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索敵

夏の午後、輝く太陽がアスファルトを灼熱のオーブンへと変異させている……そんな一種の定番とも言える風景の中、俺と雪は辺りを観察しながら歩いていた。


「なあ雪、モンスターが見当たらないんだが」


「じゃあ魔法使ってみようか?」


「そうだな」


俺達はモンスター狩りをして強くなる為に東京まで来たんだ、断じて雪とお散歩、時々ドライブ(黒猫も居るよ!)をする為に来た訳ではない。


「風振感知・カウンターソォード!」


抜き放った黒い刀身から、微細な魔力を発信して風の振動を知覚する……らしい、雪は感覚派なので大体とか何となくとかテキトーで使えるらしい、因みに俺は加速以外魔法は使えない、俺も魔法使いたかった。


「うーん……僕の魔法では何も感知出来ないね」


「そうか、俺の目視でもとくに何もないな」


これは異常である、異変以降モンスターに全く遭わないのはおかしいのだ、休憩する時は周りのモンスターを狩り倒して安全を確保したり、誰かが設置したであろう結界を利用したり、雪が結界を張ったりしていたのだが、10分程前からモンスターが一切見当たらない………この地域に何かあるのは確定だろうか。


「兄ちゃんどうするー」


「そうだな、自分から罠に突っ込んで行くのは、なるべく勝算のある時だけにしたいな」


「つまり?」


「引き返そうか」


「OK〜」


何て会話をしながら元来た道を引き返した、わざわざ得体の知れない罠に自分から突っ込むのは危険である………。


「兄ちゃん、ここさっきも来た気がするんだけど」


「そうだな、俺もそんな気がするな」


俺達は引き返す前の道と全く同じ風景を再び目にした。


「兄ちゃん、どうするー」


「そうだな、自分から罠に突っ込んで行くのは、なるべく勝算のある時だけにしたいな」


「つまり?」


「犯人を突き止めなければならないな……勝算は無いが」


「僕達なら大丈夫だよ!」


雪はそんな根拠の無いセリフを吐き出しながら前に進で行く。

雪はポジティブだ、まあそんな雪の性格に引っ張られるのも悪くないと感じる。


「兄ちゃ〜ん」


「なんだ」


「またおんなじ景色だよ!」


「まあそうだな」


RPGによくある迷いの森攻略法を参考に一方の方角にのみ向かって歩いてみたのだが………結果はダメでした。


「兄ちゃんどーするのー」


「そこの家にお邪魔してちょっと休憩するか」


「うん!」


恐らく結界の効果で無人になっているコンビニから地図を拝借して、適当な家にお邪魔した。

地図を見ながら現在地を確認、十字路を起点に四方角に歩いたのだが、全て元の十字路に戻ってしまった。


「兄ちゃんーお風呂入って来て良い?」


「いいよ」


「ワーイ!」


雪は風呂を我慢していたのか、こんな生活に成ってからはまともに風呂は入って無かったからな、体を拭く位しか出来て無かったのだ、俺も雪の後で風呂に入ろう。

さて異変によりゲームに近い法則に変わったこの世界、という事は迷いの森攻略は特別なアイテムが必要なパターンも多いので、その方向で探索してみるか。


雪と交代で風呂に入り、少し涼んでから再び探索に乗り出す、今度は片っ端から不法侵入である。


「兄ちゃん、何を探せばいいのー」


「不自然な何かだよ」


「よくわかんないー」


「あっ、兄ちゃん!あれ!」


雪が指し示す方に顔を向けると住宅街に似合わない小さなお城があった、今まではビルの影に隠れて尚且つ角度的に目に入らなかったのだろう。


「いやあれは別に不自然じゃないぞ」


「えー、でも小さいけどお城だよ?」


「お城でもだよ」


さて分かる人は分かるよね?うんアレはラブホだよ、厳密には回転ベッドがナンチャラカンチャラと法律があるらしいがまあラブホだよね……え、妹に説明するの?マジで?アレはこういう施設だから不自然じゃ無いよって?


「でもさーお城だよ?兄ちゃん、こんな所にあるのは不自然じゃないの?」


「あーなんだ、アレはな、お城の形をした宿泊施設なんだよ」


「へーそんなホテルあるんだー変わってるねー、でもさ兄ちゃん、不自然な事にはかわりないよね?」


「それは、そうだが」


駄目だ雪のやつ興味津々だぞ。

まあしかたないか……ホテルの内部を調べよう、そうすれば雪の気も済むだろう、幸い電気は通って無いと思われるしな。

ホテルに入って行く、中は案外普通のホテルと変わらないようだ、受付用のカウンターがあり各階に通じる階段とエレベーターがある。

電気が通って無い為当然階段を使って各部屋を調べるのだが。


「案外ふつーだね兄ちゃん!早く行こーよー」


「今マスターキーを探してるから待て、ドア全部ピッキングするのは骨が折れるからな」


「はーい」


ドア全部壊すのは最終手段である、……あったあった鍵付きの机の中に有りましたね、今となっては意味などないが、もう少し安全な場所に隠した方がいいぞ。

一階から順に部屋を探索する、どの部屋もキングサイズのベッドに大きめのバスルーム、サイズは何インチか分からないがこれも大きめのTVにゲーム機とカラオケ機とマイクがある。


「兄ちゃん!カラオケにゲームもあるんだね!」


「ああ、電気が無いから使えないけどな、」


よし!不自然な物……ゴムとかは置いてない!割合普通のホテルっぽくて良かったぜ!


「兄ーちゃん、何で今までホテルに泊まらなかったの?」


「見た通りなかなか良い施設だろ?」


「うん!」


「だからさ、確実に色んな人が集まる、俺達は強く成るのが目的だ、そんな中には居られないだろ」


「そっか!」


雪と雑談をしながらも各部屋を探索していく、特に変わった物も無く最後の部屋まで探索を終えた。


「もー此処もはずれー」


雪がボスッと音を立ててベッドに飛び込む、俺もベッドの端に座り伸びをする。


「さてどうするかな」


大体の場所は調べ終わったと言っていい、この無人結界をどうやって抜けだせばいいのか。


「兄ーちゃーん、僕達此処でずっと閉じ込められるのかな?」


結界系統の魔法は術者が死亡してもそのまま残るのは経験からわかる、結界か……一つ思いついたぞ。


「もう一カ所調べて無い所があるな」


「どこどこ!?」


「マンホールの下、下水道だ」


「うわー行きたくないなー」


だが結界がテント型の範囲だけをカバーする物ならそこから普通に脱出、出来るかもしれない。

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