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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
47/67

09

「ねーどうするの?」


ピスカの報告を聞いて全員で道の先をのぞき見る。あまり猶予はなさそうだ、すでに数機が撃墜されていた。


「いくか」

「そうね、皆助けに行くわよ」

「「「了解」」」


決まれば行動は素早い、両手の【ウェパルジャマダハル】をクロスさせケイジロウが一気にパラサイトへと突撃していく。


「【瞬速移動】! 【オーバークロス】!」


六百メートルほどの距離を一瞬で走破しカマキリ型パラサイトを切り裂く!

さらにラピスの精密射撃が次々とハチ型パラサイトの羽を狙い撃ち落としていった。


「俺だって負けてられん! 【瞬速移動】!」


ジャックが両手に握った蛇腹剣を振り回しパラサイトに巻きつかせ引き切り裂く。

ジャックの蛇腹剣には二つのボタンが付いている。一つは限界まで剣が伸びるギミック、もう一つは元の長さに戻るギミック。

単純なギミックだがそれだけでかなり扱いやすくなっている。


「なにそれすげー欲しい!」

「なにそれー凄い欲しい!」

『なにそれめっちゃ欲しい!』


ケイジロウ、ピスカと続き今にも撃墜されそうになっている赤い【コンダードゥ】が一斉にジャックの方へ余所見をする。


「あんたたち今は戦闘に注意しなさい!」


ケイジロウ、ピスカ、赤い【コンダードゥ】が余所見をしている隙に襲い掛かるパラサイトをラピスが連射で牽制していく。


「おわっと、悪い」

「ごめんなさーい」

『ぎゃああぁぁあ!』


ケイジロウやピスカはともかく、元々危なかった赤い【コンダードゥ】は援護が間に合わなく、結局パラサイトに撃破されてしまった。

残ったプレイヤーはあと三機、どうやらその三機は助ける事が出来そうだ。


『援護すまない。もう少しで全滅する所だった、有難う』


生真面目な声で感謝の意を表すプレイヤー。どうやら【ドワーヒュ】に乗っているのがPTのリーダーらしい。


「いやいや、助け合いはネトゲの基本だし気にしない気にしない」


蛇腹剣を振り回しつつジャックが気さくに応じる。


『ところで、その蛇腹剣みたいなウェポンは何処で買ったか教えて貰えないかい?』


どうやら男共はみな同じ感性をしているようだ。


「そんなのは後にしなさい!!」


未だ戦闘中である、終わった後で幾らでも聞く機会はあるのだから後にしろとラピス様はお怒りだ。


『りょっ了解だ』


パラサイトの残りは十体ほど、殲滅するのに五分と掛らなかった。




        ◆ ◆ ◆ ◆



『いや、本当に危ない所助けてくれて有難う。VU(バージョンアップ)してからデスペナルティーが科せられるようになったから余り撃墜されたくは無かったんだ』


デスペナルティー。VU後に変わったシステムの一つで二十分の出撃禁止に三時間の熟練度アップ停止が科せられる。

さらに運が悪ければ低確率だが武器や外装パーツがロストする事もある仕様に変わったのだ。


「貴方たちもメインミッションに行く所だったの?」


こんな場所に来るのだからそれしかないとは思うが念のために確認をしてみる。


『ああ、少佐に階級アップの為のメインクエをしに来たんだ。貴方たちもそうなんだろう?』

「ええ、そうよ」

『……少し図々しいお願いをするが私たちも一緒に連れて行ってもらえないだろうか?』


さて、どうしようか? とこちらに機体ごと振り向いて無言でラピスが俺たちに促す。


「んーいいんじゃないか? 多分残った誰かが大尉でミッションを受けに来たんだろう?」

「僕もいいよー、人数は多いほうが盾-―楽しいし」

「ピスカ、あんたは何気に黒いわね……」


えー、とふくれっ面を作る。


「あっあの私も構いません、それに先ほどの戦闘で見た【ドワーヒュ】さんのサイ・ドールの扱い方を勉強したいですし……」


PTリーダーと思わしき【ドワーヒュ】に乗ったプレイヤーはマーナと同じサイ・ドールの使い手で、マーナが勉強したいと言わすほどのかなりの腕前だった。

一度に四機のドールを扱い、三十体以上のパラサイトに囲まれてただの一機も破壊されていなかった。


「俺も構いませんよ、確か中隊編成で入ってもボス戦は出来るはずですから」

「ん、了解。それじゃ承諾してくるわ」


さて、ラピスが交渉役をしているがこれには深いようでかなり浅い訳がある。

まずマーナは基本人見知りするのでダメ。ケイジロウは交渉を任せるとなぜか喧嘩腰になるのでダメ。

ピスカは言わずもがな。この三人の交渉能力は五段階中一しかない。

ジャックは一緒に行動してから日が浅い。なので十二年間猫をかぶり続けた実績のあるラピスが自然と交渉役になっているのだ。


「いいわ、一緒に行きましょう」

『助かる、有難う』


中隊編成の申し入れをPTリーダーのラピスが申告する。向こうからも返信が帰ってきて何事も無く中隊編成は終了。

PTリストに相手の名前が追加される。

Sei に Dakusu、ruiか、覚えやすくいいなとケイジロウが考えていると。


「もしかしてホワイトファントムにブラッドハンター!?」


セイが驚いた声であの痛すぎる二つ名を言う。


「「違う!!」」


ケイジロウとラピスが声をハモらせながら吼える。

それにセイがえ? ええ? 狼狽する。落ち着いた容姿をしたセイが狼狽した姿は普段なら笑いを誘うものだが今は現実的な問題に直面していてそれ所ではない。

どうすればあの痛い二つ名が消えるんだろうな! 誰か教えてくれ!



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