1 主人公は?
二作目です。
この作品は一作目の『現代戦国』よりももっと前に構想をねっていた作品です。なので『現代戦国』と設定がかぶっているところが何か所かあるかもしれません。
完結まで頑張って書きたいと思いますので、感想や評価、誤字脱字があったらどんどんご指摘お願いします。
初っ端から俺様生徒会長が読者の皆様にとんだ台詞を吐きますが、それはそういうキャラ設定の上でのギャグです。ですが、それでももし、不快な思いを抱いた方がおりましたら、代わりにここでおわび申し上げます。
作者は、読者の皆様を深く尊敬すると共に、この上ない感謝をしておりますので、俺様設定をどうかご了承ください。
「では、これからこの物語を読むクソ野郎共、俺の話をようく聞け。一言も、聞き漏らすんじゃねぇぞ。全神経を集中させて、失敗したら死ぬ覚悟でいろ。わかったな?」
生徒会室の、まるで大企業の社長席のような黒革の椅子に足を組んで座るのは、偉そうなオーラを醸し出す銀髪碧眼の美男子だ。少し長めの髪をうなじで一つに束ね、口元は大胆不敵な笑みを浮かべている。
その美男子が、これまた高級そうなどでかいデスクの上に置いてあるマイクに向かって、明らかに人を見下したような口調でこう言う。
「もうわかっていると思うが、この物語はお前ら読者が俺様の奴隷になるための心得を事細かに書きつづっているから、心して読むよう……」
するとそこへ、
「ちょっと待ったあ!」
と別の男子が現れ、見事なまでの強引かつ迅速な動きで、マイクをがばっと奪い取る。
「違うだろ、御門! この物語は断じてそんな内容じゃないからな! いきなり誤解を招くようなことを言わないでくれ!」
「何を言っている、滝島。この物語は読んだ者を俺様の奴隷となるよう洗脳する仕組みになっているんだろう?」
「どんな仕組みだあ! 作者にそこまでの文章能力はねぇよ! いや、これは科学技術の問題か? どっちにしろ、そんな風になってませんから、読者の皆さん、どうぞご安心を!」
「だ、そうだ。残念だったな」
ため息をつく御門と呼ばれた美男子。一方で、滝島と呼ばれた男子は怒声を上げる。
「残念がる奴なんていねーよ! というか、御門。大切な冒頭の一文で、しかも読者様に向かってクソ野郎共はないだろう! まず謝れ! 登場人物紹介はそれからだ!」
「俺は一生涯絶対、他人には頭を下げないと心に誓っている。なぜなら、俺のやることすることは、すべて正しいからだ」
「変な誓いを立てるなあ! なんだその天上天下唯我独尊みたいな思考!」
「そう、まさに俺から見たら全人類クソ野郎共だ」
「最悪だな!」
「じゃあ、奴隷」
「怖いもの知らずか、お前は! もう、全人類に土下座して謝ってほしいくらいだよ! ってか、主人公を差し置いて余計なことをベラベラとしゃべらないでくれ! 読者様が、あんたが主人公だと勘違いするだろ!」
「え、違うのか!」
「驚くなバカ! せめて自分の設定を確認してから登場しやがれ!」
「でも、俺が主人公でも別によくないか? 生徒会長は俺だし」
「よくない! ほら、卯月。お前が司会役をやれよ。一応、主人公はお前だろ?」
マイクを押しつけられたのは、身長は中学三年生としてはごくごく平均的なのだが、長髪なら女の子と見間違えてしまいそうなくらい大きく柔和な瞳をした可愛らしい黒髪の男子生徒だ。