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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
53/67

15

『オラオラオラ! 白のクソファック野郎共、その汚ねぇけつを出しやがれ! あたいのヒートナックルでホッテやんよー、あははははははっ』


耐久値が高くビームシールドを常備し、その上機動力がそこそこ高い青の近接戦仕様BM【シャチ】をカスタムした機体から少女の罵倒が共通通信で鳴り響く。

青陣営の集団から一歩抜き出て白陣営に突撃し、次々と破壊していく。


『まったく貴方は何時も何時も本当に下品ですわね、この山猿。もっと優雅に出来ませんの?』


その直ぐ後ろからビーム長刀を振り回し二機のサイ・パペットを操り確実に一機ずつ葬り去っていくプレイヤーがいる。

青陣営のバランス型BM【タートル】をカスタムした機体から落ち着いた、それでいて何処か熱っぽい艶のある声が漏れる。

その【タートル】カスタムのヘッドにビームの熱線が当たる!

激しいスパークを撒き散らした後にはビームシールドを展開したパペットが熱線を防いでおり、全くの無傷だ。


『あら、貴方雑魚の中の雑魚ですのにワタクシに手を上げるだなんて身の程知らずもいいところですわね。少し調教が必要かしら、ほら右腕、次は左足、今度は頭、ふふふふっ次は何処がいいかしら? 泣き言? そんな物聞こえませんわ。うふふふふふっ』


嬉しそうな声を零し、先ほどヘッドに銃撃を繰り出した敵BMをいたぶりながら破壊していく様はかなりえげつない。


『だー、ま~た悪い病気が始まった、このサド女!』

『あら? サドだなんて失敬よ? ワタクシはただこの礼儀知らずに礼儀と言う物を教えて差し上げてますのよ? お分かり? 山猿』


なんだとー! なんですの! といきなり戦場で口喧嘩を始める二人の脇からもう一機。特製の三十メートルはあろうかと言う巨大なビームサーベルを振り回し敵機を落としていた機体【タートル】カスタムから少女の泣き言が出てくる。


『アキちゃんもメイちゃんも喧嘩しないで戦ってー! ここって敵地のど真ん中なんだよ! 私一人じゃ持たないよー!』


そう言いながら声の調子とは裏腹に機敏な動作で巨大なサーベルが敵機を葬る。


『『五月蝿い!!』』

『ひーん、何で私が怒られるのー』






白陣営の端、まだ敵機とは距離にして十キロはある宇宙船を止めておくスペース付近。


「おいおいおい、あれって【ヴァルハラ】のワルキューレ三姉妹じゃねーか!」


ケイジロウたちは皆機体用アイテムの双眼鏡を使い戦場の様子を窺っている。その中で三機、異様な強さを誇る機体があった。キョウジが言うには【ヴァルハラ】のトップエースらしい。


「どういうこった、ワルキューレ三姉妹はどっちかって言うと穏健派だったろう? なんで攻めて来るんだよ!」


青陣営のトップランクギルドである【ヴァルハラ】は総勢三百名を越えるプレイヤー数を誇るが、数が多ければ多いほど意見は分かれる物だ。

それを大きな枠で分けると、穏健派と強硬派に分かれる。

ここで言う穏健派と強硬派は、積極的に相手陣営を攻撃するかしないかと言う単純な物だ。


「とうとう堪忍袋の緒が切れたと言うことだろうね」

「セイ? どう言う事?」


セイの呟きにラピスが説明を求める。


「白陣営のギルドの中に、ルール違反じゃないけれど悪質な行為を繰り返している人たちがいるんだ。横取りをしたりわざわざ待ち伏せして執拗に同じプレイヤーを狙ったりとね」

「それでついにブチ切れたって訳か……」


戦場はどんどん白陣営が不利になっていく。ワルキューレ三姉妹の進撃を止める事が出来ずそこからどんどん崩れているのだ。


「それにしてもあの三機の攻撃力って異常じゃない? 青陣営って火力無かったよね?」


シーナの疑問も分かる。青は耐久値が高い上、通常装備としてビームシールドを装備している物が多い。

しかし、その反面殆どの機体が機動力が低く、武装力も少ないので火力不足になりがちだ。


「おそらくプレイヤーの腕だろうね、武器も少し特殊みたいだけどそれしか使っていない。武器を近接一本にしてその耐久値とプレイヤースキルで攻撃力を補っているんだろう。確か最近青陣営に三人の【シックスセンス】持ちが出たはずだ」


セイの言いたい事が分かった、あの三人のプレイヤーがそうだと言いたいのだろう。


「だったら俺たちの狙いは決まったな」

「そうね、面白そうな相手じゃない」


皆の視線がケイジロウとラピスに向く。


「……分かりました、他の敵機は任せてください」

「了解だよ!」


マーナとピスカがいち早く賛同する。


「相手は三機だが二人で行くのか?」


ジャックの問いに「ああ、やらせてくれ!」とケイジロウが応える。


「了解だ、雑魚は任せとけ!」

「はははっかっちょいい!」

「ん、了解あの三機は任せるね」

「よーし、ピスカどっちが多く倒せるか競争しようぜ!」

「了解だ」


ジャック、キョウジ、シーナ、ルイ、ダスクと続く。

やれやれといった風にセイが頭を振り。


「分かった。白陣営と青陣営のエース対決だな、行くなら絶対に勝ってくれ」

「任せろ!」

「当然よ! 先ずは挨拶代わりよ、食らいなさい!!」


ラピスの精密射撃が八キロほど離れた所にいる三機に襲い掛かる。その瞬間弾かれたように三機が散開する、その動きはには無駄がない。

だがそれだけではラピスの射撃から逃げ切る事は出来ない。次々と降り注ぐビームの雨。とてもラピス一人で紡ぎだしているとは思えない連射だ。

そこにケイジロウが最大速度で一番手前にいた機体、【シャチ】カスタムに襲い掛かる。


「いくぜぇぇぇええ!」




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