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プロローグ

この物語はフィクションであり、作者の妄想であり、実在の人物、団体、法律、地名、名称等とは一切関係ありません。

20XX年8月1日、地球は神の炎に包まれた、神の放たれた白き炎はあらゆる法則をねじ曲げ、地球は大混乱に陥った……しかし人類は滅ばなかった、白き炎により様々な生物は新たな環境に適応した力を手に入れたのである。



その日、俺は自室でウダウダしていた、学校は夏休み、宿題は始めの数日でサッサと終わらせるタイプだ。

予定と言えば午後から妹の雪をプールに連れて行く約束位。

それまでクーラーの効いた室内で、据え置き型のゲーム機と携帯型のゲーム機の両方でゲームをしつつ、ヘッドホンをして、パソコンで何回も見たアニメを見ていた。


丁度12時を過ぎた頃、いきなり部屋のあらゆる物が白色の炎に包まれた。



「なんだよこれ」


思わず呟いた、それは現実とは思えない光景で、愕然と部屋を見回した。


白い炎は10秒程で姿を消したのだが、テレビ・パソコン・ゲーム機や電灯等がまるでブレーカーが落ちたかのように急に消えた。


俺は混乱しながらも情報収集の為にテレビをリモコンで操作して電源を点けようとした……だが点かない、何回もためしたがダメだった。

パソコンも同じくダメ、漠然と何かヤバい事が起こっているのを感じながらも、ブレーカーが落ちたのかを確認する為に部屋をでた。



ブレーカーを確認するもやはり落ちてはいない、あのブレーカーが落ちた時のバチンという音がなかったので予想はできていたのだが……。

何かが起きてる、そんな事を考えながらリビングにでる。


親と妹はクーラーがダメらしく、裏手を網戸にして外から風を入れている。

ジメッとした日本の夏特有の暑さを感じながらリビングに置いてある防災グッズを確認する。

水や食料の確認をしてすぐ持ち出せるように準備しているのだが、先ほどから外で何回か大きな衝突音が響いている。


どうするか、網戸越しに煙が上がっているのを複数確認する事ができる、親が帰って来るまで家で待つか?

それとも歩いて5分程の小学校が災害時の避難所に指定されているので其処に向かうか。


「兄ちゃん、防災リュック出してどうしたの?」


「さっきの白い炎見なかったのか」


「見てない、さっきまで寝てたんだけど、外でガシャーン!て大きな音が何回もするから目が覚めちゃったんだ」


妹の雪が声を掛けて来た、雪は中学二年生で髪をショートカットにしているボーイッシュな感じの三才下の妹である。


雪と会話をしようと声を出そうとした瞬間、犬がワォーンと叫びながら網戸を切り裂いて家に入って来た!


「雪、部屋に隠れてろ!」


「兄ちゃん!」


家に入って来たのは、いわゆる小型犬と言われる種類のダックスフントだった、威嚇するようにグルルルと唸りながら、まずは雪に噛み付こうと口を開けながら飛びかかっろうとしていた。


俺は咄嗟に体を雪と犬の間に割って入る、犬は構わずに俺に体当たりをしてきた、無我夢中で左手を犬の口に突っ込んで、

舌を思いっきり掴み両脚で犬の体を挟み込んでロックする、犬はそれに構わずに牙と爪を突き立ててくるが、完全には力が入らないのか、痛いし血も出てるが我慢は出来る程度の攻撃だった。


「オォッッラァ!」


自分でもよくわからない声を上げながら、自由な右手で何度も殴りつける。


「兄ちゃん!兄ちゃん!兄ちゃんてば!」


雪の声で正気に戻り犬を見る、犬の頭部を殴りまくったのだが、目玉は潰れ肉は破れて血だらけになった犬は既に息絶えていた。


左手を犬の口から引き抜く、まさに狂犬だった、犬を殺してしまったが、明らかに雪を攻撃しようとしていたのだ、後悔は無い。


「そうだ!雪、家中のドアと窓を急いで閉めてこい!」


「う、うん分かった」



(なんだよこれは)


そう思いながらも犬の死体に触れた瞬間、白い炎が俺の体に染み込むように消えていった。


それと同時に、先ほどまで痛かった体がまるで怪我など嘘だったかのように痛みが無くなった。


取り敢えず犬の死体を庭に放り出して、ガラス戸にしっかりと鍵を掛けた。

固定電話で110番をしようと受話器を耳にあてるが、やはりというかあの独特の電子音がしない、俺はまず、手を洗い汚れを取って、傷を確かめるべく洗面所に向かった。


「兄ちゃん、全部鍵閉めてきたよ、傷……大丈夫?」


「ああ、たいしたこと無い、今から体を拭くから、何かあったらすぐ呼べよ」


「うん、僕は血とか掃除してるね」


手を洗おうと蛇口を開けるも、水が出ない。

仕方なくタオルで血を拭き手を確認する。

やはり傷が無い、確かに犬を殺した後左手は痛かったし、右手も骨が砕けたんじゃないかと思う位痛みを感じたりしたんだが。


洗面所で汚れた服を着替える為に裸になり更に驚く、俺は別段太ってはなかったんだが、それでもお腹の周りが明らかに引き締まっていた、体にもさっき負った傷が無いし、明らかに体の調子が良くなっている。


体全体を浴槽の水とタオルで拭う、一応風呂場の水が出ないかと蛇口を捻ったがやはり出なかった、完全に電気系統は死んでるな、少なくともこの地域一帯は。


体を拭き終わり服全てを着替える、水が出ないから雪は掃除に苦労しているだろう。


「雪、掃除は適当でいいぞ水出ないだろ」


「うん……兄ちゃんそこに救急箱出したから、包帯とか巻いたり消毒とかしたりしないと」


「大丈夫だ、傷が何故か治ってる」


「嘘!だってあんなに傷だらけで血だらけだったじゃん!」


雪は俺の手を掴んでまじまじと傷がないか確認すると少しだけ涙をながした。


「本当だ……良かった」


「泣くなよ」


雪が落ちついたのを見て、俺はリビングにあるテーブルの椅子に座り、雪にもそれを促した、


「さて、これからどうするか」


「災害グッズ出してたし、学校に避難じゃないの?電話も携帯も通じないから救急車も呼べないし兄ちゃんの治療も出来ないよ!傷は無くてもばい菌が入ってるかもしれないし!」


「いいかよく聞けよ、少なくともこの地域一帯は電気が死んでいる、更にここらへんの動物は全て凶暴化してる可能性がある、水道が出ない、交通事故が多発していると思われる」


「そして恐らく俺の傷は白い炎を触った事で治った」


「白い炎?なにそれ!どうすればいいのかよく分かんないよ!」


雪が泣きながらも聞いてくる。


「普通じゃない事が起こってる、だから雪、自分で判断するんだ」


「うん」


「選択肢は避難所に行く、父さんと母さんが帰るまで家で待機する、偵察しに外に出る、こんな所か」


雪に説明しながら自分の考えを纏めていく。


「俺は外に出て偵察して来る」


「僕も付いてく」


「外は危険かも知れないぞ?」


「僕を独りにするの?」


泣きそうになりながら聞いてくる、雪はこんなに泣き虫だったか?


「危険から助けれないかもしれないぞ」


「大丈夫、兄ちゃんより運動できるし!」


こうして俺達は、準備をしてから何が起こってるか確認する為に家の外に出て行く事にした。

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