
「斬・空・閃・孔!エアァカットォストラァァァァァイク!!」
再び行われる一斉攻撃、だが……やはり白クジラには効いてない!
「もう一度だ!」
多分無駄だろう、僕でも分かる。
遠距離が駄目なら直接攻撃だ!
「九条雪!突貫します!」
全速力でドーム天井から跳び駆ける、三度目の遠距離攻撃を後目に全力疾走!
何人かは僕に続いて来ている、多分遠距離攻撃は効果無しと感じた人達だろう。
白クジラに近づくと他にも何人も集まって来ている、どうやら第二の作戦も有ったようだ。
「近距離攻撃班は各々で白クジラに取り付いて自由に直接攻撃しろ!」
再び大きな声が響く、さっきとは違う声なので、この班の指揮官だろう。
自由にか〜寄せ集め部隊だし、連携できないもんね!
僕もビルの壁と壁を利用しながら白クジラに近づく。
でも白クジラは空中を上下左右関係なく空を跳ね泳いでる所為でなかなか取り付けない、みんなで一斉に接近戦を仕掛けるけどダメージが殆ど無い。
「遠距離もダメ、近距離もダメ、どうしよう」
あせる、白クジラは暴れ回って辺りがどんどん崩壊している。
兄ちゃんならどうにかできるのかな。
「……兄ちゃん……早く……帰って来てよ」
「呼んだか?」
懐かしい声が聞こえた、たった1日位だけど、本当に懐かしく感じる声が聞こえた。
「兄ちゃん!!」
side九条大助
あれから暫くアクセルホッパーを走らせると、以前との違いに気付いてくる。
あちこちの建物が崩壊して、人の気配が無いのだ。
確かに建物は壊れたり傷付いていたりしたが、ここまで崩壊する感じじゃなかった。
最初は地震か?と思ったが、上半分だけ無いビルを複数見つけて。
ああ巨大な何かにやられたんだなと納得した。
辺りにモンスターもいないとなれば、敵はかなりの魂を持っているかもしれない。
俺は急いで女性グループのアジトを目指した。
雪は無事なのか?
雪の安否が気になって仕方なかった。
聞いていた女性グループのアジトに辿り着くと、俺が助け出した男の子が病院の正門で、門番と思われる女性と不安そうに佇んでいた。
「あ、お兄ちゃん!」
「よう、坊主」
「えっと、鮫を倒してくれてありがとう!」
「ああ、どういたしまして」
どうやら雪はちゃんと此処に来たらしいな。
「坊主、雪はどこ行ったか知ってるか?」
「でっかいクジラをみんなで倒しに行ったよ!」
「そっか、ありがとう」
でっかいクジラか。
「あの門番さん」
「はい、はい、なんでしょう」
俺と坊主のやり取りを見ていた門番さんにらどこに向かったか正確に教えて貰おう。
「皆さんどこに行ったか正確に分かりますか?」
「はい、はい、分かりますよ、ドームの場所分かりますか?」
どうやら坊主の態度から害は無さそうと判断してくれたらしい。
「ええ、分かりますよ」
有名だからな、ドーム何個分なんて話はテレビでよく聞く。
「そこの屋根です」
屋根か、作戦を考えた人はなかなかやるな、人の大量展開に遠距離攻撃、魂で強化された人間なら逃げ道も確保しやすいだろう。
「ありがとうごさいます」
「はい、はい、どういたしまして」
「お兄ちゃんも行くの?」
「ああ、雪が行ってるみたいだしな」
「お兄ちゃん!頑張って!」
病院から視認出来る位置にクジラがいた、しかもかなりデカい、アレは写真でみた事があるな……たしかシロナガスクジラだったか、観測では最大36メートルだとか聞いた事があるが、アレはもっとデカそうだ。
アクセルホッパーを走らせて急いで現場に向かう。
派手に暴れていやがるな、一斉に放たれた遠距離攻撃は透明なバリアに遮られているようだ。
俺が白クジラに接近した時、声が聞こえてきた、ああ、久し振りに聞く声だ、しかも沈んだ声だ。
「……兄ちゃん……早く……帰って来てよ」
俺は兄だからな、妹が悲しんでるなら、できる限り力になるのが兄の勤めってもんだろう。
そんな俺はシスコンなんだろう。
「呼んだか?」
「兄ちゃん!!」




