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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
50/67

12

【ユルルングル】はその巨体に見合った体力と破壊力を持っていた。がそれだけではない、更に厄介なのは定期的に雑魚パラサイトを一度に十五から二十匹も呼び出すのだ。


「雑魚がまた沸いて来ました! 数は十六体カマキリが八、アリが三、ハチが五です!」


マーナの報告にセイが素早く指示を出す。


「ラピス君はハチを頼む! ドールでアリを抑える、カマキリは三人に任せた。ケイジロウ君はすまないが【ユルルングル】の牽制を頼む!」

「「「「「了解!」」」」」


雑魚の中では頭上を飛びながら強襲してくるハチタイプが非常に厄介だ。しかしこちらにはブラッドハンターのラピスが居る。

その正確で素早い射撃は動きの読み辛いハチの機動を難なく捉え撃ち落す。

――まさに血に飢えた狩人の面目躍如といった所か……


「どわっ! なっなにしやがる」


いきなりケイジロウに向かって威嚇射撃をしてくる。


「あんたいま何か失礼な事を考えていたでしょ……」


鋭すぎね!?


「かっ考えてねーよ、それより味方を狙って撃つな!」


ふん、と鼻を鳴らして戦闘に戻る。くそー勘の鋭いやつめ、おちおち考える事すら出来ない。

ケイジロウも気持ちを切り替え【ユルルングル】の牽制に集中する。

戦闘は順調に進んでいた。確実にダメージを蓄積させ、沸いてくる雑魚はセイの的確な指示によって対処できている。

たまにSTバーが切れそになっても他がフォローしてくれるのでその間に回復する事も出来る。

何事も無ければこのままクリアできるだろう。

だけどそう甘くない。

【ユルルングル】の体がポンプのような動きを開始する。

同じ動きはワーム相手に何度も見ている。まさかこの巨体で鉱物を吐き出すのか!?


