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Brain Marionette Online  作者: まるいもの
ステージⅡ
46/67

08

「ラピス、援護を頼む!」


ケイジロウはそう叫びながらパラサイトの一団に突撃を敢行する。


「だからっ考えなしに突っ込むなって言ってるでしょう!」


パラサイトの数は合計八匹、カマキリタイプとアリタイプの昆虫型パラサイトだ。

昆虫型パラサイトの殆どが硬い強いしぶといと厄介な物が多い。


「ラピスねーちゃんしょうがないよ、ケイジロウにーちゃん本能で動いてるし」


ピスカが身も蓋も無いことを言う。


「ぴっピスカ!」


マーナが慌ててピスカを窘める。


「いいのよマーナ、言ってる事はその通りなんだし。それよりジャック、あんたまで突っ込みたいとか言わないわよね?」


今にも突っ込みそうな挙動をしているジャックの【コンダードゥ】を睨みつけながらラピスが言外に、行ったら酷いわよ? と脅しをかける。


「いえいえいえいえ、勿論男一匹このジャックめがラピスさんたちの護衛をほっぽって突撃なんてしません、はい」


ラピスがだす剣呑な声音はジャックには効果覿面だ。


「そ。それじゃ私たちの護衛は任せたわよ」


それを最後にバカの援護へと意識を集中させる。なのでその後に続いたジャックの言葉は幸か不幸かラピスには届かなかった。


「ハァハァハァ、ラピスさんマジいいっす。女王様って呼びたい……」


唯一聞こえていたマーナはどうすればいいのだろうと悩み、三歩ほどの距離を常に離れる事で折り合いをつけることにした。




今ケイジロウたちが居るのは流砂の洞窟1Fでパラサイトの本拠地だけあって【ポーン】クラスでさえそこそこの強さを持っている。

それに加え数が多く少し進むのでも随分と戦闘を強いられる事となっていた。いい加減我慢の限界らしくケイジロウがバカみたいに敵に突っ込みだしたのもそれが原因だ。


「ふぅ、スッキリした」


爽やかな声を出すがやった事は殺戮だ。


「スッキリした、じゃないわよこのバカ! 次同じ事をしたら撃ち抜くわよ!」


ラピスの迫力、というより本当に撃ち抜かれるであろう事実にケイジロウが思い至り。


「あー悪い悪い、もうしないから」


慌てて謝罪を入れる。

確実にこのチームの実権はラピスが掌握していた。


「それよりもラピスたちの新しい機体随分調子がよさそうだな」


昼の件もあり、あまりラピスを怒らせたくないケイジロウは話を変える為にラピスたちの新しい機体の話を持ち出す。


「んーそうね、前より機動力も上がったし特殊兵装の使い勝手がいいのが気に入ったわ」


ラピスが乗っている新しい機体はBクラスの【セーレン】という名前の機体だ。

【ビャーレン】の上位機種で命中補正はそのままに、機動力、特殊兵装、武装力がワンランクずつ上がっている。ただし相変わらず耐久値は最低ランクだが。

羽を重ねたような肩当てに細身のシルエット、全体的に【ビャーレン】より流麗な丸みをしているがそこまで大きな違いはない。

違いと言えるのはヘッドに角ばった一本の角がついたぐらいだろう。

愛銃のスナイパーライフルに二機のサテライト・パペットを装備している。

機体による特殊兵装のクラスが高ければ高いほど、ゲームサポートの効果も高くなりその分サイ・ウエポンの扱いも楽になる仕組みになっている。


【セーレン】 機動力D 命中補正B 耐久値E 特殊兵装C 武装D


次にマーナが選んだのは、これまた白陣営に相応しいキワモノだった。

【ドワーヒュ】BMOではかなり珍しいキャタピラタイプの機体だ、イメージを媒介にして機体を動かす仕組みのBMではキャタピラという移動手段は逆にキワモノになってしまう。

寸胴な胴体に脚の変わりにキャタピラがついており機体の全高は他に比べると少し低めな十メートルほどの大きさで、腕に当たる部分はなくマシンガン二丁がその代わりについている。

マーナは戦闘型サイ・ドールを二機、偵察型サイ・ドール一機の都合三機を操って戦闘に参加している。


【ドワーヒュ】 機動力D 命中補正E 耐久値E 特殊兵装B 武装B


最後にピスカが選んだのはジャックと同じ【コンダードゥ】。

武装も変わらずエネルギーライフル、エネルギーサーベル、ショットガン、一応サイ・パペットを一機装備しているが現状旨く扱えてはいない。


部隊のフォーメーションは前衛にケイジロウ、中衛にピスカとジャック、後衛がラピスにマーナとなっている。


「おっ、マップが2Fに変わった」


先頭を行くケイジロウの簡易マップが1Fから2Fに変わったようだ。


「確かボスが居る場所は3Fだっけ?」

「ああ、3Fの一番奥にボスの部屋に行く為のポータルがあるはずだ」

「まだまだ先ですね」


少し疲れた表情でマーナが呟く。


「ここはパラサイトが居ないから少し休憩にしましょ」


ラピスの提案で十分の休憩を取る。流石に機体から降りる訳にも行かないのでコクピットの中での休息だ。


「ん? なにか音がしないか?」


ケイジロウが何かの物音を聞きつけたようだ。

四人とも耳を澄ましてみると確かに何か戦闘音のようなものが聞こえてくる。


「誰かこの先で戦闘してるのかしら」

「僕見てくるよ!」


止める間もなくピスカが機体を動かし道の先へと覗き込む。

そこには、大量のパラサイトに囲まれたPTが今にも全滅しそうになっていた。






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