11 長かった道のり
「では、そろそろこのコーナーの締めくくりに入りたいと思います。要するにですね、これまでに紹介した個性豊かな九人の生徒会メンバーが、生徒会室で仲良く愉快な日々を過ごしていくという物語で……」
「死ね!」
「ふざけんな! てめぇが死ね!」
と、卯月がせっかく丁寧に終わらそうとしたのだが、如月と皐月の口喧嘩がいつの間にかバトルに発展しており、生徒会室内をめちゃくちゃにしていた。
「えっと、その、ですね、物語はこんな生徒会がどのような過程を得て結束するのかという場面から始まります。とにもかくにも、みんな段々と真面目に仕事をしていくようなって……」
「あーあ、台風でも通り過ぎたのか、ここは。滝島、お前が後片付けをしておけよ」
「ちょ、御門! なんで俺が! それは庶務の仕事だろう!」
「ああもう、書類が床に散らばってるじゃない! せっかくあたしと文月で整理したのに!」
「大惨事。姉さん、ここも危険」
「喧嘩をするのはいいんですけど、物を壊すのだけは勘弁してほしいですね。そうなったら確実に生徒会が修理費を負担することに……」
こんな状況下で平然と経費の心配をする師走。
「くたばれ! 如月!」
「くたばるのは貴様だ、皐月!」
ドカッ! バキッ! ドゴッ!
激化するバトルに、卯月はとうとう耐えきれなくなった。
「ああ! やっぱり僕、止めてきます! ヴィゼ、ちょっと司会をお願い!」
と、マイクをヴィゼに手渡す。
「お、おい、卯月。なんて言えばいいんだ?」
「本編を始めますって」
「ふむ。だが、最後の締めはやはり卯月が……」
「そんな場合じゃないから! あ、でも、大丈夫かな? じゃあ、これから本編を始めます!」
と叫んだ卯月に続いて、ヴィゼが抑揚のない声で、
「読者の皆、待たせてすまなかったな。どうか本編も、最後までお付き合いを願う」
と言った。