「全員退避ーー!!」


セイの絶叫のような声が停止しかけていた意思を動かす。

思い思いの方向へ動き出す、どんな物が飛んでくるのか分からないのでは避けるにしても【ユルルングル】から離れるぐらいしか対処の仕様がない。

そしてポンプのような動きが頭頂まで届いたとき、【ユルルングル】の口の部分から岩の散弾が撒き散らされた。

素早く岩陰に隠れたセイとラピス、範囲の外に居たマーナ。ケイジロウは天井付近まで飛び上がり難を逃れる。

しかし、ピスカ、ルイ、ダスクの三人は激しいダメージを負っていた。



「わーん、またボスでやられたー!」

「ちぇっやられちった」

「すまん、後は頼む」


そして三機とも爆発しフィールドからリタイアする。

一撃でこの被害か、冗談じゃないぞ。


「すまない、僕もドールが三機やられた。マーナ君もドールを戦闘に参加させてくれ」

「わっ分かりました!」


予備として後方に待機させていたマーナのドールも戦闘に参加させる。

これでこちらはもう後がない。


「ッ! 雑魚が来ます、カマキリが七、アリが八の十五匹です!!」

「くっ」


戦力は半減している、流石にセイも咄嗟には何も思い浮かばない。


「ケイジロウっそっちは任せたわ、雑魚は私が仕留める」

「任された、そっちも頼むぞ!」

「マーナとセイは自分達の安全を確保してて」


そういい残しラピスは岩陰から躍り出る。狭い場所では囲まれればそれまでだ、だったらたとえ危険でも広い場所へ飛び出すしかない。


「くっ、マーナ君、せめて少しでもいいから処理できる数のパラサイトを引き寄せよう」

「分かりました!」


ラピスは静かに集中力を高めていく。

相手の数は十二匹、マーナとセイが三匹ほど受け持ってくれた。

二機のサイ・パペットを動かす。射撃ほどではないがラピスはパペットの操作も得意だ、あくまで射撃をメイン、パペットがフォローではあるが。

一機をシールド、もう一機をソード体型にして周囲を旋回させる。

行く! カッと目を見開いて【セーレン】を走らせる。

先ずは挨拶代わりの【トリプルショット】。スキル発動、しぶといアリタイプを沈める。残り十一。

近づかれるまでに連射を繰り返しカマキリタイプを二対撃破! 残り九。

ソードで牽制し、シールドで降りかかる攻撃をいなす。

左右に機体を揺らし、バックしながら追いすがるパラサイトを一匹ずつ倒していく。

残り七、ソードタイプのパペットが落とされた、パペットを攻撃し態勢が崩れているパラサイトを撃破! 残り六。





「うらぁぁあああ!」


【ユルルングル】の背? に回りソードを突き立て、そのままスラスターを全開にして上へと飛び上がる。


『SIYAAAAAAAAAAAAAA』


基本【ユルルングル】の動きは鈍い。ただ、たまに激しい動きで暴れだす。そのときの暴れっぷりが凄い、速い上滅茶苦茶で動きを読むという事が出来ない。

今もまた激しく暴れだし、ギリギリの所で離れる事が出来た。


「あっぶねー」


大分ダメージは与えているはずなのだ、もうそろそろ何処かに核が見えても可笑しくないはず。


「くそっ、何処にあるんだ、それともまだ見えないのか?」


掠っただけでもダメージはでかい、まともにぶつかれば一撃も持たないだろう。

グポッという嫌な音が【ユルルングル】から漏れる。この音と動きは!


「また岩の散弾か!」


急いで上空へと逃げるがケイジロウを狙っているので【ユルルングル】の動きも自然と上空へと向けられる。

来る!


「うおおぉぉぉおお!」


【シックスセンス】を頼りに感覚で攻撃を避ける。

吐き出される散弾、避けきれない小さな物は無視をする、当たれば終わる大きさの物だけは意地と勘で避けきった。

満身創痍、致命的なものは避けきったとはいえ、幾つ物小さな石は何発も食らっている、耐久値Eの貧弱な装甲はすでに全身を真っ赤な危険なゾーンへと突入している。


「くそっ、このままじゃやられ――あれは!」


真上にいて、奴がケイジロウを狙い体を垂直にしていたから初めて見えた【ユルルングル】の核!

開かれた口のなかに一つの目が見えた。

どうする? このまま中に突っ込むか? いや、だめだ恐らく途中で噛み砕かれる。

だったら……


「ラスト! ケイジロウこちらは終わったわ!」


くそっ相変わらずいいタイミングだ!


「ラピス、奴の口の中に核がある。だが奥にあって普通じゃ届かない」


ここまで来れるか? 仕草で聞く。


「だめ、【セーレン】のスラスターと重量じゃそこまで飛べないわ」


ここまできて打つ手がないのか!?


「ケイジロウ君、ラピス君に向かって地上すれすれを飛ぶんだ! ラピス君は出来るだけ離れるんだ、【ユルルングル】の巨体が水平になるまで!」


【ユルルングル】の巨体は地中から全ては出ていない、途中で体は必ず直角に折れる。


「「了解!」」


ケイジロウが所々機体からスパークを迸らせながらも【ユルルングル】をラピスの正面へと誘導する。

ラピスとて万全ではない、レフトアームは千切れ飛び、ライトレッグも折れ曲がっている。それでも微動だにしない。ケイジロウを追って機体を丸呑みにできる巨体が迫ってくる。

襲い来る巨大な顎門(あぎと)。ケイジロウとすれ違う時、ラピスから音が消える……


見えた!


極限の集中力がラピスから音をシャットアウトする、コマ送りのような【ユルルングル】の動き、接触まであと二十メートル!


一条の閃光が瞬き、【ユルルングル】の巨体はまるで静止画面のようにピタリと止まる。

そして、音もなく体中がひび割れ、崩れ去った。


「ふぅ……」


ラピスの熱い吐息が漏れる、全身をふるふると震わせて歓喜の表情を浮かべる。

この勝利の一瞬がとてもたまらない。


一人で何かを叩き潰すのもいいけれど、力を合わせて強敵に打ち勝つというのもまた違った喜びがあるわね、そう心の中で呟き、残ったメンバーの元へゆっくりと移動しつつ勝利を噛み締めた。


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