5 いじめっ子の極み
「では、次は生徒会長の御門先輩です」
御門は姿勢を正し、ふんと鼻で笑った。
「よし、俺のことを知らない無知なクソ野郎共、一度しか言わないからよく聞けよ。俺は高等部二年の生徒会会長、御門蓮だ。そのちっぽけな脳みそにしっかりと刻み込んでおけよ。さもないと、お前らの個人情報を全国ネットで暴露するから、そのつもりで」
「御門先輩、それ、犯罪です。作者はそんなことをする気は微塵もないので、読者の皆さん、どうぞご安心を」
「なんだ? 卯月。ばれなければすべてよしっつう言葉を知らないのか?」
「そんな外道みたいな慣用句は知りません」
「まあ、要は俺様の名前くらいはちゃんと覚えておけという意味だ。他のメンバーはどうでもいいが」
「完全に俺様ですね」
「趣味は滝島をいびることで、今、ハマっていることは滝島をなぶることで、最近の一番の楽しみは滝島を虐げることだ」
「それって、要するに全部、好きなことは滝島君をいじめることって言っているようなものじゃないですか」
「読者の君も、滝島をいじめて元気百倍!」
「CMみたく言わないでください」
「卯月、滝島の顔をよく見ろ。いかにもいじめられる宿命を背負っている顔だと思わないか? もはや、俺様にいじめられるためだけに生まれてきたようなもの!」
「そこまで言い切りますか。なんか、滝島君に同情します」
「何を言っている。俺様は滝島をいじめることができて、ストレスの発散にもなって、一石二鳥じゃないか」
「御門先輩しか得をしてませんけど……もう、埒が明かないんで次に行きますよ」
「待て、卯月。他にもより良い滝島のいじめ方とか、色々あってだな……」
このままだと軽く数時間は語り出しそうだったので、卯月は受け流した。