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エピローグ:異界から来た少女達

それぞれの世界に別れた四つ子のその後のお話です

 ナーンが汗を拭う。

「根詰めすぎると毒だぞ」

 そんなナーンにタオルを差し出す少年。

「ありがとう」

 笑顔で返すナーンに顔を赤くする少年であった。

「ミナト、人の事を気にしている暇があったら、とっとと働け!」

 ナーンと共に異界に渡った代行者、南波の言葉に、その少年、金海波から還された南波の息子、ミナトが返事をする。

「判ってるよ、親父」

「頑張ってね」

 ナーンの言葉に駆け出すミナト。

「にしてもまさか空の上に海があるとは思いませんでしたよ」

 南波の部下だった男が驚きを隠せない様子で言う。

「正確に言うと、海とは違って宇宙って言うんだけどね」

 ナーンの言葉に南波が肩を竦ませて言う。

「息が出来ないって事は一緒だろ? それでこの船は大丈夫なのか?」

 南波は、自分が乗る、八進をベースに作り出された宇宙戦艦を指差す。

「大丈夫、宇宙の知識はママから聞いてるし、これだったら問題ないよ」

 笑顔で答えるナーン。

「ここはお前の知識に頼るしかないんだがな。にしても異世界に来てまで海賊退治をするとは思わなかったぞ」

 南波が呆れた顔をして言った。

「海賊って親父、あいつら帝国軍って名乗ってなかったか?」

 南波は手を横に振り言う。

「相手の考えも聞かず、一方的に略奪する奴らは海賊で十分だ。そんな奴らをいつまでも野放しにしておけないから早く頼むぞ」

 頷くナーン。

「ホープワールドから来た僕達を受け入れてくれた、ここの人たちの為にもあいつ等を撃退できる強力な戦艦を作るよ」



 こうして生み出された宇宙戦艦は、この世界の銀河を征服しようとしていた帝国を撃退し、新たな共和国を生み出す原動力となるのであった。



 わがまま娘ホークは、よそ者扱いの現状に腹を立てて、人が踏み込まない、その役目を終えた竜達の巣に割り込んだ。

「こんだけ広いんだから、あたし達が住んでも良いでしょ!」

 ホークの言葉に、若き荒々しき竜が反論する。

『異界の者が偉そうに! 我ら竜の恐ろしさをしれ!』

「そっちこそ、いい気になって居られるのは今のうちだけだよ!」

 ホークの言葉に鼻で笑う竜。

『もし負けたら、お前の言う事を何でも聞いてやろう』

「その言葉忘れるなよ!」

 ホークと竜達の戦いは、ながながと続いたが、最後には竜達が折れて、ホークに自分達があまり行かない領域を明け渡した。

「場所はあたしが作ったんだから、後はあんたが頑張りなさいよ」

 ホークの無茶な願い事に対してイは笑顔で答える。

「任せてください、何不自由の無い生活を約束します!」



 ホープワールドからの移民達が戸惑っていた。

 その中、イは、この世界に溢れるようにあった輝石で輝石術を復活させた。

 ホープワールドの術者達にそれを使った仕事をさせることで、この世界での居場所をどんどん獲得して行った。

 竜の中でも最初にホークとやりあい負けた若き竜は、勝負の前に約束通り、ホークの願いを聞き、イが作った帝国、ホーク帝国の守護竜となった。

 そしてホークとイの子供の一方は、皇帝として帝国を護り、一方はキキが宿る輝石を護り、皇帝の暴走の止め役となった。

 皇帝の子孫のロが、キキが宿る輝石の所有者であるクーパに恋焦がれるのは、遥か未来の話しであり、更にホーク帝国が暴走した軍部に因って滅び、世界が滅びに瀕した時、守護竜をやっていた竜が調和竜として、世界の混乱を沈めたが、同時に多くの人間を殺した為、邪神竜と呼ばれ、封印される事になった。

 その封印が破れ、何の因果か、天道龍の血を引く一刃とやりあう事になるのは、更に長き年月がたった後の話である。



「クウ、一発食らわせて!」

 トーウの言葉に答えて、ホールガーディアンに宿っていた七色の力、虹の力を宿したクウが、攻撃を放つ。

『まさか、伝説のレインボードラゴンが再臨するとは』

 竜達が呻く。

 ホープワールドからやってきた竜と人を取りまとめたトーウが、絶対権力者だった竜達をクウの力で打ち破っていった。

 そして、主だった竜を全部倒した事を確認し、宣言した。

「人と竜は決して敵対する者じゃないよ。共に過ごし行く者。あちきとクウがその証明だよ」

 強大な力を持ったクウと共にあるトーウの言葉に竜は崇拝すらして従った。



 そしてトーウは竜の巫女と呼ばれる事になる。

 クウは現地の竜と結婚し子供を作った。

 世襲制を嫌ったトーウは、さっさと新名の所に戻っていた新狼を無理やり呼び出して、才能がある人間の中から新たな竜の巫女となりうる者を選ばせて時空神、新名の巫女としての力を授けさせた。

 これ以降、新名の巫女=竜の巫女の力は優れた能力者が引き継ぐ事になっていった。

 遥かな時の後、クウの子孫であるレインボードラゴンが七華と出会い共に戦う事になる。



「先生、ありがとうございました」

 頭を下げる教え子達に頷き返すセーイ。

「しかし、お前の技って八百刃様の物だろう? 教えていいのか?」

 ほっとけないと一緒に居るうちに、色々あって結婚したコーサが言うと師範として、セーイの手伝いをしていた少女姿のソウが言う。

「いいんだよ、基本的に一子相伝とかいう特別な技じゃないから」

 半ば呆れながらコーサが言う。

「どうでも良いが百流オルって名前は、明らかにお前の名前から来てる気がするぞ」

「なんか問題あるのか?」

 ソウの少しも罪悪感の無い表情に、溜息を吐き、抱いていた孫に声をかけるコーサ。

白風シラカゼお前はあいつの影響を受けたら駄目だぞ」

 笑顔になるセーイ。

 幸せな日々であった。



 セーイ達がやって来た世界。

 他の三つの世界より下位の世界にあった。

 多くの高位世界からの干渉にさらされていた。

 それに対するために直接八百刃が降臨した、その場に白風という名の少年が居た。

「八百刃様、俺に力を下さい」

 その言葉を聞いた八百刃は物凄く辛そうな顔をした後、神託を告げる。

「あちきの使徒、八百刃獣の肉を食らい、死を超える苦痛を受けてもなお、大切な者を護りたいと思えるならば、異界の上位者に対抗出来るよ」

 理不尽な力に涙した者達は、次々に八百刃獣を食らって、苦痛から自ら命を絶っていった。

 その中、白風という名の少年は苦痛で地面から立ち上がれない状態に関らずまっすぐな瞳で誓う。

「俺は、絶対大切な者を護る!」

 八百刃が白風の頭に触れると少年は眠りに落ちる。

 齧られているのに平気そうな白い虎の姿をした八百刃獣、白牙ビャクガが言う。

『まさかセーイの子孫にこの身を食らわす事になるとはな』

 大きな溜息を吐いて八百刃が言う。

『仕方ないよ、あちきの子孫だから、大切な者を護る為に全力を尽くしちゃうよ』

 白牙が頷く。

『確かにな』

 そして消えていく八百刃と白牙であった。



 その少年こそ、後に八刃ハチバと呼ばれる戦闘集団の盟主となる白風であった。


 四つ子の意思、八百刃の思いは、今も戦いと共にある。

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