魔王よ、器物損害、傷害致死未遂、営業妨害の三拍子とはいい度胸だなオイ。
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「よくぞ来たゆうsh」
「魔王死ね!」
魔王の鉄板ネタ尊大な態度で自己紹介は青筋を携えた素手の少女によって遮られた。
ムッと気を悪くし、下を見て文句を言おうと……………………………………………
「ああ?文句あんのかこのクソ鉄板。うざいんだよ馬鹿。大体筋書き通りに世界征服なんざしようとしてんじゃねーよ屑。まじうぜえんだよ糞ボケ。営業妨害で訴えんぞああ?」
…………………………………してない。
魔王は聖人君子みたいな正義満タンの勇者が来ると思っていたため物凄く驚いた。
否、顎を外した。がくがくである。
しかし勇者(仮)の(精神的)猛攻は終わらない。
「大体何なんですか?何でうちの店を真っ先に潰すんだよこの器物損害。生活費どうしてくれんだよこの容疑者が。魔王名乗ってたら死亡したらすべての罪が償われるとか思ってんのか?取り敢えず賠償金払えやこのすっとこどっこい!てめえなんざ魔王なんて大層な名前名乗らずに魔人Aくらいのエキストラ感覚でやっとけや!」
いつの間にか少女の右手にはおたまが、左手にはフライパンが握られていた。
ようやく魔王は理解した。
こいつ、ただの定食屋の娘じゃね?、と。
が、何故か的を射ている娘御の言葉がプレパラートのカバーガラスより薄っぺらいガラスのハートを持っている魔王に容赦なんざクソ食らえで突き刺さっていった。
「大体あと少しで私の足折れてたんだが?おい弁明しろよ魔王様よぉ!傷害致死未遂とか魔王なら何やっても許されると思ってるんだろ!ああ?ざけんじゃねーぞクソ三下。そのガクガクの膝ぶち切って犯罪奴隷で強制労働じゃぁぁぁぁ!」
魔王:mental zero
game over
しかし追撃は終わらない。
「何さーせん俺が悪うございました自害するんで許してみたいな格好してるんだぁぁ?許すわけねーだろ屑が。その心とお揃いでズタボロにしてやんよ!」
背中におたまが落ちた。
おたまってなんだっけ?そう考えるほど痛々しい一撃。魔王の背中は陥没した。
更に横腹を1秒間で50発蹴り、転がった魔王の頭に右足を乗せて起き上がれないようにする。もうどっちが魔王かわかったものではない。
否、今勇者は生まれた。元魔王の時代は終わりを告げたのである。
「精々刑務所で己の人生を生まれた頃あたりから反省することだな。さて、9時12分32秒、魔王逮捕。」
ガチ。
オリハルコン製の手錠を掛けられたメンタルポイントゼロの魔王はその栄華を静かに幕閉めすることとなった。
勇者怖い。おたま怖い。結局フライパンって何?
魔王の心に深く刻まれたのはおたまのメーカーのエンブレムだった。
その一週間後のこと。
「魔王よ!貴様の所業は許しはしな………………………い?」
誰もいない魔王の間に煌びやかな御装飾をつけた勇者一行が乗り込んだ。無駄足ご苦労とはこのことである。
魔王、既に死んだ(精神的に)。
「……………………せっかく異世界から召喚されたのに」
リアルorz(=現実なのにorzする恥ずかしい人)を可憐に決める勇者がここに誕生した。
前座なんか気にするからだバーカ、という青筋を立てた少女の罵声が聞こえた気がした。
ちなみにその頃少女はと言うと
「商魂万歳!」
「裁判勝訴万歳!」
「「「我等が勇者、商業の救い手に万歳!!!」」」
「…てめえら!明日からてめえらも営業再開するんだからあんまり飲んで赤字になるんじゃねえ!」
「「「イエスッッッッマームッッッッッッッ」」」
「おいおっさん!肉ばっか食ってると早死にすんぞ!野菜も食えバーカ!」
店を再建して勇者となって商売を繁盛させていた。
悪い口調ながらも相手のことを気にかけるツンデレ勇者の店として儲かったとさ。
めでたしめでたし。
「ってめでたくねえ!いや店立て直せたけど!」
今日もツッコミを入れつつ商魂片手におたまとフライパンで稼ぐ口の悪い少女であった。
少女のツンデレチートはまだこれからだッッッッッ
「続くんじゃねぇぇぇぇぇぇぇえ!」
Finn.
修正:段落分け