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観察

さて、コンビニである……と言っても中はがらんとしていて、殆ど何も無い。


「ここは殆ど何にもないね、兄ちゃん」


「そうだな、まあヤクザ屋さん達が持って行ったんだろ」


食料や日用品も殆ど無い、まあ当然か……恐らく俺達は魂を集めて強くなったおかげで、既に食料を必要としていないから別に問題ないのだが。


「ニャーニャー」


黒猫が俺達に勝手に付いて来たのだ、そしてコンビニに入るなり猫まっしぐらである、キャットフードに。

どうやらヤクザ屋さん達はペットフードは持って行かなかったようだ、別に人間が食べても問題ない筈なんだがな、常食するのはまずいらしいが。


「兄ちゃん!猫って可愛いね!」


「そうだな」


一心不乱に食べてる所を見るに、かなり腹が減っていたらしい。


「充分休んだし、そろそろ行くか」


「そ〜だね!」


「ニャー」


いやお前は呼んでないぞ黒猫。


「何時まで付いてくるんだ黒猫さん」


「ニャー」


先程から再びモンスター狩りを続けているのだが、黒猫さんが後をずっと追い掛けて来るのだ。


「まあ付いて来るのは別にいいよ、でも面倒はみれないからな」


「ニャー」


完全に受け答えしているな、かなり頭が良いらしい、さて再び魂集めに向かうか。


コンビニを出て通りのモンスターを片っ端から狩っていく、もはや慣れてしまった。


しかし、襲いかかってくるモンスター達ばかりで、この黒猫のようになにかしらのアクションをとるモンスターがいないのは、やはり使い魔だったのが原因だろうか。


「ニャー!」


黒猫も適当なモンスター相手に、爪や牙で応戦して魂を貯めているようだ。


「兄ちゃん!誰か来たよ!」


「おう、見えてるよ」


視線の先には一見すると普通のサラリーマンのように見える男が三人、その手には日本刀と長ドスにナイフをそれぞれが装備しており、周りのモンスターを狩りながら此方にくる。


「兄ちゃん、どうするの?」


「取りあえず、近くの公園に行こうか」


俺達に用があるなら追い掛けてくる筈である、用が無いならそのままおさらばすればいい、流石に襲って来ない人間に先制攻撃するのは戸惑われたのだ。


三分位、公園の中央にある広場で待機していると、やはりというか先程の男達が現れた。


「何かようですか?」


此方から声をかけてみる、多少声が固くなるのは仕方ないだろう、男達の魂はそれ程強さを感じないので、こちらの脅威にはならないと思われる………思われるが、それでも見た目がヤクザっぽいので、今まで育ってきた感性が相手は危険だぞ、と訴え掛けてくるのだ。


「ぜひとも舎弟にしてください!」


「は?」









向かい合った男達が土下座をしながらも発声した言葉は、何を言ってるのかその瞬間は理解出来なかった。


「無・理・で・す!」


「兄貴と姉御の活躍を見てましたよ!うちの組は遠見って魔法を使える魔法使いが居るんですがね、あの男にここら辺の人間を次々と襲われてたんです!」


「はぁ」


正直俺にはどうでも良い。


「あっしらは、頑張って親方と共に何とか一般の人達を出来るだけ守ってたんですが」


「そのうちに一人また一人と殺されて行き……」


意外だった、良いヤクザ何てのは漫画やアニメの中だけだと思ってたんだがな。


「残ったあっしら三人で玉砕覚悟であの男に挑もうとしてたんです!」


両脇の二人は頭下げたまま中央のリーダーっぽい人が話しかけてくる。


「しかし兄貴達が救世主のように現れました!バイクに乗りながらあの男をまさに!鎧袖一触にした瞬間を遠見の魔法で見ました!」


「いや、あれはあれでギリギリだったんだよ?」


俺はそう言ったんだが。


「その瞬間、あっしはこの町を守れるのは兄貴しかいないと直感しました!」


あっ…この人話聞かない人だ。


「是非とも!この町を我々と共に!守ってくだせい!」


「「「お願いしやす!!」」」


「嫌です」


「そこをなんとか!」


「嫌です」


嫌に決まって居る、例えこの人達が良い人でもそもそもの目的が違うのだ。

俺の目的は雪を守る事である、対して相手はこの町を守って欲しいである、圧倒的な力を持って居るならそれでもいいだろう、だが実際はそんな事は無い何時だってギリギリだったのだ。


「俺達には無理だよ、まだまだ強くなる為に外苑部を回らないといけないんだ」


「そうですか、確かに今の世界は力が全てに成ってしめぇました、だからこそ兄貴達に親分に成ってもらいたかったのですが」


「雪、行くぞ」


「OK〜」


そう言うとヤクザ屋さん達に背を向けてまたモンスター狩りに向かうために公園の外に歩き出した。


「「「お達者で!」」」










「兄ちゃん!なんか凄い人達だったね!」


「ああ、そうだな」


背後から付いて来る様子も無いので諦めたのだろうか?遠見の魔法で見られているかもしれないがそれぐらいは別にいいだろう。


「しかし親分に成ってとはな、俺はまだガキだぞ」


「僕も姉御!だって!やっぱり僕達って似てないのかな?」


「まあ、あんまり似てないと思うぞ」


雪は小柄で元気いっぱいな身内びいきかもしれないが、可愛い女の子だ。

対して俺は身長は174センチと普通だが、根暗でヒョロくて成績が悪いダメ兄貴である。


「まあ僕は兄ちゃん程頭良くないしね〜」


「俺は頭は悪い方だぞ、それに雪は成績は結構いいじゃないか?」



「兄ちゃん……僕は成績じゃなくて頭の良い悪いの話をしてるんだよ!」


そんなに違いは無いだろソレは、別に俺はテキトーに生きてただけである、頭が良かろうが悪かろうが俺は変わらないだろ。


「まあなんだ、俺に一つでも取り柄があれば彼女でも出来たんだろうけどな?」


「兄ちゃんの周りの女の子は見る目が無さ過ぎるね!」


「そんな事無いさ、人ってさ、興味ない人間でもある程度同じ空間に居れば、観察するしされるものなんだよ。だから俺に友達がいないのは俺に魅力が無いからさ」


この場合の魅力ってのは色々なモノを指す、イケメンだったり、金持ちだったり、性格だったり、価値観だったりだ、俺に彼女が出来なかったのはそういう魅力が無かっただけなのだ。


「まあいいや、兄ちゃんは雪が独占しちゃうからね!」


「はいはい」


抱きついて来ながらそう問いかけてくる……雪は何時までも甘えん坊さんだな。

雪がお嫁に行く時は俺はボロボロ泣くね絶対に。

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