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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
54/67

16

「畜生! もう最終防衛ラインまで突破されるぞ! 誰かあの三機を止めてくれ!」


【イージスの盾】ギルドマスターが泣き言のような事を喚く。それほどワルキューレの三姉妹の進撃が留まる事が無かった。


『あははははっテメェがここのボスか! ちょろすぎ逝っとけ!』


【シャチ】カスタムのプレイヤーが【イージスの盾】ギルドマスターに止めの一撃を入れようとしたとき【シックスセンス】が発動する。

咄嗟に右へ跳び回避するが正確な射撃が次々と襲い掛かってきた。


『チッ何処から撃ってきやがっ――』


目の前に白い機体が!

繰り出されるビームソードを紙一重で避ける。

白い機体は凄まじいスピードを出しながら機体を制御し、こちらに振り返る。


『アキちゃん気をつけて! その人物凄くゾクゾクするよ!!』


目の前の白い機体からは只者ではない雰囲気が漂う。見た目はただの【スワーロゥ】に変わった武器を

両手に付け、見たこともないスラスターをつけている。

最近白陣営でよく見るスタイル。ホワイトファントムと言うたった一度だけ活躍したという機体と同じ。

だけど今まで見てきたクソ雑魚じゃない、だとすれば本物!


『はっはー! 面白いじゃない! 白陣営のトップエースの首あたしが取ってやるよ!!』


空手の半身の構えを取る。先ほど見たスピードは追いつけるような物ではない、先をとられるのは癪だがスピード勝負では負けてしまう。だったら先の後を取る!

機体が揺れたと思った瞬間白い機体が右へと吹き飛ぶ。そのスピードは反応するのがやっとだ。


『くっ、速い!』


右に振り返った時にはもう剣の間合いに入っていた。左右のビームソードから繰り出される連撃! 手甲部分についている小型のビームシールドでギリギリ防ぐ。

八連撃を全て防ぎきるが体勢が大きく崩れた。このままじゃ殺られる。

相手との距離は二十メートルほど、ここからでは拳の一撃は届かない。しかし、そんなことは無視して奴に向かい拳の連撃を無理矢理放つ。







白と黒の二色でカラーリングされたヘビー級ボクサーのようなシルエットをした機体【シャチ】カスタムを八連撃で体勢を崩す。


「止め!」


更にコクピットを狙った左フックを放つ瞬間ゾクリと肌が泡立つ。【シックスセンス】が反応している!

咄嗟に機体を逸らす。

すると【シャチ】が無理矢理打った拳からエネルギー弾が放たれ機体を掠める。


「んなっ飛び道具付きか!」


その隙に【シャチ】が体勢を整える。これで仕切りなおしになった。

さらに先ほどまで他の機体を相手取りながらラピスの射撃を大太刀のようなビームサーベルで防ぎきった青い【タートル】カスタムが援護に駆けつけてきた。


「ケイジロウ少しだけ二機をお願い!」


三姉妹のうち長刀を持った黄色の【タートル】カスタムがラピスへと向かっている。


「了解だ! ははっトッププレイヤーが二人か、燃えるな!」


【シャチ】による拳の連撃がエネルギー弾となって降り注ぐ。大きく左に迂回、そこに三十メートルほどのビームサーベル(大太刀)が襲い掛かる。

咄嗟に手甲から伸びるビームソードで防ぐがそのまま押し切られそうだ。

押し切られるままその力を利用しクルリと機体を回転させながら避け、そのまま回転しつつ反撃の一撃!

大太刀使いは咄嗟に刃にあたるビームを切り、素早く手元に引き戻して再度十メートルほどのビームの刃を作り防ぐ。

そこへ後ろから迫った【シャチ】の強烈な蹴りが繰り出される。素早く手甲部分で防ぐが二十メートルほどの距離を吹き飛ばされた。

(こいつら強い!)






激しい銃撃を二機のパペットがシールドモードでかわるがわるビームを防ぐ。


『うふふふふ、ブラッドハンターさん一対一で【シックスセンス】持ち同士の戦いでは射撃武器は役に立ちませんわよ!』


一直線に突き進むビーム長刀持ちの【タートル】カスタム(長刀)がそんなことを共通通信で送ってくる。

ラピスの繰り出すビームを的確にパペットのシールドで防ぎ、確実に距離を縮めてくる。


「確かに結構厄介ね。そういえばケイジロウもたまに本気で狙っても避けてたわね」


そう呟きながら焦ることなく淡々と射撃を繰り返す。


『うふふふふ、さぁさぁあと五百メートルほどしかありませんわよ。覚悟は宜しくて?』


残り三百メートルを過ぎた時、雪の中に埋めていたサイ・パペットが長刀使いに襲い掛かる。


『ふっ、読んでいましてよ!』


襲い掛かるパペットを同じくパペットで弾き返し更に距離を縮める。

お互いのパペットが弾かれ、どちらもシールドで守る事が出来ない。残り二百メートル、この距離ならば相手の一撃を長刀で弾き、両断する事が出来る。

【シックスセンス】によりヘッドが狙われている事を感じ取る。そして撃たれたビームを長刀で逸らす様に弾く。

(勝ちましたわ!)

残り五十メートル、長刀を振りかぶり、一刀両断に――その瞬間大きく右方へと弾かれる。

(ッ! 何が!!)

左手に見えるのは弾いたはずの敵のパペット。それが長刀を狙ってビームを発射していた。

更に、連続して己の武器、ビーム長刀にブラッドハンターから繰り出される連射が当たり体勢を崩されていく。


『くっ、このっ!!』


体勢を整えようとしてもそのたびに長刀にビームが当たり崩される。

【シックスセンス】が発動しない!!


「【シックスセンス】で何処を狙っているのかばれるんだったら、それ以外のところを狙えばいいわけね。勉強になったわ、有難う」


(だからって、そんなに簡単に出来る事ですの!?)


完全に体勢が崩れる。そこにビームが襲い掛かりライトアームと両脚を破壊され機体が地面に崩れ落ちる。


『くっ……ワタクシの負けですわ。さぁ首をお取りなさいな』

(今回はワタクシの完敗ですわ、でも! 次はワタクシがか――)


「貴方、なにを言っているの? たったこれだけで済ますわけないでしょう?」

『え?』

「だって貴方さっきすでに決着が付いていたのに嬲るような事をしてたでしょう?」

『いえ、あれはその……そう、あれですわ!』

「やったらやり返される、覚えておきなさい!」

『ひぃ!』


約二分ほどお灸をすえて止めの一撃をコクピットに打ち込む。なにやら色々言っていたが知った事ではない。

さてとケイジロウの方はどうなってるかな? ちょっと余計な事で時間を掛けちゃったけど……

ケイジロウが居るだろう場所に視線を向ける。そこではまだ激しい攻防が続いていた。



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