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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
63/67

25

『白銀騎士団』とひと悶着があってから一週間。

セイが警戒していた嫌がらせなどの報復行為どころか、アレから『白銀騎士団』の活動自体聞く事は無かった。

多少の警戒心は残しつつも、素材集めなどが順調に進むにしたがってもう何も起こらない、そう思うようになっていた。

そんな事は唯の勘違いであり、事態は思っていも居なかった方向へと進んでいた。




        ◆ ◆ ◆ ◆



ケイジロウは放課後になると急いでBMOへフルダイブする。

今日は飯井塚ことジャックが部活の顧問に捕まり、最近部活へこない事で叱られている最中だった。

間の悪い事に今日はリンちゃんが、ワンオフ機の設計が終わり久しぶりにBMOへ来る事になっている。

シスコンのジャックから、心配なので付いててくれないかと頼まれ、ついでにピスカと二人きりにはしないでくれ、とも頼まれた。


「でないと俺はピスカの物をねじ切って捨ててしまいそうだ」


いったいナニをねじ切るつもりなんだあいつは……

ピスカの為にも急がないとな。




【アリウム】に着き、リンちゃんが居るだろうショップへと急ぐ。

ショップを広げられる場所は借りるのに期間が区切られていてジャックたちは一ヶ月単位で借りている。

なので今日も同じ場所でショップを開いているはずだ。

リンちゃんは人見知りが激しい方なので、ショップの奥で瞳に涙を溜めてウルウルしているような気がする。


「おらっ出てこいや! 中にいんのは分かってんだよ!」

「出てこい卑怯者! ヤラセ!」

「何ですか? 卑怯者って認めますか? 違うなら出てきて言い訳の一つぐらいしたらどうですかー?」


なんだ? 目指す場所に人だかりが出来ている。

それにさっきから聞こえてくる野次は何なんだ?


「ちょっと悪い、通してくれ!」


人だかりを形成ししているプレイヤーに断りを入れて隙間から潜り込み、騒ぎの中心へと抜け出す。

先ほどから野次を飛ばしているプレイヤーは全員で五人ほど、そしてその対象はリンちゃんが居るだろうジャックのショップへ向けられていた。

一通り言いたい事を言ったので今は大袈裟に声を上げて嘲笑を繰り返している。


「おい! お前らここで何をやってんだ!!」

「あん? 何ってお前、俺たちはこのひきょ――」


ケイジロウの怒声に男が振り返り、そして息を呑む。

憤怒、ケイジロウの顔に浮かぶ感情はソレに染まっていた。


「ここで何をやっているのか聞いてるんだよ!!」


ケイジロウに気圧されながらも一人が言い返してくる。


「ここは卑怯者の仲間が出してるショップで、中にプレイヤーが引っ込んでいるから出てこいって言ってるだけだよ。何か文句あるわけ?」


説明になっていない、先ず何故卑怯者扱いなのかが分からない。それに集団で囲んで次々に罵倒のようなことを言うのが分からない。

それ以前に中に居るのはリンちゃん一人かも知れないということだ。


「お前ら、中に居るのがどんな子か分かってやってるのか! 小学生の女の子が一人居るだけだぞ! それなのに卑怯者だぁ? 出てこいだ? お前ら小学生の女の子相手に五人で寄ってたかってふざけた事してるんじゃねー!!」


ケイジロウの怒りの叫びに周りにいた野次馬たちも騒ぎ出す。


『なにこれ、小学生の女の子相手にしてたの?』

『そういやちらっと顔を半分だけ出した事あったけど確かに小さかったな』

『マジで? 何こいつらダサ』


周りの反応が劇的に変わりだす、どうも最初はこの五人の方が正しいという雰囲気だったらしい。


「おっおい、どうするんだよ。たしかジャックって奴が店出してたんじゃなかったのか?」

「しっ知らねーよ、俺はショップにプレイヤーが入ったら騒ぎを起こせって言われただけで……」

「俺抜けるわ、じゃあな」

「まっ待ってよ、私も抜ける」


一人が逃げ出すと、後の四人も一斉に逃げ出していく。

捕まえてとっちめたいが、ゲームの中ではシステムに守られてそういう行為はできない。


「大丈夫か、リンちゃん」


急いでショップの中に入り込み、奥の部屋に話しかける。

すると、こわごわとだがリンちゃんが顔を出してくれた。

よっぽど怖かったのだろう、蒼白な顔をし、手が震えている。

それを見た野次馬たちは一斉に先ほどの五人の悪口を言い出す。少し前までは向こうの味方だっただろうになどと考えたが、そんな物かもしれないなとも思う。

どうやら両隣のショップは先ほどの五人か、その仲間が出していたみたいで電子看板には、矢印付きの悪口が書かれていた。

それから五分ほどして、マーナやピスカが、次にラピスが来たので事情を話し、セイたちが待っているラウンジへと移動する事にした。





「そんな事になっていたのか……」


セイが眉間に皺を寄せて低く唸る。


「どうやらケイジロウ君とラピス君を狙い撃ちにした攻撃が敢行されているようだ。今日フルダイブする前にBMOに関する有名どころのブログや攻略HPが物凄い勢いで炎上していた」

「炎上?」


ネット関係に疎いケイジロウが鸚鵡返しに聞き返す。


「簡単に言えば二人の事を否定するような言動や貶めるような事を書き込み、それに乗じて騒ぐユーザーを巻き込んで悪者に仕立て上げるような物だ」


厳密に言えばまた違うのだが今回で言えばそういうことになる。


「何だそれ、要するにネットでこそこそ悪口言ってるだけだろ? そんなの気にしなきゃいいじゃないか」

「そう言う訳には行かないんじゃないかな、結構な数がこの騒動を信じてるみたいよ?」


シーナが言うには白陣営の半数近くが今回のいい加減な噂を信じているらしい。

曰くホワイトファントムとブラッディクイーンは他陣営と通じている、前回のイベントでの活躍はヤラセである。

曰く他陣営と組んで白陣営を狙い撃ちしている裏切り者である。

他にも様々な事がゲームの内外で書き込まれていた。


「半数はこの書き込みをまったく信じていない。しかし、言い換えれば半数も噂を真に受けて悪感情を持っているという事になる」

「それが今回の、ジャックのお店を囲んで嫌がらせをしていた事に繋がる、と言う訳ね」


ラピスの顔から段々と感情が抜け落ちていく、本気で起こった時逆に冷静になるタイプだ。


「やっぱさー、今回の事って『白銀騎士団』が絡んでんのかな?」

「……おそらく……」


どうやら書き込みと同時にSS(スクリーンショット)も同時にアップされているらしい。

赤陣営の機体やタクとミズキの『ヴァルハラ』を表すエンブレムのついた機体と一緒に『白銀騎士団』を攻撃している場面が。

おそらくこのSSが書き込みの信憑性を上げる一助になっているんだろう。

この場面のSSが撮れるのは普通に考えて、あの時その場にいたプレイヤーしか考えれない。

そしてそれを理由に攻撃してくる輩は『白銀騎士団』しか居ないだろう。


「おいっ皆ここにいたのか!」


どうやら部活の顧問との話し合いは無事切り抜けたらしいジャックが慌てた様子で捲くし立てる。


「大変な事になってるぞ、BMO掲示板を見てみろ!」

「ああ、今その事で話し合っていたんだ。どうやら『白銀騎士団』が報復――』

「いいから見ろって。その『白銀騎士団』がケイジロウとラピスさんを名指しで呼んでいるんだ!」


名指しで呼んでいる?

急いでBMO掲示板に目を通す。

そこにはケイジロウとラピスの事を散々ヤラセだ、裏切り者だと罵り、違うというなら出てこいという書き込みが書かれていた。




BMO掲示板



裏切り者について           累計投稿36



NO.35         どうせ本当はたいした実力も無いくせにヤラセでいい気になっているだけ。

NO.36         違うと言うなら六月十三日午後五時【アリウム】ロビー中央に出て来い。   

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